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校長室ウェブログを更新しました。12月22日記事「ゆく年に」12月22日 校長室ウェブログ 「ゆく年に」
ゆく年に
学校が東山を望む鴨川のそばにあるので、銅駝の一年は、四季の変化を五感で感じる毎日です。寒椿1月、水仙2月、梅3月、桜花4月、藤5月、紫陽花6月、万緑7月、向日葵8月、牡丹9月、ススキ10月、銀杏11月、水鳥12月。学校や鴨川周辺は季節によって風景が変わり鴨川の水音も変わります。昼間は、空や雲の色や高さ、夜に東山を見れば、春のおぼろ月や夏の大文字送り火、秋の十五夜、透明感のある冬の月など、感性を刺激されるものに囲まれています。毎年同じ頃に同じものを見て一年の速さを感じつつも決して去年と同じものに見えないのは、学校という場所で生徒の成長に関わる日々だからだろうと思っています。季節と向き合い、季節を受け入れ、季節から様々なものを享受してきた今年も、あと1週間ほどとなりました。 ひとの力で制御できない台風や豪雨。10月の台風19号の猛威で大きな被害が出ました。報道によれば被害の大きかった宮城県丸森町で、仮設住宅の入居が始まったのは昨日21日。災害発生から2ヶ月以上も待っての入居です。大切な人を亡くした人や、家だけでなく農作物・家畜などを失った人、悲しみの中で現在も落ち着いた生活をおくれない被災者がおられます。最近は、台風や豪雨の予報が早くから出され、事前に対策や避難をするようになりました。しかし、7月に発生した京都アニメーション放火事件のように、突然事件に巻き込まれて命が奪われるような悲惨な事件もありました。新元号「令和」、新天皇即位、ラグビーワールドカップの日本チームの活躍、ノーベル化学賞受賞など祝賀や気持ちの高揚する出来事とともに、厳しく哀しい出来事も心にとどめておきたいと思います。 10月31日の沖縄首里城の焼失もショッキングな出来事でした。首里城のすぐそばにある沖縄県立芸術大学には毎年本校から進学する生徒がいます。いたたまれない気持ちをFacebookに投稿している卒業生がいました。「沖芸」で学んでいる卒業生の保護者からお話を聞く機会がありました。実は「沖芸」の大学祭は11月2日・3日に予定されておりほぼ準備ができていたそうですが、その直前の31日に首里城が火災、焼失となり、「沖芸」の大学祭は中止になりました。首里城焼失という哀しい出来事と大学祭の中止。「沖芸」の学生のショックはいかばかりかと推察します。しかし、沖縄の人たちは、地元の様々な場所や機会を提供して、学生が準備していたものをできる限り実行させてあげようと動かれたそうです。そして大学祭を見るために沖縄を訪問されていた卒業生の保護者に対し、沖縄の人たちは「せっかく沖縄にきてくれたのに首里城がこんな姿になってごめんね」と謝られたそうです。琉球・沖縄の歴史からすれば首里城は沖縄の人たちにとって特別な存在で心の拠り所です。沖縄の人たちが首里城を、そして地元の大学や学生を愛して支えている気持ち、観光客へも優しさと温かさをもって接する心の深さに頭が下がります。 本校の校地は、明治初年、全国に先駆けて地元の人々の力で建設された上京第三十一番組小学校、銅駝尋常小学校、銅駝中学校と引き継がれてきた場所です。今年、地元では、銅駝校創設150周年記念式典が開催されました。私も出席させていただき、銅駝尋常小学校、銅駝中学校時代の貴重な資料を見せていただいたり、同校を卒業された方のお話を聞きました。学校は子どもが学ぶところというだけでなく、地域のシンボルであり、心のよりどころとなっているのです。日吉ヶ丘高校美術課程からこの校地に移転してきた私たちの学校も地域の人々から温かい思いを寄せていただき支えていただいている、あらためてそう思いました。 さて皆さんにとって今年はどのような年だったでしょう。「ゆく年2019年」の様々な出来事を振り返りながら、「くる年2020年」の安寧を祈ります。 2019年12月22日 校長 吉田 功 |
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