京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/05/31
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北にそびえる 鏡山   西に連なる東山 松のみどりに 包まれて 白くあかるく 照りはえる 希望あらたな 学び舎は 我らの 花山中学校

『東山を西に見て』〜Make Legend〜

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「締めくくり」
 この何日間かの暖かさで、校門の桜はその蕾を一気に開けつつあります。満開には程遠いですが、雨が降っても散ることを心配しなくてもよい分、このくらいの方がよいのかもしれません。
 さて、いつかは来るとは思っていた離任。迎えてみると、やはり寂しいです。『せめてあと1年。いや、今の1年生が卒業するまであと2年。』そんな風に思ったりもしますが、きりがないことも十分に分かっています。公務員に異動があるのは当然のこと、気持ちを切り替えました。
 49歳で新任校長として赴任して以来、アッという言う間の5年間でした。当時はまだ、3年生に学習に定着しない生徒たちが少なからずいました。服装・頭髪違反や遅刻を繰り返す3年生もいました。一日に何度も非常ベルが鳴り、時には爆竹がなって学校全体が騒然としたりもしました。校内いたるところで喫煙があり、落書きや器物破損も後を絶ちませんでした。指導が上手くいかず、教師と生徒の大きな声がしばしば聞こえもしました。
「生徒の話を聴く」これを最初に始めました。授業中であるにも拘らず、校内あちこちで生徒数人と教師が話をしていました。校長室も例外ではなかったです。時に笑い声が交じり、「授業中なのに談笑しているとは何事か!」と保護者の方からお叱りの声も頂きました。「時間はかかるが、生徒との信頼関係の回復が最優先課題」とそれらの声に対応してきました。
 元々“人懐っこい”子たちです。半年も経つ頃には随分と指導ができるようになっていき、進路指導も功を奏して授業に出る生徒が増えていきました。金髪や短いスカート、私服のような格好で登校していた生徒たち全員が、頭髪を整え、きちんとした制服姿で卒業証書を受け取ったときの感動は今も忘れられません。
 その後いろいろな取組を行ってきました。道徳教育を軸にした「考え、語り、聴く」活動はその中心です。生徒同士を繋げることで、お互いのことをよく理解しあって生徒同士や生徒と教師の間の信頼関係は一層強まりました。生徒が自らの考えを発言する全校集会もすっかり定着し、今では他校の先生や指導主事の先生から参考にして頂けるようにもなりました。PTA や地域の方にも大いに支えていただきました。学校が計画したことには、快く協力していただきました。保護者と地域の皆様と教職員が協力して生徒を育てるという、学校教育の理想を見事に実現できたと密かに自負もしています。
 この間、262枚のエッセイを綴ってきました。ここには5年間の花山中学校の歴史があります。生徒・保護者・地域の皆様、そして教職員の姿があります。ページをめくっていると、当時を思い出して目頭が熱くなるものもあります。5年間、校長室の窓から東山を西に見続けてきましたが、それももうありません。赴任先に不安はありますが、それ以上に期待があります。これまで応援してくださった読者の皆様、大変ありがとうございました。
 新天地で、新しい生徒、保護者・地域の皆様とともに頑張ります。

