最新更新日:2024/09/20 | |
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「錦林ギャラリーの二人の大先輩から,そして 」
「錦林ギャラリーの二人の大先輩から,そして 」
錦林ギャラリーには,本校に在席されていた,2人の大先輩のお写真とそのご著書が展示されている。朝永振一郎さんと桑原武夫さんだ。朝永さんはノーベル物理学賞を受賞された科学者として,桑原武夫さんはフランス文学や文化の研究者として知られている。 二人の著作が展示されてからどれくらいの年月がたつのだろうか,今の私には想像がつかないが,かなりの年月が経過していることは確かだろう。著作は,長期間手に取られたこともなく,埃がかぶっている。これは致し方のないことで,小学生向けの書籍では決してないし,表紙に興味を引く挿絵があるでもなく,黒い漢字の活字が並んでいるだけなのである。しかし,これらの著作の内容は実に豊かであり,子どもたちが大人への歩みを続けるどこかの時点で,手にとり読んでほしいと,切に願う。 その中に,「鳥獣戯画」と題した,エッセーがある。「鳥獣戯画」とは京都市右京区栂尾(とがのお)にある古刹「高山寺」に伝わる絵巻物である。朝永先生はこの絵巻物がほしくてたまらなかったそうだ。その複製が販売されるや,早速それを購入され,時間をかけて鑑賞されたそうだ。猿やら兎やら蛙やら,様々な動物たちが生き生き躍動する様を,楽しまれたらしい。そのことをエッセーとして記されている。登場人物の様子を,科学者の目で見据え,その活写されている様子を文章にされている。実は,6年生の教材に「『鳥獣戯画』を読む」として高畑 勲さんが書かれた教材文がある。高畑さんと言えば,映画監督であり,「おもいでぼろぼろ」などのジブリ作品を手掛けた人である。この教材での学習後,6年生に朝永先生が書かれた文章を読ませたいと思っている。 桑原先生には,「文学入門(岩波新書)」という,が昭和25年に出版された著作がある。また,読書や書物に関する著作もたくさんある。絵本に関して自らの体験を書かれた著作もある。それらの文章の中に,桑原さんの読書や本に関する考えが記されたものがある。その錦林校の大先輩の言葉から,「読書の秋」に因んで,読書について考えてみたいと思う。 全集第7巻に『読書』という一文がある。そこに桑原さんは,読書について11項目を取り上げて書かれている。その中の数項目を以下に紹介したい。 1. 読書はコミュにケーションの有力な,しかし一つの形式にすぎず,人間形成にはそれのみでは不十分であること 2. 経験をおろそかにする読書は無効であること 5. 問題意識をつねに多く,鋭くもて 6. 読んだことを話合うこと 8. カードをつくれ 「桑原武夫全集第7巻『読書』P.387から引用」 よく大人が口にする「読書をすれば,頭が……」「読書をしないから,言葉が……」のようなことは,一切書かれていない。これらの箴言から私たちの読書生活を,また子どもたちへの読書の薦め方を振り返ってみたい。 読書は楽しみであり,知的好奇心を満たすものである。子どもたち自身が楽しんで読書をすること,知りたい・調べたいことから書籍を手にすることを大切にしたい。 ところで,桑原先生の著述に「第二芸術論」がある。これは,短歌と俳句について書かれている文章だが,俳句のことをかなり批判的に書かれているらしい。いわば,俳句を否定的にとらえるような内容だと。多くの俳人や研究者から,反論がでたらしいが,その一人に,山口誓子さんがいる。山口誓子と言えば,俳人として著名であり,神戸大学にはその記念館がある。以前の小学校国語の教科書にも「スケートの ひもむすぶまも はやりつつ」という一句が掲載されていた。この句と授業の中で出会った人もたくさんおられることだろう。 この山口誓子さんも,なんと,錦林小学校に通学されていた。小学校1年生から2年生の秋まで在校されていたのだ。学校の東側,福ノ川に住まいされていたと,自ら文章に書かれている(私の履歴書 文化人 3日本経済新聞社 1983) このことを知った時の驚きはとても大きかった。たくさんの先輩方を一つの目標としながら,「伸びゆけ 錦林の子ら」と励まし続けたい。 夏休みが終わって
