最新更新日:2024/10/01 | |
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境界線
こんな話がある。
一羽のイスカ(スズメ科の小鳥)がトウヒ(マツ科の針葉樹)の木に止まり、種子をついばむ。そのトウヒの種子が様々な偶然を経て、川沿いの森に根づく。やがて一本の大木に成長する。成長したトウヒの側を流れる川は長い年月をかけて浸食し続け、森に近づく。やがてそのトウヒの大木が川岸に立つようになる。ある年の洪水で、ついにトウヒの木はユーコン川(アラスカにある川)に根こそぎ流される。流されたトウヒの大木は、そのまま旅を続ける。ついにはベーリング海に運ばれ、はるか遠い北のツンドラ地帯の海岸へとたどり着く。海岸に打ち上げられたトウヒの流木は、全く「木」というものの存在しないツンドラ世界では、特に目立った存在となる。その目立つ流木に、一匹のキツネがテリトリーを示す匂いをつける、マーキングをする。何度かマーキングを繰り返すうちに、冬のある日にキツネの足跡を追っていた一人のエスキモーが、そこにキツネを捕るためのワナを仕掛ける。トウヒの木は最終的にエスキモーの家の薪となり、煙突から大気の中にゆっくりとひろがってゆく。 アラスカ内陸部の森で育ち、大木に成長したトウヒはある一羽の鳥の口からこぼれた偶然で生命が始まった。キツネもトウヒにマーキングすることでエスキモーのワナにはまる。大自然の妙である。 この話は写真家の星野道夫氏が大好きだったアラスカの動物学の古典「Animals of North」(北国の動物たち)第一章のはじめにある「旅をする木」という話である。 星野道夫氏はアラスカの自然をこよなく愛し、自然の中で暮らし、自然を体験し、写真を撮り続けてきた人である。彼は1996年、42歳で、その大好きな自然の中(ロシア、カムチャッカ半島)、で大好きなヒグマに襲われて亡くなった。 トウヒの木は「木」としての役割を終えてからも、偶然が重なり、その存在は他の生物や生命に影響を与え続け、自然界に循環していく。さてトウヒの一生はいったいどこで終えているのか。星野氏もまた偶然が重なり、その日の、その場所の、その瞬間にヒグマに襲われたのである。星野氏の生きざまは「真に自然の中に存在」し得た自然物といえはしまいか。瞬間、瞬間が大切な「生」であり、「命」なのだ。今でも、星野氏の存在は多くの人に影響を与え続けている。 では、「死」とは一体何を指すのか。どこからどこまでが「生」で、どこで「死」になるのか。ということで「境界線」ということについて少し考えてみた。人間レベルで考えてみると、世間では未だに議論されるところであるが、「自然の中の存在」と考えてみると問題はあまりなさそうだ。解剖学者の養老孟司氏が指摘するように、「死」とは、自分自身で体験的に語ることができない「他人事」であることには間違いないのであるから、「死」というものは他者が決めざるを得ない。他者が決める以上、「客観的基準」または「社会的基準」が必要となる。体験的に語ることができないのであるから、「客観的基準」の存在は困難である。残る「社会的基準」が一定しないので困っているのだ。つまり「この人は死んでいるのだ」と全員が認めることの一致点が一定しないということである。そこで養老氏は、人間は「ことば」によって世界を分節したのであるから、「死」も「ことば」で分節するしかないと結論づける。感情を入れてしまうと「死」は揺れ動く。医療技術の発達はすばらしく、否定のしようもないが、境界線が厳密になればなるほど「分節」が「分節」でなくなってゆくことも、否定できない事実となっている。境界線が多すぎるのだ。境界線が作られるならその区分を示す「概念」の名称が必要となる。にも関わらずその名称が存在しない。存在しないから言葉で分節せよというのである。 先のトウヒの一生においても、一般的には大木に成長して川に流されるまでを一区切りとするのだろう。トウヒの一生は根こそぎ川に流された時点で終える。