京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/13
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本校は 自由快活な校風のもとで 多様性を尊重し共に高め合い 美の精神をもって広く社会に貢献できる 高い理想をもった創造性豊かな自立した青年を育成します

後期終業式校長挨拶(抜粋)

はじめに、私たちは昨年4月の移転を終え、新校舎での教育活動を始めました。環境が変わる中での学校生活や教育活動を無事乗り越えられたのは、生徒の皆さん、先生方、職員の皆様方の協力のおかげです。1年間ご協力本当にありがとうございました。感謝いたします。

さて、 終業式にあたり、皆さんに2つのことをお願いしたいと思っています。

まず一つ目です。
今年1月1日に発生した能登半島地震のことについてです。皆さんの中にも、ご家族や知人が被災された方がいらっしゃるかもしれません。この地震により、多くの人々の生活が一変し、計り知れない被害が発生しました。日本はこれまで自然災害により多くの困難に見舞われてきました。しかし、その度に、私たちは人間の強さと優しさを持って、これらの困難を乗り越えてきました。1月20日頃の報道によると、地震発生からわずか2週間で石川県へのボランティア登録者数が一万人を超えたとのことです。今では2万人を超える方が登録して、実際に現地でボランティア活動を行っています。

この数字は、ただの数字以上のものを私たちに示しています。それは、困難に直面した時、私たち一人一人がどれほどの力を持っているか、そして人々が互いにどれほど深く結びついているかを教えてくれます。
この素晴らしい動きは、日本の強さと温かさを象徴しています。そして世界から称賛されています。私たち日本人は、困難な時でも互いに支え合い、力を合わせる文化を持っています。

本校においても、在校生の皆さんや先輩たちが美術を学ぶ自分たちにどんな支援ができるかを一生懸命考え、東日本大震災時、続く熊本地震、そしてウクライナ支援などにおいて行ったボランティア活動が、私たちの強い絆と支援の精神を象徴しています。
現在、能登半島地震の被害に遭われた方に対し、私たちの中には、できる支援を考え、個人として行動を起こしている人がいます。

また、本校でも生徒会を中心に街頭募金をするなど、行動を起こしてくれています。これらの行動は「素晴らしい」ということを超える意味を持ちます。それは、私たち一人一人がこの世界にどれほどの影響を与えられるかの証です。

被災地はまだ支援が必要です。私たちにできることは、これからも無限にあります。私たち個人の小さな行動は、大きな変化を生む力を持っています。それが社会を変えていくことにつながります。
この災害を通して、私たちは多くを学び、成長しています。人として、また社会の一員として。

生徒の皆さん、これからも先輩たちが築いてきたボランティア精神を受け継ぎ、行動を起こしてください。あなたの小さな一歩が、誰かの大きな希望となります。未来は、私たち一人一人の手に委ねられています。私たちもいつ何時どんな災害に見舞われるかもしれません。この災害を他人事と思わず、自分のこととして捉え、考えてみてください。

続いて2つ目です。
今年度、私たちの学校は新たなスタートをきり、京都市立芸術大学の隣に移転しました。以前、皆さんに京都芸大の制作展の案内をしましたが、訪れましたか?芸大が隣接していることで、何か変化を感じていますか。
現在、私たちは文化都市京都の心臓部に位置し、ここは芸術と創造性が躍動する場所となっています。また、昨年、文化庁が京都に移転してから、この都市の文化的な役割は一層強化されています。

皆さんは、この刺激的な環境の中で日々、自分の才能を磨いています。美術工芸の世界に身を投じることで、イマジネーションとクリエーションの両方のソウゾウ力を育むことは、未来を形作る力になります。先日の卒業式で、卒業生代表が答辞で「様々な先生方の視野を広げる指導が、私たちの創造の原動力となった」と述べました。
この言葉は私たち教職員にとって非常に嬉しいものでした。多様な興味を持ち、目指す目標に向かって視野を広げることは、創造力を高める重要な鍵です。『視野を広げる』とは、思考や知識の幅を広げ、物事を多角的に捉える能力を指します。

