京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/20
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学園教育目標 「自らを高め 共に生き 希望を抱いて未来を拓く」

風を凌いで 9月23日

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「振り返りは、未来の自分へのアドバイス」

 先週,第2,第3ステージでは, 2学期の中間テストを行いました。皆さん,テストの手ごたえはいかがでしたか。勉強したことが結果につながりそうですか。とはいえ, ひとまずテストも終わり, 四連休をのんびりと過ごした人も多かったのではないでしょうか。
 さて,今週は各教科の授業で答案返却が始まります。返却時に, 先生方はテスト問題の解説をされます。また, 必ず「自分の答案を見直しなさい。」と言われることでしょう。実は, テストは受け, 点数という結果を見て終わりではないのです。むしろ, 返却され,点数という結果を見たときが始まりなのです。答案返却後, その結果をどのように受け止め,どう生かしていくか, それがテストを行う一番の目的と言っても過言ではありません。なぜ自分の答案を見直すことが必要なのか,今一度確かめておきましょう。

 皆さん, スコアーブックをご存知ですか。スコアーブックとは, 野球やバスケットボール,バレーボールなど,いろいろなスポーツのゲーム(試合)で, だれが, どこで, どのように得点したか(得点されたか)を記録するノートのことです。そのノートを使い, ゲームを振り返り, 検証することは, その後のチーム作りや練習方法に大いに役立ちます。
 具体的に言うと, ゲーム中にどんな形で点を取ることができ,どんな形で点を失ったのか, チームや自分自身を振り返ることができます。また, そこからチームの得点パターンや長所を確認し,弱点を明らかにすることもできます。さらに,次のゲームの目標や具体的な対策を立て, それらを練習に取り入れ,チームや個人のレベルアップに活かすこともできます。単に試合結果がわかる得点だけを並べたスコアーボードを眺めても意味はありません。しかし, スコアーブックは, チームや自分の今の力を, 客観的に分析できる大切な資料なのです。つまり問題用紙と自分の答案用紙はテストにおけるみなさん自身のスコアーブックなのです。自分はどういうところで点数を取っているのか,また,どんなふうに点数を落としているのか, ミスはないかなど,自分の現在の学習における力を確認することができるのです。

 先週は第1ステージもチャレンジ大会(漢字力や計算力をつけるためのテスト)に取り組んでいました。例えば国語で考えてみましょう。国語のテスト内容が, 漢字の読み書きの問題20問とします。テストが返却されました。 答案の見直しを次のように行います。
1得点や正解,不正解を確認する。
2不正解だった問題は, 誤った読み書きだったのか,全く読み書きできず空 欄だったの かを分析する。
3不正解だった問題について自分のテスト前の勉強の仕方を振り返る。
 レベル1 出題範囲のプリントを眺めていた。
 レベル2 出題範囲のプリントの漢字を何回か書いて練習した。
 レベル3 出題範囲の漢字の読み書きをテスト形式で読み書きできるか自分で確かめた。
 レベル4 レベル3で読み書きできなかった,出題範囲の漢字を再度練習した。
 レベル5 レベル4を繰り返し,出題範囲の漢字を全て読み書きできるようにした。

 このように, テストに向けての自分の勉強方法が, どのレベルに当たるかを客観的に振り返り,勉強の仕方を修正するのです。そして次のテストに向けて, 修正した勉強方法で実行していくのです。この繰り返しが, 必ずプラスの結果に繋がるのです。
 私は「国語」の先生でした。その経験から, より具体的に, かつ効率的に漢字テストの勉強に取り組む方法を紹介します。ぜひ実践してほしいと思います。
1現在の自分の学習時間を確かめる。
2テスト範囲の漢字の量,次回のテストまでの期間を知る。
3いつまでにどれだけできるようにするか, 時間と量の目標を立てる。
4どれくらいの時間でどのように取り組むか, 具体的な学習方法と計画を立てる。
*漢字においては, 決まった時間と決めた量に毎日取り組むというノルマを課すことが有効です。英単語や計算などにも効果的です。
5達成度を確かめながら取り組みを続ける, 確認と継続作業を実行する。

 漢字の勉強方法ひとつとってみても,1から5のことを意識し取り組めば, 必ず成果は出ます。これこそまさしく自分の課題解決に向けて「主体的に取り組む力」ではないでしょうか。そしてそれはみなさん自身が求める結果に必ずつながることになります。

 自分自身の課題の発見と解決に向けて, 今ある情報を活用し,主体的に取り組むことを意識すること。これを「答案の見直し」においてぜひ実践してください。そのように臨むことで,これからのテスト前学習の効率があがるはずです。テストは受ける前の準備が大切です。つまり,テスト後の振り返りをしっかり行うことは,次のテストへのスタート, 始まりなのです。
 「振り返りは、未来の自分へのアドバイス」と考えて取り組んでみましょう。

風を凌いで 9月14日

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 「私,失敗しないので!」
 これは, 人気テレビドラマ「Dr.X大門 未知子」で,毎回, 天才外科医の「大門 未知子」が難しい手術に向かうとき,必ず周囲の医者に向かって言い放つ決めゼリフです。
 みなぎる自信にあふれたその言葉通りに,彼女はあらゆる難手術を見事に成功させます。手術後, 必ず患者の胸元に手のひらを置き, その後, スタッフに「お疲れ」と一声かけ, 手術室をあとにします。なんともいえない爽快感と達成感が視聴者にも伝わってきます。
 「私, 失敗しないので!」
 この天才外科医の言葉を裏付けるものがドラマの最終回に明かされます。映し出されたのは彼女のノート。それは手術中のあらゆる事態に対処できる処置の仕方を綿密に記した彼女のものでした。「必ず患者を救う」という医者としての信念から,いついかなる手術においても, 想定外を想定内にし,ベストの処置を施す。そのために万全の準備をしたノート。これこそ「私,失敗しないので」の自信を支えていたものでした。

