![]() |
最新更新日:2025/02/07 |
本日: 昨日:34 総数:453582 |
FOUNTAIN No.19
H23.10
京都市立桂坂小学校 山本 泉 夏休みが終わって学校が始まっても暑い日が長く続きましたが,10月を迎えようやく秋らしい気候になりました。前期終了に向けてのまとめの学習と並行して,運動会の練習が行われている日々,疲れて帰宅する子もいるだろうと思います。子ども達の体調管理や心のケアについて,お家の方でもご協力いただきますようお願いいたします。 さて,前回で校長室だよりの「子育て・教育フォーラム」シリーズも終わり,今度は何をテーマにしようかと思案しているところですが,テーマが決まるまでまた少し「校長のひとりごと」にお付き合いいただければと思います。よろしくお願いいたします。 子どもには短期的な目標を持たせることが必要 親として,子どもに望むこと,それはもちろん立派な人間に育ってくれれば…,ということでしょうが,そんな漠然としたことではなく,やはり目の前の一番大きな関心事は「とにかくしっかり勉強してくれること。」ではないかと思います。 例えば,小学校入学当初はどの親も我が子の学力に期待し,ちょっとした活躍に「末は博士か大臣か。」などという喜びを感じたり,あるいは我が子はスポーツ選手になるんじゃないかとか,芸術家になるかも知れないとか思ったりと,親の欲目は限度を知らずといったところではなかったでしょうか。ところが,学年が進むにつれて現実を思い知らされ,少しずつ目標を下げて(いやいや失礼,下げたのではなくアバウトにして)いくのが一般的なようです。 それで,結局はまた「とにかく勉強が大事」というところに戻ってくることになります。将来,安定した暮らしを得るために,一流の大学を出てちゃんとした会社に就職できれば万々歳…。いや,一流でなくても大学さえ出てくれれば就職は何とかなるだろう…。う〜ん,わが子の学力では大学はまず無理だけれど,せめて高校ぐらいはちゃんと出ていないと…。などなど最終目標は違っても親の我が子に対する願いには共通するものがあります。 しかし,親の心子知らずとやら…,決まり文句の「勉強しなさい。」「宿題はやったか。」などといっても,頼りない返事が返ってくるばかり…,「うちの子全然やる気出さへんわ〜。」という声が耳に聞こえてきそうです。でも,それは当たり前。「親の心」は子どもには解かりようがないものです。 親である私たちは,当然子ども達と比べるとはるかに長く生きています。そのために,人生というものを長いスパンで見ることができます(というよりも,自然に長いスパンで見てしまいます)。ですから,もしかしたら小学校中学年くらいの我が子にでも「しっかり勉強して,大学まで行こうね。」などと,普通に言ってしまうかもしれません。でも,考えてみてください,その子が大学に行くまでにはまだ,その子が生きてきた人生をもう一度辿るぐらい長い時間があるのです。子どもにとって,そんな先のことが考えられるはずがありません。それは,あたかも成人式を迎え,大人の仲間入りをしたばかりの人に,40歳になったときにどうしているかを考えなさい,というようなものです。 「いや,うちの子はちゃんと大学まで行くと言っていますよ。」とおっしゃる方もあるかも知れませんが,それはきっと周りからそう言われてその気になっているだけだと,私は思っています。 例えば30年生きている大人が,「自分は3年先の目標を目指せる。」というのであれば,10歳の子どもは単純計算で「1年先」が限度だろうし,年齢が低いほど長期的な目標を持たせることは困難だということになります。 つまり,言い方を変えれば,子どもはあんまり先のことは考えることができないので,代わりに親がわが子のライフプランを設計し,子どもには短期的目標を持たせ,「がんばり」をつないでいくことが必要だということです。 短期的目標というのは,短い期間の継続努力で達成できる目標です。子ども達は,こういった短期的目標による達成感・成就感をどれだけたくさん経験するかで,設定目標の大きさや期間が増大していきます。途中で頓挫してしまうような目標よりも,わずかな努力で達成できるような到達目標を子どもと一緒に設定し,いくつも乗り越えさせることが大切なのではないでしょうか。 |
|