京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/19
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学校説明会 お忘れ物について

11月5日の学校説明会で、いくつかお忘れ物がありました。
お心当たりの方は、本校企画部までご連絡をお願いいたします。
(代表番号:075-211-5351)

写真:お忘れ物
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しばらくぶりです

 11月に入ったというのに昼間は暑い日が続いています。今日も天気予報では,京都は夏日になるとのこと。
 お元気でしょうか。
 この半月ほど,出張があったり行事があったりで,何かと気ぜわしく過ごしていて,この「週刊火曜日」も滞っていました。申し訳ありません。
 いただいたメールやお便りに返事もせず,ずいぶんと失礼を重ねています。お詫びいたします。

 今週の水曜日は2011年11月2日でした。数字を並べると20111102。せっかくの日に掲載できなかったことが残念でなりません。
 この日は朝から教育委員会へ行き,10時過ぎに戻ったあと何件かの打ち合わせをして,午後3時半から土曜日の説明会のリハーサルを見ました。
 11月5日の説明会は,午前10時からの中学3年生対象の探究科進学説明会と,午後2時からの中学1・2年生対象の学校説明会の二本立てです。
 午前中の3年生対象進学説明会では,適性検査についての解説を検査ごとに担当教科の教員が行います。夏の説明会とは異なり,生徒の出番はわずかです。保護者の方には別会場で,副校長や私から学校の教育方針などを少し詳しくお話しします。
 午後の中学1・2年生対象説明会は,普通科・探究科を合わせた堀川高校全体の説明を行うことにしています。こちらは生徒が中心です。
 今回の説明会に登場する生徒は,いずれも1年生のみです。
 今日も午後から前日の最終リハーサルがありますが,私は東京出張が入っていて参加できませんので,2日水曜日に見たのでした。

 8月30日に掲載した「高校生は輝く」に書いたとおり,リハーサル会場にいる生徒たちは,だれもが「普通の生徒」でした。一つのグループが終わって,多くの注文をつけました。「もっと本当に思っていることを話さなければ伝わらない」,「君たちのそれぞれでなければ言えないことを」,「伝えたいのは何なのか」,「もっとかっこよくできるはずだ」,「語尾の形を変えることで内輪の話が外への発信に変わる」等々。具体的な発言内容についての質問も含めて矢継ぎ早に話しました。
 そうしている最中に,一人の生徒がまっすぐに手を挙げて,「すみません。気分が悪いんですが」。え,どういう意味なのか,と思ったら,本当に体がしんどくなったようで,練習を切り,舞台の照明を消し,何人かの教員が舞台に上がり,保健室に連絡し,その生徒を横にしてネクタイを緩め,水を飲ませ,窓を開け,うちわであおぎ,そして養護教諭が車椅子を運んできて,その場で様子を診たあと保健室に連れて行き,保護者懇談期間中で応対している担任の代わりに学年主任が保護者に連絡し,といったことがばたばたと,というかどちらかと言えば淡々と進んでいきました。心配そうに見守る生徒たち。小走りに動く教員たち。私は突っ立ったままで見ていました。
 あとで保健室に行くと,少し熱中症のような症状があったようだが,いまは落ち着いているとのこと。「どうですか。君,しんどいのにまっすぐに手を挙げて。とても行儀がいいね」。生徒は目を閉じていて,軽くうなずいたようでした。
 そのあと生徒のおかあさんが来られて,「お電話をいただいた時には心配しましたが,顔を見てほっとしました」。
 私も本当にほっとしました。
 あらためて,ヨソサマノ子ヲ預カッテイル,という思いを強くもちました。

 そのあと生徒たちと打ち合わせをし,仕事を片付け,教員のリハーサルは副校長・教頭と企画部長に頼んで学校を出ました。
 気がつくと少し悪寒がしました。前日に札幌から帰ってきたのですが,札幌も昼間は暑くて,しかし夜は京都とは比べ物にならない冷え込みで,不覚にも風邪を引いたようです。