処暑が過ぎ,秋の気配を感じるようになりました。今夏は,猛暑日の連続,そして各地でゲリラ的な集中豪雨が起こり,気象庁からは「命を守る行動を取ってほしい」などと最大級の警戒が呼びかけられました。今月末からは「特別警報」が出されるようになるとも報道されています。
さて,夏休みがあけ,前期の再開。学校が始まりました。休み明けの26日には,子どもたちが,手に手にこの夏にやり上げた課題を持ち,元気よく登校してくれました。体育館での全校集会の後,それぞれの学級で友だちや先生との久しぶりの再会。笑顔が弾んでいました。 「学校が始まる」ということは,「先生や友達と再会できる」ことであり,また,「学んだり,活動したり,遊んだりできる」ことでもあり,子どもたちにとっては素晴らしい学びの場が開かれることでもあります。このことを喜びとして,足取りも軽く学校に登校してほしいと考えています。ご家庭や地域の皆さんからも,そのような思いで,子どもたちを学校に送り出していただければと願っています。 夏休み明けから,第二図書館がオープンしました。今までの学校図書館の向かい側の教室です。日本十進分類で紹介すると「9分類(文学)」に当たる図書資料を配架し,“読書センター”としての機能を持たせました。これまで使っていた学校図書館には,「9分類以外」の図書資料を配架し“学習・情報センター“としての機能を持たせました。今後,子どもたちが,授業や休み時間に,読者や調べ学習等でどんどん活用していくことを期待しています。 ところで,秋の気配を感じるとは言え,まだまだ,きびしい暑さが残ると予想されます,ご自愛いただくとともに,錦林教育伸展のためにご協力・ご支援をよろしく,お願いいたします。 紙の音 鉛筆の声 蝉しぐれ
8月1日(木) 旧暦のこの日は「八朔」と呼ばれていた。
紙の音 鉛筆の声 蝉しぐれ 夏休みの朝,九時になる前には子供たちが教室に詰めかけている。 その教室に向かおうと,階段を上がるとき,廊下を歩く時,どこからも大きな音や声さえも聞こえてこない。 どうしているのだろうと,教室のドアを静かに,静かに開けると,プリントやノートをめくる紙の音が聞こえてくる。そして,そのあとを追うように,鉛筆を走らせる音が,リズムよく聞こえてくる。ドアの間から,エアコンの冷気とともに,コツコツ,コッコッ,シュッシュッと文字や数字を書く音が小気味よく聞こえてくる。 学習会,夏の学習会が錦林校には定着している。ほぼ全員が登校している学級もある。大体は8割くらいだろう。それにしても,この集中力には驚かされる。 子どもたちに聞くと,学校でやる方が勉強が進む。先生にすぐに尋ねることができる。早いうちに夏休みの課題を済ませてしまいたい。もう,半分くらいできたなどと,様々な声が返ってきた。 夏休みがスタートし,序盤,30日までの子どもたちの姿だが,とても好ましい様子を見せている。 こんな様子を見ていると,つい,もっともっとと考えてしまう。 たくさん,読書をしてほしいと。自由研究にも取り組んでほしいと。 夏休み前に子どもたちは一人三冊までの図書を借りている。すでに読んだかもしれないし,その最中かもしれない。読書に夢中になる時間をたくさん持ってほしい。 読書とは,楽しいから読むのであり,面白いから次々と本を手に取るのである。読書を通して様々な人物との出会いがある。様々な事件や事象,世界との遭遇もある。もちろん,たくさんの知識に驚くことも多いだろう。 一冊の本との出会いがその後の人生に大きな影響を与えたという話はよくある。私自身も,この一冊の本との出会いがなければ,今の自分とは違った道を歩んでいたかもしれないと,思う一冊がある。 「本を読めば賢くなる,知識が増える,だから読書は大事だ」という人がいる。確かにそうかもしれないが,だから,本を読みなさいと子どもたちには決して言いたくない。 本は面白いから読む。ただそれだけなのだ。 錦林校の子どもたちが,自分だけの一冊の図書との出会い,そんな体験のできる夏休みであってほしいと願う。 (※夏の学習会は,30日まで) |
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