最新更新日:2024/09/27 | |
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2年生人権学習
11月11日(金)LHRの時間に2年生人権学習(講演会)を行いました。森本尚樹氏(兵庫県聴覚障害者協会)と手話通訳者の方をお招きして、「聴覚障がい者のくらしと社会」という演題で講演をしていただきました。
森本さんは生まれながら聴覚に障がいをもっておられ、現在は大阪の会社に勤務されています。2009年に台湾・台北で行われたデフリンピック(聴覚障がい者のオリンピック)ではテニス競技の日本代表監督として出場されました。生徒たちは事前学習で森本さんのプロフィールを知り、講演を聴きました。 講演では、聴覚障がい者のコミュニケーションの方法を学びました。耳が聴こえない代わりに目で聞いている実例として、簡単な手話を教えていただいたり、読話(口で読み取ること)の体験をしました。また現状では、まだまだハード面、ソフト面で聴覚障がい者の暮らしに苦痛や問題があることを話され、東日本大震災の時にも、様々な困難があったことを教えていただきました。 今回の講演を通じて、2年次の人権学習のテーマである「コミュニケーション」「自己理解・他者理解」「障害を持っている方への理解」について、生徒自身が自分の考えを深めていける良い機会となりました。 11月21日(月)の事後学習では、福島智氏(東京大学先端科学技術研究センター教授 盲ろう者)のことを紹介した新聞記事や視聴覚教材を使用して、さらに障害者問題について学習していく予定です。 京都市立堀川高校教員公募制度による募集要項について
平成24年度 京都市立堀川高校教員公募制度による募集要項を
定めましたので,ご覧になりたい方は,右下の配布資料をご覧ください。 11月よりスクールカウンセラーの先生が代わりました。
11月より新しいカウンセラーの先生が来られています。
それに伴いまして,11月のスクールカウンセラー来校日が 変わりましたので,行事予定を更新しました。ご確認ください。 講師の募集について
京都市立学校では講師を募集しています。
詳しくは,京都市教育委員会のホームページをご覧ください。 http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/page/0000089... 今すぐ理科(生物)の講師が可能な方は,堀川高等学校 (TEL:075-211-5351 担当:川浪副校長)までご連絡ください。 立冬
今日は立冬。
夏日になる日もあった11月ですが,朝の天気予報によれば,今日は西高東低の冬型。京都府南部は,北の風くもり昼過ぎから時々晴れ,予想最高気温は19度。午前5時の気温は12度3分でした。 朝のニュースでは,午前6時に東京の渋谷を歩く人はマフラーをしていました。気象予報士によると,最低気温が12度くらいになると紅葉が進むそうです。 不確かな記憶から昨年の晩秋の情景を引き出そうとすると,高台寺の夜の紅葉が浮かんできました。賑やかな石塀小路を抜けてゆるやかに見上げると,門へと上る段々に横から照らされる光。まるで魔法のような。 去年はその光景に心がほどけていくようでした。比べて今年は,心が落ち着くところを失って,思いがねじれているような感があります。 私は,子どもの成長期に,安全・安心・簡単・手軽ではなく,危険と向き合い,不安にもなり,複雑なことがらでも拒まず,面倒なことでもする,ということが重要であると考えています。 文房具の小刀(こがたな)の一種で肥後守(ひごのかみ)というものがあります。辞書によれば,「7,8センチの両刃が鉄製の折りたたみ式の鞘(さや)に収められるもの。鞘は柄(え)を兼ね,ふつう『肥後守』などの銘がある。大正半ばから兵庫県で生産され,片刃の切り出し小刀に代わって,昭和前期にかけて流行した。廃刀令後、旧熊本藩の御用鍛冶が作りはじめたのが起源という」とあります。 ずいぶん以前,確か岐阜だったと思うのですが,この肥後守を入学時に全員購入させ,鉛筆削りや工作に使えるよう指導していた小学校のことが報道されていました。当初子どもたちは,刃物の使い方がよくわからず,削られた鉛筆はへんてこで,芯だけが妙に長かったり,削っている最中に手を滑らせて指を切ってしまったり,小さい子どもにとっては大変大きな苦労を重ねます。そうこうしつつ学年の進行とともにしだいに上手になって,筆箱の鉛筆の形が,それぞれの個性を持ちつつそろうようになっていきます。