 なかなか予定がぎっしりだったので,この半月ほどを振り返ってみたいと思います。
 10月18日(火),校長会のプロジェクトで人材育成について検討する会議がありました。担当していたまとめの素案をメンバーに見てもらい,修正を受けました。
 夜に,本能自治連合会(堀川の地元です)の公開講座で話を聞いていただきました。「ものしり講座」ということで年2回なさっています。前半は,音楽の教員に頼んで数曲歌ってもらいました。なかなか好評でした。後半は私がおしゃべりしました。

 19日(水)から20日(木)にかけて,京都市立高校教務主任会の視察に付いて福岡県に行きました。初日は福岡県教育委員会で高校教育担当の方々に話し,翌日は修猷館(しゅうゆうかん)高校に長い時間お世話になりました。創立は天明4(1784)年の藩校である修猷館に遡ります。いまも校長は館長と呼ばれ,館長室にいらっしゃいます。この高校を一口で言うと,すごい学校です,としか形容できません。世の中に知らないことはいっぱいありますが,また一つ知らなかったことに出合うことができました。

 21日(金),生徒会長選挙の立会演説会があり,その後3年生のアセンブリ。時間をもらって,始業式で言いそびれた個人情報管理について説明しました。「ひま部」の諸君との約束が果たせました。ありがとう。
 そのときに,前日の修猷館での興奮と感動について触れました。
 ……生徒も先生も学校を愛している,そんな学校でした。君たちは堀川を愛してる? 全部でなくてもここは好きだっていうところある? でもその前に,私たちが君たちを愛さなくては始まらないですね。私は,君たちを愛します。
 気恥ずかしいはずが,前日の感激に押されて難なく言えました。修猷館の皆さん,ありがとうございました。

 22日(土)は2年生の探究基礎研究発表会。京都市立高校PTA連絡協議会の人権研修がありましたが,そちらは失礼しました。発表会の様子は「学校の様子」に掲載されています。300人近い来場者で会場は活気にあふれました。来ていただいた皆さん,ありがとうございました。
 指導してきた教員の感想です。
 ……あのような160数枚のパネルが「当たり前」に並ぶ「高等学校」に勤務させていただいている有り難さと緊張感を改めて感じております。生徒たちは,TA(ティーチングアシスタント,大学院生・大学生)の先生にたいへんなお力添えをいただき,手と頭と,加えて心を動かして研究に取り組んでくれました。今日もらったご意見や,ポスター発表に組み立てることで気づいた構成のまずさを,28日の論文最終提出までもう一度書き直しにかかります。おわりのゼミ会で多くの子が改善への意欲を語っていました。私自身も,言語能力を育むことを柱にしたSSHの「スーパー」の部分の意味を体感・納得しながら指導させてもらえました。
 教員の努力と意欲に感謝します。

 23日(日),PTA社会見学。バス2台で淡路島に行きました。手作りキャンドルを楽しみ,安藤忠雄氏の建築を体感し,1995年1月17日の大震災を思いました。帰りは皆さん,おみやげをどっさり。玉ねぎももちろん。野球部のOB会でしたが,そちらは失礼しました。時折雨も降りましたが,外に出て活動するときは上がって,青空も見えました。

 24日(月),終日校長会でした。通常の案件の後,市立高校の将来構想や予想される入学者選抜の変更について,また人材育成についても意見交換をしました。8時間近く会議をしていると,堀川をどうしていくかの議論をしていた10数年前を思い出します。

 25日(火),大分県教育センターに招かれ,「教師に求められるコミュニケーション能力と人間関係づくり」というテーマで,採用4年から6年の高校の先生方にお話ししました。昨日学校で,送っていただいた感想を読みましたが,概ね良好であったのでほっとしました。

 26日(水),東京で全国普通科校長会(全普高と言います)理事会に出席しました。27日と28日は,全普高の総会・研究協議会でした。「高校の質保証」について,いろいろと考え,多くを学びました。世の中には知らないことがいっぱいあることを,この日もまた思いました。

 28日(金)は急いで京都に帰り,2年生探究基礎のまとめの会に,結局は遅刻して出ました。探究基礎をやり終えた生徒たちの,静かな誇りを湛える笑顔が印象的でした。「探究基礎は終わったけれど,探究はこれからもずっと続く」。生徒のさわやかさに感謝します。

