京都市立学校・幼稚園
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Catch The Rainbow

(入学式式辞概要)
 二十期生諸君、保護者の皆様、そして堀川高校教職員ともども「三つの約束」をしたいと思います。
 三つの約束、その第一は、「学校は学びの場である。」ということです。人は、足りないものがあるから、不十分だから、学びます。失礼ながら、皆さんはまだまだ不十分です。自分はまだ足りないということを自覚して、学ぶ者としての謙虚さを持ちなさい。私たちは君たちの現状を受け取りはしますが、そのままを肯定はしません。なぜならば、私たちは、あなたたちの可能性を肯定するからです。可能性を肯定して、あなたたちに、学ぶための多様な機会を提供します。
 第二は、「学校は小さな社会である。」ということです。集団の中で自己をみつめ、他者を理解する場。当然ルールがあるし、マナーも必要です。
 堀川高校をよりよい社会にするための責任と役割をみんなが共有しています。あなたたちは場と状況を把握し、意識した行動をとるように努めなさい。私たちは、大きな子どもではなく、小さな大人として、君たちに対応します。
 第三は、「学校は楽しいところである。」ということです。本当に楽しいというのはどういうものかを考えてほしい。楽しさは待っていて与えられるものではありません。行動することによって創るものなのです。本物の楽しさを得るために、自ら参画し、参加する姿勢を持ちなさい。私たちは、あなたたちの個性を尊重して、見張ることはせずに、見守ります。
 今、皆さんと三つの約束をいたしました。学校は「学びの場」であり「小さな社会」であり「楽しいところ」でなければならないと考えています。このことを踏まえながら、確認しておきたいことは、堀川高等学校という学校は、これまでの歴史の中には、確かに存在はしているけれども、君たちにとっての堀川高等学校はまだ何もないということです。あなたたちが動かない限り、あなたたちが創らないかぎり、ここには空っぽの空間と、単に流れ去る時間があるだけだということを認識してください。
 創るということは創り続けるということです。始めるということはやり続けるということなのです。空っぽの空間をいっぱいにして、そしてあなたたちの時間を流すのです。それは「できるか、できないか」ではなく、「するか、しないか」ということです。
 小さな社会である学校を本当に楽しいものにするためには、自分がどうすればよいのかを考えてください。
 そして、三つともに共通し、大切にしなければならないことは、「ことばを大切にして、ことばの通じる世界をつくっていく」ということです。そこには人と人の出会いや対話が無数に存在してきます。ことばを通して他者と出会い、対話することで三つの約束を深めていきます。出会いや対話というものは、待つものではなく、自主的、主体的に自分から投げかけることが重要となります。出会いや対話は、好きな者同士の間だけでのものばかりではありません。
 そして、みなさんは「小さな大人」に成長しなくてはなりません。堀川高校でのすべての活動を通して成長します。そこでは人と人が出会い、お互いの個性を受け入れ、さらに尊重し、対話をかわし、高みをめざします。自分が経験したことのないことや個性に満ち溢れた人たちと出会うことに喜びを感じるように成長してほしいと思います。自分とは異なる世界観を持つ人との出会いやその世界を受け入れて経験することが小さな大人へ成長するための最高のエッセンスなのです。ただし、すべてをすんなりと受け入れることは困難な時もあります。なかなか理解しあえない場面も多々あるでしょう。分かり合えないつらさも経験するでしょう。しかし、お互いに自分から受け入れて尊重しようと一歩ずつ前に進み、お互いに高みを目指そうとすること、それが大切なのです。分かり合えないこともあるから、わかろうとする行動が生まれ、それが成長を促します。その違いの背景は、人それぞれ、または国それぞれです。
 たとえば、空にかかる色とりどりの美しい虹。虹は七色と私たちは認識しています。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色ですね。これは世界共通の認識でしょうか。世界規模でいうと、アメリカでは虹は六色、ドイツでは五色、アフリカでは八色、南アジアのある地域では二色という認識で、国の違いや同じ国でも地域や時代によって色のとらえ方は様々なのです。大切なのは、ここには正解や不正解というものがないということです。それぞれの受け取り方の違いや文化的背景、たとえば色を表す言葉の存在があるかないかなどで、虹の色の認識も違ってきます。自分や自分たちとは違うとらえ方をしている考え方を否定、排除するのではなく、それぞれの考え方やとらえ方を理解し、受け入れ、尊重することが大切ではないでしょうか。三つの約束を果たすべく、二十期生の皆さんにはそのような考え方や行動をとれる「小さな大人」に成長してほしいと願っています。
 そのような思いをこめて、二十期生のみなさんを「虹」と名づけます。分かり合えないからこそ、分かり合おうとする態度と力を、ことばを大切にした対話を通して、育ててほしいと願ってやみません。自分から他者へのかけ橋、自分から未知の世界へのかけ橋、自分から夢へのかけ橋、様々なかけ橋を大空にかけていくというチャレンジをしていきながら、自分色のかけ橋を創ってください。隣の人のかけ橋も受け入れていきましょう。そうすることは、自分の色を他者の色と織りなすこととなり、さらなる自分色の虹のかけ橋が深まっていくことにつながります。
 虹の二十期生のみなさん、自分の色を他者と織りなし、さらなる堀川高校の歴史を織りなそうではありませんか。一緒に虹を、夢をつかもう。

 平成30年4月9日 学校長 谷内 秀一


 写真上:会場全景
 写真中:新入生代表宣誓
 写真下:教職員紹介
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