切れ味が悪くなると砥石で磨きます。それを繰り返して六年生になると,肥後守は,初めて手にした一年生のときと比べて短く,幅も狭くなっています。肥後守が小さくなった分,子どもたちは成長しています。そして卒業するとき,それぞれの肥後守は一人ひとりの勲章になります。 この番組を見て感動しました。こんなにして子どもを育てている学校がある。その学校を信頼して,子どもの成長を信じて,心配しながらも見守り任せている親がいる。 しかし,これは生命の安全が保障され,安心して生活できる場所が確保されているという「あたりまえ」の前提があってのことです。その子がそうしようと思えば乗り越えられる危険や不安が,おとなによってあえて用意されているのは教育であると言えますが,その子にどうにもならない,その子に責任のない危険や不安は,断固として一切排除されなければなりません。 子どものころの夏,昼寝をしていて目が覚めたら母が見えなくて,広くもない家の中を,母を呼んで探し回ったことがありました。それでも見つからない母。どきどきして,もう一度呼びながら探しても,やはりいない。心細くて,涙が出てきて,それでいっそう悲しくなって,どうしてよいかわからず,どれほど時間が経ったかわからず,ますます悲しくなって,涙が枯れて,そうしていたら母が帰ってきて,にこにこ笑って,起きたのかと言いながら,食べなさいと菓子をくれて,台所に行って夕食の支度を始める。その後ろ姿を見て,安心して日常を取り戻す。 そんなことを思い出すにつけても,子どもは絶対に守られていなければならないということを心の底から強く思います。 この国に生まれてから58年。物心ついて以来,人知を超える難題に向き合わなければならないことはそれほどなかったように思います。 今朝のニュースでは,福島県郡山市の医師の調査が報じられていました。幼児の体重の増加率が昨年と比べて4分の1になっていて,原因として,屋外での運動が制限されていることが挙げられていました。身体能力や情緒,社会性,認知能力にも影響する恐れがあることも指摘されていました。 平成22(2010)年度から高等学校の授業料が無償化されました。文部科学省のホームページを見ると,「社会全体であなたの学びを支えます」というタイトルで,「家庭の状況にかかわらず,すべての意志ある高校生等が,安心して勉学に打ち込める社会をつくるため,国の費用により,公立高等学校の授業料を無償化するとともに,国立・私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を創設し,家庭の教育費の負担を軽減します」とあります。 これと同じように,社会全体でこの国に住むすべての未来ある子どもたちを守るためにはどうすればよいのでしょうか。 その答えは容易には見出せませんが,それを探して,誠実に,具体的に行動していくのは,間違いなくおとなの責任です。 立冬。北の地方の冬の寒さが,春を呼ぶための厳しさであることを願ってやみません。 27号(2011.11.08)……荒瀬克己 学校説明会(2011.11.05)
11月5日(土)に,中学3年生対象の探究科進学説明会及び中学1・2年生対象の学校説明会を行い、多くの方にご参加いただきました。
午前中の3年生対象進学説明会については,今年は第一部と第二部を分けて行いました。第一部では在校生によるパネルディスカッションなどの全体会,第二部では、生徒と保護者の方に分かれていただき,中学校3年生のみなさんには,各教科の担当教員から適性検査の過去の問題を使っての解説や,学習アドバイスを詳しく行いました。午後の中学1・2年生対象説明会は,パネルディスカッションや探究紹介など,生徒が主体となり堀川高校全体の説明を行いました。 アンケートにもたくさんの方にご協力いただきました。あいにくの天候でしたが,ご参加いただいたみなさま,本当にありがとうございました。 写真 (午前)上:教員による適性検査の説明 (午後)中:探究紹介 下:パネルディスカッション 学校説明会 お忘れ物について
11月5日の学校説明会で、いくつかお忘れ物がありました。
お心当たりの方は、本校企画部までご連絡をお願いいたします。 (代表番号:075-211-5351) 写真:お忘れ物 しばらくぶりです
11月に入ったというのに昼間は暑い日が続いています。今日も天気予報では,京都は夏日になるとのこと。