 人間誰しも何か大きなことに挑戦するとき, 不安や恐怖に襲われるのは当然のことです。一生懸命に取り組めば取り組むほど,自分に足りないところが次々とあらわになってきます。しばしばマイナス思考に陥ることもあります。ましてや人の命を預かる医師。大門未知子も例外ではありませんでした。むしろマイナス思考をもっていたからこそ,不安や恐怖を感じるからこそ,そうならないための勉強をしたり,練習をしたり,対策を立てたのです。彼女は, 命というものに対して常に謙虚に向き合い, 努力を怠らない真面目さを持っていたのです。そして, 見えないところで徹底的に取り組んだ結果, 本番で自分の持てる力やパフォーマンスを最大限に発揮できる「自信」を得たのです。

 自信とは「自分を信じること」「自分を信頼できること」です。その「自分」とは,「過去に頑張った自分の姿」にほかなりません。過去の自分の努力が今の自分の自信を支えているのです。

 フィギュアスケートの羽生結弦選手は,演技直前のリンク上で「自分はできる。必ず成功する。」とつぶやくそうです。それは,単なる「おまじない」や「自己暗示」ではなく,「必要なことをすべてやってきた。だからできる。成功する」という「自分」を信じる「自信」を確かめているのだと思います。その証拠に,演技が終わった瞬間,自分が納得いく演技が出来たときには高く拳を挙げ,ミスがあったときにはその修正の度合いを親指と人差し指の間をあけ,その幅で自分に示します。常に客観的に自分の演技を振り返ることが出来るというのは,まさしく「自信」の証です。絶好調と思える時も,そうでないときも,やるべきことは変わりません。

 さあ,今週16日(水)から,第2,第3ステージは2学期の中間テストが始まります。テスト勉強で問題を解いていて,間違えたとき,解けないときも「どうしよう」と不安にならず,逆に「ラッキー」と思ってください。なぜならば, 本番までに自分のできないことが一つ,できるようになるチャンスにめぐりあったのですから。その時こそ,「勉強ファイヤー」で顔晴るのです。9年生はいよいよ正念場!「不安を越える自信」をつけて臨めるよう,テスト直前まで努力を積み重ねて欲しいと思います。「もう2日しかない」ではなく,「まだ2日ある!」と受け止め,残された時間を自分の味方につけましょう。
 「あせらず」「あまえず」「あきらめず」
 みなさんの健闘を祈ります。


風を凌いで 9月7日

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「ありがとう」 しょうじ たけし

 ありがとう
 ありがとう

 いえば とっても
 いい きもち

 いわれりゃ もっと
 いい きもち

 ありがとう
 ありがとう 

 今日からスタートした凌風学園伝統の児童生徒会活動「ハッピースクール大作戦」。「ハッピースクール大作戦」とは, よりよい凌風学園をみんなで作っていくために, 1〜4年生のキッズチームや5〜9年生の児童生徒会が中心となって, 朝のあいさつ運動やベル着の徹底,標準服の身だしなみを整えるなど,自分たちで考えた企画に協力して取り組む児童生徒会活動です。
 まずは代表委員会が中心となり行う朝のあいさつ運動。「おはようございます」と朝の校門で学園生達があいさつを交わしています。

 朝の元気なあいさつはする側も,される側も元気がわいてくるものです。今年のあいさつ運動では「笑顔で会釈することや相手の目を見てあいさつをするなど気持ちを込めたあいさつをしよう」と呼び掛けています。
 コロナウイルス感染防止対策のためマスクを着用し,声を控えめにしながらのあいさつ。だからこそ, 大切にした笑顔。会釈。そして相手の目を見ること。そこに相手を思う気持ちが込められます。その大切さにも あいさつ運動を通して学園生たちは気付いていくことでしょう。

 さて,日本の朝のあいさつは「おはようございます」ですが, 英語では「グッドモーニング」。直訳すると「良い朝」になります。ちなみに,ドイツ語では「グーテンモルゲン」といい,これも「良い朝」という意味になります。イタリア語では「ボンジョルノ」,フランス語では「ボンジュール」といって,これらは「良い日」という意味になるのだそうです。
 実は,日本のあいさつには続きがあるといわれています。例えば「おはようございます」は「お早くから、ご苦労様でございます」など,朝から働く人に向かって言うねぎらいの言葉だったそうです。同じように,「こんにちは」は「今日は,ご機嫌いかがですか」と, 出会った人の体調や心境を気遣う言葉。「こんばんは」は「今晩は良い晩ですね」や「ご無事に一日をお過ごしになっていい夜をお迎えになりましたね」という祝福の意味も込められた言葉だそうです。そのように考えてみると, グッドモーニングやボンジュールなども「良い朝を迎えましたね」とか「良い一日となりますように」という,相手の幸せを願ったり,祝福したりする気持ちが込められているということがわかります。あいさつを交わすことがお互いにとって心地よいのはそういう気持ちが込められているからなのでしょう。