広い視野を持つことは、様々な日常のシーンで役立ちます。しかし、視野が広がったとき、初めて『以前の自分は視野が狭かった』と気づくものです。この変化を実現するためには、経験を積み、知識を広げる以外に方法はありません。そのために必要な環境が、ここには整っています。

成功も失敗も、すべてはあなた次第です。学び続ける喜びや探究する面白さを感じることこそ、この学校やこの地域で学ぶ最大の醍醐味です。他の地域にはこのような素晴らしい環境はありません。在校生の皆さんも、卒業生に負けない創造力を身につけて欲しいと思います。そのためには、思うだけでなく行動に移すことが大切です。行動すれば得るものがあります。失敗を恐れず、チャレンジ精神を持って日々を送ってください。そうすれば、この学校での生活が皆さんにとって意義深いものとなると信じています。

来年度を迎える前に、皆さんに二つのお願いをしました。今話をした内容はホームページにも掲載しますので再確認をして、自分に何が求められているか、じっくりと考えてみてください。そして日々の生活をより意識的に、大切に過ごしてください。4月の始業式で皆さんが希望に満ち溢れた表情で登校することを楽しみにしています。

 令和6年3月19日
                        校長 名和野新吾

入学者説明会校長挨拶(抜粋)

中学生の皆さん、保護者の皆様、合格おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。
皆さんは、厳しい狭き門を切り抜け、京都市立美術工芸高校に合格されました。今、ワクワク、期待に満ちた気持ちと高校生活の不安の気持ちもあるのかもしれません。4月の入学式後、皆さんは2・3年生と共に本校の新たな歴史の1ページを作ることになります。

さて、本日は入学説明会にお越しいただき、ありがとうございます。説明会にあたってご挨拶申し上げます。
私は自然界の生き物や植物に大きな関心を持っているので、関連する書籍やテレビ番組を視聴することが好きです。最近視聴した番組で、昆虫が蛹から成虫へと変態する過程についての新たな発見を知り、非常に興味深く感じました。それは、昆虫が蛹から成虫に変わる際、今までは全ての細胞が一度溶けて再構成されると言われていたのですが、最近の研究では、幼虫の時代の脳や腸などの一部は残りつつ、新たに目や口、羽、足、胴体などが形成されるとされています。哺乳類が生まれながらにして親と同じ形をしているのに対し、昆虫はその成長過程で大きく形を変えることから「変態」と称されます。幼虫時代には狭い世界で生活しながらも、何倍もの食べ物を食べ、脱皮を繰り返し、成長して成虫へと変化し、それまでとは全く異なった世界へと飛び立ちます。
皆さんも、昆虫が変態を行うことで、全く次元の違う世界への適応力をつけることができるように、これから始まる3年間の高校生活を通じて大きな変化を遂げて欲しいと願っています。

これまで皆さんは、生まれ育った家庭や地域、そして中学校までの義務教育を通じて、多くのことを学んできました。これらの経験は、これから大人へと変わっていくための基盤となります。入学後、皆さんは18歳を迎え、法律上では成人になります。本校での学校生活は「大人への変態」を促す貴重な機会です。昆虫が変態の過程で貪欲に栄養を摂取するように、皆さんにも、この学校で知識を貪欲に吸収し、自己の再構築に挑む姿勢を持ってほしいと思います。これまでの自己像、常識、自己表現に囚われず、見直し、過信せず、謙虚に新しい学びに臨んでください。
私たちは、皆さんが本校での学びを通じて、多岐にわたる知識や技術を習得し、心身共に成長して、自由に、そして大胆に広い世界へ羽ばたいていってほしいと願っています。

では、そのための準備に必要なことは何でしょう?
入学前に、皆さんに伝えておきたい重要なポイントがあります。それは、何度も繰り返して伝えてきましたが、大好きな美術工芸の領域だけでなく、広範囲に及ぶ学問の学びが、皆さんの将来にとって決定的な影響を及ぼすということです。国語や数学、理科といった様々な基礎学科の知識は、創造的な問題解決能力を高め、批判的思考を養うために不可欠です。これらの学科で培われるスキルは、美術工芸だけでなく、将来皆様が直面するあらゆる課題に対応するための基盤となります。