お元気でしょうか。 この半月ほど,出張があったり行事があったりで,何かと気ぜわしく過ごしていて,この「週刊火曜日」も滞っていました。申し訳ありません。 いただいたメールやお便りに返事もせず,ずいぶんと失礼を重ねています。お詫びいたします。 今週の水曜日は2011年11月2日でした。数字を並べると20111102。せっかくの日に掲載できなかったことが残念でなりません。 この日は朝から教育委員会へ行き,10時過ぎに戻ったあと何件かの打ち合わせをして,午後3時半から土曜日の説明会のリハーサルを見ました。 11月5日の説明会は,午前10時からの中学3年生対象の探究科進学説明会と,午後2時からの中学1・2年生対象の学校説明会の二本立てです。 午前中の3年生対象進学説明会では,適性検査についての解説を検査ごとに担当教科の教員が行います。夏の説明会とは異なり,生徒の出番はわずかです。保護者の方には別会場で,副校長や私から学校の教育方針などを少し詳しくお話しします。 午後の中学1・2年生対象説明会は,普通科・探究科を合わせた堀川高校全体の説明を行うことにしています。こちらは生徒が中心です。 今回の説明会に登場する生徒は,いずれも1年生のみです。 今日も午後から前日の最終リハーサルがありますが,私は東京出張が入っていて参加できませんので,2日水曜日に見たのでした。 8月30日に掲載した「高校生は輝く」に書いたとおり,リハーサル会場にいる生徒たちは,だれもが「普通の生徒」でした。一つのグループが終わって,多くの注文をつけました。「もっと本当に思っていることを話さなければ伝わらない」,「君たちのそれぞれでなければ言えないことを」,「伝えたいのは何なのか」,「もっとかっこよくできるはずだ」,「語尾の形を変えることで内輪の話が外への発信に変わる」等々。具体的な発言内容についての質問も含めて矢継ぎ早に話しました。 そうしている最中に,一人の生徒がまっすぐに手を挙げて,「すみません。気分が悪いんですが」。え,どういう意味なのか,と思ったら,本当に体がしんどくなったようで,練習を切り,舞台の照明を消し,何人かの教員が舞台に上がり,保健室に連絡し,その生徒を横にしてネクタイを緩め,水を飲ませ,窓を開け,うちわであおぎ,そして養護教諭が車椅子を運んできて,その場で様子を診たあと保健室に連れて行き,保護者懇談期間中で応対している担任の代わりに学年主任が保護者に連絡し,といったことがばたばたと,というかどちらかと言えば淡々と進んでいきました。心配そうに見守る生徒たち。小走りに動く教員たち。私は突っ立ったままで見ていました。 あとで保健室に行くと,少し熱中症のような症状があったようだが,いまは落ち着いているとのこと。「どうですか。君,しんどいのにまっすぐに手を挙げて。とても行儀がいいね」。生徒は目を閉じていて,軽くうなずいたようでした。 そのあと生徒のおかあさんが来られて,「お電話をいただいた時には心配しましたが,顔を見てほっとしました」。 私も本当にほっとしました。 あらためて,ヨソサマノ子ヲ預カッテイル,という思いを強くもちました。 そのあと生徒たちと打ち合わせをし,仕事を片付け,教員のリハーサルは副校長・教頭と企画部長に頼んで学校を出ました。 気がつくと少し悪寒がしました。前日に札幌から帰ってきたのですが,札幌も昼間は暑くて,しかし夜は京都とは比べ物にならない冷え込みで,不覚にも風邪を引いたようです。 なかなか予定がぎっしりだったので,この半月ほどを振り返ってみたいと思います。 10月18日(火),校長会のプロジェクトで人材育成について検討する会議がありました。担当していたまとめの素案をメンバーに見てもらい,修正を受けました。 夜に,本能自治連合会(堀川の地元です)の公開講座で話を聞いていただきました。「ものしり講座」ということで年2回なさっています。前半は,音楽の教員に頼んで数曲歌ってもらいました。なかなか好評でした。後半は私がおしゃべりしました。 19日(水)から20日(木)にかけて,京都市立高校教務主任会の視察に付いて福岡県に行きました。初日は福岡県教育委員会で高校教育担当の方々に話し,翌日は修猷館(しゅうゆうかん)高校に長い時間お世話になりました。創立は天明4(1784)年の藩校である修猷館に遡ります。いまも校長は館長と呼ばれ,館長室にいらっしゃいます。この高校を一口で言うと,すごい学校です,としか形容できません。