 あいさつを漢字で書くと「挨拶」。「挨」には「互いに心を開く」、「拶」には「相手の心に近づく」という意味があります。アイヌの人たちが遠来の客に対して使うアイヌ語の「こんにちは(イランカラプテ)」は,一語ごとに区切っていくと,「あなたの心にそっと触れさせてください」という意味になるのだそうです。何気なくかわしているあいさつは,まさしく信頼関係を築いていく一瞬(ひととき)なのです。また, あいさつは「心のオアシス」とも「人と人との関係を近づける魔法の言葉」とも言われます。お互いに笑顔で挨拶をすると心の距離が少し縮まったように感じるのはきっと,あいさつがお互いに相手の存在を認め,心を通わせようという意識を表す行為であるからではないでしょうか。

「あ」 あかるく 笑顔で 
「い」 いつでも
「さ」 自分からさきに
「つ」 毎日つづけて

「ハッピースクール大作戦」を機会に,校内だけではなく,地域でも毎日のあいさつを自分から心がけていきましょう。あいさつを通じて,多くの人との絆を結んでいきましょう。


風を凌いで 9月1日

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 「命の底力を伝える」 この言葉は,鎌田實(かまた みのる)先生が「奇跡 命のメッセージ」という著書の中で述べられている言葉です。鎌田先生は,医師として原子力発電所の爆発事故が起こったロシア,チェルノブイリ近郊で多発した甲状腺がんの治療に尽力されました。また,イランなどの紛争地で傷ついた多くの人々を助けるために,医療に携わってこられました。その鎌田先生が2011年に起きた東日本大震災で様々な活動をされ,そこで見たことや感じたことを「奇跡 命のメッセージ」という一冊の本にまとめられたのです。

 一番大切なもの,一番大切な人,かけがえのないもの・・・・それらが一瞬にして奪われ,失われた地震,津波,そして今もなお残る放射能被害。
 生きのびた人々は,そんな現実の中で今も生き続けています。

 2011年の東日本大震災のあと,私たちの考え方や生き方は大きく変わったと言われます。何がどう変わったのか。それは,当たり前の毎日が当たり前ではないことを知ったこと。人と人をつなぐ絆の大切さに気づいたこと。一人一人自らが何か行動を起こすことが誰かのためになると多くの人が感じ,動き始めたこと。

 古来,大きな試練の日々が訪れるたび,人はそれを乗り越えるための力を身につけてきました。人が力をつけるということは,集団や社会が優しく,しなやかに,そして強くなることです。

 再び訪れた大きな試練,新型コロナウイルスとの闘いの日々。目に見えないものが身近にあるということへの不安感。だれもが互いに猜疑心をもってしまい,その心の弱さが,「新型コロナウイルス感染症に関する差別や偏見」を生み出しています。

 「新型コロナウイルス感染症に関する差別や偏見」とは・・・・,感染者の多い都会から来た人に心ない言葉を投げかけること。感染者やその濃厚接触者とされる人を避け,非難すること。さらには感染拡大の防止に向けて懸命に働いておられる医療従事者やその家族にまで向けられる数々の言葉の暴力・・・・。悲しいことです。つらいことです。誰もが不安をもっています。しかし,その中で自分にできることは何かを一生懸命考え,行動している人はたくさんいます。なのに,なぜか起こってしまう差別や偏見。

 8月25日に文部科学大臣から「新型コロナウイルス感染症に関する差別,偏見の防止に向けて」というメッセージが出されました。その内容は,「正しく恐れる」ことの大切さを伝えるものでした。

 さて,みなさん,「てまきずし」は実行できていますか。これは,自分を守り,相手を守るための「感染しない生活」と「感染させない行動」を常に意識するための合言葉です。決して疑いをもって人を見たり,避けたり,排除することではありません。なぜなら,他人事ではないからです。新型コロナウイルス感染は「誰にでも起こりうる」のです。もし感染しても,きちんと治してくださる医療従事者の方がおられます。
 だからこそ,何よりも大切なのは,「自分を思い,大切にするように,他の人を大切に思い,大切にする」ということなのです。

 私たちに心のソーシャルディスタンスは必要ありません。相手を思いやる気持ちや相手の心に寄り添う気持ちに距離をおく必要はないのです。私たちが一番予防しなければならないのは,心が差別や偏見に感染することです。
 私も,あなたも,自分自身が一番大切なのです。そのことを強く意識することが差別や偏見に感染することから私たち自身を守る方法ではないでしょうか。

風を凌いで 8月24日

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 本日1限に放送による2学期の始業式を行いました。以下,始業式のお話です。

 23日間の夏休みが終わりました。まず,大きな事故やケガの報告もなく,みなさんが元気に登校できたことをとてもうれしく思います。今年の夏休みは, コロナ感染の不安と,気温35度を超え, 命に関わる危険な暑さが続き,熱中症の心配も抱えながらの毎日だったと思います。皆さんもきっと健康な生活を送ることに一番気をつけていたのではないでしょうか。8月も下旬となりましたが,もうしばらく厳しい暑さが続くようです。学校生活を元気に送るために, しっかり食べて, しっかり寝て,体調を整えるために十分気をつけてほしいと思います。

 さて, 2学期に向けて今から三つのお話をします。
まず, 戦後75年の節目についてのお話です。太平洋戦争が終わって, 今年で75年です。国民の80%以上が戦後生まれであり、戦争を体験していない世代となった今, 「戦争と平和」についてどのように学び, 考え, 行動していくのか, テレビやマスコミ等で取り上げられることが多くありました。8月15日の終戦記念日の凌風学園のホームページに,沖縄県与那国島の小学校1年生安里有生(あさとゆうき)さんの「へいわってすてきだね」という詩を紹介しています。ぜひ一度声に出して読んでください。この詩は絵本にもなっていますので,機会があれば読んでほしいと思います。そして先生といっしょに,みなさんも「戦争と平和」について, これからもしっかりと学習して戦争のない平和な世界をともに築いていきましょう。