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「いずれ他校の見本に」
 一昨日は歩いていると汗ばむほど暖かかったのに、今朝は、檸檬の散歩中に雪が舞ってきて驚きました。膨らみかけていた桜の蕾もびっくりして身を縮こめているのではないでしょうか。昨朝、鏡山循環バス正式運行の出発式典に参列しました。山科駅前で行われたのですが、もう春だからとコートを着ずに来た人や薄手のそれで来た人は、凍えておられたに違いありません。
 さて、平成26年度も終了式を終えました。卒業生の話を切り出しにこの1年間を振り返って1・2年生に話をしました。260人以上の目が真っ直ぐに私に注がれます。私の話を聴きながら頷く生徒が居てくれます。受験や命の話の場面では、緊張感からかつばを飲み込む生徒が何人かいたことも私の目は捉えました。よいムードで今年度最後の全校集会を終えられたと思っています。(決して自己満足ではないと思っています。)
「全校集会は私にとっての授業」そう思って取り組んできました。「校長の退屈な話を我慢して聞かせる」こんなことをさせてはならないと常に心掛けてきたつもりです。「全国どこの中学生に対しても使えるような内容の話をしても意味がない。目の前のこの子たちのネタで、この子たちの心を動かしたい」そう心がけて内容を考えてきたつもりです。内容を生徒の心に届けるための工夫として、パワーポイントを使ってプレゼンテーション形式で話すようにもしてきました。より聴くことに集中させるため、私の話の後生徒にコメントを求めてきました。代表生徒の発言を聴くことが、私の話の内容をより深めると思ったからでもあります。このことが、生徒に大勢の前で話をさせるトレーニングにもなります。この取組も、もうすっかり定着しました。
 感想や決意を述べさせる生徒は、毎回私が指名します。今回も何人かはそうしました。
「ほかに言いたい人はないか?」試しに問うてみました。なんと、勢いよく手が上がりました。
1人は野球部のキャプテンです。「しっかり練習して、みんなで全国大会へ出場したい。」全国大会出場まであと2勝というところまで行った卒業生の背中を見続けてきた彼の、卒業生を超えたいという力強い決意の言葉でした。真面目な彼ですが、こんな場で挙手できるような生徒ではなかったように思います。野球部のキャプテンという立場が彼を変えたのでしょうか。これまでのこの場での先輩の姿が彼を成長させたのかもしれません。「今年度の合唱コンクールで、学年合唱を頑張って2年生の力を見てもらいたいと思って取り組んだ。それが出来て満足している。来年度、3年生になっても一層頑張りたい。」こちらは、常に2年生の評議員をリードする女子の言葉です。発言の後、大きな拍手が起こりました。内容もさることながら、それをさっぱりと言い切った態度にも感心させられました。この瞬間、誰の脳裏にも彼女の一生懸命に歌う姿が甦ったことでしょう。
 集団は変わっても、取組を続ける限りそのクオリティーは高まっていくものなのです。花山中の全校集会は、近い将来他校の見本となるに違いありません。ちょっとオーバーでしょうか(笑)

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「感動のページ」
先日の卒業式で、直接ご挨拶することが出来ず、花山中学校、また校長先生への感謝の気持ちをお恥ずかしながらお手紙で伝えさせて頂こうと思います。
 入学して3年間、本当に大切にして頂いた、その思いでいっぱいです。入学してすぐに「先生、みんないい人ばっかりやで」「○○先生はおもしろいし、○○先生はずっと話を聞いてくれはる」などと、お友達のことと同じくらい先生方の話をたくさんしてくれました。
 そんな先生方に甘え、「毎日元気に学校に行っている。」「先生方に任せていたら大丈夫。」と放置しているうちに、どんどん成長し、時も経ち、「ああ…もう卒業してしまうんだ…」と寂しい思いも感じています。
「学校の先生になりたい」と聞いた時、本当に素晴らしい先生方の中で毎日過ごさせてもらったんだと、改めて実感しました。
 先生方から教えて頂いたたくさんの事を、次の世代の子ども達に伝えられる素敵な先生になれる様これからも応援してやってください。
 「花山’s pride」子どもの心にしっかりあるようです。何度も「花山に通えて良かった」「花山を卒業できて良かった」と口にしています。
 私達保護者もです。職場などで、中学について聞かれると花山自慢が始まります。卒業式後も、「私らが帰れへんな…」と長々と残ってしまいました。
 3年間本当にありがとうございました。我が子だけでなく、私も大好きです。この学校でたくさんの事を学ぶことが出来、親子ともに幸せです。
 「校長先生、これ。お母さんが…」
照れ臭そうに1年生が手紙を差し出しました。先週末に卒業していった或る生徒の保護者の方からのものです。読み終えて、胸が喜びで満たされました。担任の先生へ伝え、了解を頂いてここで紹介しています。(名前の書かれている部分は、一部変更しています。)
 それにしても、よい卒業証書授与式でした。ご来賓の方々も口々に「素晴らしい」「感動しました」などと感想をくださいました。男子生徒が泣きながら答辞を読み上げる場面など滅多に見られるものではありません。校区の小学校の校長先生は「中学校の卒業式に感動しました。来週、これに負けないように頑張ります。」と言って帰られました。
 「学校で行う活動は、全てが学習です。明日の卒業式は、君たちにとって最後の学習の場となります。感動的なものにして大いにその学びを深めてください。」
 前日の予行でそうコメントしました。果たして、卒業生たちはその通りやりきりました。自分たちの心に豊かで確かな学びを刻み込み、参列者に対しては感動を与えて尊敬の念まで抱かせました。花山中学校というアルバムに、新たな1ページが追加されたのです。