誰が認定するかといえば、それはその地域の住民たち、そしてトウヒの木に世話になっていた動物たちであろう。トウヒの存在が消えてしまったわけだから、それは「死」という意味合いを持ってくる。ところが、ツンドラ地域に流されてきたトウヒの存在を認めるエスキモーにとってはどうであろうか。トウヒという植物の「生」を感じはしないまでも、「木」としての存在は認める。トウヒは生きていないが、死んでもいないという曖昧な存在となる。そして、人によっても認識は違ってくるだろう。つまりそのトウヒの木を「死」と認める人もいるだろうということである。「生」か「死」か自体も曖昧だが、「生」と認識するか、「死」と認識するかも様々で曖昧なのである。我々の目の前に切り倒された一本の大木を見て、「まだ生きている」と認識するか、「もう死んでいる」と認識するかは人によって違う。木造建築物を見て、材料となっている「木」を「生きている」と認識する人もいるはずだ。そういう感覚だ。一定しない。 「生」と「死」の境界線の問題は今後も深まっていくと考えられるが、先の「トウヒの一生」や「人間の死」の認識で示したように、その境界線が実は曖昧なものであることも我々は自覚せねばならない事実である。 現代芸術の最先端で人気を博している森村泰昌氏は、古い時代では人間は「境界線」を引くことに専念して、様々な物事に区切りをつけてきたが、現代社会ではその「境界線」を消しにかかっていると指摘している。境界線の引き方に個人差があるため、常識とはかけ離れた行動を人間はとってしまうわけだが、現在の社会状況のまま、その境界線がなくなっていくと一体どうなっていくのか。境界線が融合されることで常識が常識でなくなってゆく社会が形成され、新たな問題をはらむ社会構造を生み出していくとも考えられるが、逆にダイバーシティ的価値観として、新たな可能性が生まれることへの期待の方が大きいのではないだろうか。 94歳のピアニスト ルース・スレンチェンスカ曰く、 「老いは、成長の始まりよ。」 学校長 谷内 秀一 20期生探究基礎研究発表会(第21回教育研究大会)の参加申込方法について
20期生探究基礎研究発表会(第21回教育研究大会)を令和元年9月14日(土)に開催いたします。詳細はこちらをご覧ください。
探究基礎研究発表会の申込はWebから行うことができます。 以下の「申込ページ」URLからお申し込みください。 申込の〆切は9月6日(金)となっております。 「申込ページ」URL↓ https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSewyzg... ※申込ページでお申し込みできない場合は,以下[1]または[2]の方法でお申し込みください。 [1]電子メールによるお申込み 以下の事項をご記入の上, E-mail: h.kenkyubu_at_gmail.com (_at_を@に置き換えてください)までメールを送信ください。 メール件名:9月14日申し込み 1.代表者氏名(ふりがな) 2.ご所属(学校名/教育機関名 等) 3.郵便番号 4.ご住所 5.お電話番号 6.電子メールアドレス 7.代表者を含む参加者氏名 以下の区分(※)をご記載ください。 8.その他連絡事項 [2]FAXによるお申し込み 「探究基礎研究発表会参加申込書」 に必要事項をご記入の上, 京都市立堀川高校 FAX:075−211−8975まで 送信ください。送信面にご注意ください。 (※)参加者の該当区分を以下からご選択ください。 イ. 小学生以下 ロ. 中学生 ハ. 高校生 ニ. 大学・大学院生 ホ. 保護者 ヘ. 教員(校種・職名) ト. その他 (ご所属などをお書きください) 7/22 松村真宏先生の講演会のご報告
今年度2回目のコミュニティカレッジを2年生全員を対象に7月22日(月)に開催しました。今回は,大阪大学大学院経済学研究科教授の松村真宏先生をお招きして『学問としての「仕掛け」』という演題でご講演いただきました。
