京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/23
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「美術を学ぶ」から「美術で学ぶ」学校へ。美工(美術工芸高校)は、生徒たちに未来必要な力を身に付けさせる教育活動を展開しています。

旧銅駝校舎3D映像 寄付受納式を行いました

9日(火)、京都市役所正庁の間において、寄付者の中山智博氏(3Dアーカイブ制作会社社長)、京都市会から寺田一博議員、京都市から稲田新吾教育長・東元彦教育政策監・菅野明宏指導部担当部長のご臨席のもと、旧銅駝校舎3D映像寄付受納式が執り行われました。本校からは校長と渡邉野子副校長が出席させていただきました。

この度、ご寄贈いただいた旧銅駝校舎の3D映像は、歴史価値の高い銅駝校舎(旧銅駝美術工芸高校)を後世に継承するとともに、将来的には本校生徒が主体となって運営するバーチャルミュージアムとして活用するなど、美術教育の環境充実を図るものになります。

今後、この3D映像については、インターネット上で無料公開して行く方向であり、本校の生徒が制作した作品をバーチャル展示していく予定です。公開などの時期等が決まりましたら、本校ホームページで紹介をさせていただきます。

(写真中:中山社長が3D映像について説明している様子)
(写真下:渡邉副校長がバーチャルミュージアムについて説明している様子)

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令和6年度前期始業式 校長メッセージ

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 生徒の皆さん、こんにちは。

 本日の午前中に、美術工芸高校として第2回目の入学式を行い、92名の新入生を迎えました。また教職員も新しく着任された教職員10名を迎え、新たな気持ちで始業式を迎えています。

 3月に卒業生を送り出し寂しくなっていた校内は、本日から新入生を迎え、また活気あふれる学校となりました。4月は新しい出会いが多くなる時期です。また自分の立ち位置も変わる時でもあります。
 その変化を皆さんの顔から伺うことができます。新しいスタートを切る時は、誰しも緊張し、不安なものです。特に1年生はそうでしょう。でも安心してください。美工に集う仲間には、他者を尊重し、助け合うことができる優しい人がたくさんいます。そんな先輩がきっとその不安を取り除いてくれるはずです。

 さて始業式に当たり、皆さんに「想像する力」を大切に育んでほしいという願いを込めてお話をします。

 まず、ここにいる2年生が昨年、1年後期に「情報 l 」という授業で行った取り組みを紹介します。その授業は「情報デザイン」について学ぶものでした。3〜4人のグループで、京都駅の案内表示を頼りに目的地までたどり着けるかを英語圏の方、高齢者、車いすの方、視覚障害のある方などを想定し、実際に京都駅でのフィールドワークで検証するものです。

 その成果発表会には、私も参加させていただきました。各グループともよく調べて検証し、課題や改善点を提示するなど素晴らしい発表を行なっていました。聞いていた私もその発表された内容について「本当にその通りだ」と強く思いました。その中で、車椅子の方を想定したグループがいくつかあり、具体例として「車いすが通るにはこの入り口の幅は少し狭い。」などの分析結果を発表していました。

 この成果発表会を通じて、私は一級建築士でアクセシビリティ研究所を主宰されている川内美彦(かわうちよしひこ)さんの著書「尊厳なきバリアフリー "心・やさしさ・思いやり"に異議あり!」という一冊の本に出会ったことを思い出しました。アクセシビリティとは、「利用しやすさ」「近づきやすさ」などの意味です。

 19歳から車椅子を使用されている川内さんは、だれにも使いやすく、安全な建物やまちづくりにおけるアクセシビリティやユニバーサル・デザインについて発言され、障害のある人の社会への関わりについて「人権」や「尊厳」の視点で分析し、平等な社会参加を権利として確立していく活動を展開されています。

 その本の中で「日本の先を行く国々では、アクセシビリティ整備は、その不十分さのために社会に出られない人を無くして、平等に社会に参加する権利を実現するために行われている。そして、その延長上にユニバーサル・デザインもある。一方、わが国では何のために整備するのかの認識が決定的に不足しており、ハード整備そのものが目的となってしまっている 。」と記されています。
 形だけを追い求めても、本当に使用する人の身になって考え、我が事として捉え、施設整備やものづくりができていない部分がある日本であることは紛れもない事実です。皆さんはどう思われますか。

 私たち美工が行なっている教育活動は、予測が不可能な社会の中で、皆さんが好きな創作活動を通してこれからの社会で必要な力をつけてほしいと考えたプログラムを実施しています。ただしこれまでもお話をしてきたように、ただ単にモノ作りをするためだけのスキルを身につけるだけの学校にはしていません。それでは皆さんはここで何を学ぶべきなのでしょう。

