京都市立学校・幼稚園
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7月学校説明会の様子を配信中!(「カテゴリ⇒中学生のみなさんへ」をクリック!)8/31(土)9/1(日)文化祭につきましては、台風接近に合わせて調整中です。確定次第、ホームページで発表します。

学校訪問

 堀川には,多くの方が見学や視察に来られます。多くの場合,副校長と教頭が対応していますが,進路部長や図書館司書や各教科の担当者に頼むこともあります。時々は私もお会いします。
 来られた方とお話しすると,居ながらにして各地の様子が垣間見えます。それで「○○県の教育は」などというのは乱暴ですが,全国の様子を少しは知ることができて,とても参考になります。また,お話しする際には,自分たちの動きを対象化しなければなりませんから,普段よりも客観的に堀川を見ることができて,こちらの取り組みを紹介している最中に,それまで気づいていなかった課題を見つけたりすることがあります。堀川に来られた方が何かを得られるとしたら,実は堀川がもっと学んでいます。

 さて,文部科学省担当の財務省主計官の訪問を受けたことがあります。学校教育関連予算に直接関与しているような錯覚に陥って,冷静を装いつつ必死に応答しました。
 「一人の先生の授業は週に何時間ですか?」
 「京都市の高校では18時間までとなっています」
 「子どもたちが好きで,教育に情熱があって教員になった人が,週40時間のうち18時間しか授業をもたないのは少ないですね」
 「授業には準備が必要ですし,教員は授業だけでなく他の仕事もしています」
 「教員を増やすだけでなく,事務職員を増やして教員のいわば雑用を減らすということを文科省は言うんですが,そんなに雑用が多いんですか?」
 「必ずしも雑用という言葉でひとくくりにできるものではありません。担任の仕事であるとか,教科の仕事であるとか,学校経営に関わる仕事もやっています」
 「そういった仕事をすべての教員がしているのですか?」
 「一人がすべてをするわけでなく分担をしています」
 「その部分に工夫が必要ではないでしょうか。授業をいっぱい持つ人と校務に専念する人とに分けるとか。本当に必要な予算をつけるのは国の責任ですが,すべて税金ですから,無駄な使い方はできません」
 「課題はいろいろあり,確かに工夫が求められます。逃げるわけではありませんが,一方で,学校の役割と家庭や社会の役割を見直すことも必要です。そういった全体の枠組みを構築する中で,学校の変革についても進める必要があると思います」
 あとで文部科学省の知り合いに聞くと,この主計官は精力的にあちらこちらを訪問して学び,財政面から教育を支えようという姿勢をもっている方だということでした。笑顔を絶やさず,しかしものすごい速さで矢を放つ主計官に対して,ナベブタの盾で応戦するのは骨が折れました。自分は何かを守ろうとしている,しかし,いったい何を守ろうとしているのか,ということを思いました。

 中国の西安市は京都市の姉妹都市の一つです。西安市と近郊の市の教育長さんたちが来られました。教室にご案内したときに,国語の授業で漢詩をやっていました。担当の教員が,読んでいただけないかと頼んだら,生徒たちの前で朗々と詠じてくださいました。押韻が理解できたというのを通り越して,心は西域に飛び,詩が音楽であることを体感しました。
 そのあと会議室で応対していた際のことです。あなたは若そうだが退職まで何年あるかと尋ねられました。年数を答えると,「ほう,随分ある。すると教頭が校長になろうとしたらどうするのか」とのご質問。くだけた雰囲気で話が進んでいましたので,「それはクーデターを起こすしかありませんね」と答えました。中国語の通訳の方が笑いながら伝えると,教育長さんたちは真顔でうなずいていらっしゃいます。その様子にこちらがびっくりしました。「いやそれは教育委員会が決めることです」とあわてて言ったら,みなさんたっぷりの笑み。当然でしょうが,相手が上手でした。