将来の夢や目標を持ち、叶えるための鍵は貪欲に学び続けることです。思っているだけでは何にもなりません。行動を起こしてください。学びは受動的なものではなく、能動的に進めることが重要です。
皆さんはもう既に高校生活のスタートラインに立っています。今、私がお伝えしたことを心に留めて、入学式までの3週間をどのように過ごすかで、美術工芸での学びやそのスタートが大きく変わってくるでしょう。この貴重な時間を大切に過ごしてください。

保護者の皆様、私たち教職員一同、お子さん一人ひとりに寄り添い、責任を持って教育活動を行なっていきます。お子さんの成長をご一緒に見守り、サポートしてください。お子さんの心身の健康のサポートをお願いします。

結びに、生徒の皆さん、期待を大きく膨らませて入学式を迎えてください。この学校での学びの旅が、皆さんの将来において、新しい可能性の扉を開くことになるでしょう。4月8日、皆さんの期待に満ちた笑顔にお会いできる日を楽しみにしております。

 令和6年3月18日
 
               美術工芸高等学校 校長 名和野新吾

第1回卒業式式辞

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 やわらかな日差しと木々の芽吹きが早春の息吹を告げるこの佳き日に、令和5年度京都市立美術工芸高等学校 第1回卒業式をかくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員にとりましても大きな喜びであります。
 本日は、京都市教育委員会をはじめ、PTA役員、美工交友会、京都パレスライオンズクラブ、そして多くの保護者の皆様にご臨席いただき、卒業生の新たな門出を祝福していただくことに、深く感謝申し上げます。また、ご卒業されるお子様を持つ保護者の皆様に、心からお祝いをお伝えします。

 ただいま、卒業証書を受け取った85名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、入学以来たゆまぬ努力を積み重ね、美術工芸の専門高校で3年間の学びを全うし、ここに晴れて卒業の日を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。
 思い起こせば、皆さんの高校生活はコロナ禍の中で始まりました。その時期の学校ホームページの記事を振り返ると、皆さんが非常にストレスの多い学校生活を送っていたことが伺えます。どのように教育活動を進めていくべきか模索しながら、教職員一同は皆さんと共に考え、試行錯誤を重ねてきました。さらに、2年生の時には新校舎への移転準備もあり、学校行事を含む様々な教育活動の変更を余儀なくされました。そんな中で、皆さんは不安や焦り、解消できない葛藤、抑えがたい苛立ちを抱えながらも、多くの変化や制約、新しい生活様式を受け入れ、堅実な学校生活を全うしてくれました。そして、夢や希望を諦めることなく、高校生としての責務を果たし、将来への道を切り開くために努力を続けてくれました。そして、昨年4月に新校舎への移転が完了し、皆さんが新しい環境に慣れようとする姿勢や、何ができるかを考えて挑戦する姿には、大いに感動しました。また、最上級生として後輩たちを優しく導き、新たな学校生活の基盤を築いてくれたことに深く感謝します。この卒業式を迎えるにあたり、心からの祝福を送りたいと思います。

 さて、私たちを待ち受ける社会は、「Society 5.0」と呼ばれる超スマート社会の時代です。これは、情報技術を駆使して社会全体を最適化し、人々の生活の質を向上させることを目指す概念を指します。この新しい社会では、最先端の技術と人間の知識が融合し、新たな価値を生み出しています。特に、近年の生成AIの進化は目覚ましく、その応用範囲は文書作成から美術、映像、音楽、プログラミングに至るまで広がっており、新たなビジネスチャンスも次々に生まれています。美術分野では、皆さんがこれまでに学んだ知識とスキルが、将来の職業選択の可能性を大きく広げることになります。しかし、一方で、いくつかの職業が消滅の危機に瀕しているのも否めません。それでは、美術がこれからの社会でどのような価値を持ちうるのでしょうか。私は、美術をはじめとする芸術は、人間にとって不可欠なものであり続けると強く信じています。芸術はこの時代をより豊かにする重要な要素であり、私たちの精神的な支えでもあります。テクノロジーがどれだけ進歩しようとも、人間の心を動かすものは変わらないと私は信じています。では、具体的に芸術は社会においてどのような役割を果たすことができるのでしょうか。その一つの答えを、今年度の進路講演会でお招きした劇作家であり演出家の平田オリザ氏が私たちに示してくれたように思います。

