最新更新日:2024/06/04 | |
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8月(葉月) 猛暑によせて
8月の京都は「猛暑」の印象があります。盆地特有の気候で,夏は蒸し暑く,冬は底冷えがする京都。温暖化が進んだ現在では,最高気温が35度以上の日も珍しくなくなりました。
暑い夏を少しでも涼しく過ごすため,「打ち水」や「風鈴」,「団扇」など日本ならではの風情を感じさせる昔からの知恵がたくさん伝わっていました。しかし,都市化が進んだ現在の京都の街ではエアコンでの冷房が当たり前となりました。五感を通して涼をとる生活の知恵が失われていくのは淋しいかぎりです。これだけ温暖化が進んでしまうと,昔の生活に戻るのは,やはり厳しいのかもしれませんが・・・。 また,お盆の京都に欠かせないのが「五山の送り火」。夏の夜空に赤々と燃える「大文字」の火を見ると,先祖の精霊を送る心と共に過ぎゆく夏を惜しむ心が浮かび,切ない思いにさせられるものです。夏の終わりを告げる風物として,今でも京都の街に住む人々の心に生き続けています。 学校は,夏休みの真っ最中。それでも毎日,たくさんの子どもたちを見かけます。プールに来ている子。部活動に来ている子。児童館の学童保育に来ている子。向かいの公園で遊んでいる子。子どもたちの元気な顔が夏の陽射しを浴びて輝いています。やはり子どもたちの夏は本来こうあるべきだと思います。 快適な生活に慣れきってしまった私たち大人。今,私たちはそんな快適な生活に子どもたちまでを巻き込んでしまっています。そして,ストレス耐性のない人間をたくさん生産してしまっているような気がして仕方ありません。今一度私たちの生活を見直してみる必要があるようです。 8月の歌 考えて飲み始めたる 一合の二合の酒の夏の夕暮れ 若山 牧水 旅と酒をこよなく愛した歌人。若くして詠んだ短歌であるが,老成した感じが漂う。独り杯を口に運ぶその姿。やはり浴衣が似合うと思ってしまうのは日本人の感覚なのか。日本の夏が香りだしそうな夕刻の風景。 閑かさや 岩にしみいる 蝉の声 松尾 芭蕉 「奥の細道」所収。山形の立石寺で詠んだ俳句。やかましいまでの蝉時雨に閑かさ感じる詩人の魂が素晴らしい。この蝉の声,はたして何ゼミの声が似合うのか。学者の説はさておき,読み手の想像にゆだねられる部分。俳句という短い詩形ゆえ,読み手の想像をかきたてずにはおかない。 |
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