 次に,2学期の学校生活についてです。1学期の終業式でお話した,「雨だれ石を穿つ」ということわざを覚えていますか。なりたい自分の姿を目指して「あせらず」「あまえず」「あきらめず」努力を積み重ねていくことの大切さを話しました。夏休み中に頑張ったこと, 「これができるようになった(続けられた)」とか「この目標を達成した」と, 一人一人の成長の姿を, ぜひ,担任の先生やクラスの仲間に伝えてほしいと思います。もちろん最初の予定通りに物事が進められなかったり,目標が達成できなかったりした人もいるかもしれません。でも決してできなかったことに目を向けるのではなく,自分ができたことや続けられたことに目を向けてください。そして目標達成の道半ばの人も,ぜひこれからもその努力を続けてほしいと思います。大切なことは目の前にある「今」という時間をしっかり積み重ねていくことです。元アメリカのプロ野球メジャーリーグで大活躍したイチロー選手の「小さいことを積み重ねるのが,とんでもないところに行くただ一つの道だ」という言葉があります。小さな事でも「今できること」は何かを考え確実に実行する。「未来」は「今」の時間の積み重ねです。だからこそ「今」という時間に全力投球できるように「目標を決め」「計画を立て」「実行する」という「マネジメント」が必要になるのです。2学期もしっかりと計画をたて,実践し,スケジュール管理をして,有意義な毎日が送れるようにしていきましょう。

 最後に,例年ならばこの始業式では伝達表彰を行うのですが, 今年の夏は,新型コロナ感染防止対策のために,部活動の夏季大会やコンクール,各種記録会や交流会,リーダー講習会や京都市子ども未来会議,5組の合同サマーキャンプなど様々な活動が中止となりました。そういった活動の表彰や紹介はできませんが, 私が大変誇らしく感じたことを伝えたいと思います。それは,夏休み中もずっと続けられていた, 日常の学園生活でのみなさんの「当たり前を大切にする姿」「目の前のことにひたむきに取り組む姿」です。 例えば,再開した部活動においては,様々な制約がある中,仲間とともに汗を流して励んでいる姿。短い夏休みの中でも学習会に参加し,自分の課題に真剣に取り組んでいる姿などです。「一生懸命がかっこいい」という言葉がありますが,その言葉通りの姿がこの夏休み中にも見ることが出来ました。新型コロナウイルスの影響で,まだまだ,我慢の時期は続きそうです。けれども,「未来」は「今」の時間の積み重ねです。そのことを忘れず,2学期も,「今」できることに全力で取り組める自分であってください。
 
 第3ステージのみなさんへ。9年生は4月からこの夏休みまで, 学園生活全般や部活動・児童生徒会活動などにおいて,学校再開後も様々な制約がある学園生活の中, よく辛抱しました。決して投げやりになることなく, 自分の目標を見失わず, 本当によく頑張ってきました。一つ一つ困難を乗り越えてきた分,確実に自分の力となっているはずです。2学期からは,自らの進路実現に向けて,自信をもって着実に取り組んでください。努力する姿がある限り,必ず道は拓けます。そして8年生は,9年生の先輩の姿から凌風学園の良き伝統を継承し,下級生の良きお手本となってください。8年学年集団としてのますますの成長に期待をしたいと思います。

 2学期も学園生全員が活躍できることを願い, またそのことがよりすばらしい凌風学園をつくっていくことを信じ, 始業式のお話を終わります。

風を凌いで 8月15日

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 「へいわってすてきだね」
一冊の絵本が目にとまりました。青い海と空を背景に小さな男の子がしっかり立ってぐっと何かを見つめているそんな姿が表紙です。

 今年もまた訪れた8月15日。75年前,太平洋戦争が終わった日。毎年この8月15日を迎えるたびに,戦争について, そして平和について, 多くの人が語り, 私たちはその悲惨な出来事を忘れないように, そして平和な世の中を守るために何ができるのか考え, 行動してきました。

 太平洋戦争終結にいたるまでの度重なる本土空襲。1945年4月1日から6月22日まで続いた沖縄戦。8月6日広島に, 8月9日長崎に落とされた原子爆弾。戦争の悲惨さを知り, その戦禍を生き延びた方々は高齢化し,当時のことを語ることのできる人は年を追う毎に少なくなっています。しかし平和への思いをしっかりと若い世代へ託そうと,今なお発信を続けておられる方々もたくさんおられます。京都からも修学旅行で広島や長崎,沖縄へ行き,その「語り部(かたりべ)」の方の声に耳を傾けています。学校でも平和学習を行い,歴史を学ぶ中で, 私たちが共通して感じることは, 「平和な時代に生まれて良かった。この平和がいつまでも続くようにしなければならない。」という強い思いです。「平和な世の中」や「安心・安全な未来」は私たち人間の不断の努力の成果であり,それをつくるのは他ならぬ,「今」を生きる私たち自身であることを忘れてはなりません。

 「平和とは何か」
そんな問いに幼いながらしっかり向きあい, 自分の言葉で伝えた与那国島に住む小学校一年生の男の子安里有生(あさとゆうき)さんの詩, 「へいわってすてきだね」が絵本になりました。

 沖縄県平和祈念資料館の中に掲げられている詩の一部に
 「戦争をおこすのは たしかに人間です
  しかし それ以上に
  戦争をゆるさない努力をできるのも
  私たち 人間 ではないでしょうか」
という一節があります。その努力を, 安里有生さんの詩は強く私たちに感じさせてくれます。ぜひ,声に出して読んでください。

