最新更新日:2024/06/12 | |
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第6回 卒業証書授与式
3月15日,9名の卒業生(15歳〜86歳)が洛友中学校を巣立っていきました。卒業証書を受け取る9名の卒業生の表情には,緊張の中にも,それぞれの思いが強く表れていました。
学校長「式辞」より 卒業生のみなさん,ご卒業おめでとうございます。今,みなさんの胸の中は,この洛友中学校で過ごした日々の数々の思い出で一杯のことでしょう。 文集「夜空」にも書きましたが,この洛友中学校には「学びの原点」があります。そして,あなたたちは,その「学びの原点」を知っています。いえ,あなたたちこそが「学びの原点」そのものです。 そもそも人が学ぶということは,例えば,今までできなかったことができるようになった。知らなかったことを初めて知ることができた。疑問に思っていたことがやっと解決できた。このような時,人はこの上ない尊い喜びを感じます。だから,もっと知りたい,もっと勉強したいという気持ちになる。これを私は「学びの原点」と呼んでいます。まさに,あなたたちは,このような学びを,この洛友中学校でしてきました。 今,世間では,「いじめ」や「体罰」が大きな問題となり,連日のようにマスコミが騒ぎたてています。とても残念なことですが,このような問題が起こるのも,「学びの原点」を忘れ去っていることが原因の一つではないでしょうか。「いい成績を取るため」「いい高校や大学に入るため」「一流企業に就職するため」など,現代人は「学び」というものを手段化してしまっている傾向にあります。確かに,自分の夢を実現するためにはそれも必要な時があり,否定するつもりはありませんが,それが過熱化すると,点数主義や勝利至上主義に走り,過度な競争原理が働いて,「いじめ」や「体罰」にも発展します。今一度,「人は何のために学ぶのか」「学ぶとはどういうことなのか」という原点に立ち戻る必要があります。あなたたちは,身を持ってその「原点」を示してくれました。 以前に,私は「あなたたちのことを誇りに思っています」と言いました。なぜなら,ほとんどの子どもたちは,当たり前のように地元の小学校に行き,当たり前のように地域の中学校に進学する。しかし,みなさんはこの学校を探し求めて入学し,あるいは,この学校を選んで転入学してきました。不登校を経験したかもしれないけれど,子どもの頃に義務教育を果たすことができなかったかもしれないけれど,それぞれに回り道はしましたが,あなたたちはこの学校に「学びたい」という意欲をもって来てくれています。だから,私はあなたたちのことを尊敬し,誇りに思っています。 卒業する9名のみなさんの旅立ちに際し,相田みつおさんの詩を送りたいと思います。『いのちの根』という詩です。 『いのちの根』 なみだをこらえて かなしみにたえるとき ぐちをいわずに くるしみにたえるとき いいわけをしないで だまって批判にたえるとき 怒りをおさえて じっと屈辱にたえるとき あなたの眼のいろが 深くなり いのちの根が 深くなる 先程,私は一人一人の卒業生の瞳を見ながら,卒業証書を渡しました。今,あなたたちの瞳の色はとても深く,そして,とても輝いています。これからも,困難が待ち受けているかもしれませんが,そんなことには負けず,『いのちの根っこ』を大地にしっかりと下ろして,学ぶことを楽しみ,自分らしく生き抜いてください。卒業は決してゴールではありません。新たな「自分探しの旅の始まり」です。そして「自分を生かすための旅立ち」でもあります。この洛友中学校で過ごした日々を誇りに思い,楽しく勉強,一生勉強です。そして,その気持ちこそが青春であり,一生青春でいられるのです。 …中略… 卒業生のみなさん,もう一度言います。洛友中学校の校長として,みなさんは私の誇りです。今年,この学校に来て,みなさんと出逢い,みなさんに囲まれながら一緒に過ごせたことを,校長として,教師として,最高に幸せに感じています。ありがとう。 平成25年3月15日 京都市立洛友中学校 校長 岡田 敏之 |
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