最新更新日:2024/09/20 | |
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校長室ウェブログ 2月3日 「鴨川」鴨川 冬の鴨川は水鳥の楽園。毎朝、京阪三条駅から地上に出て、鴨川沿いを歩きながら学校までの10分間は、心を洗われるひとときです。カモやサギ、ユリカモメなど多種の水鳥が、首を突っ込んでエサをとったり、緩やかに泳いだり、川土手に上がってちょこちょこ歩き回るのも見かけます。そして冬に渡ってくるユリカモメが群れをなして飛び翔ち宙を舞う様は圧巻です。 四季折々、鴨川両岸の樹木の姿が変化し水音も高さや大きさが変わります。昨年の豪雨、台風の折には、鴨川は水かさを増し、土色になって轟々とうねり、川底や河岸を削りながら流れていました。天候によって表情を変え、時として荒れた姿を見せる鴨川も、今は落ち着いて丁寧に流れています。 冬の日の出は遅く、通勤で川沿いを歩く7時30分頃には、東山から朝日が差して鴨川に面した本校実習棟がきらきら輝き、銅駝の朝が始まります。本校の校地は、明治に番組小学校として創立された上京第三十一番組小学校が、鴨川そばに建てられていた舎密局の跡地に移転して銅駝小学校となり、戦後は銅駝中学校として子どもたちが学んできた場所にあります。鴨川の水音が聞こえ、東山、大文字を望む美しいこの場所で、明治以来、途切れなく教育の営みが行われてきました。 鴨川は、日本画専攻や洋画専攻、染織専攻の生徒がスケッチや写生に出かける場所でもあります。染織専攻では、2年生の実習で鴨川を題材にろうけつ染めの作品を制作します。卒業制作で鴨川を描く生徒もいます。銅駝の生徒にとって鴨川は、学校生活につながっているところ。多感な年齢に美術高校で学ぶ本校生徒。穏やかな明るい表情ばかりではありません。悩んだり、苦しんだり、行き詰まったり。少しうつむきながら登校する生徒もいます。様々な課題にぶつかって辛くなるときは、鴨川を眺め、水音を聞くと、少々楽になるのではと思っています。様々な表情を見せながらも鴨川は遙か昔から途切れなく流れ続け、水は同じ所に留まっていません。川の流れに無常を感じるという文学作品もありますが、「常ならず」ということは視点を変えれば「動かない現状はなく、物事は変わる」ということです。 3年生もあとひと月ほどで卒業、1・2年生もその後学年を終了し、それぞれ次のステージに移ります。あの顔、この顔、生徒を見ていると、あの時、その時の生徒の姿が思い出されます。年度末までもう少し。今、向き合っている課題、もがいていることもあるでしょうが、時折、鴨川の水音を聞き、水鳥の伸びやかな姿を見てほしい。 鴨川河畔の桜の樹は、もう春の準備を静かに始めています。 2019年2月3日 校長 吉田 功 2月3日(日) 校長室ウェブログの記事を更新しました。 |
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