 へいわってすてきだね

 へいわってなにかな。
 ぼくはかんがえたよ。
 おともだちとなかよくし,
 かぞくがげんき。
 えがおであそぶ。
 ねこがわらう。
 おなかがいっぱい。
 やぎがのんびりないている。
 けんかしてもすぐなかなおり。
 ちょうめいそうがたくさんはえ,
 よなぐにうまが, ヒヒーンとなく
 みなとには, フェリーがとまっていて,
 うみにはかめやかじきがおよいでいる。
 やさしいこころがにじになる。
 へいわっていいね。
 みんなのこころから,
 へいわがうまれるんだね。

 せんそうは, おそろしい。
 「ドドーン, ドカーン」
 ばくだんがおちてくるこわいおと。
 おなかがすいてくるしむこども。
 かぞくがしんでしまってなくひとたち。

 ああ,ぼくはへいわなときにうまれてよかったよ。
 このへいわが, ずっとつづいてほしい。
 みいなのえがおが, ずっとつづいてほしい。

 へいわなかぞく。
 へいわながっこう。
 へいわなよなぐにじま。
 へいわなおきなわ。
 へいわなせかい。
 へいわってすてきだね。

 これからもずっとへいわがつづくように,
 ぼくも, ぼくのできることからがんばるよ。

(「へいわってすてきだね」 安里有生/詩 長谷川義史/画 ブロンズ新社/刊より)

 終戦から75年の節目となる今年,「戦争をゆるさない努力をできるのも 私たち人間ではないでしょうか」という言葉を私たちは改めてしっかりと受け止めなければならないと思います。年月の経過とともに戦争体験者が少なくなっていくのはしかたがありません。けれども,平和を願って語り継がれたその事実を,その思いを,その言葉を私たちは決して風化させてはなりません。「風化」とはある意味,語り継ぐことのできる戦争体験者がいなくなることです。それは仕方がないことです。だからこそ,これからは「今」を生きる私たちが,「語り継がれた事実や思いや言葉」を伝えていかねばなりません。現在,広島や長崎,沖縄では原爆や戦禍を体験された方々が,その体験を「語り部」として自分の言葉で語る段階から,戦争を体験していない若い世代が「語り部」の方の体験を聞いて,聞いた内容と自分の思いを「語り継ぐ」段階へシフトしているそうです。
 学園生の皆さん,本や新聞を読んだり,テレビの特集番組や映画を見たり,家族で話をしたり,どんな形でもかまいません,戦争を知らない世代だからこそ,「戦争の恐ろしさ」「命の尊さ」「平和のありがたさ」を改めて自分自身で感じるこの夏であってほしいと思います。それが平和な世の中を築いていくために私たちにできる第一歩だと思います。

風を凌いで 7月31日(1学期終業式)

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 本日(7月31日)4限に,令和2年度1学期の終業式を放送で行いました。本来ならば,大体育館に1〜9年の学園生と教職員が集まり,それぞれが頑張った1学期を振り返りながら行うところでありますが,今回はコロナウイルス感染拡大防止対策のため,各教室で放送を聞く形で行いました。
 6月1日の学校再開から約2か月間,「新しい生活様式」と言われる約束事を守りながら,学園生の皆さんは本当によく頑張りました。明日からいよいよ夏休みです。いつもより短い夏休みの期間ですが,自分にとって「有意義な23日間」にして欲しいと思います。
 保護者や地域の皆様には,休校期間を含め,学校再開後の凌風学園の教育活動に多大なるご理解・ご協力をいただき,心より御礼申し上げます。明日から夏休みに入ります。学園生が各ご家庭や地域で過ごす時間が多くなる中,休み中の生活を見守っていただきながら,引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止をふまえた日々の生活においても,ご協力をいただかなければなりませんが,何卒,よろしくお願い申し上げます。2学期も教職員一同精一杯取り組んでまいりますので,今後も凌風学園の教育に,ご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