 29日(土)は,会長をしている京都府高等学校芸術文化連盟新聞部会の開会式であいさつ。西京高校でありました。この日から国民文化祭。総合開会式で3年生の生徒が心のメッセージを朗読しました。生徒会長も務めた彼は,昨年度の放送コンテストアナウンス部門の1位。私は出られませんでしたが,出席していた友人から,「立派でした」。

 30日(日),翌朝に北海道教育大学へ行かねばならず,夕方から札幌へ行きました。北海道の友人にコートが必要かどうか尋ねたら,「日中はそんなに寒さを感じません。私はもう少しコートなしで粘るつもりです」。北海道の人は寒さへの耐性があるからか。天気予報を見て,私もコートなしで,と思って行ったら,昼間は暑いくらいでした。しかし,夜の冷え込みはこちらと全く異なります。
 それで結局,風邪。頭が少しぼんやりしているのと,耳が遠いような気がしています。
 1日(火)の夕方に帰ってきました。帰りの飛行機は実に快適でした。ボーイング777‐300。日本海上空を飛び,佐渡と能登半島を横切り,鳥取を回って中国山地を南下。小豆島をかすめて四国を通り,南から関西国際空港へ。海が光っていました。

 今日はいまから東京です。中教審高等学校教育部会に行きます。
 ヨソサマノ子であり,未来から託された人たちの,いまとこれからについて考えたいと思います。

                      26号(2011.11.04)……荒瀬克己

探究基礎研究発表会(2011.10.22)

 堀川高校では「受けとる力・考える力・判断する力・表現する力」を身につけ、課題の発見・設定と解決に取り組む能力を養うことを目標に、「探究活動」を行っています。1年生の間は探究のための作法を学び、2年生前半の半年間は個人でテーマ設定した課題に対して生徒一人一人が探究を行います。その成果を発表する場が、今日の探究基礎研究発表会です。
 『すべては君の「知りたい」から始まる…そうして始まった私たちの探究活動を発表する時が来ました』と探究委員が全体会で開会のあいさつをした後、半年間の探究成果を一人一人がポスター発表しました。
 本校1年生も参加し、1年後の自分の姿を思い描きながら、先輩にするどい質問をしていました。また、SSH運営指導委員の高須秀視様(ローム株式会社常務取締役)、保護者や一般の方、教育関係者の方にもご来校いただき、いつもとはまた違った緊張感の中、発表をすることができ、新しい視点でのご指摘やアドバイスを多々いただきました。発表を終えて、生徒たちはひとまわり大きくなったように感じました。

写真上:全体会  写真中下:ポスター発表の様子
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ココロザシ

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玄関横のクスノキ。旧校舎から移植しました。
来週は出張が続き掲載できないかも知れませんので,とっておきの写真をお届けします。


 10月12日に,「ひま部」のメンバー6人と話しました。9月21日に話すはずだったのですが,台風のため臨時休校になったので延期しました。
 「ひま部」というのは,三年生の9人で構成しているそうですが,実際にどういうことをしているのかは謎です。ただ,その名のとおり「ひま」なのかというと,どうもそうでもなくて,普通に部活に入っていましたし,それ以外にもいろんなことを議論したり,小惑星探査機「はやぶさ」を堀川に呼ぼうとしたときには署名活動をしたりと,なかなか忙しそうでもあります。

 「それで,どんなところから始めますか?」
 「個人情報保護のために裏紙の使用を一切しないということですが,環境問題を考えるとどうかなと思うんですが」
 「なるほど。確かに教職員の中にもそういった意見があります。しかし,個人情報だらけの学校の中で,それらをきっちり保護するために,はっきりとした線を引こうと考えました。個人の判断を入れることによるリスクを排除しようと考えて,そのほかにもいろいろと取り決めをしています。状況を見ながら考えていきますから,いまはこの対応を理解してください」
 「わかりましたが,生徒の中に,もっと工夫の余地はないのかという意見もあります」
 「貴重な意見です。そういうことなら始業式で話すことにしましょう」
 と言ったのに,始業式で話しそびれてしましました。「ひま部」の諸君,ごめんなさい。学年別のアセンブリなどの別の機会に話すことを含めて考えます。

