京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/05/31
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6月3日(月)15:40-19:00 MBS放送 よんちゃんTV「ミルクボーイのおかんの代わりに学校行ってみました」(17:30頃)で本校が紹介されます!

高校生らしさ

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 「式辞から」は前回で終わりにします。今回からは学校内外の様子や,生徒とのやりとりを通じて感じたことなどをご紹介しようと思います。

 4月に行われた新入生歓迎会のことです。アトリウムで軽音楽部(フォークソング部が名称変更しました)の3年生のバンドが,ロック調にアレンジした校歌を聴かせてくれました。これがとても「カッコヨカッタ!」のです。
 後日,そのボーカリストと話しました。
 「いやあ,あの校歌はよかったですねえ」
 「ありがとうございます。先生と目が合ったんで,めちゃめちゃ緊張しました」
 「そうでしたか,ごめんなさい。あれね,卒業式の後で,みんなでやったらどうですか」
 「卒業式で歌うんですか?」
 「いや,後です,後。式ではやはり正調でしょうから。終わって退場して,教室に戻る前とかにアトリウムで。以前はそういうのを先輩たちがやっていましたよ」
 「そうですか」
 「ところで君たち,3番まで歌ってたでしょ。校歌は3部構成になっていて,1番が全日制,2番が音楽科,3番が定時制をイメージしているんですよ。知ってた?」
 「あ,なるほど」
 「音楽科は独立したし,定時制は閉じられたし,100周年の時に新たに4番をつくったらどうかと言う先生もいはったんやけど,そのままになってしまいました」
 「へえー,そうだったんですか」
 「どうですか,君たちで歌詞をつくってみませんか。よければ文化祭で披露してよ」
 「考えてみます!」
 笑顔がまことにさわやかでした。

 かつて私服時代の堀川には,「高校生らしい服装を」というポスターが貼ってありました。不思議に思って先輩の先生に「高校生らしい服装ってどんな格好ですか」と尋ねたら,「100メートル全力疾走できる服装やね」と即答されたのを覚えています。それを聞いて,風を切って100メートルを全力疾走する高校生の姿を思いました。

 先々週,16日木曜日に球技大会がありました。1・2年生は西京極体育館,3年生は本館アリーナが会場です。
 早朝から集まってバレーボールの練習をしていた生徒たち。連日,グラウンドには屈託ない歓声と笑顔がはじけていました。
 そして本番。3年生の開会式に立ち会いました。運営はすべて生徒が担当しています。
 相当に長い開会挨拶(実にユニークでした!)があり,選手宣誓。
 「私たちはア,このオ,あこがれのオ,堀川高校アリーナでエ……」
 その後の準備運動。各クラスの体育委員が前に出て号令をかけます。相当にばらばらですが,お構いなしにラジオ体操第一の演奏に合わせて,それぞれがてんでに体を動かしていました。
 アリーナに満ちるさわやかな熱気。あのボーカリストもその中にいました。走り回り,跳び,ボールを追う生徒とともに,車椅子の生徒もいます。堀川高校3年生249人。 一人ひとりにとっての,高校最後の球技大会でした。

 高校生らしさ……ひとりの高校生が成長する過程では,輝きや熱を発することもあれば,迷いや揺れにさらされ深く沈むこともあります。しかし,たとえどうであったとしても,どんなときでも,若い人たちにはまぶしい可能性が内包されています。
 高校生と一口に言っても,実にさまざまです。ひとりの高校生も,日によって,その時々によって,場面によって変わります。
 高校生らしさ……生徒たちを見ていて,「100メートル全力疾走」という意味は,自分自身に対してまっすぐに生きていくということか,と思いました。

                                ……… 荒瀬克己

三つの約束−2−

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 前回に続いて,「三つの約束」の2回目です。残りの二つをご紹介します。

