最新更新日:2024/09/12 | |
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子どもの可能性は…
先日、京都駅にある「えき」美術館に行ってきました。京都駅の喧騒の中でホッとできるお気に入りの場所です。「巨匠たちが子どもだったころ」というテーマで、モネやムンク、ピカソ、平山郁夫など巨匠が小さい頃に描いていた絵や作品の展示会です。さすが美の巨匠、子どもの頃から驚くほど素晴らしい才能を発揮している作家もいれば、やっぱり子どもやな…と思える絵もありました。そこでなるほどと思ったのが、作家の多くに、子どもの思いや可能性を信じて支える家庭や環境があったことでした。
私は小さいころから絵は大好きでした。外で遊んでばかり、親は共働きで、どちらかといえば放ったらかし、絵心もあったわけではないですが、ただ、家の本棚に「世界美術全集」という30冊からなる作品集がありました。有名な絵画や作品がいっぱい、その造形や色彩の豊かさに心をうばわれ、むさぼるように読み返していた記憶があります。そんな経験が、今、絵を見たり描いたり、風景や人間への好奇心や関心につながっているのだと思います。 今年も夏休みに学校で、いろんな講師の方を招いて研修をしました。その中で、ある大学の先生がこんなことをおっしゃっていました。「子ども達の学力やコミュニケーション能力、言語力に影響しているのは、学校での授業や読書も大切なのですが、それ以上に家庭で本があるか、そして豊かな言葉でやりとりする環境が家庭にあるかどうかが重要、という統計学的なデータがあります(要約)」 子ども達には、一人一人さまざまな、そして思いがけない力があり、それに光を当て、自分で気づくことができるように、いろんな経験や場を用意し、そして何よりも一人一人の可能性を信じて支え続けられる家庭や大人の存在が豊かな育ちにとって非常に大切だと。 話はかわりますが、この前、京都出身の世界的な指揮者である佐渡裕さんの小学生の時の担任だった校長先生と話をしました。その話の中で、担任として、いろんな力を伸ばしたいと、音楽の時間に指揮をさせたり、フルートを経験させたり、音楽以外にもリレーの特訓をして自信を持たせたり、クラスの一人の子として働きかけたとのことでした。そのことが、一人の偉大な音楽家の力を目覚めさせたのかもしれないと感じる話でした。 学校も家庭も、子ども達の目に見えるその時の姿だけではなく、一人一人の見えにくいけど必ずある可能性を、こんな子に育ってほしいと願い、信じながら、環境や場をいっぱい用意していくことが、一人一人の豊かで幸せな生き方の実現につながるのだと思います。 巨匠でも天才でも、普通の人でも子どもの可能性はみんな一緒。大切なのは、その子に大人が与えた場や環境、そしてそれを用意できる人との出会いなのかな…、そんなことをいっぱい考えながら、ピカソの子どもの頃の絵をながめる美術館での時間でした。 |
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