 アメリカ合衆国教育省のトニー・ミラー副長官が来られたこともあります。元文部事務次官の佐藤禎一氏が堀川のご卒業で,実にいろいろとお世話になっています。東京の会議でお会いした際に,「ミラーさんが高校を訪問したいということなので,母校にぜひと言っておきました。よろしくお願いします」と頼まれました。
 奥様とご子息と随行員の6人で,ふらっと寄ったという感じで来られました。アトリウムで生徒たちにご挨拶いただきました。そのあと会議室で10数名の生徒たちとも話し合ってくださいました。重職にある方とは思えないフランクな対応でした。それにしても,生徒の英語は見事。私は必死。英語の教員に通訳を頼んでいましたが,私の日本語がまだるっこしいものですから,なかなか英訳しにくい。加えて私が口を挟むから余計にややこしい。それでもミラー副長官は真剣に聴き,話してくださいました。事情は異なっても教育課題はどこもよく似ている,というのは早計ですが,そのように感じました。
 四条烏丸の稲盛財団に行かれるので,車を呼びましょうと言ったら,近いから歩いていくとのこと。玄関で見送る私たちに,何度も振り返って手を振っておられました。

 堀川にいて幸いなことの一つは,様々な方にお会いできることです。高校だけでなく,小中学校,大学,企業,教育委員会,議会等の関係者や,ご紹介したように中央省庁や国外の方もいらっしゃいます。
 お会いした方の多くから感じるのは,気さくで真面目で意欲的で行動的であるということ。そして,責任感の強さ。さらには,閉ざさず開いているという姿勢。
 
 夏の学校閉鎖は今日まで。明日からまた生徒がやってきます。文化祭の準備も大詰めを迎えます。
                          2011.08.16 …… 荒瀬克己

わかいいのち

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 この書は卒業生の作です。1年ほど前になるでしょうか,両手で抱えて持ってきてくれました。「もらっていただけませんか」と言うので,「じゃあ,どこかに掛けよう」と,二人で場所を探しました。
 「ほんとうにいいんですか」
 「どうしてだめなの」
 「わたしなんかの書いたものですから」
 「きっと読む後輩たちがいますよ」
 「あんまり目立つところは,ちょっと」
 「でも誰にも気づかれないところでは掛ける意味がないしね」
 「そういうもんですか」
 「そういうもんです」
 うろうろして,アトリウムの傍らの柱に位置を決めました。後日,業者が少しの工事をして掛けてくれました。
 谷川俊太郎の「やわらかいいのち」。「思春期心身症と呼ばれる少年少女たちに」という副題がついています。この卒業生は書が好きで,在学中にも半紙に書いたものを持ってきてくれたことがあります。乾いて少し凹凸のできた半紙には,「青い闇」と書いてありました。何日もかけて不安と動揺を綴った文章を読ませてくれたこともありました。
 休みがちであやぶまれましたが,進級もして,みんなと一緒に卒業しました。

 初夏,いつになるか分からないけど君のことと書のことを書いてもいいですか,と電話をかけました。
 「そんな,ほんとうですか」
 「ほんとうです」
 「なんか恥ずかしいですが」
 「嫌ならやめます」
 「いえ,うれしいです」
 「ありがとう。それで,どうしているの」
 「わたし,大学受けます。やっぱり農業をやりたいと思って」
 「じゃあ必死で受験勉強ってわけだ」
 「そうなんですよ」

 額に入れられた書の紙は,ところどころ変色しています。捨てられようとしていたものを先生に頼んで頂戴した,と言っていました。どうしてもその紙に書きたかったそうです。届けることのできる言葉と,届けることのできない言葉と。屈託のない笑顔の底で,若い人たちは時にやるせなくもがきます。

 額の掛った柱の先のアトリウムでは,いま3年生たちが文化祭の練習に余念がありません。連日の猛暑の中,Tシャツと短パンに着替えて,パフォーマンスを組み立てていっています。
 「水分摂ってる?」
 「はい」
 濡れた髪ときらきら光る汗は,まるで泳いだ後のよう。

 先日,1年間のうち1日しか学校を閉めない公立高校の先生と話しました。土日も当番制で回して自習室を開けているそうです。「大変ですねえ」と言ったら,その人は「本当に」とおっしゃいました。
 堀川は,明日から16日まで学校を閉鎖します。その間合宿に出ていく部活もありますが,生徒も教職員も,ONとOFFの切り替え期です。
                                 …… 荒瀬克己

コミュニティカレッジ『文学歳時記 通年講座』   予定変更について

 8月20日(土)に予定されていた『文学歳時記 通年講座』は、都合により中止させていただきます。
 次回は、9月10日(土)14時30分〜「総角・早蕨」で開講いたします。
 宜しくお願いいたします。