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「準備は整った」
 今年度は、公立高校の中期入試から卒業証書授与式(以下「卒業式」と記します)までの期間が極端に短いためか、これまで明日が卒業式だという実感が湧かないでいました。今日の2時間目に卒業式予行をしたにも拘らず、まだその気持ちになれないでいることが不思議なくらいでした。
 3・4時間目、3年生の最後の学年集会を観に行きました。
 とても温かい空気に包まれたよい会でした。生徒が、これまでにやってきたダンスや歌を披露しながら今の気持ちを伝えています。特に、先生や花山中学校に対する感謝の気持ちを伝えるです。昨年度までのことから、おそらく評議員が中心になって私立高校や公立前期入試で進路の決定した生徒たちで企画したのでしょう。全体として大変良くできた構成になっていました。
 これまで見たことのなかった企画は、学年担当の先生方に学級の代表生徒から「感謝状」を贈るというものです。また、その感謝状の内容(文章)がよくできています。先ほど「誰が考えたのか?」と学年の先生に尋ねましたが、「生徒の誰か」としか分からないらしいです。3年生ともなれば、教師の動きを実によく見ているものです。また、教師の意図することを見事に理解もしています。感謝状を贈呈する生徒の人選も文句のつけようがありません。教師はこういうシテゥエ―ションに極めて弱いものです。涙を見せる教師が多くいました。大いに結構です。生徒の前で泣いてもいいじゃないですか。却って人間らしくてよいと思います。この子たちの前だからこそ飾る必要がないということの証明でもあります。かつて、一緒に勤務したことのある若い教師が次のように言ったことを思い出しました。
「教師の仕事はオセロゲームみたいなもんです。それまでどんなにしんどい思いをしてきても、最後の一手ですべてが裏返るんですよ。」
 最後の一手が、今日のような場面、いや、更に明日に用意されている場面なのです。
 つくづく不思議な学年でした。“行儀がよい”とは言い難いです。むしろ、普段の生活は“だらしなさ”が目立ちます。口の悪い生徒も多いです。特に女子は、友達同士の関係で揉めたおした時期もありました。それが、行事などを行うときには何とも不思議な力を発揮しました。相変わらずノリの良くない生徒もいましたが、そんな生徒を包み込んでしまうような温かさと大きさのある生徒が居ました。また、そんなしんどい「負」の雰囲気に負けることなく堂々と「正」の行動をとることのできる生徒が多く居たことも理由でしょうか。いや、案外、我々がこれまで接してきたどの学年の生徒たちよりも大人なのかもしれません。
 いよいよ明日は第52回卒業証書授与式です。今は生徒も教職員も、その誰もが心の準備を十分に整えたことでしょう。
 あの子たちのことです。きっと感動的な素晴らしい卒業式にしてくれるはずです。