 以下,放送による終業式での話です。

 1学期の最終日を迎えました。終業式の話の前に,学園生のみなさんと思いを共有しておきたいことがあります。この6月,7月は全国各地で記録的な大雨が降りました。その中で,皆さんの記憶にも新しいと思いますが,熊本県の球磨川や山形県の最上川では豪雨による河川の氾濫で,亡くなられた方や行方不明になられた方が多数おられたのをはじめ,家屋の浸水など甚大な被害がありました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに,そのご家族や被災された方々に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。そして一日も早い復興をみんなで願いましょう。
 では,終業式の話を始めます。6月1日から学校が再開となり,この2か月間,コロナウイルスに負けないように,「新しい生活様式」と言われている約束を守り,皆さんは本当によくがんばりました。いよいよ夏休みがやってきます。今年は,コロナウイルスによる臨時休業期間の影響で,例年より短い23日間の夏休みです。それぞれのステージ・学年・学級によって目指す目標や目的に違いはありますが,自分にとって「有意義な夏休み」にしてほしいと思います。
 さて,第2,第3ステージに配布する「夏休みのしおりに」も書きましたが,今年の夏休みのキーワードとして,「雨だれ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」ということわざを紹介しました。雨だれとは,雨の日に屋根の瓦から下に落ちるしずくのことです。私たちが,屋根の瓦からぽとんと落ちてきた水滴を手のひらで受け止めたとしても,痛みを感じたり,けがをしたりすることはありません。そんな雨だれのしずくが石に穴をあけるのです。屋根から落ちた雨だれのしずくによってその下にある石に穴ができるまでに,一体どれほどの長い年月がかかるのか,想像もつきませんね。
 このような出来事から「雨だれ石を穿つ」ということわざが生まれました。「穿(うが)つ」というのは,「穴をあける」とか「掘る」という意味です。つまり,「雨だれが, かたい石にも穴をあけるように,どんなに小さな力でも,根気よく続けていけば,いつかは成果が表れる」という意味です。
 短い夏休みですが, 何か一つ目標を決めて,その達成に向けて毎日努力を積み重ねましょう。その努力が必ず成果につながります。もちろん,努力を積み重ねていても,うまく進まないことや,すぐには成果が表れないこともあります。そんなときは,このことわざを思い出してください。たとえ夏休み中に目標が達成できなくても,夏休みに積み重ねてきた努力を,2学期,3学期と続けることで,必ず目標の達成やその先にある夢や希望の実現につながります。「雨だれ石を穿つ」,これが今年の夏休みのキーワードです。
 夏休み中はチャイムのない生活です。目標に向かって,自分の1日の生活の計画をしっかり立て,「あせらず」「あまえず」「あきらめず」努力を積み重ねていきましょう。
 さらに,夏休み中,皆さんに必ず実行してほしいことが3つあります。
 1つめは「早寝,早起き,朝ご飯」です。お家の方にも協力してもらって,これを毎日続けてください。学校があるいつもの生活リズムと同じように,規則正しい生活を送ること,これが1つめに実行してほしいことです。
 2つめは「自分の命と人の命を大切にする」行動をとることです。まず命につながる体の部分では「交通事故や海や川での水の事故に十分気をつけて行動すること」です。そのために決まりやルールをしっかり守りましょう。また,命につながる心の部分では「自分が言われたりされたりしていやなことは人にも言ったりしたりしないこと」です。そのためにはいつも相手の立場に立って考えることが大切です。特に最近ではスマートフォンやインターネットといったSNSの普及で,いつでも,どこでも,だれとでも言葉のやりとりができる時代です。相手の顔が見えない中での言葉のやりとりから,トラブルになり,大きな事件に発展することも起こっています。そうならないように,常に相手の立場に立って言葉を発することが大切です。
 自分にとって一番大切なのは自分です。周りの人もみな同じ思いです。どうか自分を大切にするのと同じように人を大切にしてください。お互いがそんな思いで接すれば,自分も含めてみんなが大切にされるのです。
 3つ目は「てまきずし」と健康観察です。「また明日」といえる学校生活がようやくもどってきてから2か月が経ちました。しかし,現在の新型コロナウイルスの感染状況をみると,決して安心できない状態が続いています。ようやく戻ってきた今の生活を続けるために,「新しい生活様式」と言われている約束をこれからもしっかり守っていくことが必要です。新型コロナウイルス感染症から自分を守るために,相手を守るために,新生活の合言葉「てまきずし」を続けてください。
「て」は手洗い・うがい 
「ま」はマスクをつける 
「き」は密にならないように人と人との間の距離をあける 
「ず」はこれらのルールを守りながらずっと生活する
「し」は,「コロナウイルスの終息(しゅうそく)をめざして,みんなで力を合わせてがんばることです。
そして,夏休み中もこれまで毎日続けてきた健康観察を続けてください。「てまきずし」と健康観察を毎日実行すること。これが3つ目です。
 それでは今日のお話のおさらいです。
 夏休みのキーワードは「雨だれ石を穿つ」必ず実行することの1つ目は「早寝・早起き・朝ご飯」2つ目は「自分の命と人の命を大切にする」3つ目は「てまきずし」と「健康観察」を続けることです。
 それでは,夏休み明け,8月24日の2学期始業式に,皆さんが,ひとまわり成長したまぶしい姿を見せてくれることを期待して,私の話を終わります。