松村先生は,人工知能のご研究で博士号を取得された後,「仕掛学」という新たな学問を世界で初めて体系化し研究されています。公的機関や企業との共同事業も多く手掛けられ,メディアにも頻繁に出演されています。仕掛学は“Shikakeology”として,スタンフォード大学の講義でも用いられている日本発のフレームワークでもあります。 ご講演に先立ち,探究基礎(JUMP)で仕掛学をテーマとして研究を進めている本校2年生2名による事前学習を実施しました。 講演会では,まず,放置ごみを無くす試み,病院入口で手指のアルコール消毒を勧める試みなど,さまざまな仕掛けを動画を交えてご紹介いただきました。生徒たちはすぐに引き込まれ熱心にメモを取る姿が見られました。「仕掛けの概要とその限界」について示されたのち,「学問としての仕掛学は,文系的発想を基に理論を構築し,理系的アプローチをもって定量的にデータを検証し再現性を確認してゆく」というお話があり,生徒たちは,理系・文系にこだわりすぎずに様々な学問を学ぶことの大切さに気付くことができました。ご講演最後には,仕掛学の倫理的,社会的,実務的問題点を生徒たちに今後の課題として提示していただきました。 講演会終了後には,さらに質問をしたい生徒が集まり松村先生を囲んで座談会を行いました。生徒たちの熱心な質問に、松村先生も丁寧に対応してくださり,生徒たちはさらに多くの気付きや思考の深まりを得ることができました。予定時間を大幅に越えての座談会,本当にありがとうございました。 文化祭まで、あとひと月!
こんにちは、生徒会執行部文化部です。
今年の文化祭は8月31日(土)、9月1日(日)です。 文化祭まであと1か月となりました! 今年のテーマは「0話からはじまる堀川物語」です。“令和”と“0話”がかけられており、新しい時代を感じさせるテーマとなっています。 文化祭の企画にはクラス企画、生徒会企画、有志企画の3つがあります。 今回はクラス企画の紹介をします。 クラス企画とは、クラス単位で行う企画のことです。 まず1,2年生です。1,2年生は本校5階の講堂でクラス劇を行います。各クラスでは監督を決めることから始め、脚本を一から考えるクラスもあります。それぞれで照明、音響の演出の計画をし、本番では自分たちで調節しています。1年生は初めての挑戦なので楽しみです。2年生は去年の経験を活かした劇が期待できます。 次に、3年生です。3年生は本校1階のアトリウムでアトリウムパフォーマンスを行います。アトリウムパフォーマンスは本校の名物企画で、3年間の集大成です。音楽に合わせてダンスをしたり演技をしたりします。7月から休み時間や放課後を使って練習をしている姿が見られ、期待が高まります。 今年もお楽しみに! 学校説明会
7月20日(土)、堀川高校「普通科・探究科学校説明会2019」を開催しました。今年も蒸し暑い気候の中でしたが、3回の全体会を行い、あわせて1212名の中学生・保護者の方にご来場いただきました。本当にありがとうございました。
全体会と並行して、校内では、「施設見学」「探究・海外研修紹介」「個別相談」「学習アドバイス」などのコーナーが開かれており、担当生徒スタッフたちが、案内や紹介、説明をしていました。 この説明会は、本校の2年生・1年生たちがリーダーやスタッフとして企画から準備、そして当日の運営と、全てにわたり積極的に取り組み、創り上げてくれました。総勢約200名、説明会当日も早朝から最終の打ち合わせや段取り確認などを行い、本番ギリギリの最後まで「高みをめざす」努力を続けました。その生徒たちの活躍をきっと見ていただけたことと思います。 例年、最新の探究学科群前期選抜独自問題の冊子をこの日にお渡ししていましたが、今回は準備が間に合わず、ご迷惑をおかけしています。今回説明会にご参加いただきました京都府内の公立中学校に在籍されている方には、夏休み明けの授業再開時に、中学校を通してお手元に届くように手配させていただきます。ご了承ください。 次の説明会は、11月9日(土)です。今回ご都合がつかなかった方も含めて、是非11月にもお越しください。お待ちしております。 (写真上):恒例の、開始前にスタッフ全員で行う「We are the Horikawas!」 (写真中):全体会での学校紹介の様子 (写真下):校内での在校生スタッフたちの様子 熱中症事故の防止について
