最新更新日:2024/11/10 | |
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第8回 卒業証書授与式
3月13日,18名の卒業生(15歳〜82歳)が洛友中学校を巣立っていきました。卒業証書を受け取る卒業生は,緊張の中にも,それぞれがとてもさわやかな表情でした。
学校長式辞,郁文自治連合会の中島会長と教育委員会生徒指導課の大橋課長による祝辞に続き,在校生代表2名(昼間部と夜間部)が送辞を述べ,そして卒業生代表3名(昼間部と夜間部)による答辞が行われました。送辞も答辞もそれぞれの熱い思いが語られ,とても感動的な卒業式になりました。 学校長「式辞」より(抜粋) …洛友中学校は,開校以来8年間「昼夜一体となり,世代や国籍を超えてふれあい学びあう,全国唯一無二の学校」という理念のもと,様々な取組を展開してきました。このような学校は,全国にも例がないため,難しいことも多々ありますが,今年度をふり返ると,たくさんの素晴らしい取組をすることができました。 昨日も「卒業生送別激励会」で皆さんと一緒にビデオを見ましたね。球技大会,S.T.E.P,切り絵,絞り染め,文化祭,修学旅行,人権カレンダーづくりやワークショップ,チャンゴ,民族の文化にふれる集い,陶芸教室,茶道,ストレッチ…,そして昨日の「送別激励会」などなど。学校行事はもちろん,毎日の「交流の時間」においても,より一層昼夜一体となった「ふれあい」と「学びあい」ができるようになったと思います。 11月に昼間部のKさんが夜間部の皆さんの学ぶ姿から感じたこと,つまり「心の底から学びたい,夜間部の生徒さんにそう思わせた勉強は,ものすごく価値と魅力あるものに違いない」と,中学生らしい素直な気持ちを発表したことがきっかけとなり,夜間部の皆さんからも「若い世代に伝えたいこと」と題して,昼間部の生徒たちへ心のこもったメッセージを送くりました。 「戦争は,いちばんダメです」というテーマでFさんが,「洛友中学校に巡り合えて」というテーマでTさんが,そして「5組の皆さんへ」と題してNさんがそれぞれ代表で発表してくれました。「戦後の中国に取り残されて苦労しただけでなく,日本に帰ってからも大変であること」,「差別や戦争の厳しい時代の中,学校へも行けず,やっと思いでこの洛友中学校に巡り合えた喜び」,「だからこそ今,若い人たちには“楽しいこと”“面白いこと”“苦しいこと”“辛いこと”すべてが勉強だと思い,プラス思考で生きてほしいこと」など,心からのメッセージをいただきました。夜間部でグループ別にこれらのテーマで話し合いをされている際に,辛い過去を思い出し,涙を見せながら語り合う皆さんの姿に心が震えました。 昼間部の生徒は夜間部の皆さんから学ぶエネルギーをもらい,夜間部の生徒は昼間部の皆さんの一日一日の成長を励みにしている…(実際,昼間部の生徒一人一人がこの1年で見違えるほどの大きな成長を遂げることができました)日々このような交流ができているように思います。 以前,校内に貼ってあった,あるポスターに目がとまりました。そこには,こういう詩が書いてありました。 苦しいから,辛いから,やりきれないから, そんな気持ちだからこそ見える,美しい景色もある。 今から始まる未来に,失敗というものは存在しない。 いろんなものに磨かれて,人は輝きを増す。 昼間部の皆さんも,夜間部の皆さんも,それぞれが回り道をしてこの洛友中学校に巡り合いました。しかし,その回り道は決して無駄ではありません。だからこそ見えたこと,感じられたことがあるはずです。それは人生にとって,とても大事なことで,きっとなくてはならなかったことだと思います。そんないろんなものに磨かれて,人は輝き出すということです。 (中 略) 先程,私は一人一人の卒業生の瞳を見ながら,卒業証書をお渡ししました。今,あなたたちの瞳の色はとても深く,そして,とても輝いています。これからも,困難が待ち受けているかもしれませんが,学ぶことを楽しみ,自分らしく,自信を持って,自分の選んだ道を生き抜いてください。 卒業は決してゴールではありません。新たな「自分探しの旅の始まり」です。そして「自分を生かすための旅立ち」でもあります。この洛友中学校で過ごした日々を誇りに思い,楽しく勉強,一生勉強です。そして,その気持ちこそが青春であり,一生青春でいられるのです。 (中 略) 卒業生の皆さん,最後にもう一度言います。あなたたちは私の誇りです。皆さんと出逢い,皆さんに囲まれながら一緒に過ごせたことを,校長として,教師として,最高の幸せに感じています。ありがとう。 第8回 卒業式 〜卒業生代表「送辞」(抜粋)
