京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/11
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学園教育目標 「自らを高め 共に生き 希望を抱いて未来を拓く」

風を凌いで 7月31日(1学期終業式)

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 本日(7月31日)4限に,令和2年度1学期の終業式を放送で行いました。本来ならば,大体育館に1〜9年の学園生と教職員が集まり,それぞれが頑張った1学期を振り返りながら行うところでありますが,今回はコロナウイルス感染拡大防止対策のため,各教室で放送を聞く形で行いました。
 6月1日の学校再開から約2か月間,「新しい生活様式」と言われる約束事を守りながら,学園生の皆さんは本当によく頑張りました。明日からいよいよ夏休みです。いつもより短い夏休みの期間ですが,自分にとって「有意義な23日間」にして欲しいと思います。
 保護者や地域の皆様には,休校期間を含め,学校再開後の凌風学園の教育活動に多大なるご理解・ご協力をいただき,心より御礼申し上げます。明日から夏休みに入ります。学園生が各ご家庭や地域で過ごす時間が多くなる中,休み中の生活を見守っていただきながら,引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止をふまえた日々の生活においても,ご協力をいただかなければなりませんが,何卒,よろしくお願い申し上げます。2学期も教職員一同精一杯取り組んでまいりますので,今後も凌風学園の教育に,ご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

 以下,放送による終業式での話です。

 1学期の最終日を迎えました。終業式の話の前に,学園生のみなさんと思いを共有しておきたいことがあります。この6月,7月は全国各地で記録的な大雨が降りました。その中で,皆さんの記憶にも新しいと思いますが,熊本県の球磨川や山形県の最上川では豪雨による河川の氾濫で,亡くなられた方や行方不明になられた方が多数おられたのをはじめ,家屋の浸水など甚大な被害がありました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに,そのご家族や被災された方々に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。そして一日も早い復興をみんなで願いましょう。
 では,終業式の話を始めます。6月1日から学校が再開となり,この2か月間,コロナウイルスに負けないように,「新しい生活様式」と言われている約束を守り,皆さんは本当によくがんばりました。いよいよ夏休みがやってきます。今年は,コロナウイルスによる臨時休業期間の影響で,例年より短い23日間の夏休みです。それぞれのステージ・学年・学級によって目指す目標や目的に違いはありますが,自分にとって「有意義な夏休み」にしてほしいと思います。
 さて,第2,第3ステージに配布する「夏休みのしおりに」も書きましたが,今年の夏休みのキーワードとして,「雨だれ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」ということわざを紹介しました。雨だれとは,雨の日に屋根の瓦から下に落ちるしずくのことです。私たちが,屋根の瓦からぽとんと落ちてきた水滴を手のひらで受け止めたとしても,痛みを感じたり,けがをしたりすることはありません。そんな雨だれのしずくが石に穴をあけるのです。屋根から落ちた雨だれのしずくによってその下にある石に穴ができるまでに,一体どれほどの長い年月がかかるのか,想像もつきませんね。
 このような出来事から「雨だれ石を穿つ」ということわざが生まれました。「穿(うが)つ」というのは,「穴をあける」とか「掘る」という意味です。つまり,「雨だれが, かたい石にも穴をあけるように,どんなに小さな力でも,根気よく続けていけば,いつかは成果が表れる」という意味です。
 短い夏休みですが, 何か一つ目標を決めて,その達成に向けて毎日努力を積み重ねましょう。その努力が必ず成果につながります。もちろん,努力を積み重ねていても,うまく進まないことや,すぐには成果が表れないこともあります。そんなときは,このことわざを思い出してください。たとえ夏休み中に目標が達成できなくても,夏休みに積み重ねてきた努力を,2学期,3学期と続けることで,必ず目標の達成やその先にある夢や希望の実現につながります。「雨だれ石を穿つ」,これが今年の夏休みのキーワードです。
 夏休み中はチャイムのない生活です。目標に向かって,自分の1日の生活の計画をしっかり立て,「あせらず」「あまえず」「あきらめず」努力を積み重ねていきましょう。
 さらに,夏休み中,皆さんに必ず実行してほしいことが3つあります。
 1つめは「早寝,早起き,朝ご飯」です。お家の方にも協力してもらって,これを毎日続けてください。学校があるいつもの生活リズムと同じように,規則正しい生活を送ること,これが1つめに実行してほしいことです。
 2つめは「自分の命と人の命を大切にする」行動をとることです。まず命につながる体の部分では「交通事故や海や川での水の事故に十分気をつけて行動すること」です。そのために決まりやルールをしっかり守りましょう。また,命につながる心の部分では「自分が言われたりされたりしていやなことは人にも言ったりしたりしないこと」です。そのためにはいつも相手の立場に立って考えることが大切です。特に最近ではスマートフォンやインターネットといったSNSの普及で,いつでも,どこでも,だれとでも言葉のやりとりができる時代です。相手の顔が見えない中での言葉のやりとりから,トラブルになり,大きな事件に発展することも起こっています。そうならないように,常に相手の立場に立って言葉を発することが大切です。
 自分にとって一番大切なのは自分です。周りの人もみな同じ思いです。どうか自分を大切にするのと同じように人を大切にしてください。お互いがそんな思いで接すれば,自分も含めてみんなが大切にされるのです。
 3つ目は「てまきずし」と健康観察です。「また明日」といえる学校生活がようやくもどってきてから2か月が経ちました。しかし,現在の新型コロナウイルスの感染状況をみると,決して安心できない状態が続いています。ようやく戻ってきた今の生活を続けるために,「新しい生活様式」と言われている約束をこれからもしっかり守っていくことが必要です。新型コロナウイルス感染症から自分を守るために,相手を守るために,新生活の合言葉「てまきずし」を続けてください。
「て」は手洗い・うがい 
「ま」はマスクをつける 
「き」は密にならないように人と人との間の距離をあける 
「ず」はこれらのルールを守りながらずっと生活する
「し」は,「コロナウイルスの終息(しゅうそく)をめざして,みんなで力を合わせてがんばることです。
そして,夏休み中もこれまで毎日続けてきた健康観察を続けてください。「てまきずし」と健康観察を毎日実行すること。これが3つ目です。
 それでは今日のお話のおさらいです。
 夏休みのキーワードは「雨だれ石を穿つ」必ず実行することの1つ目は「早寝・早起き・朝ご飯」2つ目は「自分の命と人の命を大切にする」3つ目は「てまきずし」と「健康観察」を続けることです。
 それでは,夏休み明け,8月24日の2学期始業式に,皆さんが,ひとまわり成長したまぶしい姿を見せてくれることを期待して,私の話を終わります。