 文化祭についても興味深い内容をいくつも話してくれました。
 「文化祭をなぜするのか,と思うんですよ」
 「ほう。面白いことを考えますね」
 「一緒にやっていくうちに,確かに発見があったりします。この人はこういう話し方をするのかとか,こんなことに興味をもつのかとか」
 「文化祭っていうけど,そもそも文化って何だと思う?」
 「文化ですか」
 「変なことを言うようですが,水とか塩とかは生きていく上で絶対に必要だけど,胡椒とか絹とかは別になくてもいいよね。ところが,その必ずしも生存にとって必要ではないものを求めてはるばると旅をする。それで道までできる。それを文化と言うならば,文化って,そもそも要らないことをすることのようですね。でも,それに重要な意味があったりする。あるいは重要な意味を見出したりする。価値づけ,ですね」

 生徒の言葉がきっかけになって,いろいろと考えます。実に面白いことを言っていました。やってきた6人はアクセルだそうです。残りの3人がブレーキ。
 「ハンドルがないんですよね」

 10月13日,後期始業式。HPの「新着案内」や「学校の様子」でもご紹介しているとおり,ローム株式会社からLED球とものづくりに関する書籍を図書館に寄贈していただきましたので,その贈呈式を行いました。
 SSH運営指導委員をお願いしているロームの常務取締役でいらっしゃる高須秀視氏が全校生徒に話してくださいました。その中でおっしゃったのは,三つの壁を乗り越えよ,ということ。……国の壁,技術の壁,そして自分の壁。

 会場のアリーナは10月半ばというのに蒸し暑く,贈呈式に引き続いて私が話し始めたときに生徒が一人しんどくなってしまいました。そういうことは時々あるのですが,話を続けながらも少しあわててしまって,「ひま部」との約束を飛ばしてしまいました。それだけでなく,亡くなったスティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学での演説を紹介する際に,しばらく失語状態になりました。Stay hungryと言うべきところ,なぜかふっとStay hereという言葉が出かかって,あれ違う,と思ったら言葉が出なくなって,生徒の一部が失笑するほどの長い「間」ができてしまいました。
 後から若い教員が,「生徒を引き付ける絶妙の演説技術ですね」と言ってニヤリ。ソウジャナイコトヲ知ッテルクセニ。

 始業式後,呼んでもらった三年生の教室に行きました。
 「式では失礼しました。実はね,ジョブズは大変なお金を儲けたけど,世界を変えるようなものを創り出すことに生涯をかけたんですよ。これは,天野祐吉さんっていう人の受け売りですが。そこで思い出すのが「はやぶさ」。本来はイオンエンジンの実験が目的だったんですよ。こっちは朝日新聞の去年の社説の受け売りですが。それが小惑星「イトカワ」の探査という魅惑的な目標をもつことによって,困難な状況の中でもチームが懸命に動いていった。思うんだけど,目的と目標が入れ替わったみたいになったんですね。大学も,そこに入るということよりも,そこで何をするのか,そこを出てからどうするのかということの方が大事でしょ。そういった,先にあるものを見ようとすることを,たぶんココロザシって言うんですね」

 午後には研修会が二つありました。私は,本能館であったキャリア教育研修会に行きました。資生堂の人材開発室長である深澤晶久氏と京大総合博物館准教授の塩瀬隆之氏が,それぞれ企業と大学から見た高校のキャリア教育についてお話しくださいました。
 深澤氏「仕事には正解というものがない」。「言われなくてもするという主体性が重要」。「失敗を恐れるとか,答えがないことへの不安とか,考えることが苦手とかといった若者が多い」。「『わかっている』を『できる』に,『知っている』を『使える』に」。「修羅場体験もまた必要」。「研修では心を磨くことが重要」等々。
 塩瀬氏「コミュニケーションの研究をしているが,すればするほど言葉はなかなか伝わらないということがわかった。言葉を選ばなければいけない」。「友だちと話せることと先輩や初めて会う人と話せることとは違う。異世代間や異文化間のコミュニケーションが求められる」。「社会や人生には理系の問題とか文系の問題とかはない」等々。
 脈絡なくお伝えしましたが,実に勉強になりました。