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「お疲れさん!」
 今日は公立高校の前期選抜です。昨年度に制度が大きく変わって2年目を迎えますが、この間、進路指導主事や学年主任、生徒や保護者に直接接する担任のきめ細かな説明のお蔭で、大きな混乱もなく今日の日を迎えることができました。
 現在午前9時ちょうど。受検校へ行っている先生からは何の連絡も入ってきません。受検生が無事会場に入室したという訳で、ひとまずはホッとしているところです。
 さて、私が教師に成った年に京都の高校入試制度が大きく変わりました。普通科に1〜3類が出来たのです。2類が進学コース、3類はスポーツなどの個性伸長をめざすコースです。これで安定したようでしたが、その後、嵯峨野高校のこすもす科や堀川高校の探究科ができたことから各校に専門学科が作られ、2類の意味が不明確になってきました。また、学力や生徒会活動、部活動などの面で優秀な生徒を獲得したい高校側の思惑もあって、推薦入学制度が採用されて公立高校の入学試検日が二分されもしました。またこの頃から、「行きたい学校に行けない」という意見が大きくなってきました。そこで、受検できる高校の区分として設けられていた圏を、東西南北の4つから南北の2つにしたり、2類ならば圏を超えてどの学校でも受検できるように修正が加えられてきましたが、受検生やその保護者の強いニーズには応えきれませんでした。
 昨年度、ついに志望校を自由に選べる「単独選抜制」となりました。この30年間で何度も制度改革を経験してきた者にとっては、頭の切り替えが難しいものの、いわば単純な入試制度になったわけです。
 ところで、本校の出願状況で言えば、一昨年度までと比べてそれほど大きな変化はありません。地域独特の文化や考え方は、地理的経済的歴史的な要素が絡み合って出来上がるものでしょう。東山の東に位置し、まだ少なからず田畑が残る本校の地域においては、中学校卒業後の進路にもしっかりと特徴が表れているようで、地元の高校への進学を希望する生徒が少なくありません。そして、本校の卒業生は地元の洛東高校や東稜高校で頑張り、実際に活躍もするので大いに期待されてもいます。
 長々と綴ってしまいました。もうテストが終わった頃です。3年生諸君はようやく緊張感から解放されていることでしょう。今夜はゆっくりして、長く我慢してきただろうゲームをするもよし、DVDを視聴するもよし、部活動に参加するもよし、健全な形で大いに羽を伸ばしてほしいものです。
 もう39年前になりますが、私のこの日のことです。当時は夜にTVで入試問題の解答と解説がありました。それを見ていると、たくさんの間違いが見つかって大いに不安になったものです。細かな部分に目を向ければ、色々と不安や心配事はあるのでしょうが、これで3年生の受験生活は一応ほぼ終了となります。今日まで本当にお疲れさん!

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「周りを見つめ直そう」
 またも中学生が犠牲となる事件が発生しました。死亡推定時刻は2月20日の午前2時頃のことだといいます。“友人が多く明るくて優しい性格”“クラスに関係なく友達が多かった”と友人や先生がコメントしている中学1年生の遺体は、川崎市の多摩川河川敷で全裸の状態で見つかりました。首に多数の刺し傷や切り傷、他にも顔や腕などに複数の切り傷があったらしいです。現在、警察は殺人事件として捜査を進めています。また、付近には結束バンドが切られた状態で落ちていたり、血のついたカッターナイフや多量の血痕が確認されているともいいます。これらの状況から、本人は、手足を縛られた上で集団暴行を加えられ、カッターナイフで首を切りつけられるなどして殺害された可能性があるということです。更に、午前3時過ぎには、近くの公衆トイレで衣服などが燃やされる火事があり、それが本人の物であることも確認されました。
 「なんでわが子がこんな目に合わなければならないのか!?」
 被害者の母親はそんなコメントを出していますが、その気持ちは痛いほど分かります。昨晩、妻とこの話題でかなりの時間話しました。自分たちならどうするでしょうか。冷静でなどいられるはずはありません。「犯人が分かったら、私が自分で殺しに行くやろうか。気が狂ってしまうかもしれない。」妻は、そんなことまで言っていました。
 事件の起こる1週間ほど前には、小学校時代の友だちに「殺されるかもしれない」というメールを送っていたということも分かってきました。まだ不確かではありますが、「昨年8月ごろから“不良”と付き合うようになり、本人の素行も悪くなった」「今年1月からは不登校状態となった」「事件の1週間前、本人宅付近で刃物をもった若者が目撃されている」などの情報も報道されています。この命は救えなかったのでしょうか。
 親やその子の通う学校の教職員を非難する気持ちは毛頭ありませんが、おそらく、本人の変容や交友関係の変化には気づいていたでしょう。『どうしたらよいのか!』『このまま放っておいたらヤバイんじゃないか!』などと感じていた人もいたと思います。一人ひとりの不安を出し合い、手立てを考え合っていたなら…。事件は防げたかもしれません。
 この機会に私たちの身の周りを見つめ直してみようではありませんか。学校に来にくくなっているAは今どうしているのか。BとCの関係は大丈夫か。進路が決定していないDやEに対して、どう将来像を示してやればよいのか。教師との関係が上手くいっていないFをどう指導しようか。考え始めたらきりがありません。
 常に生徒に近いところに居る。それも、近づき過ぎず離れず、必要とされるときにはいつでも相談に乗れる、そんな距離間を上手く保てる花山中の教職員。生徒を優しく温かく見守る教職員を誇りに思うと共に、生徒諸君には、こんな花山中学校の生徒で居られる幸せを自覚してほしいと願わずにはいられません。