探究道場

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 まず,前回のセミ捕りの写真ですが,どこの公園かというお尋ねをいただきました。あれは堀川高校のさほど広くはない前庭です。近所の子どもたちがよく遊びに来ます。小さいお子さんを連れて,おばあさんやおじいさんも。

 7月30日(土)に本能館で「探究道場」を開催しました。
 本能館は堀川高校の東側,油小路通蛸薬師にあります。かつて本能小学校があった跡地に建てられた堀川高校の第二校舎で,その名の示すとおり,織田信長が討たれた本能寺のあった場所です。本能寺の変の後,寺は豊臣秀吉によって現在地,京都市役所の南側に移されました。
 「探究道場」は,文部科学省から研究指定を受けているスーパーサイエンスハイスクール事業の一環として行っている,中学生に理科や数学について深く学ぶ機会を提供するものです。今回は数学でした。同じ内容で別の中学生を対象にもう一度実施しますので,どんなことをやったかは,いまは申し上げられません。申し訳ありません。
 では何をお伝えしたいのかというと,今回の道場で見た,とても興味深いことがらについてです。実はすでに知られていることではありますが,実際にその場にいて体験すると,何度同じような経験をしていても,なるほど,やはりそうか,と改めて合点がいきます。
 要は,取り組みにはコミュニケーションが大切だということです。チームワークが欠かせない,と言ってもいいかも知れません。
 道場は,PBL(Problem Based LearningあるいはProject Based Learning)の手法で行っています。問題を提示した後は,基本的に説明は行いません。自分の持っている知識や技術や経験に基づき,それらを活用して取り組みます。堀川の生徒が進行役や補佐役を務めますが,手を貸すことはしません。したがって,自分でよく考えるということとともに,他のメンバーとよく話し合うということが大切になります。
 同じ中学校の人を別にしますので,各グループは初対面の中学生たちで構成されます。学年も同じではありません。まずは自己紹介から始まり,練習問題をやって,本番に臨みます。その中で,どれだけ自分を出せるか。どれだけ相手を引き出せるか。受けとめられるか。発見,考案,創出するために協同できるか。それらが問われます。そして,2時間余りの試行錯誤の成果をポスター形式で発表します。
 このとき,コミュニケーションが活発であったかどうか,そのことによってチームワークが図られたかどうかが如実に現れます。一人の考えた方法を,他のメンバーが質問したり指摘したりして,多角的に揉んでみたかどうか。それが行われたグループの発表は,一人では考え付かなかった確認や点検や考察が加わった結果,より論理的なものになっています。
 もとより,一人の才能によって新たな世界が開くことはあります。その場合,周りがそれに気づくということが重要になります。しかしながら,それを周りが気づけるように説くということもまた重要です。おそらく,そういう練習を重ねることが,これから社会に出ていく若い人たちには必要であるだろうと思います。
 「探究五箇条」なるものがあります。教員が考えました。あちらこちらから集めた感はありますが,なかなかのものであると思います。何度も読むと,これは誰に対しての言葉なのかと思ってしまいます。

   探究五箇条
  一、知らないということを知れ
  一、常識を学べ
  一、常識を疑え
  一、手と頭を動かせ
  一、朋と愉しめ

 「はじめに,堀川高校の校長でもある,探究道場の荒瀬克己道場長からあいさつがあります」。
 道場の開始にあたって,司会の生徒が紹介してくれました。校長を辞めて道場長一本でやっていくっていうのもいいなと思いました。今度名刺を作ろうかと思っています。
                                 …… 荒瀬克己

コミュニティカレッジ 鷲田清一先生 講演会 「いま、本当に必要な知力とは」(2011.7.26)

 大阪大学総長である、鷲田清一先生をお招きして講演会を行いました。東日本大震災を受けての先生の思いや、知恵と知識の違い、「『わからない』状態に耐えられるタフさ」など、「いま、本当に必要な知力とは何か」についてお話しいただきました。
 
 講演会終了後には、希望者対象の座談会が開かれ、20人ほどの生徒が集まりました。話が盛り上がり、予定時間を大幅に過ぎてしまうほどでした。

 以下は参加した生徒の感想です。

「今回の講演でものの見方の大切さが分かった気がします」

「考えれば考えるほどより考えなければならないことが増えてくるというのは、今自分達がしている探究活動にも当てはまると思う」

「『答えが出ない問題でも自分なりの最善の行動をしようと想像し、考察し、あきらめない心を持つ』これを実行するのは、本当に難しいけど、タフな人間になりたい」


(写真上:鷲田清一先生、写真下:座談会の様子)