 平田氏は講演の中で、「社会包摂」というキーワードで芸術の役割について話されました。要約すると、「現代の社会は社会的弱者にとって厳しいものとなっており、従来の地域や企業を中心とした共同体の形は変化している。昔ながらの絆が減少し、人々が孤立しやすくなっている現状がある。しかし、単に昔の共同体を再現するのではなく、現代社会に合った新しい形の共同体を作り出す必要がある。趣味や興味に基づく緩やかな共同体の形成が重要で、文化芸術は、そのような新しいネットワークの構築において大きな役割を果たし、文化施設は、この『文化による社会包摂』を支える強力な存在として機能する」と語っていました。平田氏の言葉を借りるなら、多様性を備え、緩やかな日本型社会を構築していく時に大きな役割を果たすのが、文化芸術の分野です。クリエイティビティーが求められる文化芸術の世界には、人との違いや個性を認め合う土壌があり、これは寛容性や他者への理解という多様性に通じます。その力を育むために文化芸術の存在は、より一層重要になってくるものだと思います。私は3年前の入学式の式辞の中で、皆さんの「ものづくりが好き、絵を描くことが好き」を生かして「この学校にいる間、やってみたいことへの挑戦を続け、試行錯誤を重ねてください」とメッセージを贈りました。皆さんは3年間来る日も来る日も創作活動に没頭しながら、そのために必要となる様々な学びに取り組んできたことと信じています。やりたいことにチャレンジする中で、自分を知り、再び挑戦していく力を養ってきたことでしょう。そこには同じ志を持つ同級生がいて、先輩・後輩もいた。また、理解ある保護者や先生を含む頼りになる大人たちの存在も、皆さんの歩みを支えたことでしょう。これこそがこの美工で学ぶ醍醐味であったはずです。皆さんが今まで学んだ「感じる」「考える」「表現する」力は、生涯にわたって皆さんの糧となり、明るい未来を築いてくれるものと信じています。どうか文化芸術を支える人となってください。また、幸福感が持てるような社会を構築する人になってください。

 巣立ちゆく皆さんに、最後に私の好きな言葉を贈ります。
 「百花繚乱」という言葉です。皆さんはこれからこの学び舎を巣立ち、自ら挑む世界へ飛び立っていきます。その世界は今以上に広く、様々なことが待ち受けているかもしれません。ですが、怖がる必要はありません。皆さんの未来は前途洋々、希望に満ちています。無限の可能性があります。これから新しい場所で自分の可能性を限界まで試してください。そしてここにいる一人ひとりが自分なりの花を咲かせてください。他人の花に憧れる必要は全くありません。あなたの花を咲かせることが、人生を豊かに生きることなのです。そして時々、この学校に戻ってきて、先生たちにあなたたちの素晴らしい物語を聞かせてください。その日を楽しみにしています。

 保護者の皆様、この3年間、本校の教育活動に深いご理解と温かいご協力を賜りましたこと、高い所からではございますが厚くお礼申し上げます。慈しみ大切に育ててこられたお子様の立派に成長されました姿に感慨もひとしおのこととご推察申し上げます。本校での3年間の高校生活を経て、お子様は心身ともにたくましく、頼もしい大人へと成長されました。どうかお子様の輝ける前途を温かく見守り、時には励まし、これからも支えていただきますようにお願いいたします。

 結びに、卒業生の皆さんは1880年に創立された京都府画学校以来143年を超える歴史と伝統をもつ美工の卒業生として、そして「京都市立美術工芸高等学校」の映えある第1期生として社会に巣立ちます。その誇りと大きな志をもって、それぞれの新しい道を歩み始めてください。卒業する皆さんの将来が光り輝き、皆さんの人生が幸福と充実感に満たされることを心から願って式辞といたします。

 令和6年3月1日

            京都市立美術工芸高等学校長  名和野 新吾
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