風を凌いで 7月27日

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 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,中学校や高等学校の部活動における様々な大会やコンクール等が中止となる中,生徒の心情をふまえ,各地で感染防止対策に取り組みながら,それらに代わる大会等が行われていることを新聞やニュースで見聞きします。皆で掲げてきた目標を目指して挑むことはかなわなくなっても,「仲間とともに活動できる喜び」をかみしめながら,これまで積み重ねてきたことを大切にし,新たな目標を掲げて,それぞれの「夏」に挑んでいる中学生や高校生の姿には本当に胸が熱くなります。そして,そんな中高生の姿から,「心のあり方」と「心構え」について改めて考えさせられました。今日は「心のあり方」について自分が思い起こしたお話を紹介します。それは,吉田松陰(よしだ しょういん)のお話です。
 吉田松陰といえば幕末の動乱期,私塾「松下村塾」で,後の明治維新で重要な働きをする多くの若者に思想的影響を与えた人物です。「松下村塾」は八畳一間の私塾で,そこからわずか1年と1ヶ月の間に80名近くの弟子の中から,5〜6人がヨーロッパに留学し,伊藤博文や山縣有朋など後の総理大臣まで輩出した幕末の「奇跡の学校」です。松下村塾が「奇跡の学校」と言われるゆえんは,後の塾生の活躍もさることながら,決して学問に長けた人材ばかりを集めたような塾ではなかったということです。塾生の中には武士もいれば農民や商人など,多種多様な職に携わる人々や経験の持ち主がいたという事実です。
 では吉田松陰は一体塾生達に何を教えたのか?!それはたったひとつのこと。「自分は何の為に生まれてきたのか。自分の長所を世の中の為にどう活かすのか。」ということでした。つまり「心のあり方」を問い,自分の「心構え」を明確にさせたのです。何事も「心のあり方」さえぶれなければ,「やり方」はいくらでも見つかるもの。つまり,目的をもって取り組むことに失敗や無駄は一切ないということです。もちろん,うまくいかないときもあれば,結果がすぐに表れてこないときもあります。しかし目的をもって取り組んでいることに失敗や無駄は一切ないとすれば,失敗や挫折もそれは何かを自分に教えてくれているのだと考えられます。そう考えれば失敗や挫折もまた自分を高め成長させることにつながる貴重な体験であり,成長できる時間となります。これが「時間を味方につける」ということです。
 私たちは,一生懸命やっていても,うまく物事が運ばないと「こんなことをしても時間の無駄ではないか?!」「これ以上やっても意味があるのか」などついつい愚痴をこぼしてしまいがちになります。けれども「無駄な時間」とは失敗や挫折にくよくよし,いらだち,時にその原因を自分以外のせいにしてしまうことではないでしょうか。そうすることによって,結局,せっかくの自分の成長の時間を自分で無駄にしてしまうのです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策によって,これまで通りに行えないことがたくさんあります。けれども,学園生の皆さんの様子を毎日見ていると,この1学期,学習や部活動をはじめ,さまざまな学園での活動に「心が『前』」で取り組んでくれていることを強く感じます。どうかその姿をこれからも続けてください。特に9年生は,いよいよ進路実現に向けて本格的に試練の時期に入っていきます。どんな状況に置かれても,「時間を味方につけて,心のあり方を大切に,目的を見失わずに」前へ進んでほしいと思います。目標はゴール,目的はベクトル(方向)です。目標は変わっても目的は変わりません。良い目的には終わりがありません。苦しくなったら,「何のために自分は頑張っているか」と自分の目的に立ち返ることです。進路でいえば,大切なことは,「合格」=「終わり」ではないということです。進んだ先でどれだけ自分を高めるか,学んだことをどう活かすかが大切です。勉強も部活動も,肝心なことは目標の先にあるものを決して見失わないようにすることです。それが,自分自身を高めるための「心のよりどころ(目的)」となります。学園生の皆さん,何事も自分のためになるという「心が『前』」で時間を自分の味方につけましょう。


