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最新更新日:2025/07/15 |
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親子の会話で工夫してみること
日野小学校長 山本 泉
今回は家庭での親子の会話のあり方について,もしかしたら参考になるかもしれないという内容のことをお伝えします。 教育関係機関の調査によるデータでは,言語能力の高い子どもは押しなべて学力が高いという結果が出ています。従って,学校でもあらゆる場面を通して子どもの言語能力を高めようとしています。しかし,1日のうち多くの時間を過ごす家庭でもこのことを意識しているかいないかで,言語能力に大きな差が出てきます。親子の会話にたくさん時間を取ることが大事なのは言うまでもありませんが,たとえ少ない時間しか会話することがなくても効果的な会話をしたいものです。 私たちが話す言葉には,大きく分けて「談話言語様式」と「操作言語様式」という分類のしかたがあります。会話がうまく成立するためにはどちらも大事なのですが,学力に結びつくのは後者のほうであるといわれます。従って,意識して後者を多用することを心がけたいということです。 まず,「談話言語様式」とはどういうものかということですが,簡単にいえばあまり文法などを気にせず「単語」を集めて言葉にしたものです。日本語の文は「〜が〜する。」というような「主語」と「述語」が中心に成り立っています。それに「修飾語」などがくっついて相手に詳しく伝わる「文」になります。ところが,実は普段の会話の中ではさほどしっかりとは文を組み立てていないことが多いのです。例を挙げてみますと, 「晩御飯,おいしかった?」「うん。」 「お父さん,おそいね。」「そうやね。」 「早めに 宿題 しなさい。」「わかった。」 というような会話がそうだといえます。聞いていても,何の違和感もありませんね。 しかし,正しい文法にのっとった文とはいえないということが分かります。別に,こういった言葉の使い方が悪いというわけではありません。むしろ,堅苦しくなく温かい感じを受け,親しみやすい言葉の使い方であるともいえます。特徴としては,声の大きさ,調子,表情によって伝わり方が変わったり,その場の雰囲気を共有することができたりする,情緒的コミュニケーションに優れた言語表現であるということです。 次に,「操作言語様式」についてですが,これは,前述のように「主語」と「述語」「修飾語」などを組み合わせ,文として組み立てられた言語表現です。例えば, 「私は,今日のお昼に大変懐かしい人に出会いました。」というような言葉です。これはこれで何の違和感もないのですが,実際には「今日,昼,懐かしい人に 会った。」というように話しているのではないかと思います。先に述べたようにこれがいけないわけではありませんが,論理的な思考には適さず,言語能力を高めることにはつながりにくいものです。 「操作言語様式」ばかりで会話しようとすると,堅苦しくぎこちない会話になる可能性があります。むしろ,「談話言語様式」を使いながら,「操作言語様式」を引き出す工夫が必要であるということです。それにはどうすればよいのでしょうか。 方法はいろいろ考えられると思いますが,一番簡単な方法は返事が単語ではすまない形の話し方をするということです。例えば,「今年の夏の旅行はどこにいきたい?」などと尋ねると「海」とか「山」などと,単語の返事が返ってくる可能性が高いです。 しかし,「今年の夏の旅行について,希望を聞かせてくれない?」と尋ね方を変えると,「ぼくは海に行きたい。」というように返事のしかたが変わってくることが考えられます。 このように,文に近い返事を多用させる会話を日常的に使っていると,脳の言語中枢が発達し,学力向上に結びつくといわれています。ぜひ,頭の片隅に置いておいていただければと思います。 Stop,David!! 【2年生】![]() 英語を流暢に話せる6年生に,2年生はすっかり見とれていました。 英語でも分かるお話で,「『Stop,David!』と何度も言うのが面白い。」「最後にぎゅっとしてもらえてよかった。」などの感想がありました。 これからも外国の言葉や文化に親しんでいけたらと思います。 |
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