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自慢話

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 四校会については6月15日号でご紹介しました。一昨年の四校会のことです。
 会議が終わって,ライトアップされた姫路城を眺めながら食事をしているときに堀川の話題になって,姫路西高校の中杉校長が,「本当にすごい仕事をしたね」と言ってくださいました。
 「私はこれといって何もしていませんよ」と答えたら,すぐさま「荒瀬さん,過度の謙遜は嫌みになるよ」と返されました。驚きました。そんなふうに言われたのは初めてで,とても新鮮な驚きでした。
 「教育委員会がすごかったのと,堀川の教職員がとても意欲的に取り組んだから何とかここまでやってきたんですが」と言葉をつなぎましたが,別れて帰りの新幹線に乗って,ぼんやり夜景を見ながらつらつらと考えました。
 自分はいつ何をどのようにしてきたんだろうか?

 保護者からメールです。
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    最終章の終止符
  長い長い物語がやっと終わった
  その物語には常に白いボールがあった
  若い雄渾なる青年達がいた
  大歓声の中,夢のような舞台にいた
  しかし,最終章はとても静かに終わった
  読み終わって,目を閉じ,滲み出る感涙を抑えながら,
  この物語に続きがあるのかを考え始めていた。

 3年間の大会を通して感動したことは,荒瀬校長の「最後まであきらめない」応援姿勢でした。雨の試合も灼熱の試合も凛と起立され,大声量による応援,微動だにしないその姿に,いつも感謝と尊敬の念を持って拝見していました。また負けそうな試合展開で,親すらあきらめのムードの中,最後まで必死の応援を続けていただき,言葉では言い尽くせない気持ちがありました。大応援,本当にありがとうございました。
 アインシュタインの言葉で,Education is that which remains if one has forgotten everything he learned in school. 教育とは学校で学んだすべての事を忘れ去った後に残るもの,とありますが,子どもが数学や英語を忘れ去った後にも必ず堀川高校で学んだいろんな事,野球や先生や友達や総合探究や言葉や形にできないすべての事がたくさん残る事は間違いないと思います。
 ………………………………………………………………………………………………

 野球部3年生のおかあさんからのありがたい言葉。お尋ねしたら掲載してもよいとのことでしたのでご紹介しました。
 学校というのは,ひとりで何かできるものではありません。ましてやつくることなど。できていないことがいっぱいあります。課題もまた山積。
 それを十分承知で,しかし,こういうメールをもらったということを,中杉先生に自慢してみたいと思いました。

 夏休み。町の中でも子どもたちは元気です。
                               …… 荒瀬克己

コミュニティカレッジ 秋山 仁先生講演会「得手に帆あげて」(2011.7.21)

 東海大学教育開発研究所所長、堀川高等学校学術顧問の秋山 仁先生の講演会を行いました。高校時代のお話や、本質をつかんだ学習をというメッセージをいただきました。
 「円の面積を求める公式は二等辺三角形の面積から求められる」ということを、自作された教具を使って説明された時には会場から感嘆の声があがりました。また、最後には3か月前に先生が生み出された新しい定理のプレゼントもあり、知的な驚きが満載の講演会でした。


 以下は参加した生徒の感想です。

 『努力はしなければならないと思ってするものではなく、目的を叶えるために「したい」と思ってするものなんだと気づきました。』

 『数学の難しい問題に出会ったときに、知っている簡単なことに置き換えて考えるということを教えていただき、数学の楽しさが少しわかりました。』
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ナデシコ

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 ナデシコは「撫子」。広辞苑では,「ナデシコ科の多年草。秋の七草の一。日当たりのよい草地・川原などに自生。高さ数十センチメートル。葉は線形で先端がとがる。八,九月頃,淡紅色,まれに白色の花を開く。花弁は五枚で上端が深く細裂。種子は黒色で小さく,利尿に有効。カワラナデシコ。ヤマトナデシコ。とこなつ」。「襲(かさね)の色目。表は紅,裏は紫。または,表は紅梅,裏は青。とこなつ」。「紋所の名。ナデシコの花を取り合わせて描いたもの」。「愛撫する子。和歌などで,多く植物のナデシコにかけて用いる」。
 「やまと(大和)」を引くと,「大和撫子」があって,「ナデシコの異称」,「日本女性の美称」。
 ちなみに,ナデシコは堀川高校の前身である堀川高等女学校の校章です。堀川高女では,戦前から英語が正課であったそうです。日本人女性初のオリンピックメダリストである,陸上競技の人見絹江さんが勤めていたこともありました。いま玄関前には,第27回卒業の有志の方々からいただいたソメイヨシノが青々と葉をつけています。