<入学式の式辞から−4−>
 第二は「学校は小さな社会だ」ということです。集団の中で自己を見つめ,他者を理解する場。当然ルールがあるし,マナーも必要です。
 堀川をよりよい社会にするための責任を,みんなが共有しています。君たちは場と状況を把握し,意識した行動をとるように努めなさい。私たちは,大きな子どもではなく小さなおとなとして,君たちに対応します。
 第三は「学校は楽しいところだ」ということです。本当に楽しいというのはどういうことかについて考えなさい。楽しさは待っていて与えられるものではありません。行動することによってつくるものです。ほんものの楽しさを得るために,自ら参画し,参加する姿勢をもちなさい。私たちは,君たちの個性を尊重して,見張ることはせず見守ります。
 小さな社会である学校を本当に楽しいものにするためには,自分がどうすればよいのかを考えてください。
 いま確認しておきたいことは,堀川高等学校という学校はこれまでの歴史の中に確かに存在してはいるけれども,君たちにとっての堀川高等学校はまだ何もない,ということです。それは,君たちの先輩である11期生についても,12期生についても同様です。入学から現在までの2年間や1年間は具体的ですが,これからについては定まっていません。
 諸君,君たちが動かない限り,君たちが創らない限り,ここには空っぽの空間と単に流れ去る時間があるだけだということを認識してください。
 君たちの先輩たちは,それぞれが自分たちの堀川を築いてきました。それによっていまの堀川があります。ではその堀川が君たちを成長させるのかというと,必ずしもそうではありません。いまある堀川によって君たちがつくられるのではなく,君たちによって君たち自身の堀川がつくられ,そのことによって君たちそれぞれの成長や成熟が可能となるのです。このことを忘れないでください。
 学校教育法第51条に,高等学校教育の目標が示されています。 そこには,「社会において果たさなければならない使命の自覚」であるとか,「個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度」といったことが書かれています。
 自分自身の個性をより一層開発するとともに,自分の学校をよりよくするためにはどうすればよいかを考えてください。そのために健全な批判力を養ってください。そしてそのことを通して,社会の発展とは何かを考え,社会における自分の役割について考え続けてください。

……………………………………………………

 先々週に,“responsibility”という言葉を紹介しました。
 私自身が自分の役割は何だろうかと思い惑いますので,生徒にも,教職員にも,あなたの役割は何かと問うことがしばしばあります。
 堀川のメインメッセージは,「すべては君の『知りたい』から始まる」。特に若い人たちには,自分の「〜たい」を見つけようとしてほしいと願っています。
 少なくともそうすることが,生徒それぞれの,自分自身に対する重要な役割であると思います。そして,堀川として欠かせない役割の一つは,その取り組みをしっかりと支えることです。
 果たせているか。問いかけは尽きません。

 「長い」というご指摘をいただき,今回は少し短くしました。
 いろいろなお声を頂戴し感謝します。
 まだ4回目ですが,三日坊主で終わらずにホッとしています。
                               ……… 荒瀬克己

三つの約束−1−

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 毎年,入学式で「三つの約束」をすることにしています。

<入学式の式辞から−3−>
 諸君,三つの約束をしたいと思います。
 第一は「学校は学びの場だ」ということです。人は,足りないものがあるから,不十分だから,学びます。失礼ながら,君たちは若くてまだまだ不十分です。自分はまだ足りないのだということを自覚して,学ぶ者としての謙虚さをもちなさい。私たちは君たちの現状を受けとりはしますが,そのままを肯定はしません。なぜならば,私たちは,君たちの可能性を肯定するからです。可能性を肯定して,君たちに,学ぶための多様な機会を提供します。
 堀川高校の校訓は「立志・勉励・自主・友愛」。
 立志……自らを愛し,可能性を信じて開拓し,目標を高く掲げ,その実現に向かって取り組む。
 勉励……謙虚であることと懸命に努力を重ねることの大切さを知り,困難に立ち向かう姿勢を培う。
 自主……自らを見つめ,じっくり考え,正しい批判力と判断力を養い,責任をもって行動する。
 友愛……自分のまわりの人やものを大切にするとともに,想像力を高め,他者を思いやる。
 校訓の示すところは,自立の精神です。この校訓を日々の指針として,ものごとに真正面から取り組んで,自立に向かって学んでください。
 人間は取り組みを通して成長します。言い換えれば,取り組まない限り何も獲得できません。
 取り組むために必要な道具は,まずは言葉です。言葉を豊富にし,正しく使い,他者とも自分自身とも向き合って学び,自分を大きくしていってください。

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 堀川の校訓は,昭和60(1985)年当時に校長(高等学校第11代)であった故多田孝敏先生が考案されたものです。多田先生は,温厚にして威厳のある方でした。
 この年に京都府の公立高校普通科に類型制が導入され,入試制度が大きく変更されました。それを機に,各校で校訓が見直されたり,新たに制定されたりしました。思えば,現在も続く公立高校の,特に普通科の特色化が始まったのはこのころからでした。
 当時の堀川に校訓はありませんでした。そこで多田先生が堀川の教育指針を「立志・勉励・自主・友愛」の四語にまとめられたのです。その後平成11(1999)年に,式辞で述べているような解釈を行って現在に引き継がれています。