※写真は、休憩時間の一コマです。


『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「目の前のことに」
 1年生の1クラスを「学級閉鎖」にしました。欠席者が多かったところに加えて早退者が相次ぎ、30人学級のうち10人近くがいない状態となったのです。これ以上具合の悪い生徒が増えることを防ぐため、学校医とも相談した結果の思い切った決断です。案の定、前日早退した生徒のうちの何人かからインフルエンザに罹患していたとの知らせが届きました。時は今、3年生にとっては受験の真っ只中。また、1・2年生にとっても今年度最後の「定期テスト」直前です。体調を崩して全力を発揮できなかったとしたらこれほど悔しいことはありません。どうか、体調管理には十分気を付けてほしいです。うがい・手洗いの励行、マスクをつけるなどの予防のほか、“気を抜かない”ことも大事だと思います。
 さて今月5日、和歌山県紀の川市で小学5年生の男児が刺殺される事件が起こりました。また、年末には名古屋大学の女子学生が女性を斧で殴りマフラーで首を絞めて殺害するという凄惨な事件も発生しています。紀の川市の事件の容疑者とされる22歳の男性は容疑を否認しているといいますが、名古屋の事件の女子学生はそれを認めており、その供述の中で「人を殺してみたかった」と語ったらしいです。また、最近になって本人のブログに「ついにやった」と書き込まれていることも分かってきたといいます。この女子学生は、殴るのに使った斧を中学生の頃から所持していたといいますし、ブログをさかのぼると「名大出身死刑囚ってまだいないんだよな」という書き込みも見つかったとか。
 若い人が犯罪を犯す事件で気が重くなるのは、おそらく私だけではないでしょう。
 1997年、神戸の連続殺人事件の犯人が、当時14歳の少年であると知った時、生まれて初めて背筋が寒くなる経験をしました。また、翌年栃木県黒磯市で、中学生が学習態度を注意された先生を刺し殺すという事件が発生した時には、飛び上がるほど驚きました。コンビニ前の路上や電車の床に平気で座る中高生の姿が増加したことや、ニートと呼ばれる若者が急増したことも相まって道徳教育の充実と再構築が叫ばれることになったのもこれ以後であったと思います。とりわけ、「命」がテーマに取り上げられもしました。
 紀の川市や名古屋市の事件の容疑者の青少年がどのような育てられ方をしてきたかは分かりませんが、残念ながら「命」を大切にする価値観をもつことはなかったようです。
 今の花山中の子どもたちに対しては何が出来るでしょうか。難しくはありません。目の前のことに精一杯取り組むことの意義と大切さとを丁寧に伝えることだと思います。ともすれば、挫けそうになったり投げ出しそうになった時、保護者の方と共に教師が傍に居て支え励まし、時には本気で叱ること、そういう“当たり前”をきちんとすることだと思うのです。実際、本校教職員がそのように生徒に接している場面をいくらも観て安心もしています。
 自分が大切にされていると実感できる子は、人にも優しくできるものです。そして、きっと人のことも大切に出来るはずです。