世の中に知らないことはいっぱいありますが,また一つ知らなかったことに出合うことができました。 21日(金),生徒会長選挙の立会演説会があり,その後3年生のアセンブリ。時間をもらって,始業式で言いそびれた個人情報管理について説明しました。「ひま部」の諸君との約束が果たせました。ありがとう。 そのときに,前日の修猷館での興奮と感動について触れました。 ……生徒も先生も学校を愛している,そんな学校でした。君たちは堀川を愛してる? 全部でなくてもここは好きだっていうところある? でもその前に,私たちが君たちを愛さなくては始まらないですね。私は,君たちを愛します。 気恥ずかしいはずが,前日の感激に押されて難なく言えました。修猷館の皆さん,ありがとうございました。 22日(土)は2年生の探究基礎研究発表会。京都市立高校PTA連絡協議会の人権研修がありましたが,そちらは失礼しました。発表会の様子は「学校の様子」に掲載されています。300人近い来場者で会場は活気にあふれました。来ていただいた皆さん,ありがとうございました。 指導してきた教員の感想です。 ……あのような160数枚のパネルが「当たり前」に並ぶ「高等学校」に勤務させていただいている有り難さと緊張感を改めて感じております。生徒たちは,TA(ティーチングアシスタント,大学院生・大学生)の先生にたいへんなお力添えをいただき,手と頭と,加えて心を動かして研究に取り組んでくれました。今日もらったご意見や,ポスター発表に組み立てることで気づいた構成のまずさを,28日の論文最終提出までもう一度書き直しにかかります。おわりのゼミ会で多くの子が改善への意欲を語っていました。私自身も,言語能力を育むことを柱にしたSSHの「スーパー」の部分の意味を体感・納得しながら指導させてもらえました。 教員の努力と意欲に感謝します。 23日(日),PTA社会見学。バス2台で淡路島に行きました。手作りキャンドルを楽しみ,安藤忠雄氏の建築を体感し,1995年1月17日の大震災を思いました。帰りは皆さん,おみやげをどっさり。玉ねぎももちろん。野球部のOB会でしたが,そちらは失礼しました。時折雨も降りましたが,外に出て活動するときは上がって,青空も見えました。 24日(月),終日校長会でした。通常の案件の後,市立高校の将来構想や予想される入学者選抜の変更について,また人材育成についても意見交換をしました。8時間近く会議をしていると,堀川をどうしていくかの議論をしていた10数年前を思い出します。 25日(火),大分県教育センターに招かれ,「教師に求められるコミュニケーション能力と人間関係づくり」というテーマで,採用4年から6年の高校の先生方にお話ししました。昨日学校で,送っていただいた感想を読みましたが,概ね良好であったのでほっとしました。 26日(水),東京で全国普通科校長会(全普高と言います)理事会に出席しました。27日と28日は,全普高の総会・研究協議会でした。「高校の質保証」について,いろいろと考え,多くを学びました。世の中には知らないことがいっぱいあることを,この日もまた思いました。 28日(金)は急いで京都に帰り,2年生探究基礎のまとめの会に,結局は遅刻して出ました。探究基礎をやり終えた生徒たちの,静かな誇りを湛える笑顔が印象的でした。「探究基礎は終わったけれど,探究はこれからもずっと続く」。生徒のさわやかさに感謝します。 29日(土)は,会長をしている京都府高等学校芸術文化連盟新聞部会の開会式であいさつ。西京高校でありました。この日から国民文化祭。総合開会式で3年生の生徒が心のメッセージを朗読しました。生徒会長も務めた彼は,昨年度の放送コンテストアナウンス部門の1位。私は出られませんでしたが,出席していた友人から,「立派でした」。 30日(日),翌朝に北海道教育大学へ行かねばならず,夕方から札幌へ行きました。北海道の友人にコートが必要かどうか尋ねたら,「日中はそんなに寒さを感じません。私はもう少しコートなしで粘るつもりです」。北海道の人は寒さへの耐性があるからか。天気予報を見て,私もコートなしで,と思って行ったら,昼間は暑いくらいでした。しかし,夜の冷え込みはこちらと全く異なります。 それで結局,風邪。頭が少しぼんやりしているのと,耳が遠いような気がしています。 1日(火)の夕方に帰ってきました。帰りの飛行機は実に快適でした。ボーイング777‐300。日本海上空を飛び,佐渡と能登半島を横切り,鳥取を回って中国山地を南下。小豆島をかすめて四国を通り,南から関西国際空港へ。海が光っていました。 今日はいまから東京です。中教審高等学校教育部会に行きます。 ヨソサマノ子であり,未来から託された人たちの,いまとこれからについて考えたいと思います。 26号(2011.11.04)……荒瀬克己 探究基礎研究発表会(2011.10.22)