 その一つの答えが本校のスクールメッセージに謳われている2つのソウゾウではないでしょうか。このソウゾウには、イマジネーションとクリエーションの二つがあり、それは勿論、作品づくりに直結しているのもですが、イマジネーションの「想像する力」は、あらゆる社会の中で必要な力であり、社会包摂を実現するためにも大きな力を発揮します。先程紹介した「情報 l 」の授業のことでも必要な力となっていますよね。

 少し話は変わりますが、皆さんは美術の授業でデッサンを習います。その力はデッサン力を身につけるため、大学受験のためだけに鍛えているのではないと私は信じています。物事の真実や本質を見抜くために行っている行為です。目に見える表面的な事実だけを切り取るだけではなく、「観察力」を使って自分の置かれている環境や状況を把握して、分析し、そこから生まれてきた「何か」を掴み取り、表現へ向かうことができるのが、皆さんの強みです。

 私自身も長年作家として培ってきた「観察力」が、教育者になった今でも仕事に生きています。その「何か」を掴み取ってから表現する間に必要な力が、イマジネーションの「想像する力」です。人だけがこの限りない想像力のたくましさを持っています。いくら生成AIが進化しても、ゼロから何も生み出すことはできず、人の気持ちを理解することも今はできません。

 「美」を愛する人は、想像力に長け、モノにも人に対して優しさを持ち合わせている人であると、私は昔から信じています。美工で学ぶ皆さんも、この想像する力や他者を思いやる力を持っています。多様性を認め合いながら、この力がより豊かになるように日々の学びを大切にして欲しいと願っています。

 ここにいる教職員は、そのサポートすることに尽力し、生徒の皆さんと共に歩んでいきます。今でも私は素晴らしい学校であり素晴らしい生徒たちであると思っていますが、より高みを目指して、これからも共に作り上げていきましょう。

 これで私からのメッセージを終わります。

 令和6年4月8日
                       校長 名和野新吾

第2回入学式 式辞

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 ピンクの桜が満開に咲き誇り、心地よい春の風が、キラキラした鴨川の水面を吹き抜けていく今日の佳き日に、京都市教育委員会をはじめ、PTA役員、平素より本校にご支援をいただいております美工交友会、京都パレスライオンズクラブのご来賓の皆様、そして、多数の保護者の皆様のご臨席を賜り、令和6年度 京都市立美術工芸高等学校 第2回入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであり、本校教職員を代表いたしまして、心よりお礼申し上げます。

 ただ今、92名の新入生の入学を許可いたしました。まずは新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これからの3年間、教職員一同、力を尽くしてお子様の成長を支援してまいります。ご理解、ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。

 本校は1880年、京都御苑内にわが国最初の公立の美術学校「京都府画学校」として創立されました。そして昨年、新天地であるこの地に移転、「京都市立美術工芸高等学校」として校名を改称し、2年目を迎えています。本校は美術工芸科単独の高校として143年を越える長い歴史と伝統をもつ学校であり、本校を卒業された諸先輩方は、美術界、産業界をはじめ、様々な方面で活躍されています。皆さんは、晴れて美工生として、この良き伝統を引き継ぐと共に、新しい歴史を刻んでいくことになります。

 さて、入学式において、本校の新しい一員として皆さんを迎えるにあたり、心より歓迎の意を表します。そして、この特別な日に、私から皆さんに伝えたい2つの重要なメッセージを贈ります。

 まず、ダイバーシティという言葉についてです。
 今日から皆さんは多様性を深く理解し、尊重する旅をはじめることになります。ダイバーシティという言葉を知っていますか。この概念は、単に人々をその性別や人種などの生まれ持った属性で分類し、区別することではありません。それは、個々人の持つユニークな特性や経験を認め、尊重することであり、これらの個性が集団全体の豊かさへと貢献する、という考え方に基づいています。
 これからの学校生活では、多様な背景を持つ人と出会うことでしょう。いえ、すでにもう出会っていますよね。隣に座っている同級生が、その一例です。異なる文化的ルーツ、育ってきた環境、ハンディキャップの有無、性自認の違いに至るまで、これまで経験したことのない多様性に触れることになるでしょう。これらの出会いは、私たちに新たな視野を開き、相互理解と思いやりの精神を育む機会を与えてくれます。これは、美術という分野で私たちが追求する創造性と直接結びついています。多様な人々との出会いにより、様々な視点から物事を見ることができれば、より豊かで多面的な作品を生み出すことができるのです。

 そこで、皆さんには異なるバックグラウンドを持つ人と積極的に関わり合うことを期待します。自分と違うから、分からないからといって排除したり、躊躇したりせず、新しい出会いを求め、多様な経験を共有し、お互いから学び合ってください。
また、学校生活に留まらず、地域活動や学校外でのグループの活動に参加することで、視野を広げ、深い理解と共感を育んでください。これらの経験は、未来を切り拓く上での貴重な糧となるでしょう。
 皆さんのこれからの旅が、互いの違いを尊重し、その中で自己を見つめ直し、成長する機会に満ちたものになることを心から願っています。美術を通じて人と人とを繋ぎ、深い理解を育む使命を持ちながら、豊かな学びの場を共に築き上げていきましょう。

