京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/20
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全国高校総体応援記

 平成25年度全国高校総体陸上競技の会場、大分銀行ドーム。サッカーJ1大分トリニータのホームグラウンドです。収容人数4万人のスタンドを持つドームスタジアムで、トラック競技が行われるメイントラックは、全天候対応舗装の立派なものです。大会中は可動屋根が開かれていて、夏の強い日差しが照りつけ、トラック上の気温はセッ氏35度に達していました。

 7月31日午後3時、女子5000m競歩決勝。前日の予選を通過した16名の選手がスタートラインに整列。本校3年生山田はなさんは、ゼッケン1番で真っ先に紹介され、右手をあげて笑顔でスタンドに応えてくれました。
 ピストルが鳴り、レースがスタート。先頭のペースが速いため、1周目から選手の列が縦に長く伸び、ひとり飛び出した選手を5人の集団が追いかける形となりました。その5人の集団に山田さんはしっかりと含まれていて、これについていけない選手とは徐々に差が開きました。歩きながら給水を取り、それを口に含んだり体にかけて冷やしたりして、暑さへの対応も大変です。
 レース中盤、先頭集団は5人に絞られました。世界ユース選手権日本代表選手と6月に行われた近畿大会で1〜4位(このとき山田さんは4位)を占めた選手の5人です。トップレベルの選手の駆け引きがしばらく続きました。
 3000mを通過したころ、レースが動きました。優勝候補の2人が競り合いながらペースを上げ、山田さんは少しそこから離れる形で3人での3位争いに。
 ところで、競歩競技には歩形に関して守らなければならないルールが2つあります。どちらかの足が常に地面に接していること、そして、前に出した脚が接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝が伸びていることです。これに違反すると警告が出され、警告3枚で失格になります。疲れてきたときや、無理にペースを上げようとすると歩形が乱れ、警告が出ます。女子の予選では6人の失格者が出ました。
 他の選手が腕をしっかり振って「力強く歩く」というのに対して、山田さんの「歩き方」は、上半身をリラックスさせて、足の回転を素早く行うことで自然に無理なく歩いているといった感じです。「流れるように歩く」というのが彼女のモットーと聞きました。
 スタンドからの応援の声が一層大きくなり、いよいよレースは残り1周。応援する側も手に力が入ります。後で聞いたのですが、このとき、彼女は警告が2枚となり、どうしようかと思ったそうです。前の選手を追いかけながら、全力を出し切ってのゴール。会場の大型スクリーンに、ゴールをして、崩れる姿が映し出されました。1.2位が大会新記録の中での4位入賞。19日の壮行会で、全校生徒の前での「表彰台に上がります」という約束を見事に果たしてくれました。
 表彰台の彼女の笑顔は、これまで以上に輝いて見えました。高校から陸上競技を始め、限られた時間の中で厳しい練習をこなした末に得られた最高の結果です。この勢いが、翌日の男子の山西君につながりました。

 翌日の午後1時50分、男子5000m競歩決勝。気温はさらに上昇し、セッ氏36.5度。団扇の送る風は涼しく感じられません。前日に「明日は、支えていただいた皆さんへの、恩返しのレースをさせていただきます」と、顧問の教諭から言葉をもらいました。本校3年生山西利和君、前評判では、「記録、実績とも他を一歩リード」と評価されていましたが、その分プレッシャーが大きくならないかを心配しました。
 女子同様、男子も16名の選手による決勝です。スタートが切られ、序盤は大きな集団のままレースは進みました。それでも徐々に隊形は長くなり、4000mを過ぎる頃には、先頭集団が7人に絞られました。山西君は常に2番手をキープし、レースの流れを読みながら、じっと我慢をしているといったところです。残り600m、給水を取り、背中に水を掛けると同時に、満を持してのスパート。ロケットエンジンに点火したような一気の加速で、見る間に後続との差が広がりました。スタンドの大きなどよめき。近くの席の高校生が、「一人だけ、走っているみたいだ」と叫んでいました。彼が持論としている「究極の美しいフォームが最高のスピードを生む」。このときのために、「美しさ」を追求して練習してきたことが、実を結んだ瞬間です。
 あと1周の鐘の後は、歩形をチェックしながらのスパートが続きました。最後の100mは、ビデオカメラを持つ私の手が震えて、モニターの中の山西君が踊ってしまいました。
 大会新記録での優勝、そして、世界ユース選手権との二冠。「絶対優勝して、皆さんに感謝を伝いたい」と強い気持ちで臨んだレースで、彼は最高の形でそれを実現してくれました。
 
 最後に、選手を支えてくれた本校陸上競技部員のことを話します。
 大会に出発するまで、陸上競技部全体で大会に向けた準備を進めてくれたと聞きました。その中で、会場まで来ることができた部員は、身の回りの様々な世話をして、選手が試合に臨むための環境を整えてくれました。場所を確保してテントを設営し、その下で選手は入念なウォーミングアップを行っていました。飲み物や氷を準備し、暑さの対策も彼らの役目です。一旦レースが始まると、選手への応援に全力を注ぎます。堀川の応援の方法は、「なるほど」と思えるものでした。部員がスタンドに散らばり、一番前に位置して、目の前を通過する選手に声を届けます。選手はトラックを周回する間に、途切れることなく、一人一人の部員からの「励ましの言葉」を受けとり、最後まで頑張ることができたのだと思います。
 レース後の、山田さん、山西君の言葉です。「多くの人に支えていただいたからこそ、このような結果を得ることができました。ありがとうございました」。個人の力によるところが大きい陸上競技ですが、その力は、様々な形のサポートがあってこそ発揮できることを、あらためてこの大会で教えてもらいました。

                      ・・・ 校長 川浪重治 ・・・

                  写真上:会場の大分銀行ドーム
                  写真中:大型スクリーン
                  写真下:女子の表彰式のようす

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