 ところで,「四校会」で交流している奈良県立奈良高校には,現在に至るまで校訓がないそうです。HPを拝見すると校訓の欄がありますが,「奈良高校には校訓がありません」と書いてあります。
 「四校会」とは,奈良高校のほか滋賀県立膳所高校,兵庫県立姫路西高校,そして堀川の四校で交流するための集まりです。年に2回まわり持ちで各校を会場にして,生徒の進路希望実現を中心テーマに授業の改善や学校経営について話し合っています。今年度の第1回は,三校をお招きして6月29日に堀川で開催します。

 話を元に戻しますと,実は堀川には校訓のみならず校歌もありませんでした。校旗も今とは異なります。
 現在の校歌(HPをご覧ください)と校旗は,昭和55(1980)年につくられたものです。そのころ私は堀川にいませんでしたので聞いた話ですが,当時の育友会(PTA)が校歌制定を提案し,教職員が検討して職員会議で決めたそうです。校旗もまた,そのときに作られました。
 それまで入学式や卒業式はもちろん,野球部がセンバツで甲子園に行って勝ち進んだときにも,生徒たちが歌ったのは生徒歌『緑なす森に』(こちらもHPをご覧ください)でした。いまも昭和54年卒業までの同窓会に伺うと,懐かしく歌われる生徒歌の大合唱を聞くことができます。

 校旗はと言うと,昭和52(1977)年度に常勤講師として1年間在職していた私が見た校旗は,現在使用している「えんじ色と白色のダブルHの校章」が,確か金糸と銀糸で刺繍されて浮かび上がっていたように思います。旧校舎の講堂にも「ダブルH」の校章が縫いこまれていましたし,校長室のソファーカバーにも白糸で刺繍されていました。
 昭和23(1948)年に新制高校として開校した翌24年,生徒から公募した校章デザインを投票で決める際に,第1位となったものと第2位となったものが僅差であったことから,前者を校章とし,後者を襟章(バッジ)に決定したということを,当時在籍していた方から伺いました。
 校章は,当時制服であった男子の学生帽に。いっぽうバッジは男女ともに使用しました。まもなく通学時の服装が自由になり,多くの生徒が私服を着用するようになって,帽章は学生帽とともに使われなくなり,バッジのみが受け継がれていきました。そのバッジのデザインがえんじと白の「ダブルH」で,いま堀川の「校章」となっているものです。私服時代の堀川では,「バッジをつけること」という校則がありました。

 私が34年前に見た校旗は,いまはありません。現在,式場に掲揚しているものは昭和55年に作られた,かつて投票で1位であった,堀川の「堀」をデザインしたものです。
 学校要覧には「堀」と「ダブルH」を,「校章」として二つとも載せています。そんな例は少なかろうと思いますが,それはこのような歴史に由来しています。

 さて,堀川が制服(HPで紹介しています)を導入したのは,現在の校舎で再出発をした平成11(1999)年からです。デザインは当時の私服の在校生の投票で決めました。以来13年間ずっと同じデザインです。エンブレムはありませんが,制服のボタンに,「ダブルH」が写し込まれています。
 制服導入でバッジは不要になりましたが,かつて使われていたえんじと白の「ダブルH」のバッジをつけている生徒に会うことがあります。生徒会執行部員か,全国大会に出場した生徒です。
 あるとき,残っていたバッジを見つけた生徒会執行部の生徒がほしいと言うので渡したら,それを見て自分もつけたいという生徒が後を絶たず,それ以来,生徒会執行部員とさまざまな全国大会に出場する生徒に授与する,という不文律ができあがりました。
 いまもなお,堀川の生徒の襟もとに輝くえんじと白のバッジを見ることができます。
                               ……… 荒瀬克己

responsibility〜2011年6月7日

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 6月6日現在の警察庁のまとめによれば,東日本大震災の被災者数は,死者15,373人,行方不明8,198人,避難は98,303人に及びます。
 2011年3月11日という日は,少なくともこの国に住む人にとっては長く忘れられない日になることでしょう。1995年1月17日がそうであったのと同様に,いやそれ以上に,私たちにとってその意味の大きさは最初よくわかりませんでしたが,徐々に全容が明らかになるにつれて,驚愕の事実として否応なしに受け入れざるをえないものとなってきています。
 二度と元に戻ることはありませんが,少しでも悲しみが癒され,生活が安定し,安心できる日常が回復するよう,そのために政治と科学技術をはじめとした,わが国のすべての力が正当に注がれるよう,心から願うものです。