堀川高校では「受けとる力・考える力・判断する力・表現する力」を身につけ、課題の発見・設定と解決に取り組む能力を養うことを目標に、「探究活動」を行っています。1年生の間は探究のための作法を学び、2年生前半の半年間は個人でテーマ設定した課題に対して生徒一人一人が探究を行います。その成果を発表する場が、今日の探究基礎研究発表会です。
『すべては君の「知りたい」から始まる…そうして始まった私たちの探究活動を発表する時が来ました』と探究委員が全体会で開会のあいさつをした後、半年間の探究成果を一人一人がポスター発表しました。 本校1年生も参加し、1年後の自分の姿を思い描きながら、先輩にするどい質問をしていました。また、SSH運営指導委員の高須秀視様(ローム株式会社常務取締役)、保護者や一般の方、教育関係者の方にもご来校いただき、いつもとはまた違った緊張感の中、発表をすることができ、新しい視点でのご指摘やアドバイスを多々いただきました。発表を終えて、生徒たちはひとまわり大きくなったように感じました。 写真上:全体会 写真中下:ポスター発表の様子 ココロザシ
玄関横のクスノキ。旧校舎から移植しました。
来週は出張が続き掲載できないかも知れませんので,とっておきの写真をお届けします。 10月12日に,「ひま部」のメンバー6人と話しました。9月21日に話すはずだったのですが,台風のため臨時休校になったので延期しました。 「ひま部」というのは,三年生の9人で構成しているそうですが,実際にどういうことをしているのかは謎です。ただ,その名のとおり「ひま」なのかというと,どうもそうでもなくて,普通に部活に入っていましたし,それ以外にもいろんなことを議論したり,小惑星探査機「はやぶさ」を堀川に呼ぼうとしたときには署名活動をしたりと,なかなか忙しそうでもあります。 「それで,どんなところから始めますか?」 「個人情報保護のために裏紙の使用を一切しないということですが,環境問題を考えるとどうかなと思うんですが」 「なるほど。確かに教職員の中にもそういった意見があります。しかし,個人情報だらけの学校の中で,それらをきっちり保護するために,はっきりとした線を引こうと考えました。個人の判断を入れることによるリスクを排除しようと考えて,そのほかにもいろいろと取り決めをしています。状況を見ながら考えていきますから,いまはこの対応を理解してください」 「わかりましたが,生徒の中に,もっと工夫の余地はないのかという意見もあります」 「貴重な意見です。そういうことなら始業式で話すことにしましょう」 と言ったのに,始業式で話しそびれてしましました。「ひま部」の諸君,ごめんなさい。学年別のアセンブリなどの別の機会に話すことを含めて考えます。 文化祭についても興味深い内容をいくつも話してくれました。 「文化祭をなぜするのか,と思うんですよ」 「ほう。面白いことを考えますね」 「一緒にやっていくうちに,確かに発見があったりします。この人はこういう話し方をするのかとか,こんなことに興味をもつのかとか」 「文化祭っていうけど,そもそも文化って何だと思う?」 「文化ですか」 「変なことを言うようですが,水とか塩とかは生きていく上で絶対に必要だけど,胡椒とか絹とかは別になくてもいいよね。ところが,その必ずしも生存にとって必要ではないものを求めてはるばると旅をする。それで道までできる。それを文化と言うならば,文化って,そもそも要らないことをすることのようですね。でも,それに重要な意味があったりする。あるいは重要な意味を見出したりする。価値づけ,ですね」 生徒の言葉がきっかけになって,いろいろと考えます。実に面白いことを言っていました。やってきた6人はアクセルだそうです。残りの3人がブレーキ。 「ハンドルがないんですよね」 10月13日,後期始業式。HPの「新着案内」や「学校の様子」でもご紹介しているとおり,ローム株式会社からLED球とものづくりに関する書籍を図書館に寄贈していただきましたので,その贈呈式を行いました。 SSH運営指導委員をお願いしているロームの常務取締役でいらっしゃる高須秀視氏が全校生徒に話してくださいました。