最新更新日:2025/01/22 | |
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FOUNTAIN NO.15
H23.6
京都市立桂坂小学校 山本 泉 今年度の「FOUNTAIN〜校長室だより〜」は,4月から連続で,以前に「子育て・教育フォーラム」でお話した子どもを取り巻く社会状況の変化について書かせていただいています。今回は「現代の子どもの状況について」の3回目になります。 (4) 親自身の社会性の低下 小さい子どもを連れて歩いているお母さんの中に,子どもを車道側にして,自分は家の方に身を置いて歩いている若いお母さんを見かけます。危険な方に自分の身をやり,子どもは安全な方に置く,そうした細やかな心配りが見られなくなってきました。 病院の待合室で,小さい子どもが大きな声を出しながら走り回っていました。親は知らん顔で,どこの子どもだろうという表情でいます。たまりかねた看護士さんが,「ぼく!ここは病院やから静かにしてね。」と子どもに注意すると,その母親は,「看護婦さんがおこらはるから静かにしぃや。」という言い方で,渋々注意をしていました。 「そんなことしたら,みんなに迷惑になるでしょう。やめなさい。」と,親としての自分の責任で注意をするのではなく,「看護士さんに怒られるからやめときや。」と,注意した人がうるさいことを言っているような言い方をするのです。 そうかと思えば,些細なことなのにいきなり大声で怒鳴ったり,場合によっては手が出たりしている親もいます。 親としてどうあるべきか,大人としてどうあるべきかを考える必要がありそうです。 (5) コミュニケーション力や表現力の低下 4〜5人の子どもが友達の家に集まって,遊ぶ約束をしたとします。その子ども達は何をしているかというと,一人はテレビゲームをしていて,他の児童は自分の番が来るのを待っています。待っている間は何をしているかというと,それぞれが漫画の本を読んでいるだけです。4〜5人集まったかといって,一緒に会話をすると言うこともなければ,一緒になって何かをするということもありません。集まっているだけで,会話をすることもなく,それぞれがすることはバラバラで,横のつながりがありません。 会話では,簡単な単語で話が通じてしまうことが多いです。「うん」「さあ」「はあ」「うっさい」「きしょい」,で話をすましてしまいます。 「これはこうだから,こうなんだ。」という,説明や筋道立てて話すことがありません。どの子もそうだとまでは言いませんが,最近よく見られる風景です。 最近の高校生くらいの子とお話しをされることがあるでしょうか?いや,まだこちらと話をするぶんには普通にしゃべるかも知れませんが,高校生同士の会話を耳にすると,それはもう外国語です。なにをしゃべっているかサッパリ分かりません。文法もなにもあったものではありません。聞いたことのない単語もいっぱい出てきます。 日本の文化もこの先どうなることやら,先行きが心配です。 繰り返しておきますが,今お話したことが直接問題につながるというわけではありません。しかし,これから子ども達とどのようにかかわっていくかを考えるための材料になるのではないかということです。 次回は,こういった子どもを取り巻く状況を踏まえ,学校としてどうしていくべきか,ご家庭ではどういうことが望まれるのかということについて書きたいと思います。 (以下,次号に続きます。) FOUNTAIN NO.14
京都市立桂坂小学校 山本 泉
年度初めの1か月が終わり,ゴールデンウィークを迎えました。子ども達もすっかり新しい学年・学級にも慣れたようです。連休明けから本格的に学習が進みだします。 さて,前回の「FOUNTAIN〜校長室だより〜」から,以前に「子育て・教育フォーラム」でお話した子どもを取り巻く社会状況の変化について書かせていただいています。今回もそのつづきで現代の子どもの状況についてのお話です。 (3) 近所同士や親同士のつながりがなくなってきた 今も全くないとはいいませんが,昔は何か季節の珍しいものが手に入ったり,旅行に行ってお土産を買ったりすると,隣に配ることがありました。また,掃除をするときもついでに隣の家の前までして,「ありがとう」と声をかけてもらうこともありました。隣近所のつながりが日常的にありました。だから,留守の時に家に誰かが訪ねて来ても,近所の人が,「だれにごようですか。」「どちらさんでしょうか。」と,声をかけていました。 また,子どもが"悪さ"をしても,「注意しといたしな。」「ごめんな!おおきに。」という事後の会話でうまく収まっていましたし,隣近所や子どもと地域に人とのつながりもできていました。 最近は,生活実態が以前とは違ってきており,住宅事情も変わってきたことなどから,近所同士のつながりが薄れてきました。夫婦共働きにでる家庭が増えてきたことにもよるかも知れませんが。近所同士のつながりが希薄になり,子どもも近所の人にあまり挨拶をしなくなってきたように感じます。 確かに,今は物騒な世の中ですから,うっかり子どもに声をかけようものなら,不審者とも受けとられかねません。しかし,本来あるべき姿としてはむしろ,いつも見る近所のおじさんやおばさんが声をかけてくれるという日常こそが,地域ぐるみで子どもの安全を守ることになるのではないでしょうか。 また,親同士のつながりも薄れてきています。学校で子ども同士がけんかをしたりすると,「相手はどんな子や。」と目くじらを立てる親が増えています。ちょっと怪我でもしていようものなら,相手の家に怒鳴り込みに行きそうな剣幕です。 昔は,親同士の付き合いが深かったので,「ああ○○さんとこの△△ちゃんか。」ということで親同士も安心でしたし,「けんかしたみたいやけど,どうせうちの子がいらんことしたんやろ,ごめんな。」「うちこそごめんな。ケガけがさせてへん?」「あんなん唾つけといたら治るわ,どうもあらへん。」などという親同士の会話で大抵の出来事は収まっていました。 親が自分の子どもだけを育てるというのではなく,子どもを取り巻く大人がみんなで子どもを育てるということを,もう一度考え直す必要があるのではないでしょうか。 親同士のつながり,隣近所のつながりは大切にしていきたいものです。 (以下,次号に続きます。) |
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