風を凌いで 7月20日

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 6月1日の学校再開から1か月半が過ぎました。1学期も残すところ2週間となり,今週水曜日から1学期末の個人懇談会が始まります。懇談会では学園生活の振り返りを行います。学習面や生活面で自分のがんばれたところ,がんばれなかったところをしっかり振り返る中で,夏休みを含め,これからの目標を見据えて,具体的な取組を考えてほしいと思います。その際,学園生の皆さんには,ぜひ意識をしてもらいたいことがあります。それは自分の「強み」を生かすということです。「振り返り」や「反省」となると,どうしても出来ていなことや,頑張らなければいけないことなど「課題」ばかりに目が向いてしまいがちですが,課題を克服するためにも,今の自分がしっかりできていることや前向きに取り組めていることにぜひ意識を向けてほしいのです。今日はそのことにつながる話を紹介します。
 昨年度,日本で開催された第9回ラグビーワールドカップにおける日本代表チームの大活躍は皆さんの記憶にも新しいところですが,その4年前,イングランドで開催された第8回ワールドカップにおいて,日本代表チームがこれまでの日本ラグビーのイメージを一気に払拭し,世界にその実力を示した事実を忘れてはなりません。そのことを最も証明する試合が「奇跡の番狂わせ」とメディアで称された,1次リーグでの南アフリカ戦の勝利です。しかし,この勝利,実は決して「奇跡の番狂わせ」ではなかったという話です。
 ラグビーは競技の特性から考えて,基本的に体格の大きい選手がそろっている方が有利に働く競技です。ニュージーランドのオールブラックスやイングランドやウエールズといった6ネイションズとよばれるラグビーの盛んな諸外国のチームは実力も当然ありますが,日本代表チームより体格で勝るチームがほとんどです。もちろん日本代表チームの中には諸外国の選手にひけをとらない優れた個人の技能を備えた選手や並外れた体格と体力を備えた選手もいます。けれども,チーム総体としての力を比較したとき,日本代表チームを上回る力をもつチームが数多く存在しているのが現状です。ではそんな諸外国のチームに対して,日本チームが互角以上に渡り合うために何が必要であるか。そこでポイントになるのが「強み」を最大限に生かすことでした。具体的には,他国では簡単に備えることができない体力面や技術面における個人の力(フィジカルとスキル)とそれを全員が身につける組織としての力(チーム力)をつけることに焦点を当てたのです,それがまさしく,日本代表チームの「強み」が最大限に生かされる「戦術」とそれを実行するために必要な「練習」でした。もともと日本ラグビーの真骨頂は「俊敏さ」です。その「俊敏さ」を試合中終始継続させるためには,倒されてもすぐに起き上がりプレーを続ける「スタミナ(3秒以内に起き上がる)」が必要です。他国を圧倒的に上回るスタミナをつけるには練習しかありませんが,,その練習こそ,日本代表チームにしかできないことを監督,スタッフ,選手のすべてが自覚したのです。それが「勤勉さ」と「我慢強さ」いう,ある意味日本の国民性ともいうべき「強み」を前提にした練習です。例えば,都会で毎日満員電車に揺られ,早朝から自宅を出て,長い通勤時間をものともせず,働き続ける日本の社会人の姿は容易に想像できますね。日本のラグビー選手の大部分は社会人として働きながら,それぞれの会社等のチームに所属してプレーしています。日本代表チームはワールドカップに備え,4ヶ月間に及ぶ早朝練習をはじめ,「リロード」(倒されても3秒以内に置き上がり再度プレーをする)を体にしみこませる過酷な練習をチーム全員で繰り返しました。また体格でかなわない点は,体格の大きな2人の選手に対して常に3人で立ち向かう体勢を作り続ける練習も繰り返しました。「勤勉さ」と「我慢強さ」を要するこうしたひたすら地道な反復練習によって,試合では相手チームの体力を消耗させる,とぎれないプレーの連続が生み出され,その結果として,相手の隙をつくトライが数多く生みだされたのです。
 また,南アフリカチームはラインアウト(ボールが一旦フィールド外に出た後,ボールをフィールド内に投げ入れそのボールを取り合うことから試合を再開する)からトライ(得点)に結び付けるパターンが多いチームでしたが,その相手の強みを封じ込めるために,日本代表チームは90分間,出来る限りボールをフィールド外に出さず,プレーを継続させ,相手国に走り勝つ戦術を目論んだのです。こうして見ると,日本代表チームによる南アフリカ戦の勝利は決して「奇跡の番狂わせ」ではなく,勝利のために計算され尽くし,自分たちの「強み」を最大限に活かすことを考えた準備を徹底して行った末のものであったと言えますね。
 1学期の成果と課題をふまえ,自分の「強み」を生かしながら「弱み」を克服していく,そんな視点で,自分をレベルアップさせるために,夏休みやこれからの目標と取り組みを考えてみてはどうでしょうか。学園生の皆さん,自分の「強み」は何ですか?