…皆さんに初めてお会いしたのは,体験入学の日でした。緊張と不安でいっぱいの私たちに,優しく接してくださったことが昨日のことのように思い出されます。転入学の日から本校の一員となった私たちは先輩方と一緒に忘れられない多くの体験をさせていただきました。
…先輩方は,いつも私たちにお手本を示して支えて下さいました。時には悩み,時には涙しながら前へ前へと向かう先輩方の強さ,そしてその強さはまわりへの思いやり,優しさとなり,私たちに温かい眼差しとして注がれていました。それも今日が最後になってしまうのかと思うと,寂しさが込み上げてきてなんといってよいのかわかりません。 …そして,夜間部の卒業生の皆さんにも大変お世話になりました。修学旅行をはじめとする行事や実技教科の授業,交流の時間では人生の先輩として温かく接して下さり,言葉の重みを感じる貴重なお話を聞かせていただきました。中でも「若い世代に伝えたいこと」の授業では,話された一言一言が力強く印象に残っています。私たちは,日頃から教室でかけていただいた優しい言葉の数々を忘れることはできません。また,皆さんの学びに向かう気持ちは,瞳の輝きに表れています。この輝きをいつまでも失うことなく歩んで下さい。…(昼間部在校生代表) …私たちは,子どもの頃から人それぞれに苦しい時代を過ごした仲間です。大人になってから勉強を始めるのは大変でした。特に中国から帰国してきた私たちや先輩方,仕事に明け暮れた先輩方にとって,ここはオアシスのように心地よい学校だったのではないでしょうか。初めて学んだ文字,日本語。戸惑うことも多かった勉強も,皆様は楽しんでおられました。その姿を見て,私たちも自分をふるいたたせてきました。 …夜間部生と昼間部生が,一緒に勉強するこの洛友中学校は,先輩方や私たちの元気の素です。健康でいられるのも,洛友中学校があるからです。私たちは,日本語の発音や漢字に苦労していますが,勉強は楽しいです。もう一緒に勉強はできないけれど,みなさんが交流の時間に語ってくれた,忘れてはいけない平和への思い,学ぶことの大切さを,私たちも次の世代に伝えていきたいと思います。…(夜間部在校生代表) 第8回 卒業式 〜卒業生代表「答辞」(抜粋)
…振り返れば,洛友中学校に転入した当初は,周りの人たちとどう接すればよいのか戸惑い,不安と緊張の連続でした。けれど,先輩たちが優しく声をかけて下さって,しだいに学校生活になじめるようになりました。それから,いろいろな行事や体験学習,チャレンジ体験などに取り組む中で,少しずつ力と自信がついてきました。
…僕たちは,洛友中学校で学べて,本当に良かったと思っています。洛友中学校では,様々な学習ができました。特に,夜間部の方々と合同で行う茶道や陶芸,そして修学旅行のときにも,僕たちは夜間部のみなさんから温かい言葉をかけていただきました。困難を抱えながらも,真剣に「学び」と向き合う夜間部のみなさんは,僕たちとともに学ぶ仲間であり,人生の大先輩であり,さらに「学び」の根本を教えて下さる先生でもありました。 …在校生のみなさん,きょうまで本当にありがとうございました。みなさんとの思い出は尽きることがありません。次は,みなさんが五組を引っ張っていく番です。先輩として後輩に気を配り,率先して物事に取り組んで下さい。学年が上がると,大変なことが増えていきますが,仲間と協力して頑張って下さい。…(昼間部卒業生代表) …私は,6年間この洛友中学校で春を迎えることができました。とても幸せな6年間でした。私は子どもの頃,学校には行けませんでした。幼い弟妹たちの面倒をみたり,家の用事や仕事を手伝いました。戦争もありました。落ち着いて学校に行くどころではありません。大人になっても苦労は続きました。朝から晩まで働き,子育てをしながらの人生は,自分でもよく頑張ったとほめてあげたいです。 でも,やっぱり学校へは行きたかった。友だちとしゃべったり,歌を歌ったり,遠足にも行きたかった。その願いが叶ったのが,この洛友中学校でした。初めて鉛筆を持って,字を覚える楽しさ。覚えたこともすぐ忘れてしまうけれど,先生方は何度も何度も教えてくださいました。友だちもたくさんできました。心がどんどん元気になって,家族も応援してくれました。 …昼間部の生徒さんたちとも 仲良くなりました。みなさんからは,元気をもらいました。なかには,はにかんでいるお子さんもいましたが,その気持ち,私はわかるんです。だから,声をかけてみました。明るく前を向いて笑ってほしいと思います。勉強も大事ですが,遊ぶことも大事です。大人になって困らないように,焦らずにいきましょう。人間は一生学習するものです。 …洛友中学校には,太陽と光があります。私たちを輝かせてくださった皆様に,もう一度,言わせてください。本日,ここに集まってくださったご一同様,本当に本当ありがとうございました。(夜間部卒業生代表) 卒業生送別激励会