 7月18日月曜日は「海の日」。明け方からサッカー女子ワールドカップ決勝戦の中継を観ました。格上のアメリカチームを相手に,圧倒されても,先にゴールを決められても,90分間を最後まであきらめずに粘り強く闘って同点にした「なでしこジャパン」。延長戦でも先取され,それにも耐えて後半引き分けに持ち込み,迎えたPK戦でついに勝利。
 2時間余りに及ぶ試合で2度追いついて,やっと頂点に立つという壮絶の栄光を得た選手たちの軽やかな笑顔を見て,彼女たちの必ずしも恵まれてはいない練習環境やそれぞれの苦闘とも呼ぶべき努力を思わずにはいられませんでした。それにもかかわらず,こんな小さな体のどこにあんなエネルギーがあったのだろうか,と胸が熱くなりました。
 興奮の後の表彰式と閉会式。勝者をたたえて舞い降りてくる数知れぬ金色のテープ。それがとても似合う,しなやかな「なでしこ」たち。陰りのない笑顔。実にさわやかな笑顔。

 7月17日は祇園祭の山鉾巡行でした。優雅で力強い祇園囃子とともに,さまざまに意匠を凝らした32基の山鉾が,炎天下の都大路をゆっくりと動いて行きます。
 今年は月鉾,放下(ほうか)鉾,浄妙(じょうみょう)山3基の曳き手に堀川高校の生徒が加わりました。巡行の終点にあたる御池通りと新町通りの交差点の傍らに設けられた本部テントにも,スタッフユニフォームを着た堀川の生徒たちが詰めていました。巡行の状況を把握しつつ,到着した山鉾の関係者にお茶を出して慰労します。
 祇園祭の曳き手や本部スタッフに高校単位で参加するのは堀川だけです。地元にある高校だということで参加の機会をいただいています。それを受け,堀川では「町へ出よう!プロジェクト」という企画の一つに位置付けています。この企画は,生徒たちに学校外での多様な体験を促すものです。今回は,在学中に経験した卒業生が来て,参加する生徒たち約60名を準備段階から束ねてくれました。

 栄冠をめざす取り組みも,数百年の伝統を守る取り組みも,また,何らかの研究や問題解決も社会への参加や貢献も,表舞台だけしか見えないことが多くありますが,表舞台が円滑に動くためには,舞台裏での周到な準備が不可欠です。
 見えるものは,見えないところで用意されている……あらためてこのことを思います。
 いつ解決するかわからない,どうやったら答えに至るか見えない,そういう取り組みもまた,試行錯誤と研究と,それを続ける努力が欠かせません。それらに支えられて,事は動いていきます。あることが成功するか否か,それは誰にもわかりません。しかし,望む結果を,求める成果を得ようとして懸命に取り組むことによってのみ,期待した,あるいは望外の果実がもたらされる可能性があるのであって,何事も為さない限り,何一つ成されることはありません。
 謙虚であれ。
 笑顔を忘れぬ挑戦者であれ。

 17日の朝,巡行を見るために四条通りに行こうと思って家を出たら,セミの声。いつもは梅雨明けに鳴き始めたセミが,今年は早く梅雨が明けたのにどうして鳴かないのかと心配していましたが,とうとう鳴きました。地上に出て木に登り短い命を力の限り謳歌するためには,セミもまたしかるべき準備が必要だったのでしょう。
                                 …… 荒瀬克己

祇園祭山鉾巡行ボランティア(2011.7.17)