風を凌いで 7月13日

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 毎朝,校門に立ってあいさつをしながら学園生の皆さんを迎えていると,「丁寧」に立ち止まってから頭を下げて挨拶をしてくれる学園生がいます。また,休み時間中の校舎内を回っていると,黒板消しを何度も何度も往復させて,授業後の黒板を「丁寧」に消してきれいな黒板にしてくれている学園生がいます。登下校時,エントランスで靴を履き替えた後,かかとを「丁寧」にそろえて下駄箱に入れている学園生がいます。日常生活の些細な行動をこのように「丁寧」に行うことを心がけている学園生の姿を見るととてもうれしくなります。
 さて,「丁寧」という言葉と相通ずる言葉として「至誠」という言葉があります。「至誠」とは,何事にも真剣に,本気で,誠実に取り組もうとする心のことです。
 今日は,日本におけるフランス料理の第一人者として語り継がれている三國清三(みくに きよみ)さんの「至誠を貫く」エピソードを紹介します。三國さんは中学校を卒業して,15歳で札幌グランドホテルの厨房に入り,天性の味覚と類い希なる調理の技術で,あっという間に花形シェフとなりました。その後料理人としての才能を認められ,若くして東京の帝国ホテルの厨房に入ることになりました。当時,日本では超一流とされた帝国ホテルの厨房を取りしきる総料理長は村上信夫(むらかみ のぶお)さんという方でした。そして,鳴り物入りで帝国ホテルにやってきた三國さんに対して,村上さんが命じた仕事はたった一つ,「調理後の鍋洗い」のみでした。いくら才能を認められたとはいえ,新人として最初は基本的な仕事をするのは当然と,三國さん自身も与えられた「鍋洗い」という仕事に真剣に取り組みました。やがてそのまま,半年が経ち,1年が経ち,1日も早く厨房に入ることを期待しながら時が過ぎました。しかし,1年半がすぎても,三國さんは「鍋洗い」と下ごしらえ等の雑用しか仕事をさせてもらえません。「鍋洗い」を始めてからとうとう2年が過ぎ,三國さんもついに我慢の限界に達し,大好きな調理をさせてもらえないなら,これ以上いても仕方がないと決心します。そしていよいよ帝国ホテルをやめようと思った矢先のことでした。三國さんは村上さんからスイスの日本大使館の料理長に指名されました。三國さん,時に20歳のころです。当時の帝国ホテルの料理人は総勢600人以上。その中から弱冠20歳の三國さんが大使館の料理長に選ばれるというのは,異例の大抜擢でした。
 村上さんが三國さんを選んだ理由はただ一つ。村上さんの料理人としての信念に基づくものでした。それは,「料理道具がきれいでなければ気持ちよく料理を作れない。いい料理を作れない。」という信念です。村上さんは常々「技術は人格の上に成り立つ」という考えを大切にし,料理を作る段階で,一つでも手を抜くようなことがあれば,お客様を満足させる最高の料理をつくることはできないという信念で後進の指導にもあたっていたそうです。三國さんは2年間与えられた「鍋洗い」という仕事に対して「至誠」を貫きました。「鍋洗い」の合間には,下ごしらえの雑用やシェフのサポートなど,自ら気づいた仕事を積極的にこなしている姿があったそうです。その後,三國さんが料理人としての才能を大きく開花させたことは,言うまでもありません。
 「至誠を貫く」,なかなか簡単にできることではありませんね。けれども,学校生活で言えば「あいさつ(いつでも,どこでも,誰に対しても自分からしっかりあいさつが出来るか)」や「掃除(誰も見ていなくても,すみずみまできれいに掃き掃除や拭き掃除が出来るか)」,「素直(他人の忠告を素直に受け入れて実践したり,話を聞いたり出来るか)」といった事柄を大切に出来ているかということになるのではないでしょうか。三國さんがそうであったように,人間の「信用」や「信頼」を築くのはすべてこうした日常のあたりまえの事柄に「至誠」を貫くことであり,それが自分の可能性を広げ,チャンスにつながるのだと思います。どんな小さなことでも構いません。何かひとつ,毎日「丁寧」に行うこと,「至誠を貫く」ことを実行してみましょう。