卒業式の前日,3/12に巣立ちゆく卒業生にこれまでの感謝の意も込めて,送別激励会を昼・夜間部の生徒と教職員(総合育成支援員,図書館運営支援員,スクールカウンセラーも含む)で行いました。まず,卒業生一人一人からの「お別れの言葉」,在校生からの「贈る言葉」として互いの思いを伝え合いました。卒業生からは在校生や私たち教職員に温かいメッセージをいただきました。一部紹介します。
○ 私は,「学校に行きたい。勉強したい」とずっと思っていました。洛友中学校に入って幸せでした。あんなに行きたくても行けなかった学校に通えてよく字を覚えて,楽しく友達ができてうれしかったです。先生も明るく支えてくれました。これからも頑張ろうと思いました。さあ,また明日からも頑張りましょう! ○ 私は人生の節目に,この洛友中学校に入学しました。いろいろな科目を勉強しました。Kさんの素晴らしい作文によると,「楽しみながら勉強を続けること」が理想ということでした。洛友中学校には,誰でも,いつでも,どこでも,楽しんで学べるという原点があります。昔の人も学び,学び,文化という人類の宝物を築き上げました。人々は知識を習得して才能を磨きます。勉強すると成功にもつながります。私も洛友中学校で6年間楽しく勉強し,卒業の年を迎えることになりました。これまでのことを思い浮かべると,思わず涙が出てまいります。これまで,辛抱強く指導してくださいました先生方に,心から感謝いたしております。 ○ 私は若いときに必死に働いて,ここまでたどり着きました。洛友中学校に来てはや6年,いろいろなことを学べ,本当にうれしかったです。この前の最後の体育の授業で楽しくゲームをして,クラスのみんなで爆笑したとき「ああ楽しい,うれしい」と学校に来られた喜びを心から噛みしめることができました。在校生の皆さん,転ばないよう身体に気をつけて勉強して楽しく卒業できることを願っています。最後に,校長先生や教員の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。卒業できることを本当に喜んでいます。 ○ 私は洛友中学校に入学して6年が経ちました。この6年はいろいろ楽しいことがありました。勉強は難しかったけど,先生方々が熱心に教えてくれました。本当に感謝します。そして,毎年の遠足や修学旅行などたくさんの行事がありました。楽しい思い出ができました。本当にありがとうございました。 ○ 僕はこの学校に入ってきて本当に良かったと思っています。今までありがとうございました。 ○ 2年間お世話になりました。高校生になっても頑張ります。 ○ 私はこの学校で約2年間お世話になりました。ご迷惑もかけ,お世話になった先生方,優しく頼りになった先輩方,すごくかわいくて支えになってくれた後輩たち,そして夜間部の皆さん,皆さんには本当にお世話になったと感じておりますし,感謝いたします。 ○ ありがとうございました。 これまで生きてきた道を語った人,洛友中学校への思いやこれからの決意を語った人,卒業生一人一人の思いに強く心が打たれました。 そのあとは,思い出に残る写真をスクリーンでみんなで見たり,卒業生へ贈る歌として『早春賦』を合唱したり,くす玉割りをしたりしました。さらに,私たち教職員からも『明日があるさ〜いつまでも青春〜』の替え歌を披露しました(ウルトラマンも登場!)。それぞれが精一杯に自分を表現し,たくさんの笑顔に包まれ,和やかなひとときを共有できました。司会も最高でしたね。 ♪ 洛友中学校には「夢」がある ♪ 昼間部があって 夜間部があって ♪ 願いは一つ ♪ 明日がある 明日がある 明日があるさ 昼間部 卒業遠足 in大阪
3/10(火)「3年生が卒業を迎え,昼間部生徒全員での最後の活動を楽しみ,共に学んできた仲間として良き思い出づくりをし,卒業を祝う」という目的で,大阪方面に行ってきました。天気は晴れていたのですが,風が冷たい! 強い! さらに途中で雪も…(>_<