 学校訪問に来られた島根県の校長先生とお話しした後,夜になって卒業生たちとの食事会に行きました。会の名は「夜久野会」。この日集まったのは,大学院で研究をしている人や就職している人7人。自然探究科3期生の男子です。あれやこれやと話が盛り上がっていく中で,ひとりが在学中のことを話してくれました。「成長するということは,こういうことができるようになる,ということだけではなくて,こういうことができないということがわかる,ということでもある」と私が高校生のかれらに言ったそうです。
 「そんなこと言いましたっけ」
 「はい確かに。とても印象に残っています」
 「ふうん,そうでしたか」
 かれらの高校時代の顔を浮かべました。いかにも自分が言いそうだとは思いましたが,どんな文脈で話した言葉であるかは思い出せません。その代わり,塩瀬先生がお話の最後に,「いまおとなが届けないといけないことを届けましょう」とおっしゃったのを思い出しました。

 この時期になるといつも思うのですが,三年生たちの表情がすてきです。一年生や二年生のときとは異なる,まぶしさを包みこんだ落ち着いた表情。これからに備える意志と言えばよいのか,静かな決意と言えばよいのか,それぞれが確かな存在感をもって,そこにいます。
 その前に立って自問します。かれらの視線に応えうるようなココロザシを自分は持っているか。

                      25号(2011.10.18)……荒瀬克己

後期始業式(2011.10.13)

 後期第一日目の本日、本校アリーナで始業式を行いました。
野球部と陸上部の生徒の活躍が紹介されました。
(写真左:紹介された野球部の生徒)

 また、始業式の中で、「ROHM ECO LIBRARY」に係る寄付贈呈並びに感謝状贈呈式が行われました。
 ローム株式会社常務取締役 高須秀視様をお迎えし、生徒に向けて「国・技術・自分の3つの壁を破れ」というメッセージを込めたスピーチをしていただきました。その後、高須様より目録を贈呈していただき、続いて京都市教育委員会 生田義久教育政策監より高須様へ感謝状を贈呈いたしました。
(写真右:実物のLEDを用いた高須様のスピーチの様子)

 ローム株式会社のご協力により、本校図書館がROHM ECO LIBRARYとしてリニューアルしました。
 ROHM ECO LIBRARYに関しては、以下のリンクをご覧ください。
http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/horikawa/info/e...
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あの時の前には戻れないから

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堀川北門近くのユリノキ。もう秋です。


 昨日お届けするはずでしたが,諸般の事情により遅れました。申し訳ありません。

 先週土曜日に3年生と話しました。舞台美術をやりたいという生徒に,音楽座のミュージカルと高台寺のライトアップのすごさを紹介しました,
 夜は,以前に担任をしていたクラスの同窓会に出席しました。費用を払おうとしたら「今回はご馳走します」。初めてでしたので感激しました。担任であったときの私の年齢を越えた彼らはさまざまに苦労を重ねているはずですが,それらを心にしまい込んで笑い話すことのできるおとなになっていました。ただし,笑顔は高校生のままで。
 日曜日に卒業生の結婚式に行きました。式では参列者の前で誓いを立て,続く披露宴も仰々しくなくて,親しい仲間のパーティといった感じの実にさわやかな結婚式でした。空がとても青くて,会場からは,秋というよりも懐かしい夏を思わせる海が見えていました。どうぞお幸せに。
 若々しい生徒たちと,落ち着いた卒業生たちと。年齢の違いこそあれ,いずれもがすがすがしい笑顔。あのとき以前には戻れないけれど,否,戻れないから,これからに向かってまっすぐ歩いていこうとしている。そういう姿のもつ清い力。
 同窓会に来ていたひとりからのメールです。
 ……老人ホームで人生の最後の時をみて,私の役割とともに生き方を考えることがあります。でも,最近はやることが多すぎてパンク寸前でした。……また来年もみんなに元気で会えるように,リセットしてがんばります……。