風を凌いで 7月27日

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 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,中学校や高等学校の部活動における様々な大会やコンクール等が中止となる中,生徒の心情をふまえ,各地で感染防止対策に取り組みながら,それらに代わる大会等が行われていることを新聞やニュースで見聞きします。皆で掲げてきた目標を目指して挑むことはかなわなくなっても,「仲間とともに活動できる喜び」をかみしめながら,これまで積み重ねてきたことを大切にし,新たな目標を掲げて,それぞれの「夏」に挑んでいる中学生や高校生の姿には本当に胸が熱くなります。そして,そんな中高生の姿から,「心のあり方」と「心構え」について改めて考えさせられました。今日は「心のあり方」について自分が思い起こしたお話を紹介します。それは,吉田松陰(よしだ しょういん)のお話です。
 吉田松陰といえば幕末の動乱期,私塾「松下村塾」で,後の明治維新で重要な働きをする多くの若者に思想的影響を与えた人物です。「松下村塾」は八畳一間の私塾で,そこからわずか1年と1ヶ月の間に80名近くの弟子の中から,5〜6人がヨーロッパに留学し,伊藤博文や山縣有朋など後の総理大臣まで輩出した幕末の「奇跡の学校」です。松下村塾が「奇跡の学校」と言われるゆえんは,後の塾生の活躍もさることながら,決して学問に長けた人材ばかりを集めたような塾ではなかったということです。塾生の中には武士もいれば農民や商人など,多種多様な職に携わる人々や経験の持ち主がいたという事実です。
 では吉田松陰は一体塾生達に何を教えたのか?!それはたったひとつのこと。「自分は何の為に生まれてきたのか。自分の長所を世の中の為にどう活かすのか。」ということでした。つまり「心のあり方」を問い,自分の「心構え」を明確にさせたのです。何事も「心のあり方」さえぶれなければ,「やり方」はいくらでも見つかるもの。つまり,目的をもって取り組むことに失敗や無駄は一切ないということです。もちろん,うまくいかないときもあれば,結果がすぐに表れてこないときもあります。しかし目的をもって取り組んでいることに失敗や無駄は一切ないとすれば,失敗や挫折もそれは何かを自分に教えてくれているのだと考えられます。そう考えれば失敗や挫折もまた自分を高め成長させることにつながる貴重な体験であり,成長できる時間となります。これが「時間を味方につける」ということです。
 私たちは,一生懸命やっていても,うまく物事が運ばないと「こんなことをしても時間の無駄ではないか?!」「これ以上やっても意味があるのか」などついつい愚痴をこぼしてしまいがちになります。けれども「無駄な時間」とは失敗や挫折にくよくよし,いらだち,時にその原因を自分以外のせいにしてしまうことではないでしょうか。そうすることによって,結局,せっかくの自分の成長の時間を自分で無駄にしてしまうのです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策によって,これまで通りに行えないことがたくさんあります。けれども,学園生の皆さんの様子を毎日見ていると,この1学期,学習や部活動をはじめ,さまざまな学園での活動に「心が『前』」で取り組んでくれていることを強く感じます。どうかその姿をこれからも続けてください。特に9年生は,いよいよ進路実現に向けて本格的に試練の時期に入っていきます。どんな状況に置かれても,「時間を味方につけて,心のあり方を大切に,目的を見失わずに」前へ進んでほしいと思います。目標はゴール,目的はベクトル(方向)です。目標は変わっても目的は変わりません。良い目的には終わりがありません。苦しくなったら,「何のために自分は頑張っているか」と自分の目的に立ち返ることです。進路でいえば,大切なことは,「合格」=「終わり」ではないということです。進んだ先でどれだけ自分を高めるか,学んだことをどう活かすかが大切です。勉強も部活動も,肝心なことは目標の先にあるものを決して見失わないようにすることです。それが,自分自身を高めるための「心のよりどころ(目的)」となります。学園生の皆さん,何事も自分のためになるという「心が『前』」で時間を自分の味方につけましょう。


風を凌いで 7月20日

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 6月1日の学校再開から1か月半が過ぎました。1学期も残すところ2週間となり,今週水曜日から1学期末の個人懇談会が始まります。懇談会では学園生活の振り返りを行います。学習面や生活面で自分のがんばれたところ,がんばれなかったところをしっかり振り返る中で,夏休みを含め,これからの目標を見据えて,具体的な取組を考えてほしいと思います。その際,学園生の皆さんには,ぜひ意識をしてもらいたいことがあります。それは自分の「強み」を生かすということです。「振り返り」や「反省」となると,どうしても出来ていなことや,頑張らなければいけないことなど「課題」ばかりに目が向いてしまいがちですが,課題を克服するためにも,今の自分がしっかりできていることや前向きに取り組めていることにぜひ意識を向けてほしいのです。今日はそのことにつながる話を紹介します。
 昨年度,日本で開催された第9回ラグビーワールドカップにおける日本代表チームの大活躍は皆さんの記憶にも新しいところですが,その4年前,イングランドで開催された第8回ワールドカップにおいて,日本代表チームがこれまでの日本ラグビーのイメージを一気に払拭し,世界にその実力を示した事実を忘れてはなりません。そのことを最も証明する試合が「奇跡の番狂わせ」とメディアで称された,1次リーグでの南アフリカ戦の勝利です。しかし,この勝利,実は決して「奇跡の番狂わせ」ではなかったという話です。
 ラグビーは競技の特性から考えて,基本的に体格の大きい選手がそろっている方が有利に働く競技です。ニュージーランドのオールブラックスやイングランドやウエールズといった6ネイションズとよばれるラグビーの盛んな諸外国のチームは実力も当然ありますが,日本代表チームより体格で勝るチームがほとんどです。もちろん日本代表チームの中には諸外国の選手にひけをとらない優れた個人の技能を備えた選手や並外れた体格と体力を備えた選手もいます。けれども,チーム総体としての力を比較したとき,日本代表チームを上回る力をもつチームが数多く存在しているのが現状です。ではそんな諸外国のチームに対して,日本チームが互角以上に渡り合うために何が必要であるか。そこでポイントになるのが「強み」を最大限に生かすことでした。具体的には,他国では簡単に備えることができない体力面や技術面における個人の力(フィジカルとスキル)とそれを全員が身につける組織としての力(チーム力)をつけることに焦点を当てたのです,それがまさしく,日本代表チームの「強み」が最大限に生かされる「戦術」とそれを実行するために必要な「練習」でした。もともと日本ラグビーの真骨頂は「俊敏さ」です。その「俊敏さ」を試合中終始継続させるためには,倒されてもすぐに起き上がりプレーを続ける「スタミナ(3秒以内に起き上がる)」が必要です。他国を圧倒的に上回るスタミナをつけるには練習しかありませんが,,その練習こそ,日本代表チームにしかできないことを監督,スタッフ,選手のすべてが自覚したのです。それが「勤勉さ」と「我慢強さ」いう,ある意味日本の国民性ともいうべき「強み」を前提にした練習です。例えば,都会で毎日満員電車に揺られ,早朝から自宅を出て,長い通勤時間をものともせず,働き続ける日本の社会人の姿は容易に想像できますね。日本のラグビー選手の大部分は社会人として働きながら,それぞれの会社等のチームに所属してプレーしています。日本代表チームはワールドカップに備え,4ヶ月間に及ぶ早朝練習をはじめ,「リロード」(倒されても3秒以内に置き上がり再度プレーをする)を体にしみこませる過酷な練習をチーム全員で繰り返しました。また体格でかなわない点は,体格の大きな2人の選手に対して常に3人で立ち向かう体勢を作り続ける練習も繰り返しました。「勤勉さ」と「我慢強さ」を要するこうしたひたすら地道な反復練習によって,試合では相手チームの体力を消耗させる,とぎれないプレーの連続が生み出され,その結果として,相手の隙をつくトライが数多く生みだされたのです。
 また,南アフリカチームはラインアウト(ボールが一旦フィールド外に出た後,ボールをフィールド内に投げ入れそのボールを取り合うことから試合を再開する)からトライ(得点)に結び付けるパターンが多いチームでしたが,その相手の強みを封じ込めるために,日本代表チームは90分間,出来る限りボールをフィールド外に出さず,プレーを継続させ,相手国に走り勝つ戦術を目論んだのです。こうして見ると,日本代表チームによる南アフリカ戦の勝利は決して「奇跡の番狂わせ」ではなく,勝利のために計算され尽くし,自分たちの「強み」を最大限に活かすことを考えた準備を徹底して行った末のものであったと言えますね。
 1学期の成果と課題をふまえ,自分の「強み」を生かしながら「弱み」を克服していく,そんな視点で,自分をレベルアップさせるために,夏休みやこれからの目標と取り組みを考えてみてはどうでしょうか。学園生の皆さん,自分の「強み」は何ですか?