少しめげそうになったけど,大阪城や天王寺動物園などを満喫しました。5組のメンバー10人全員で行けたことが何よりうれしいことでした。 「若い世代に伝えたいこと」 〜2/27交流の時間〜
昨年11月,昼間部の3年生が夜間部の生徒さんの学ぶ姿から感じたことを,中学校弁論大会で「勉強〜意味を考えて〜」と題して発表し,夜間部の生徒さんにも直接発表して伝えました。
それを受けて,夜間部の生徒さんも昼間部の子どもたちに伝えたいことを,2/18の道徳の時間に「若い世代に伝えたいこと」として,これまでの人生をふり返りながら意見を出し合いました。そして2/27の交流の時間,3人の代表の人たちに発表してもらいました。夜間部の生徒から昼間部の子どもたちへ,心からのメッセージです。 (来年度の昼間部転入学希望の生徒やその保護者の方々にも一緒に聴いていただきました) 「戦争は、いちばんダメです」 「洛友中学校に巡り合えて」 「5組(昼間部)のみなさんへ」 「戦争は、いちばんダメです」
私たちは、こどものころ中国で暮らしていました。戦争が終わったばかりの中国に残され、辛い思いをしました。中国人の養父母に育てられた人が多く、「日本人の子ども」というだけで、十分な教育を受けさせてもらえませんでした。どんなに勉強がしたくても、やりたいことがあってもできませんでした。
戦争をすると、貧乏になります。人が餓死します。昼間は、中国人に見つかるから隠れていて、夜になってから食べ物を探しました。2,3日食べられない日もあったと、残留婦人の母から聞いたことがあります。もっとひどいこともありました。日本の軍隊の人に、「中国人に殺されるなら自決しろ」と言われ、母親に首を絞められた子どもたちがたくさんいました。結局、弱い立場にある人が悲しい思いをして苦労するのが戦争です。だから戦争は、いちばんダメです。 大人になってから、日本に帰ってきました。でも、日本語や生活習慣がわかりません。買い物も、役所での手続きも、病院に行くことも一人でできませんでした。自分の気持ちをうまく言えなくて、友達もつくれないのはとても寂しいです。「こんにちは」しか言えない自分が悔しいです。洛友中学校に入学したとき、電子辞書を買いました。でも、使い方すらわかりませんでした。 日本語が分からないということは、本当につらいことです。やさしい日本人もいますが、日本語があまりできないので「中国人」だという目で見られ、差別されることもあります。中国にいるときは、「日本人」だからと差別され、日本に来たら「中国人」だからと差別されて、とても嫌な思いをすることがあります。 だから、私たちは勉強します。言葉が通じないと大変です。毎日の生活が楽しくできるよう頑張ります。年をとっても高校へも行きます。子どものころしたくてもできなかった勉強がんばります。今、日本はいつでも勉強できるよい時代です。このよい時代が、ずっと続くように、覚えておきましょう。「戦争」は、いちばんダメです。 「洛友中学校に巡り合えて」
私たちの子どものころは、差別と戦争があったとても厳しい時代でした。思い出すのがつらくて、話したくないという人がいるほど、厳しい時代でした。
親と死別して小さい時から働いていて、学校に通うどころではなかった人や、生活が苦しかったので、学校にも行かせてもらえず弟妹の面倒をみていた人、家に傘がないので、雨が降ると学校に行いけなかった人、学校に行かせてもらえないだけでなく、必要な衣服も用意してもらえなかった人、朝鮮戦争の影響を受けて、落ち着いて勉強できなかった人などがいました。 それぞれ境遇は違いますが、学校に行きたい、勉強したいという思いを持ちながら、できなかった悔しさは同じです。ほんとうに悔しいと思っています。大人になってから、図書館に通い、一人で勉強したりもしました。でも、朝鮮語も日本語も中途半端で終わっていました。 だからこそ、洛友中学校に巡り合えて幸せでした。子どものころ、あんなに行きたくても行けなかった学校に通う喜び,字を覚える楽しさ,友達ができた嬉しさ…。心がどんどん元気になっていきます。家族も応援してくれます。子どもが一緒に勉強して教えてくれることもあります。先生も、明るく迎えてくれます。覚えるのはゆっくりですが、皆さんと一緒に頑張ろうと思います。これからも、よろしくお願いします。 「5組(昼間部)のみなさんへ」