その中でおっしゃったのは,三つの壁を乗り越えよ,ということ。……国の壁,技術の壁,そして自分の壁。 会場のアリーナは10月半ばというのに蒸し暑く,贈呈式に引き続いて私が話し始めたときに生徒が一人しんどくなってしまいました。そういうことは時々あるのですが,話を続けながらも少しあわててしまって,「ひま部」との約束を飛ばしてしまいました。それだけでなく,亡くなったスティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学での演説を紹介する際に,しばらく失語状態になりました。Stay hungryと言うべきところ,なぜかふっとStay hereという言葉が出かかって,あれ違う,と思ったら言葉が出なくなって,生徒の一部が失笑するほどの長い「間」ができてしまいました。 後から若い教員が,「生徒を引き付ける絶妙の演説技術ですね」と言ってニヤリ。ソウジャナイコトヲ知ッテルクセニ。 始業式後,呼んでもらった三年生の教室に行きました。 「式では失礼しました。実はね,ジョブズは大変なお金を儲けたけど,世界を変えるようなものを創り出すことに生涯をかけたんですよ。これは,天野祐吉さんっていう人の受け売りですが。そこで思い出すのが「はやぶさ」。本来はイオンエンジンの実験が目的だったんですよ。こっちは朝日新聞の去年の社説の受け売りですが。それが小惑星「イトカワ」の探査という魅惑的な目標をもつことによって,困難な状況の中でもチームが懸命に動いていった。思うんだけど,目的と目標が入れ替わったみたいになったんですね。大学も,そこに入るということよりも,そこで何をするのか,そこを出てからどうするのかということの方が大事でしょ。そういった,先にあるものを見ようとすることを,たぶんココロザシって言うんですね」 午後には研修会が二つありました。私は,本能館であったキャリア教育研修会に行きました。資生堂の人材開発室長である深澤晶久氏と京大総合博物館准教授の塩瀬隆之氏が,それぞれ企業と大学から見た高校のキャリア教育についてお話しくださいました。 深澤氏「仕事には正解というものがない」。「言われなくてもするという主体性が重要」。「失敗を恐れるとか,答えがないことへの不安とか,考えることが苦手とかといった若者が多い」。「『わかっている』を『できる』に,『知っている』を『使える』に」。「修羅場体験もまた必要」。「研修では心を磨くことが重要」等々。 塩瀬氏「コミュニケーションの研究をしているが,すればするほど言葉はなかなか伝わらないということがわかった。言葉を選ばなければいけない」。「友だちと話せることと先輩や初めて会う人と話せることとは違う。異世代間や異文化間のコミュニケーションが求められる」。「社会や人生には理系の問題とか文系の問題とかはない」等々。 脈絡なくお伝えしましたが,実に勉強になりました。 学校訪問に来られた島根県の校長先生とお話しした後,夜になって卒業生たちとの食事会に行きました。会の名は「夜久野会」。この日集まったのは,大学院で研究をしている人や就職している人7人。自然探究科3期生の男子です。あれやこれやと話が盛り上がっていく中で,ひとりが在学中のことを話してくれました。「成長するということは,こういうことができるようになる,ということだけではなくて,こういうことができないということがわかる,ということでもある」と私が高校生のかれらに言ったそうです。 「そんなこと言いましたっけ」 「はい確かに。とても印象に残っています」 「ふうん,そうでしたか」 かれらの高校時代の顔を浮かべました。いかにも自分が言いそうだとは思いましたが,どんな文脈で話した言葉であるかは思い出せません。その代わり,塩瀬先生がお話の最後に,「いまおとなが届けないといけないことを届けましょう」とおっしゃったのを思い出しました。 この時期になるといつも思うのですが,三年生たちの表情がすてきです。一年生や二年生のときとは異なる,まぶしさを包みこんだ落ち着いた表情。これからに備える意志と言えばよいのか,静かな決意と言えばよいのか,それぞれが確かな存在感をもって,そこにいます。 その前に立って自問します。かれらの視線に応えうるようなココロザシを自分は持っているか。 25号(2011.10.18)……荒瀬克己 |
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