風を凌いで 7月6日

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 先週から児童生徒会活動ときっずチームの活動がスタートし,今週は7月8日(木)に学園総会が行われます。(今年度は映像視聴を行いながら,各学級で実施します。)学園総会では児童生徒会本部・代表専門委員会の基本方針についての議決を行います。つまり,みんなで決めて,みんなで実行しようという確認をする場が学園総会です。凌風学園の児童生徒会がめざすのは「つながりのある集団作り」です。児童生徒会活動を通して,1〜9年の学園生の縦と横とのつながりを大切にし,強い「絆」でお互いを高め合い,何事にも全力で取り組むことができる集団作りをめざしています。
 そこで,今回は凌風学園児童生徒会のキーワードである「つながり」について,その大切さを象徴する話を紹介します。杉原千畝(すぎはらちうね)という人物をみなさん知っていますか。第二次世界大戦中,ナチスによる迫害から逃れるユダヤ人のために独断で日本通過のヴィザを発行して,6,000人あまりのユダヤ人を救った外交官で,「日本のシンドラー」ともよばれている人物です。そんな彼の生涯を描いたドラマや映画もこれまで公開され話題になりました。杉原千畝生誕の地である岐阜県には,彼の功績を讃えるとともに平和の大切さを伝える記念館があります。かつて,私がその記念館を訪れた際,館長さんからお話を聞き,深い感銘を受けたことがあります。それは,杉原千畝によって発行されたヴィザだけでユダヤ人が助かったわけではなかったという話です。
 当時,通過ヴィザの発行によってロシアを経由して船で日本の港にたどり着いたユダヤ人がたくさんいました。例えば福井県の敦賀では受け入れたユダヤ人のために多くの人々が力を貸した事実があります。命からがら逃げ延びてきた人達に,食料を提供したり,銭湯を無料で開放したり,時計や衣服などを現金に換えて欲しいと願う人たちにはお金を工面するなど,まさしく敦賀の人々による「命のリレー」がなされたわけです。その証拠に,今もなお,敦賀や岐阜の記念館等を訪れる,命を救われた多くのユダヤ人達の子孫が後を絶ちません。はるか遠く離れた異国の人たちと日本の人達が繋がっている歴史をふまえ,他者を思いやる心と行動こそ,人間の人間による最大の安全保障といえるのではないでしょうか。一人の力では絶対に不可能なことでも,志を同じくして行動するものが多くつながれば,可能になるのだということ,そしてその行動を促すのは常に「人としてどうあるべきか」という「心の姿勢」だということです。
 「つながり」を大切にし,強い「絆」でお互いを高め合い,何事にも全力で取り組むことができる凌風学園にするために「凌風学園生としてどうあるべきか」という「心の姿勢」を一人一人が自分自身に確かめる学園総会となることを期待しています。心一つに,みなでより良い凌風学園にしていきましょう。

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