5組のみなさん、こんにちは。私たちはいつも、昼間部の若い人から元気をもらっています。みんな、どんどん成長しているのがよくわかります。何度か声をかけるうちに、振り向いてくれるようになり嬉しいです。いろいろ悩みや苦しみはあると思いますが、人生は明るく過ごしてほしいです。私たちは字も知らなかったけど、聞いたらなんとかなったし、ここまでどうにかやってこられました。
知り合いの子に、高校3年を2回やった子がいました。2回も3年生したら、友だちが2倍に増えてよかったと言っていました。友達は多いほうがいいですから。こんなふうに、プラス思考でいくのが一番です。勉強も大事ですけど、遊ぶことも大事です。それから、人間関係や日本の文化についても勉強して、社会に出たときに困らないようにしたほうがいいと思います。 でも、焦らずいきましょう。人間は一生学習するものです。結局、生きていく上で経験する「楽しいこと」「おもしろいこと」「苦しいこと」「つらいこと」すべてが勉強だと思います。 それから、最後になりますが、Kさんのスピーチを聞いて本当に嬉しく思いました。この年になって学校に通っている私たちを5組のみなさんがどう思っているのかよくわかってよかったです。ありがとう。さあ、また明日から、一緒に勉強しましょう。 豊かな文化との出会いと交流
2月1日(日)「第23回 民族の文化にふれる集い」が京都テルサで行われ, 修学院中学校吹奏楽部の演奏を皮切りに,京都朝鮮初級学校や京都国際中学・高等学校,小栗栖小学校や日野小学校の日本語教室,土曜コリア教室,凌風小学校のコリアみんぞく教室などによるコリア文化の踊りや演奏,フィリピンの伝統的なバンブーダンス,そして中国残留孤児の歴史とその人たちの思いの発表などが行われました。
洛友中学校は,日本語,中国語,韓国語による曲紹介のあと,「花」「我家在那裡〜桃花源〜」「故郷の春」の合唱を披露しました。音楽の時間に練習を重ね,当日のリハーサルも丹念に行い,緊張の中での発表でしたが,本番ではとても美しい歌声が会場にあふれ,すべての観客を感動させていました。インタビューで「洛友中学校には『学びの原点』があります。年齢や国籍に関係なく,みんなで協力して学ぶ学校です。生徒にとって『楽園』です」と誇らしげに答えておられたのがとてもうれしかったです。 一方,洛友中学校の展示ブースには昼間部と夜間部とが一緒に創った陶芸作品や切り絵,美術や家庭科の作品が並べられ,訪れた子どもたちが「このお椀きれいやね」「あっ!この切り絵,私たちもつくったね」など,口々に感想を言っていました。 日本には,韓国・朝鮮籍の人たちをはじめ,中国残留邦人やその家族の人たち,その他外国にルーツをもつ人たちが数多く暮らしています。ところが,そのような人たちの国の文化や伝統,習慣などを周りの人たちが理解し,互いに尊重し合えているかというと,決してそうとは言い切れません。中には疎外感を感じたり,心を傷つけられたり,そのために民族的アイデンティティが揺らぎ,自分がどこの国の人間なのか分からなくなり苦しんでいる人もいます。さらに,そのことでからかわれたり,いじめられたりして,自信を失い不登校になっている子どもたちもいます。 世界に目を向けてみると,多くの国や地域で紛争やテロが起こり,命を落としたり,目の前でお父さんやお母さんを失くしたりする子どもたち,学校に行きたくても行けない子どもたちがたくさんいます。毎日ごはんを食べて,快適な部屋のふとんで眠り,朝起きたら学校へ行ったり,友だちと勉強したり,休日には買い物をしたり…,これはみんな「当たり前」のことではなくて,世界の中でも限られたごく一部の国や地域だけのとてもありがたい環境なのだということを私たちは知っておく必要があります。今回,そのような現状を世界に伝えようとする日本人ジャーナリストが犠牲なられたことが非常に残念でなりません。 私たちは,互いの文化や宗教の違いを認め合い,尊重し合いながら暮らせる社会を創っていかねばなりません。今年の「民族の文化にふれる集い」では,9団体によるステージ発表や,多くの学校からの展示作品が掲示され,たくさんの人たちが参観されました。今回も本校の昼間部の生徒をはじめ,多くの子どもたちがこの豊かな民族文化にふれることができました。このような機会を多くもち,それぞれの文化の素晴らしさを理解できる子どもたちを育てていくことが,様々な国にルーツをもつ人たちが自分の文化や伝統を大切にし,自分らしく誇りをもって暮らすことできる社会,毎日安心して「当たり前」に暮らすことができる平和な世界の実現につながるのだと思います。 |
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