ようやく梅雨が明け,これから猛暑日が続くことが予想されます。連日の大変厳しい環境条件の中、学校での諸活動等の際に熱中症にかかる可能性もあります、その対策に関する文書を生徒に配布いたしました。配布文書一覧に掲載しております。
保護者のみなさまにおかれましても、趣旨をご理解いただくとともに、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。 【配布文書はこちら】 グローバルリーダー育成研修に出発
京都市立高等学校から選ばれた18名の生徒が、グローバルリーダー育成研修(7月20日〜8月5日)に京都駅八条口に集合して旅立ちました。
堀川高校からは2名の参加です。 本年度はフィリピン セブ島にある児童養護施設に宿泊し、ボランティア活動をメインに、現地学生との交流などを行います。 18日には谷内校長に事前研修での学びや、研修への意気込みをなど報告し、激励を受けました。 23日現在、元気で子供たちとの触れ合い、仲間との協働に意欲的に取り組んでいます。 この研修の日々の様子は京都市教育委員会のホームページに紹介されています。下記のリンクからご覧いただけます。 http://www.kyotocity-hs.jp/ 町へ出よう!プロジェクト! 〜祇園祭ボランティア〜
7月17日(水)、今年も「町へ出よう!プロジェクト!」として、祇園祭の先祭におけるボランティア活動に参加しました。
祇園祭のボランティア団体の一つである「京都・祇園祭ボランティア21」から毎年お声かけをしていただいていますが、これは堀川高校が八坂神社の氏子の町内にあるからで、高校単独での募集は堀川高校だけです。 参加したのは、男子は山鉾の曳き手として33名(木賊山8名、霰天神山12名、放下鉾13名)、女子は本部運営として63名(主として給水業務として四条河原町12名、三条河原町18名、新町御池33名)の総勢96名です。 今年も暑さ厳しい中での巡行でしたが、京都の伝統を直に体感する貴重な一日でした。 生徒達のために貴重な場を提供していただきました木賊山、霰天神山、放下鉾をはじめ各鉾町の皆様、各給水地点でご指導いただいた皆様、並びに祇園祭ボランティア21の皆様に重ねて御礼を申し上げます。ありがとうございました。 写真上:放下鉾の曳き手 写真中:四条河原町での給水業務 写真下:霰天神山の曳き手 PTA 保護者のための生涯学習企画 ご案内
PTA生涯学習委員会からです。
生涯学習企画 一期一会 「落語・太神楽鑑賞と京料理」(10月5日土曜日開催)の御案内文書を7月1日付けでお子様を通じて配布しています。 申込締切りは7月16日(火)です。 参加ご希望で、お申込みがまだの方は申込書と参加費を添えて、堀川高校事務室まで直接お申し込みくださいますようお願いいたします。 堀川高校PTA 生涯学習委員会 放送局 NHK杯全国高校放送コンテストへ
6月15日(土)・16日(日)に京都ノートルダム女子大学で,第58回京都府高等学校放送コンテスト兼第66回NHK杯全国高校放送コンテストが行われ、本校放送局の作品がラジオドキュメント部門で第1位に選ばれて、全国大会に駒を進めることになりました。また、創作ラジオドラマ部門では全国大会進出はならなかったものの第4位に入賞しました。
ラジオドキュメントの作品でインタビューに快く応じていただくなどご協力いただいた皆様、励ましの声をかけていただいた皆様、ありがとうございました。 全国大会は7月22日から東京で行われます。さらに高みを目指します。 |
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