京都市立学校・幼稚園
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≪学校教育目標≫ 多様な人々と協働し 次代を自律して生き 未来を創造する生徒の育成

H28年度 京都市立洛北中学校 第65回卒業式

              『式辞』

 今年の冬は寒い日が続きましたが、3月になり、植物は芽吹き、「春」を感じるこの頃でございます。季節は着実に巡るものだと、あらためて実感しております。
 ただ今、卒業生、272名一人一人に、卒業証書をお渡ししました。卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
 さて、本日、卒業生のみなさんは、伝統ある洛北中学校の学び舎から旅立ちます。毎日校庭から望むことができた比叡山の雄姿とも、お別れとなります。皆さんはこの3年間で、心身ともに立派に成長されました。3年間の皆さんの努力と研鑽に、心より敬意を表します。
 卒業生の皆さんの学習面・生活面での頑張りが、「何でも一生懸命にやりきる」、洛北中学校の伝統を更に発展させ、落ち着いた校風を創ってくれました。この1年間だけを振り返ってみても、数々の感動のシーンが思い出されます。
 今年度の修学旅行は、熊本地震の影響により、大事を取って急きょ「信州・長野方面」に変更しました。2年間かけて準備してきた北九州方面の修学旅行でしたが、振出しに戻っての0からの準備となりました。そんな厳しい条件の中ではありましたが、1ヶ月余りの準備期間で、皆さんは見事に「やりきり」ました。安全・安心かつ感動的な修学旅行を創ってくれました。その中で、2日目の夜に計画していた「ナイト・バルーン」が、天候の関係で中止になってしまいました。しかし、3年生の教職員はあきらめていませんでした。「是非皆さんに、気球体験の感動を味わわせてやりたい」との思いを持ち続け、先日学校のグラウンドで、その熱い思いを実現することが出来ました。あらためて、何事も「最後までやりきる」、「3年学年集団」の底力を感じました。
 やはり3年生のパワーを1番感じましたのは、「学校祭」でした。「合唱コンクール」では、各クラスが奏でた心のハーモニーの素晴らしさに心奪われました。その中でも、学年全員で歌う「大地讃頌」の合唱には魂が震えました。
 また、伝統ある「体育祭」では、3年生のリーダーシップが光りました。縦割りでの集団演技・応援合戦、そして展示パネル作成など、どれも精度が高く、見ているものを驚嘆させ、グラウンド中に大きな感動を呼び起こしました。「一生懸命はカッコいい」という姿を、いかんなく発揮してくれました。目指す上級生像がそこにありました。
 その「目指す上級生像」が具現化されたものとして1番に、「生徒会活動」があげられます。自主的で自立的な自治活動が展開されました。中でも6月に行われた「生徒総会」は、細部にわたり十分な準備がなされ、理路整然と進められていきました。「生徒の、生徒による、生徒のための生徒会活動」を、見事やりきりました。
 その他、部活動では、毎日の厳しい練習に打ち勝ち、学校の代表として、公式戦やコンクールに挑む姿に、頼もしさを感じました。部活動で得た友達は一生の友となります。これからも、友情を大切に育んでいってください。

 ここで卒業式のはなむけに、心に留めておいて欲しいことを2つお話しします。
 1つ目は、「利他の心」を大切にしてくださいということです。
「利他」という言葉はあまり聞きなれない言葉ですが、「利他」と反対の意味を表す、「利己主義」という言葉は聞いたことがあると思います。自己中心的な考えが「利己主義」ですが、「利他」とは、自分の利益だけではなく、他者のために役立ちたいという「人のために貢献する」という意味があります。
 日本の代表的な企業経営者である稲盛和夫さんは、この「利他の心」を大切にして、京セラという会社を一代で世界的な大企業に育て上げました。京セラの社長・会長を退いた後、KDDI(現在のAU)を設立しました。その設立理由も、「これからは通信の時代が必ずやってくる。その時、人々が出来るだけ安く通信できるように」と、会社の利益よりも、「人のため・社会のために」という「利他の心」からでした。稲盛さんは、ここに来るまでは、試行錯誤の繰り返しだったと言います。「どうしたら社員がやる気を出して、会社がうまくいくのか」ということを常に考え続け、得られた結論が「利他の心」でした。「自分の持てる力を、世のため・人のために使う」、これを実行し続けていくことで、社員が今まで以上に意欲的になり、自然に周りから信頼と協力を得られるようになっていったそうです。そして稲盛さんは更にこう続けます。すべての判断基準は、「人間として何が正しいのか」の一点に絞ったことが、成功につながったのだと…。是非この「利他の心」を大切に持ち続けてください。
 2つ目は、「学び続ける姿勢」を大切にしてくださいということです。
皆さんがこれから生きていく社会とは、どのような社会なのでしょうか。それは、高度情報化社会、グローバル化社会、少子高齢化社会、知識基盤社会…等々、変化の激しい予測困難な社会と言われています。時には、解決のための道筋や正解が1つでない問題も出てくるかもしれません。その様な社会を生き抜いていくためには、どのような力が必要となってくるのでしょうか。
 それは、社会の変化に受け身的でなく、常に高い志と意欲を持ち、粘り強く課題と対峙し、他者と協働しながら「より良い答え」と「新たな価値」を創造していく力です。その力を育むためには、「知識・技能」を幅広く習得し、それらをどのように活用していくのかを深く考え、他者とたくさん語り合っていくことが大切です。そこで重要なことは、他者からの教えには、常に謙虚であることです。「おごり」ではなく、「誇り」を持って学び続けることが大切になります。
 また、人工知能が人類を超える日は、そう遠くないと言われています。しかし、そのプログラミングは、人間が行っています。それ故、今後は益々、人間の心というものが大切になってきます。人の心の痛みや悲しみを受け入れられる温かく柔らかな感性を磨いていってください。さあ、新たな世界へ飛び立とうとしている今、「生涯にわたって学び続ける姿勢」を常に大切にしていって欲しいと思っています。

 あらためまして、卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。私どもは大切なお子様を3年間お預かりし、教職員が一丸となって、子どもたちの成長に寄り添ってまいりました。しかし、行き届かぬ点がありましたことをお詫びいたしますとともに、常に、本校教育に対し温かいご理解とご支援を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。卒業の時を迎えた今、あらためて「子どもたちの力に支えられた3年間であった」との思いがいたします。今後も子どもたちの更なる成長を祈念し、末永く見守ってまいります。
 ご来賓の皆様には、お忙しいところご臨席を賜り、誠にありがとうございました。卒業生272名は、本日、中学校を巣立ち、新しい世界へと旅立ちます。今後も、地域・社会で「活躍」・「貢献」できますよう、引き続きのご指導・ご助言をよろしくお願いいたします。
 最後に、卒業生のみなさん。洛北中学校は皆さんの母校です。洛北中学校で学んだ3年間を誇りに思い、自信を持って新たな道を切り拓いていってください。今後の更なる成長を祈念し、式辞とさせていただきます。

                       平成29年3月15日
                        京都市立洛北中学校
                         校長 浜矢  全

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