最新更新日:2024/09/19 | |
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園だより 11月号より
金メダル
かけっこをしている時でした。年長児のAちゃん,Bちゃん,Cちゃんが一生懸命ゴールめがけて走ってきました。Aちゃんは3位でした。ゴールした瞬間,Aちゃんの表情がくもりました。走った後,待つ場所にしょんぼりと座りに行きました。 Aちゃんのそばに行くと,涙が一粒目に光っていました。私を見つめる目を見ると,一生懸命力いっぱい走ったけれど,3位だったことがショックだった思いが伝わってきました。「悔しかったなぁ」と言葉をかけるとうなずきます。「悔しい気持ちはよくわかるよ。悔しい気持ちがあるということは大事なこと。悔しいよねぇ。」と背中をなでながら話しかけました。「でもAちゃんは一生懸命に走っていたよ。悔しい気持ちがあるとまた,頑張る力になるよ。」と励ましました。 次回はどうかな?とAちゃんを見ていると,1回目と同じように力いっぱい走っていました。 9月になり,気候も少しずつ落ち着いて,運動遊びを思いきり楽しむことができるようになりました。かけっこや帽子とりなど一人一人の子どもが力を十分に発揮したり,自分なりのめあてをもって挑戦したりすることを願い,保育を展開してきました。ただ体を動かして遊ぶだけでなく,運動遊びに取り組む中で,子どもたちの心も様々に動き,揺れます。そこで,子どもたちに「みんなの心の中には金メダルがあるよ。それはみんなが最後まであきらめないで頑張ったり,悔しくても,転んで痛くなっても一生懸命に力を出したりするときらきら光ってきます。自分の金メダルは自分で磨かないときらきら光りません。」ということを話しました。 子どもたちは可能性がいっぱいあります。素敵な力がいっぱいあります。そのようなことを私は心の金メダルと話しました。もちろん,お家の人たちや私たちはそれが伸びる(輝く)ことを支援したり,促したり,見守ったりなどしていくことが必要です。しかし,自ら心を動かしたり,やってみようと思ったりすることは子ども自身の力です。そういった意味を含めて心の金メダルを自分で磨こうと語りかけました。 そのような話をした後,年少児のDちゃんがかけっこでゴールした時に泣き出しました。1位になれなくて泣いていました。「悔しくて嫌だった?」と尋ねると大きくうなずきます。「Dちゃんは今,一生懸命に走っていたよね。力いっぱい走っていたよね」と言うとまた,大きくうなずきます。「それがいいのよ。力いっぱい,一生懸命に走ってることが心の金メダルをきらきらに輝かせるの。1番になることが心の金メダルを輝かせることではないのよ。転んでもまた立ち上がって走ることや最後まであきらめずに頑張って走ることがきらきらにさせることなの。悔しくてもまた次頑張ろうと思うことがきらきらにするのよ」と話しかけました。するとDちゃんは涙を拭いて顔を上げました。 年少児の子どもたちには心の金メダルをきらきらに磨くという意味は難しかったかもしれません。1位になることが金メダルをきらきらにさせることだと思ったのかもしれません。しかし,その後,Dちゃんは悔しくても最後まであきらめないで走っていました。 運動会ではみんなの心の金メダルがとてもきらきらと輝いていました! |
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