 自然であれ人為であれ,圧倒的な「暴力」の前に人間は無力です。哀しいくらいに。
 しかし,そういう人間の間違いなく誰もが,存在していることによる力をもっています。いのちの力と呼べるようなものです。この力は,その人自身が生きていることによって生じる力で,その人自身には気づかれないこともありますが,周囲の人は,やはりそれを意識するかどうかは別としても,その力を受けて生きています。人は近しい人から力を吸収しているからこそやっていけるのだと言えます。
 だから,それが失われたときに生じる喪失感は,言葉に尽くせぬものになります。

 母が亡くなったとき,私は22歳でした。呼吸の間隔が長くなり,しだいに不規則にもなり,息をするだけの母になり,吸った息をいつまで待っても吐かなくなって,医師が静かにいくつかの動きをしたあと,母の腕を布団に入れて,そこにまだ姿があるのに,私の母がいなくなりました。病室は6階でした。私は,もう母のいない部屋を出て,階段を下りて,地下の洗面所で何度も顔を洗いました。
 祖父母や叔父の葬儀に出たことはありましたが,身近な人が死ぬのに直面するのは初めてでした。しかも,それが母だったので,私は相当に揺れ惑いました。ずっと入院していましたから気持ちの準備もできていようはずなのに,実際の死は,私にとっては突然に訪れ,したがって衝撃もまた突然襲いかかってきたのでした。
 そのときの私の気持ちはてんでばらばらで,言葉に表せるものではありませんでしたが,そんな中でひとつの言葉が頭の中をぐるぐると回っていました。いなくなった,いなくなった,いなくなった……。私は母の死に,言いようのない理不尽を感じました。

 3月11日から7か月。1995年1月17日は午前5時46分,2011年3月11日は午後2時46分。地震発生の時間の違いについて,哲学者の鷲田清一氏は「同じ46分だが,人の生活を考えると午前5時と午後2時は意味合いが異なる」とおっしゃいました。早朝なら家族は一緒にいる場合が多いけれど,昼間はそれぞれが別の場所にいる,したがって,親や知り合いのおとなを失った子どもが多いのではないか,と案じておられました。
 ヘリコプタから撮られた,火を上げつつ見る間に田畑を呑み込んでいく津波。あまりにも簡単に流される家や車。阪神淡路大震災とは異なる,別種の驚愕の映像がいまも焼き付いています。けれども,それらのカメラに映った場面とは別に,映像にならなかった現実が無数にあったという事実を思うと言葉を失います。
 あれからの時間が,被災された方それぞれにとってどのようなものであったか。なかなか進まない復旧と原発問題の未解決。二度と戻らない時間といのち。

 先が見えず,社会全体もまた,どうしてよいのかわからない閉塞感にとらわれ,さらには,どう言えばよいのか,私たちは自然に振る舞うことにためらいをもつようになったのではないか,とさえ感じます。
 力を受けていたいのちを失った人が多くいて,それがめぐりめぐって数知れない人が喪失感を抱き,また,多くのいのちが,見えない不安にさらされていることで,言うに言われぬ頼りなさにさいなまれているようです。

 こういう状況は,わかりやすさを求める傾向を増幅します。不確かであることや,よくわからないことに向き合う手続きの複雑さや面倒が徐々に敬遠され,排除されていくため,時にはある種の「スローガン」が,正当な合意のないままに喧伝されることになります。一方で,判断の基準になるデータが「不足」しているため,最新の科学的知見による適切な対応ができていないのではないかと思われるケースも見られます。
 困難のさなかにあって,私たちの知恵が試されています。

 2011年3月11日午後2時46分以前に戻ることはできません。理不尽であっても,状況を受け入れざるを得ません。しかし,どういう状況であっても,人為で理不尽を作ってはなりません。
 ならば私たちは,これからをどのように生きればよいのでしょうか。どう人と関わって生きるのか。いのちをどのように守るのか。育てるのか。本当の安全をどう確保するのか。どのような社会をつくっていくのか。考え,語り合わねばなりません。それらを行動につなげていくために。立場や世代を超えて。不十分ではあっても言葉の力を尽くして。なお希望をもって。

