最新更新日:2024/09/20 | |
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1回きり
5月3日の憲法記念日に4期生たちと久しぶりに話をする機会がありました。
今年大学院を卒業して、4月から経済産業省で働く卒業生は、 「日本の現状把握はもちろん、エネルギー問題や国際関係など様々なことが関係しているので、必死でそれらを勉強中です。学生のときとは勉強の目的と質が違いますね。働くことの大変さをつくづく感じます」。別の卒業生が、「みんなすごく頑張っているので、仲間を誇りに思います。私も自分の強みを知って、独創的な何かができたらいいなと思いますね。仕事や職場で悩んだら、いつでも堀川に駆け込みますから」と言ったので、私も「いつでもどうぞ」と答えました。 4期生は木を植えた学年、と荒瀬前校長から引き継いだ「堀川物語」で紹介しました。実際に卒業前の2月に、玄関前に百日紅の木を植えてくれました。 「あのときの木は、まだありますか?」 「毎年夏になると、赤と白の花を咲かせますよ。いつでも見に来てください」 「なかなか行く機会がなくて。またホームページでも紹介してください」 「了解です」 5日、今年度で定年を迎える3期生学年主任の教員の「最終講義」を3期生の有志が企画し、3期生約40名が学校に集まりました。学校側との施設使用の折衝、チラシ作り、運営・司会、本校の教員をしている有志の一人の働きもあり、スムーズに進めていました。 当日、「最終講義」に敬意を表しての「前座」に3名の卒業生が自分の現在についての発表を行いました。 1人目は、他県の市役所に勤務する卒業生からの「農林行政にふれて」という発表。初任地の支所の窓口業務も政権交代を挟んで様々な新しい対応を迫られた具体例があげられました。そして昨年度から全く専門外の農業・森林に係る農政課に異動。一からの勉強ながら、都市近郊型の農業・森林の問題点に向き合う真摯な姿勢と、行政が何を支援していくかについて自分なりのビジョンをもっていることに感心しました。 2人目は、「若手社員が考えるインターネットビジネスの行方」と題しての発表です。 プレゼンテーションのスタイル―スライドの作り方やリズミカルな話口調―が、時代の先端を行く世界で活躍していることを感じさせてくれました。彼一流の知性とやさしさをベースにしたユーモアも健在でした。 最後は、理学研究科博士課程に在籍の卒業生。「脱レアメタルを目指した有機合成」という学会発表レベルの専門的な話を、化学の素人にもわかるような工夫をふんだんに凝らして伝えてくれました。「難しいことを深い理解の裏付けをもって分かり易く伝える」、負うた子に教えられた感でした。「研究の秘訣は?」という質問に対して、「自分が考えた方法で、必ず期待する結果が得られると信じで研究に取り組むこと」という明快な答えが返ってきました。 しばらくの休憩をはさんで、いよいよ学年主任の「最終講義」が始まりました。タイトルは「授業ってなんだろう?」。 30年近く高校の教員を続けると、1年に実質30週あるとして約1万回以上の「授業」を行うことになる。その中でああいい授業ができた、と心底思えることはそんなに多くない。あれをやり残した、これも言えばよかったと思いは残る。しかし「授業」というものは教師にとっても、生徒にとってもその日その時間の1回きり。・・・と話は始まりました。 重みのある厳しい言葉でした。1万分の1回と無意識に教壇に立つのか、これが1回きりと思って授業に臨むのか。 専門の「化学」の奥深さを卒業生たちに「今日1回きり」の思いを込めて存分に語る3期生学年主任に、温かな感謝の拍手と大きな花束が贈られました。 そういえば、大学はいくつも卒業できますが、高校は普通は一つしか卒業しません。私たちは高校生の「1回きり」を託されています。生徒諸君の堀川での「1回きり」の高校生活をいかにサポートしていくのか、多くの卒業生からたくさんのヒントをもらったように感じられる数日でした。 写真:最終講義 ・・・ 川浪 重治 ・・・ |
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