風を凌いで 7月13日

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 毎朝,校門に立ってあいさつをしながら学園生の皆さんを迎えていると,「丁寧」に立ち止まってから頭を下げて挨拶をしてくれる学園生がいます。また,休み時間中の校舎内を回っていると,黒板消しを何度も何度も往復させて,授業後の黒板を「丁寧」に消してきれいな黒板にしてくれている学園生がいます。登下校時,エントランスで靴を履き替えた後,かかとを「丁寧」にそろえて下駄箱に入れている学園生がいます。日常生活の些細な行動をこのように「丁寧」に行うことを心がけている学園生の姿を見るととてもうれしくなります。
 さて,「丁寧」という言葉と相通ずる言葉として「至誠」という言葉があります。「至誠」とは,何事にも真剣に,本気で,誠実に取り組もうとする心のことです。
 今日は,日本におけるフランス料理の第一人者として語り継がれている三國清三(みくに きよみ)さんの「至誠を貫く」エピソードを紹介します。三國さんは中学校を卒業して,15歳で札幌グランドホテルの厨房に入り,天性の味覚と類い希なる調理の技術で,あっという間に花形シェフとなりました。その後料理人としての才能を認められ,若くして東京の帝国ホテルの厨房に入ることになりました。当時,日本では超一流とされた帝国ホテルの厨房を取りしきる総料理長は村上信夫(むらかみ のぶお)さんという方でした。そして,鳴り物入りで帝国ホテルにやってきた三國さんに対して,村上さんが命じた仕事はたった一つ,「調理後の鍋洗い」のみでした。いくら才能を認められたとはいえ,新人として最初は基本的な仕事をするのは当然と,三國さん自身も与えられた「鍋洗い」という仕事に真剣に取り組みました。やがてそのまま,半年が経ち,1年が経ち,1日も早く厨房に入ることを期待しながら時が過ぎました。しかし,1年半がすぎても,三國さんは「鍋洗い」と下ごしらえ等の雑用しか仕事をさせてもらえません。「鍋洗い」を始めてからとうとう2年が過ぎ,三國さんもついに我慢の限界に達し,大好きな調理をさせてもらえないなら,これ以上いても仕方がないと決心します。そしていよいよ帝国ホテルをやめようと思った矢先のことでした。三國さんは村上さんからスイスの日本大使館の料理長に指名されました。三國さん,時に20歳のころです。当時の帝国ホテルの料理人は総勢600人以上。その中から弱冠20歳の三國さんが大使館の料理長に選ばれるというのは,異例の大抜擢でした。
 村上さんが三國さんを選んだ理由はただ一つ。村上さんの料理人としての信念に基づくものでした。それは,「料理道具がきれいでなければ気持ちよく料理を作れない。いい料理を作れない。」という信念です。村上さんは常々「技術は人格の上に成り立つ」という考えを大切にし,料理を作る段階で,一つでも手を抜くようなことがあれば,お客様を満足させる最高の料理をつくることはできないという信念で後進の指導にもあたっていたそうです。三國さんは2年間与えられた「鍋洗い」という仕事に対して「至誠」を貫きました。「鍋洗い」の合間には,下ごしらえの雑用やシェフのサポートなど,自ら気づいた仕事を積極的にこなしている姿があったそうです。その後,三國さんが料理人としての才能を大きく開花させたことは,言うまでもありません。
 「至誠を貫く」,なかなか簡単にできることではありませんね。けれども,学校生活で言えば「あいさつ(いつでも,どこでも,誰に対しても自分からしっかりあいさつが出来るか)」や「掃除(誰も見ていなくても,すみずみまできれいに掃き掃除や拭き掃除が出来るか)」,「素直(他人の忠告を素直に受け入れて実践したり,話を聞いたり出来るか)」といった事柄を大切に出来ているかということになるのではないでしょうか。三國さんがそうであったように,人間の「信用」や「信頼」を築くのはすべてこうした日常のあたりまえの事柄に「至誠」を貫くことであり,それが自分の可能性を広げ,チャンスにつながるのだと思います。どんな小さなことでも構いません。何かひとつ,毎日「丁寧」に行うこと,「至誠を貫く」ことを実行してみましょう。

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