                      24号(2011.10.12)……荒瀬克己

前期終業式

 10月7日(金)試験終了後,アリーナで前期終業式が行われ、これまでに活躍した生徒に以下の表彰状が授与されました。

【ディベート同好会】
近畿地区中学・高校ディベート選手権(第16回ディベート甲子園近畿地区予選)第4位
【テニス部】
第64回京都府高等学校総合体育大会 男子団体の部 Aブロック 第3位  
第64回京都府高等学校総合体育大会 女子団体の部 Aブロック 第3位   
【男子バスケットボール部】
京都市立バスケットボール大会 第2位                    
【放送部】
第50回京都府高等学校放送コンテスト(第58回NHK杯高校放送コンテスト京都府大会)アナウンス部門 1位         
第58回NHK杯全国高校放送コンテスト アナウンス部門            
第50回京都府高等学校放送コンテスト アナウンス部門 第1位        
第50回京都府高等学校放送コンテスト 朗読部門 優良賞           
第50回京都府高等学校放送コンテスト 朗読部門 優良賞          
【剣道部】
第54回あやべ水無月まつり剣道大会 高校生の部 第3位    
【女子バレーボール部】
第30回京都市立高等学校バレーボール男女選手権大会 優勝(6年連続) 
【男子バレーボール部】
第30回京都市立高等学校バレーボール男女選手権大会 第3位      
【陸上競技部】(写真)
第64回京都府高等学校陸上競技対校選手権大会 女子走幅跳 第2位    
第64回京都府高等学校総合体育大会 3年 女子5000米競歩 第3位
第64回京都府高等学校陸上競技対校選手権大会 女子5000米競歩 第4位 
第44回京都府高等学校ユース陸上競技対校選手権大会 2年 男子5000米競歩 第2位
第64回京都府高等学校総合体育大会  2年  男子5000米競歩 第2位
第44回京都府高等学校ユース陸上競技対校選手権大会 1年 男子5000米競歩 優勝(大会新記録)
第64回京都府高等学校総合体育大会 1年 女子800米 第3位
第44回京都府高等学校ユース陸上競技対校選手権大会 1年 女子5000米競歩 第3位

     
第31回全京都障害者総合スポーツ大会 陸上競技大会の部 男子スラローム 記録賞   

 学校は、8日から12日まで秋休みに入ります。
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11月5日(土)学校説明会のご案内

中学3年生対象探究科進学説明会 10:00〜12:30
中学1・2年生対象普通科・探究科学校説明会 14:00〜16:30

日程・内容などはこちらをご覧ください。
http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/horikawa/entran...
 
それぞれの説明会の詳細な案内は
画面右下にある「配布文書」からご覧ください。
 

神無月

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 先週土曜日は10月1日。
 午前中,西京・嵯峨野・堀川三校の専門学科合同説明会を京都駅前のキャンパスプラザで開催しました。堀川からは21人の教員が行きました。京都新聞に大きく取り上げられたので,京都や滋賀にお住まいの方はご覧になったかも知れません。
 「京都の公立高 受験生に猛攻」という見出しで,記事には「私立高の学費負担は,ほぼ公立並みに軽減され,『もはや公立,私立の差はなく,同じ競合の土俵に乗った』との強い危機意識がうかがえる」とか,「府立高校と市立高校の共闘。関係者は『受験層が重なる公立3校のタッグで,より多くの中学生を集めたかった』と打ち明ける」とかと書かれていました。
 確かにそういうことも言えなくはありません。しかし,私たちが考えたのは,当日お話ししましたように,三校のどこかに合格する生徒は,基本的に三校のどこにでも合格する可能性を持っていますから,どこが自分にとっていちばん行きたい学校かを考えてもらうための情報を提供するということでした。
 
