最新更新日:2024/06/05 | |
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ちょっといい話−29−
今年は,「入試」というと「雪が降る」というようになってしまいましたね。寒かったのですが,3年生は順調に入学試験に果敢に挑んでいました。
卒業式まであと10日。「感謝・感動・決意」(3K)にあふれた卒業式にしていきましょう!今日は,入試で疲れた頭を少しの間休め,「ちょっといい話」で心を元気にしてください。 『〜心を込めて“いただきます”“ごちそうさま”を!〜』 その絵本の帯に、一人の名も無い主婦のメッセージが書かれていた。「朗読を聴いて、うちの娘が食事を残さなくなりました・・・」 絵本に食肉加工センターの「坂本さん」という人が登場する。 実在の人物である。坂本さんの職場では毎日毎日たくさんの牛が殺され、その肉が市場に卸されている。牛を殺すとき、牛と目が合うという。そのたびに坂本さんは、「いつかこの仕事をやめよう」と思っていた。 ある日の夕方、牛を荷台に乗せた一台のトラックがやってきた。「明日の牛か…」と坂本さんは思った。しかし、いつまで経っても荷台から牛が降りてこない。不思議に思って覗いてみると、10歳くらいの女の子が、牛のお腹をさすりながら何か話し掛けている。その声が聞こえてきた。「みいちゃん、ごめんねぇ。みいちゃん、ごめんねぇ…」坂本さんは思った、(見なきゃよかった)女の子のおじいちゃんが坂本さんに頭を下げた。「みいちゃんはこの子と一緒に育てました。だけん、ずっと家に置いとくつもりでした。ばってん、みいちゃんば売らんと、お正月が来んとです。明日はよろしくお願いします…」(もうできん。もうこの仕事はやめよう)と思った坂本さん、明日の仕事を休むことにした。 家に帰ってから、そのことを小学生の息子のしのぶ君に話した。しのぶ君はじっと聞いていた。一緒にお風呂に入ったとき、しのぶ君は父親に言った。「やっぱりお父さんがしてやってよ。心のなか人がしたら牛が苦しむけん」しかし、坂本さんは休むと決めていた。翌日、学校に行く前に、しのぶ君はもう一度言った。「お父さん、今日は行かなんよ!(行かないといけないよ)」坂本さんの心が揺れた。そして,しぶしぶ仕事場へと車を走らせた。牛舎に入った。坂本さんを見ると、他の牛と同じようにみいちゃんも角を下げて威嚇するポーズをとった。「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんとみんなが困るけん。ごめんよう」と言うと、みいちゃんは坂本さんに首をこすり付けてきた。 殺すとき、動いて急所をはずすと牛は苦しむ。坂本さんが、「じっとしとけよ、じっとしとけよ」と言うと、みいちゃんは動かなくなった。次の瞬間、みいちゃんの目から大きな涙がこぼれ落ちた。 牛の涙を坂本さんは初めて見た。 (『いのちをいただく』西日本新聞社)より * * * * その絵本のあとがきに次のような言葉が書かれていました。 『私たちは奪われた命の意味も考えず、毎日肉を食べています。自分で直接手を汚すこともなく、坂本さんのような方々の悲しみも苦しみも知らず、肉を食べています。 『いただきます』『ごちそうさま』も言わずにご飯を食べることは私たちには許されないことです。感謝しないで食べるなんて許されないことです。食べ残すなんてもってのほかです…』 『その絵本の帯に、一人の名も無い主婦のメッセージが書かれていた。「朗読を聴いて、うちの娘が食事を残さなくなりました・・・」』 その深い意味が分かりました。 |
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