<入学式の式辞から−2−>
 開式の冒頭,3月11日に東北関東で起きた東日本大震災で亡くなられた方々に黙とうを捧げました。新聞報道によれば,4月7日時点で亡くなられた方は12,690名,いまも安否の分からない方は17,026名いらっしゃいます。その数はあまりにも多く,想像することは困難です。単純な比較は慎まなければなりませんが,1995(平成7)年1月17日の阪神淡路大震災の死者は6,434名,行方不明は3名でした。
 2005(平成17)年4月25日に起こったJR西日本福知山線の脱線事故では107人が亡くなり,562人が負傷されました。その事故の後,君たちの先輩である6期生の一人の書いた文章が京都新聞の投書欄に掲載されました。タイトルは「数字の向こうにあるもの」。数が多いとか少ないとかといったことが取りざたされるが,その数字はすべて「1」が積み重なったものであり,その「1」の向こうにはそれぞれの生活があって,家族が,友人が,恋人が,また,夢や希望や仕事や会話や約束や楽しみや,さまざまなことがあったんだ。それらが事故によって永遠に失われてしまったんだ,というような内容でした。
 3月19日に,このアリーナで終業式を行いました。卒業した10期生の代表が,2月22日に起きたニュージーランド・クライストチャーチの地震の被災者に義捐金を送ったという報告をして,後輩たちに,東日本大震災の被災者の方たちへの支援を託しました。その際に彼らは,「実際に行ってみて,見知らぬ土地に暮らす人たちにも日常生活があることを知った」と言いました。
 4月1日から国土交通省で働くことになった4期生は,東京に行く前に挨拶に来てくれて,「この国の将来のために,この国で暮らす,すべての人の幸福のために,一生懸命勉強して自分の心と力を尽くしていきたい」と語りました。
 君たちの多くは阪神淡路大震災の1995年に生まれ,東日本大震災の2011年に高校生になりました。そのことに運命を見よとは言いませんが,そういう事実の中で君たちがこれまで生きてきて,これからもまた生きていくということについて,よりよく生きていくということについて,思いを新たにしてほしいと思います。 
 いま,わが国は非常に困難な状況にあります。
 目を凝らし,耳を澄まして,わが国の状況を,正確に見つめ考えてください。とてもつらいことですが,昨夜もまた,東北地方で大きな地震がありました。復旧に向けて歩み始めた人たちや,文字通り命がけで取り組んでいる人たちがいる前で,自然は厳しい表情を変えてくれません。いまこの時間においても,多くの心配や不安があり,無数の悲しみが続いています。
 どうすれば,人間が幸福によりよく生きることができるのか。このことは人類の課題です。科学や宗教や政治が,それぞれの立場から答えを出そうとしていますが,残念ながらいまだに解決できていません。
 しかし,落胆してはいけません。常に希望はあります。いや,むしろ希望をしっかりと抱きましょう。ただし,希望は,偶然には叶えられません。いのちを大切にする平和で豊かな社会も,幸福も,よりよく生きることも,具体的に取り組み続けることによってのみ実現します。
ではどう取り組むのか。それを考えるためにこそ学ぶのです。

……………………………………………………

 なれなれしい言い方で申し訳ありませんが,大阪大学総長の鷲田清一先生は実にすてきな方です。毎年生徒に話していただいています。哲学を生活に活かす,示唆に富んだ講演会です。今年は7月26日に来ていただく予定です。
 あるとき鷲田先生が,“responsibility”という語を単に「責任」と訳すのではなく,「自分が引き受けるべきつとめ,役割」と考えるほうがよいとおっしゃいました。しなければならない義務とは解釈しないで,自分が引き受けることのできる,自分がそうすることによって他者や社会とどう関わるかを形づくっていく役割,というように考えてはどうかということではないかと思います。
 高校生の一人としての役割,仲間の中での役割,家族の一人としての役割,仕事における役割,社会の一員としての役割等々,役割も時と場面によってさまざまです。
 自分の役割とは何だろうか。このことは私たちにとって,根本的でまじめな,少し重い問いかけです。その問いかけに思いをめぐらせ,自分の言葉と行動で丹念に答えていく……それが生きることであり,そのために学ぶのではないか。
 ただし,容易に答えは見つかりません。鷲田先生はこうもおっしゃっています。疑問を抱き続けること。それもまた「大切な力」だ。
 
                                ……… 荒瀬克己

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行事予定
2/3 一斉清掃
2/4 PST(9:30〜16:00)
1年:学研ハイレベル模試,2年:進研プロシード模試
2/6 スクールカウンセラー来校日
2/7 適応マラソン大会(雨天時:金曜授業,一斉清掃)
2/8 3年I類追試
京都市立堀川高等学校
〒604-8254
京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622-2
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FAX:075-211-8975
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