 午後には本能館で第3回探究道場がありました。8月2日に紹介した「数学で探究〜ハカリシレナイ測り方」の第2回。前回と同じ内容で中学生に悩んでもらいました。
 8月2日に,「道場は,PBL(Problem Based LearningあるいはProject Based Learning)の手法で行っています。問題を提示した後は,基本的に説明は行いません。自分の持っている知識や技術や経験に基づき,それらを活用して取り組みます。堀川の生徒が進行役や補佐役を務めますが,手を貸すことはしません。したがって,自分でよく考えるということとともに,他のメンバーとよく話し合うということが大切になります」と書きました。今回は,うちの生徒が前期末試験直前であったため参加していません。その代わり十数人の教職員が手伝いました。
 それで何をするかというと,課題は深泥池の面積を出すこと。机の上や教室の前後にはいろいろなものが置いてあります。
 まずは,深泥池の地図。それから,定規,タコ糸,ゴムひも,ゴム風船,セロテープ,方眼紙,はさみ,紙粘土,コピー用紙,マジックペン,精密なデジタルばかり,電卓など。この中には面積計算をするのに不必要なワナのようなものもありますので,師範を務める数学科の教師が「ゴム風船を膨らまして遊んでいてはいけませんよ」と声をかけますが,そんなことをする人は一人もいません。
 前回同様,実に面白い3時間でした。
 探究道場の合間,本能館のブリッジ(渡り廊下)から見上げると,空にはきれいなうろこ雲。神無月に入って,見えるものはすっかり秋です。

 月の異名はどれも味わい深いものですが,私にとって神無月は少し特別です。
 高校時代に睦月,如月……と教わったときに,古典の先生が「八百万の神々が出雲に集まるためにいなくなるから神無月。だから出雲は神有月」とおっしゃるのを聞いて,ナルホドと思いました。ヤオヨロズノ神々という非現実が,「だから出雲は神有月」という結びで,素朴な論理的処理を施されたからです。それがなければ,では神様がみんな集まる出雲はどうなのかと理屈好きの生意気な高校生たちは,さぞかしうるさかったことでしょう。
 数年前に島根県へ行ったとき,実際に出雲で神有月と呼んでいるかどうかを尋ねてみました。私が話した土地の方は「そう言うこともありますかね」と,どうということもない風でした。

 さて,いつの時代でも高校生は生意気です。生意気は高校生の特権ですが,それは成長過程に必要な性向だからです。生意気には素直な心もまた内包されています。したがって,高校生の生意気さは好ましくさえあります。
 素直とは,謙虚や敬意や感動を備えていることです。これらは人間の心の中の神様のようなものであると思います。素直さを失うと,生意気は剛情や傲慢,時には無理解や怠惰に変成します。
 おとなはそのバランスを保つ訓練を経ているはずですが,それができない人や,できない場合があります。特に,「立場」のある人や場合が要注意です。立場は人を成長させ,充実させもしますが,逆の働きをしてしまうこともしばしばあります。
 他の組織はいざ知らず,学校では,生徒と接する教員は気をつけなければいけません。そうだとすれば,校長がもっとも気をつけなければなりません。かく言う私はどうかというと,なかなか危うい状況です。神無月というのは,警句かも知れません。

 あれこれと考えますが,この数日は空ばかり見上げてしまいます。
 神無月の四日。屋上に上がってみると北の空は青く,空気は清々しく,振り返れば南の空には絹の雲が高く。
 
                      23号(2011.10.04)……荒瀬克己

第4回探究道場のお申し込みについて

第4回探究道場の受付を10月24日(月)〜10月31日(月)に行います。

詳しくは画面右下にある「配布文書」の中の、「第4回探究道場案内」をご覧の上、下記のいずれかの方法でお申込みください。

1.FAX申込:「配布文書」の中の「第4回探究道場申込書」に必要事項をご記入の上、FAXしてください。

2.メール申込:必要事項をメールにて送付ください。

ホームページへの掲載が遅れましたことをお詫びいたします。
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行事予定
3/14 2年スタディーサポート
2年「卒業生に学ぶ」(予定)
3/15 1年代休(マレーシアコース)
3/16 生徒校内立入禁止(〜13:00)
午後:1年登校日(マレーシアコース)
1年代休(ヨーロッパコース)
3/17 コミカレ「人間行動学入門」(14:00〜16:00)
PSTなし
3/19 後期終業式(11:00〜)
1年研修旅行解団式
一斉清掃
スクールカウンセラー来校日
許可生徒以外校内立入禁止(13:00〜)
中学生及び保護者
3/16 一般選抜合格者入学校発表(9:00〜12:30)
3/19 合格者登校日(14:00〜)
3/20 新1年教科書販売
京都市立堀川高等学校
〒604-8254
京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622-2
TEL:075-211-5351
FAX:075-211-8975
E-mail: horikawa@edu.city.kyoto.jp