京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/03
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毎日午前8時30分から「朝活動」の時間を設定しています。8時30分までに登校できるようお願いします。

「錦林ギャラリーの二人の大先輩から,そして 」

「錦林ギャラリーの二人の大先輩から,そして 」

 錦林ギャラリーには,本校に在席されていた,2人の大先輩のお写真とそのご著書が展示されている。朝永振一郎さんと桑原武夫さんだ。朝永さんはノーベル物理学賞を受賞された科学者として,桑原武夫さんはフランス文学や文化の研究者として知られている。
二人の著作が展示されてからどれくらいの年月がたつのだろうか,今の私には想像がつかないが,かなりの年月が経過していることは確かだろう。著作は,長期間手に取られたこともなく,埃がかぶっている。これは致し方のないことで,小学生向けの書籍では決してないし,表紙に興味を引く挿絵があるでもなく,黒い漢字の活字が並んでいるだけなのである。しかし,これらの著作の内容は実に豊かであり,子どもたちが大人への歩みを続けるどこかの時点で,手にとり読んでほしいと,切に願う。
 その中に,「鳥獣戯画」と題した,エッセーがある。「鳥獣戯画」とは京都市右京区栂尾(とがのお)にある古刹「高山寺」に伝わる絵巻物である。朝永先生はこの絵巻物がほしくてたまらなかったそうだ。その複製が販売されるや,早速それを購入され,時間をかけて鑑賞されたそうだ。猿やら兎やら蛙やら,様々な動物たちが生き生き躍動する様を,楽しまれたらしい。そのことをエッセーとして記されている。登場人物の様子を,科学者の目で見据え,その活写されている様子を文章にされている。実は,6年生の教材に「『鳥獣戯画』を読む」として高畑 勲さんが書かれた教材文がある。高畑さんと言えば,映画監督であり,「おもいでぼろぼろ」などのジブリ作品を手掛けた人である。この教材での学習後,6年生に朝永先生が書かれた文章を読ませたいと思っている。


 桑原先生には,「文学入門(岩波新書)」という,が昭和25年に出版された著作がある。また,読書や書物に関する著作もたくさんある。絵本に関して自らの体験を書かれた著作もある。それらの文章の中に,桑原さんの読書や本に関する考えが記されたものがある。その錦林校の大先輩の言葉から,「読書の秋」に因んで,読書について考えてみたいと思う。
 全集第7巻に『読書』という一文がある。そこに桑原さんは,読書について11項目を取り上げて書かれている。その中の数項目を以下に紹介したい。
1. 読書はコミュにケーションの有力な,しかし一つの形式にすぎず,人間形成にはそれのみでは不十分であること
2. 経験をおろそかにする読書は無効であること
5. 問題意識をつねに多く,鋭くもて
6. 読んだことを話合うこと
8. カードをつくれ   「桑原武夫全集第7巻『読書』P.387から引用」
 よく大人が口にする「読書をすれば,頭が……」「読書をしないから,言葉が……」のようなことは,一切書かれていない。これらの箴言から私たちの読書生活を,また子どもたちへの読書の薦め方を振り返ってみたい。
読書は楽しみであり,知的好奇心を満たすものである。子どもたち自身が楽しんで読書をすること,知りたい・調べたいことから書籍を手にすることを大切にしたい。

 ところで,桑原先生の著述に「第二芸術論」がある。これは,短歌と俳句について書かれている文章だが,俳句のことをかなり批判的に書かれているらしい。いわば,俳句を否定的にとらえるような内容だと。多くの俳人や研究者から,反論がでたらしいが,その一人に,山口誓子さんがいる。山口誓子と言えば,俳人として著名であり,神戸大学にはその記念館がある。以前の小学校国語の教科書にも「スケートの ひもむすぶまも はやりつつ」という一句が掲載されていた。この句と授業の中で出会った人もたくさんおられることだろう。
 この山口誓子さんも,なんと,錦林小学校に通学されていた。小学校1年生から2年生の秋まで在校されていたのだ。学校の東側,福ノ川に住まいされていたと,自ら文章に書かれている(私の履歴書 文化人 3日本経済新聞社 1983)
このことを知った時の驚きはとても大きかった。たくさんの先輩方を一つの目標としながら,「伸びゆけ 錦林の子ら」と励まし続けたい。


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