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「受験生とその保護者」
 朝から粉雪が舞う寒い日となりました。思えば、毎年この時期には寒波がやってきて私たち教師を不安にさせます。今日は私立高校の入学試験初日です。
 通勤途中、地下鉄の蹴上付近を早足で志望校へと向かう本校生徒を見かけました。声をかけようかとも思いましたが、彼の緊張感を緩めてはいけないのでやめておきました。いつもはひょーきんな彼も、今日ばかりは引き締まった良い表情をしていました。きっと緊張感を味方につけて実力以上の力を発揮してくれるものと思います。
 さて、本格的に受験期間に突入しました。1か月後には公立高校の中期試検も終了しています。つまり、今日からの1か月が、3年生とその保護者にとっては正念場です。
 何年か前、京都大学の入学式の会場が替えられました。来場する保護者の人数が増えすぎて、それまでの会場では収容しきれないとの理由からでした。その報道は、次のように続けていました。東京大学や京都大学を受験する場合、受験生本人だけでなく、家族全員で受験に臨んでいるのだといいます。受験生に合わせて入浴や食事の時間を決める。TVの音量を小さくする。あるいは勉強中はTVをつけない。親が塾や予備校への送り迎えをする。受験生中心に家庭が回り、色々なことを我慢もして家族が一丸となって戦うのが難関大学への受験なのだそうです。だからこそ入学式は、苦労を共にし共に夢を実現した家族も参加したいのだということでした。
 我が家の場合、子どもは二人とも大学の附属校に通っていたので大学受験を経験してはいません。でも、遠い高校受験の頃を思い出すに、その保護者の心境が分からなくもありません。妻は、望まれてもいないのに、毎晩遅くまで音のないTVを見ながら息子の受験勉強に付き合っていました。「休日特訓」という名前の塾の学習が家から遠い特別教室で開催されるため、私も送り迎えをしたことがあります。夜遅く雨の中を息子を迎えに行く妻に「放っておいたら勝手に返ってくる!」と言いながら、『妻は、そうすることが今の母親の役割だと思い込んでいるんや』と気付いたことも今思い出しました。
 受験の当日は、仕事中にも拘らず何度も時間割を眺め、『今頃は○○のテストを受けてるんやな』と思い『頑張れよ。受かれよ。』と念じたものです。合格発表の日は、こちらまで朝から落ち着きませんでした。当時からインターネット上で発表されるため、時間になるとドキドキしながらコンピューターを開いたものです。合格を確認した時には、年甲斐もなく、それこそ“飛び上がらんばかり”の思いでした。子どもの受験番号の掲載された画面を印刷して持って帰りもしました。
 受験は、決して子どもだけのものではありません。今日明日と、同じような気持ちでいる保護者がたくさんおられることでしょう。
 頑張れ、受験生。そして、その保護者のみなさん!

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「囁き呟きをキャッチ」
 男子ソフトテニス部に関する先週の土曜日曜の話です。
 土曜日は、雪の降る生憎の天候でしたが、修学院中学校へ練習試合に行きました。そこには京都大原学院の選手も来ていて、3校での練習試合となりました。
 実は、この2校とはブロックが一緒で、秋のブロック予選会で、本校の生徒はことごとく修学院中学校と京都大原学院に負けて全市大会へ進めませんでした。この2校は市内では強豪校として名が通っています。そこで、練習試合が決まった時から、選手には「これまでの練習で蓄積してきた力を試す日」と位置付けて目標にさせてきました。
 試合は、圧倒的にうちの負け数が多かったのですが、よく競って決して一方的な内容ではありませんでした。試合を終えて帰ろうとした時、生徒同士の囁きが私の耳にも届いてきました。
「修学院がそんなに強いと思わへんかったわ!」
 翌日曜日は、大阪市中央体育館まで「第60回全日本インドアソフトテニス選手権大会」の観戦に行きました。この大会は、今年度の数々の大会で優秀な成績を収めた選手が連盟の推薦を受けて出場するもので、日本のトップレベルの選手たちによって争われます。早朝の集合、大阪「朝潮橋」までの何度もの電車の乗り換えなど、子どもたちにしてみればちょっとした遠足気分も手伝ってか、提案した時から楽しみにしている子が多くいました。大会が始まると、子どもたちの目は選手とプレーにくぎ付けとなりました。何しろトッププレーヤーの試合を生で観るのは初めての経験です。“固唾をのむように”とは将にこのことだと、アリーナを凝視している子どもたちを見て思ったものです。
 帰りの電車の中で、これも子ども同士が話している声が私に聞こえてきました。
「あー、早くテニスがしたい!」
 その時々には、会話に割って入っていくことは控え、月曜日の練習時にこの2つの囁きと呟きを紹介しました。また、「この気持ちを共有できる人が多いのではないか」「この気持ちの意味をもう一度考えて欲しい」とも付け加えました。
 生徒の囁きや呟きの中に本音が見えるものです。そして、それを上手く取り上げることで、思いのほか効果的に指導ができることがあります。
 今回のことで言えば、「修学院がそんなに強いと思わへんかった!」は、自分の力がついてきたことを自覚した表れであるし、「あー、早くテニスがしたい!」は、強烈な印象をもち、そこに何かを見つけてそれを試してみたいと思ったことを表しています。
 子どもの言葉を的確にキャッチし、それを上手く本人や集団に返せたら、生徒との強い信頼関係を築くことが出来るものです。また、上手くいくと、『先生は、僕らのことを本当によく見てはる。』と尊敬の念をもたれることにもなるのではないでしょうか。いつもそんなに上手くいくとは思えませんが、今回に限っては“上手く拾って上手く投げ返せた”と満足です。「囁き呟きをキャッチ」教師としてなくてはならない重要な能力です。