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写真上:巡行本部の様子  中:放下鉾  下:浄妙山     

 夏空のもと、32基の山鉾がゆっくりと京都市内を巡りました。
 堀川高校では、「町へ出よう!プロジェクト」のひとつとして、2年前から山鉾巡行ボランティアに学校としては唯一参加しています。堀川高校「町へ出よう!プロジェクト」は、積極的に社会に出て外の世界との接点を持ち、社会の中の自分を意識する機会を持つという取組です。
 巡行当日は、地域の方のご指導のもと、月鉾、放下鉾、浄妙山の曳き手として、また、巡行のゴールとなる新町御池の巡行本部要員として、合計65名が参加しました。本部では、女子生徒が曳き手の方に冷茶を届けたり、巡行の進行状況を記録するなどの活動を行いました。
 また、5月から巡行当日まで、数名の代表生徒が校内ボランティアチーム(各山鉾および本部)をまとめ、校内での準備を進めてきました。活動を終えた生徒の一人は「祭の熱気がすごかった。来年も参加したい」と語っています。

明日へ

 昨日,宮津球場で洛水高校と対戦。敗れました。0対4。残念ながら,堀川に風は吹きませんでした。
 選手,保護者会,OB,吹奏楽部,応援してくださったみなさん,そして監督とコーチに感謝します。ありがとうございました。
 洛水高校は,実に気持ちのいいチームでした。攻守がかみ合い,チャンスをしっかりと得点に結び付けました。3回戦以降の健闘を心から祈ります。

 薄曇りで,試合途中からぽつぽつと雨も降った宮津球場。
 試合の直前,応援団のエール交換が始まらないので団長に尋ねると,「洛水の応援団が調整中みたいで,いま送ると向こうが返せないので,もう少ししてからやります」。
 差し入れのペットボトルを入れたアイスボックスを持ってスタンドに向かおうとしたとき,吹奏楽部顧問が「だれか荷物の少ない人はいないですか」。すぐさま女子生徒が二人で駆け寄ってきて,「先生,持ちます」。
 タオルを濡らそうとしていたら,野球部の保護者が「こっちに冷たい水がありますから」。「はい,どうぞ」。キャンデーもいただきました。
 試合終了後の球場前。キャプテンが走ってきて,「遠いところまで応援に来ていただいてありがとうございました」。
 レギュラーの一人が「もう1回勝つのを見てもらいたかったんですが」。「私も見たかった。チーム全体で秋につないでいってね」。
 京都新聞の記者の方が,「何人かに取材しましたが,みんなとってもきっちりと話してくれました」。
 綾部から特急はしだて6号に乗り,5時過ぎに学校に戻りました。部活の女子生徒たちが口々に「こんにちは」。よれよれになった私の様子を見て小声で,「野球部の応援に行ってはったんや」。「いいなあ」。

 行きのバスから宮津湾が見えたとき,吹奏楽部の生徒たちが「海が見える」と喜んでいた,と聞きました。私も見ていました。
 球場に送ってもらう車中で若い友人からメールが届きました。御母堂の逝去の報せ。海を見ながら思いました。「海」という文字には「母」が抱かれている……。

 5時半。一人の生徒が校長室にやって来ました。今日を生き明日に向き合おうとする高校生の思念はさまざまに交錯します。
 「一生勉強ですよ。どうであれ,勉強だけはいろいろとしておきなさい」
 「勉強ばかりし続けて,後悔しないでしょうか?」
 「どういう勉強をイメージしているの?
  勉強しないでいたら,後悔ばかりし続けますよ」
 「そういうもんでしょうか?」
 「はい」
 勉強するというのはどういうことかを書いた,数学の教員の文章を渡しました。
 「これ読んで,感想聞かせて」
 「はい。じゃあまた来ます」
 次に来たら,「100メートル全力疾走しているか」と尋ねようと思います。

 「校長室から」は火曜日に出すことにしていますが,昨日のことが記憶に新しいうちにと思って書きました。次回は19日の予定です。
                                 …… 荒瀬克己

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行事予定
3/1 卒業式(10:00開式)
3/2 1年学年末考査
3/3 PST(9:30〜16:00)
3/5 1年学年末考査
2年:短縮45分授業(1,2,5,6限の授業)
一斉清掃
生徒校内立入禁止(13:30〜)
3/6 生徒校内立入禁止(終日)
3/7 2年学年末考査
1年研修旅行結団式
中学生及び保護者
3/6 入学者選抜学力検査
京都市立堀川高等学校
〒604-8254
京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622-2
TEL:075-211-5351
FAX:075-211-8975
E-mail: horikawa@edu.city.kyoto.jp