最新更新日:2024/06/05 | |
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ちょっといい話−28−
『3月1日(火),完全下校後の6時前ごろ。“トントントン”と職員室をノックする音がしました。誰かなあと思いドアの方を見てみると,4年前に卒業したある一人の男子生徒がそこに立っていました。実は彼は,・・・・』
今日は,少し肌寒い感がありましたが,心から暖かく,そして熱くしてくれる春日丘中学校の「ちょっといい話」がありましたので紹介します。 『その男子生徒を見て,「お〜久しぶり」と言うと「ご無沙汰しております」ときちんとした挨拶。更に「今日はどうした?」と聞くと「○○先生に用があって・・・。おられますか?」「はい。いるよ」そしてその先生が来ると,「先生,今日,高校を卒業しました。これが卒業証書です。」と,わざわざ卒業証書をその先生に見せに来てくれたのでした。今日3月1日は,公立高校の卒業式だったのです。家族でお祝いをする前に,中学校時代の担任の先生に卒業証書を見てもらいたくて来たのでした。彼にとって,この1枚の卒業証書には格別の思いがあったのです。それは・・・ 彼は高校1年の終わりに,高校の先生から「留年」という厳しい現実を突きつけられました。彼は,自分のいい加減さから招いた結果だと思っていましたが,自分を厳しく直視できないままでいました。そして,「1年下のヤツと一緒に勉強できるかい!」と,退学を決めていました。そのことを高校から聞いた中学校時代の担任は,電話してすぐに彼を中学校に呼びました。彼はうしろめたい気持ちを少し持ちながら,退学と決めて母校の門をくぐりました。担任は彼の甘さを見抜いて厳しく言いました。「高校を決めるときに,いろいろと悩んだ末に自分で決めたことやないか。1年ぐらい遠回りしても遅くない・・・!」 卒業までに,普通の人よりは少し長く4年の歳月を費やしましたが,今日この日の彼は,最高に輝いていました。たった1枚の卒業証書ですが,この1枚の中に彼のこれまでの4年間の苦悩が凝縮されているに違いありません。いや,苦悩だけでなく,それ以上に,やりきったという満足感と自信がいっぱいに詰まっていることでしょう。彼は,辛いことから逃げずに,周りから何と思われようと自分の意志を貫き通しました。担任との約束を守りきりました。そんな彼が非常にまぶしく見えました。こんな出来事が,教師をまた大きく育ててくれるのです。まさに教師冥利に尽きます。最後にその担任の先生はこう言っていました。「今日授業をしているとき,“そういえば,今日は○○君の卒業式やなあ”と思っていました・・・」。たくさんの卒業生を送り出しているその先生ですが,一人の卒業生の人生の節目に思いを馳せることが出来る先生と,同じ職場で仕事が出来る幸せを体一杯に感じました。』 (写真は美術科の作品「絵文字」です) |
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