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最新更新日:2025/06/25 |
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人間(じんかん)いたるところ青山(せいざん)有り
(入学式式辞概要)
新入生諸君,これまで,わが国では,高校までは公式,法則などシンプルで美しいセオリーを身につけ,大学で初めて,それまで覚えてきた知識・技能について,いかに美しいものでも疑ってみることで研究がスタートする構造になっていました。この「間違いがあるかも」「今の時代に通用しないかも」を探究活動に込めて高校から始めたのが堀川での学びです。研究は,辛抱強いエビデンスの集積と新しい発想が求められます。研究は孤独な作業ともいえます。しかしポスター発表など質疑応答などという対話によって進化すること,仲間との喧々諤々の議論によって,自分の考えが出来上がってくるものです。研究は,背後に隠れていること,裏にあるものなど,見えないものを見せ,そして証明する。そのために再現,実験,アナロジーを駆使してインテイク,アウトプットし山に登っていきます。堀川らしさとは,バカらしいと思われるような発想や質問もウェルカム,好奇心と困りの解決こそモティベーションといえる耐久力,発表ではフリーズせず,言葉をつないで質問をどう切り抜けるか,さらに普段からの対話やコミュニケーションを力に代えて,助け舟を出すチームワークも身につける,などといったこれまでとは違う学びの場を楽しめる人になってください。私たちが19年前に掲げた探究活動の手段である,課題研究やポスター発表は今やSSH校,SGH校などトップ層の育成と裾野の開拓として広がってきました。それでもこの堀川でしか学べない,ここで共に学ぶことによってしか獲得しえないプロセス,日々の学習,探究活動に取り組み,学ぶ姿勢やモティベーションを生み出す様々な朋と愉しむ営みを大切にする。これこそ絶対に真似が出来ない主体的な学びをともに実現していきましょう。 登山の世界ではよく「山は登るより降りる方が難しい」と言われます。山の事故も7割以上が下山で発生しています。どんなに高い山頂に到達しても下山して初めて成功であり,山頂は折り返し地点に過ぎません。学校での勉強も同じことが言えるのではないだろうか。高校受検を五合目ととらえて足元だけ見てさらに狭い山の頂を目指すのではなく,堀川高校入学のこの機会に下山してさらに高峰を目指してほしい。下山の時に気付くのは,「全体を見渡せているつもりでいても,じつは見たいものしか見ていない」ということです。人間は自分が体験してきたことから,なかなか抜けきれないものです。時間の多くを高校受検で頑張ったことで,関心のなかったことや,関わることができなかったことにも目を配りながら,「新しいものさし」とは何か,「新しい目標とは何か」について次の出発点に立とうではありませんか。「想定外」という言葉が近年行きかっていますが,「想定外」ということは,別の言い方をすれば,それ以上のことを考えていなかった「思考停止」した結果でしかありません。地球上に70億人以上が生活し,そこには,住居,言語,生活,宗教など,全く異なった文化があります。この環境が,いろいろな問題を醸し出し,常に何が起こっても不思議ではない現実があります。このような予測できない未来に向かって,何が正しいのかというテーマ設定自体が愚問でかつ無意味と言われていますが,かと言ってでは何もしないかということも,まさに思考停止でしかありません。 「プレッシャーだ」,「困難である」,ということはいつでも言えます。ただし,こう言ってしまうと,既にそこで物事はストップし,問題解決へのステップを放棄することでしかなくなってしまいます。そして優秀な人たちがこれらの困難を背負ってくれなくなってきています。今までも高い山を目指して登り続けたかもしれなませんが,これから登ろうとする山は,さらに険しく,道のない山です。その山に挑戦するということは,これまでの経験にこだわらない発想法を装備してともに高みを目指そうではありませんか。もっと高い山に興味があるのに,一歩踏み出せずにいる方はいませんか?何を恐れているのでしょう?挑戦することによって,今の小さな幸せを失うことが怖いのでしょうか?ちっぽけな幸せにしがみついている限り,大きな幸せを手に入れることはできません。それに,今いる場所だって,いつまでも安全安泰かなんて分かりません。しがみつくに値するほどの幸せかどうか,よく考えてみることです。足もとばかり見つめていないで,顔を上げて遠くを見渡してみましょう。高い山の裾は広い。無限と言ってもいいでしょう。どこかにあなたの本当の居場所がある。思い切って飛び出しましょう。君たち19期生は「山」と名付けます。19期生諸君,困難に動ずることなく,想定外にもスピード感とユーモアをもって立ち向かう,未踏の山のような大きな器となり,堀川の歴史を刻んでください。 平成29年4月10日 学校長 恩田徹 写真上:式辞 写真中:新入生代表宣誓 写真下:教職員紹介 ![]() ![]() ![]() 第19回教育研究大会のお知らせ
日時:平成29年6月30日(金)9:30〜17:00
会場:京都市立堀川高等学校 参加対象:学校関係者,教育関係者 参加費:無料 内容:1.全体会 1 2.研究授業,公開授業 3.分科会(研究協議等) 4.全体会 2 案内,プログラム,申込方法は5月上旬までにHPに掲載致します。 参加ご希望の方は,お手数ですが5月上旬にHPをご確認ください。 さくらのたより
堀川高校のさくらたち
宇多田ヒカル曰く、 「ユーモアって、どうにもできない状況に対して、唯一できること。」 写真上:ソメイヨシノ 写真下:カイドウザクラ ![]() ![]() さくらのたより
少しずつほころびはじめました。
イタリア ストロンボリ島の老漁師曰く、 「町には欲や物が多すぎる。だからひとつでもないとパニックになる。足りない状況にあれば、順応するもの。そうすれば自立した人間になれる。」 ![]() 平成29年度学校経営要項不動如山,動如雷霆
先日,入試が終わっても学びを止めないでほしいとお伝えしたところ,少なからずご意見をいただき感謝申し上げます。知識は物事の本質を見通す思慮や判断力というものが加わって初めて意義あるものとなるのではないか。このいわば「見識」といわれるものに高めるためにはどうするか。それは目先にとらわれないで,できるだけ長い目で観察し,かつ物事の一面にとらわれないで,できるだけ多角的,できるならば全面的に考察し,さらに枝葉末節にとらわれないで,できるだけ深く観察し,そして自分の問題として考えることです。
堀川高校の最高目標は「自立する18歳の育成」です。さまざまな抵抗や障害を断固として排除し実践していく力量を探究活動によって高校時代にその基礎を身につけるのが本校です。知識が見識になり,さらに胆識になることによって,人間としての質を高める教育を探究に込めています。 この担識のなさが,グローバル社会で勝てなくなった原因の一つといわれます。想定外の質問,困難に動ぜず,無茶振りに対してスピード感とユーモアをもって切り返せる「山」のような資質・能力を日々の学習と探究活動を通して汎用性のある力として身につけたいものです。雷霆とは,激しい雷のことです。動くとき,圧倒的な強さを持てということでしょう。武田軍の圧倒的な強さに恐怖した三方ケ原での敗戦が,徳川家康を大きく育てたといわれています。負けて強くなる。「歴史より学ぶ」ことも知識で止まらず,見識,担識と高めたいものです。 新年度に向けて 校長 恩田徹 ![]() |
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