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「インプット・アウトプット」
 今週に入って3年生の面接練習を行っています。毎年これに書いていますが、私はこの取組が大好きです。僅か10分ですが、これほど改まった状態で子どもと1対1で向き合える機会は他にないからです。10分は案外長く、その子のことを深い所まで知ることが出来ます。
「本校を受験した理由を聞かせてください。」「中学校時代で最も楽しかった行事は何ですか。また、それはなぜですか。」「担任の先生はどんな人ですか。」「得意な教科・不得意な教科を教えてください。」ほぼ全員に対して使うフレーズです。
 志望理由を聞くと、その子が将来就きたい職業が語られることが多いものです。中学校時代の行事について話すとき、どのような態度や意気込みで取り組んできたのかが見えます。担任の先生についての話は本人に聞かせてやりたいです。教師冥利に尽きることでしょう。学習については、その子なりに考え、悩み、克服しようとしている思いを聴くことが出来ます。
 また、こういう場だからこそ突っ込んで尋ね、確認し、決意させることもあります。
今年で言えば次のような遣り取りがありました。
「本校を卒業後の進路についてはどう考えていますか。」「はい、出来れば大学へ進学したいと思っています。」「それは、素晴らしいことです。是非頑張って実現させてください。」と、ここまでが面接の場面。終わってから、評価を兼ねて再度会話を交わしました。
「大学進学が叶ったら、君の家で初じゃないのか。」「そうや。お父さんもお母さんも大学へ行ってへん。」「卒業した上の子もやん。君次第で、下の子の進路展望が大きく変わるんとちゃうか。」「そうやなあ、ガンバるわ!」
 中学時代、欠席が多かった生徒とは次のような遣り取りをしました。
「君は中学時代の欠席の数が多いですね。高校では欠課時数が多いと進級できなくなります。休まずきちんと登校できますか。」「はい、頑張ります。」「よろしい、その気持ちを忘れないようにしてください。」
 今年も途中から泣き出す生徒がいました。決して突っ込んだ質問をして困らせたわけではありません。初めての面接に向かう極度の緊張感、回答に窮したときの不安感と自己嫌悪、上手く答えられた時の安堵感、回答を褒められた喜び、そのようなものが入り混じり、一気に感情を乱すからだと分析しています。
 校長の仕事の大事なものに、背景まで含めて全校の生徒一人ひとりのことを深く理解することがあると思っています。面接練習を通して情報を得る(インプット)、これまでに入手した情報を使って会話を組み立てる(アウトプット)、これらを上手く行うことで、たった10分であっても生徒と良好な関係を築くことが出来るものなのです。
 私たちの生活はこの作業の繰り返しなのではないでしょうか。人間関係づくりの上手な人(教師)は、情報のインプットとそれをアウトプットする能力に長けているものです。

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学校評価

台風措置

1年生より

2年生より

3年生より

平成26年度年間行事計画

学校いじめの防止等基本方針

全国学力学習状況調査の結果

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