 次に、お話ししたいことは、批評に向き合い、立ち上がることについてです。
 皆さんはこれまで中学校などで様々なジャンルの作品制作を通じて貴重な経験を積み、美術がとても好きになったのではないかと思います。それはとても素晴らしいことです。しかし、これから始まる本校での美術教科の学びは、常に楽しいわけではないかもしれません。心を込めて制作した作品が批判的なフィードバックを受けることや、予想外の角度から講評されることもあるでしょう。
 また、他者との比較によって落胆や挫折感を抱くこともあると思います。そのような経験はとても辛いことだと思います。けれども重要なのはそのように落ち込んだとしても「七転び八起き」の精神で、常に立ち上がることです。
 厳しい批評や多様な意見に向き合うことは、本校の教育プロセスにおいて不可欠なことです。それは、深く考え、自らの表現と向き合いながら新たな作品を生み出すことへの挑戦でもあります。長年作家としての経験を積んできた私自身も、そのような経験を何度もしてきました。

 私たち美工が目指すのは、周囲の多様な価値観を尊重し、それによって自身の真の個性に気づき、誰にも真似できない新たな価値や表現を生み出す力を育てることです。異なる興味や関心を持つ仲間、教員と出会い、意見交換を通じて、より広い視野を得る場所です。ひとりでは決して体験できない多くの学びを、ここで経験してください。
 皆さんが好奇心を持ち続け、新しい出会いを通じて視野を広げることを期待しています。そして、皆さん一人ひとりの成長と発展につながることを願っています。

 結びに、皆さんもよく知っている画家のパブロ・ピカソの言葉を紹介します。「できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である」。この言葉には、挑戦の精神と自己信頼の重要性が凝縮されています。人生は、自分の信念と態度によって形作られるということを、ピカソをはじめ、多くの作家たちは私たちに教えてくれています。皆さんがこれからの高校生活の中で様々な挑戦や学びに向き合う時、確かに無数の困難に直面することでしょう。その時、この言葉を思い出してください。できると信じることが、第一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。逆に、できないと決めつけてしまえば、その時点で可能性は閉ざされてしまいます。
 新しいことに挑戦することは、不安や恐怖を伴うかもしれません。しかし、その一歩が皆さんの能力を高め、未知の世界へと導いてくれることでしょう。失敗を恐れずに、挑戦を続けることで、皆さんは自分自身の限界を超え、違う景色に出会うこと間違いなしです。

 ピカソの言葉を胸に、限界を設けず、夢に向かって果敢に挑んでください。自分自身の可能性を信じる皆さんが、未来を切り拓く主役です。ここでの高校生活が、皆さんにとって充実したものとなり、自らの無限の可能性を信じるきっかけとなるよう願っています。
この言葉をもって、式辞とさせていただきます。
 
 令和6年4月8日
                京都市立美術工芸高等学校
                校長  名和野 新吾

新年度を迎えて(ご挨拶)

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鴨川河畔の桜並木が、薄ピンクの花弁を広げて春の訪れを告げ始めています。この度も、京都市立美術工芸高等学校の校長を務めさせていただくこととなりました名和野新吾と申します。新年度の始まりにあたり、生徒の皆様、保護者の皆様、そして学校関係者の皆様へ心からのご挨拶を申し上げます。

本校は、明治13年(1880年)に、日本最初の画学校「京都府画学校」として京都御苑内に創立しました。明治22年(1889年)には京都市へ移管され「京都市画学校」と改称、のち「京都市美術工芸学校」、「京都市立美術工芸高校」と改め、戦後昭和24年(1949年)には「京都市立日吉ケ丘高等学校美術課程」として設置されることになりました。その後昭和55年(1980年)には、美術工芸単独の専門学校「京都市立銅駝美術工芸高等学校」として元銅駝中学校の校舎においてスタートを切り、昨年度末までの43年間という長い期間、教育活動を継続して参りました。そして昨年2023年4月1日、現校舎に移転し、「京都市立美術工芸高等学校」として新たな歴史の一歩を踏み出しました。

この長い歴史の中で本校は京都の美術工芸界を牽引し、文化勲章受賞者を含む多数の著名な卒業生を輩出するなど、文化芸術と産業界に貢献してきました。このような伝統と歴史のもと、生徒たちは美術・工芸・デザインの各分野で基礎から専門性の高い知識と技術を学び、将来社会に貢献する力を身につけています。

美術や芸術は、単なる文化遺産の継承やコミュニケーションの手段を超えた、社会における必要不可欠な要素です。これらを通じて、豊かな人間性を培い、生活の質を向上させ、社会の包摂性を促進し、多様性を尊重する社会の形成に寄与すると我々は確信しています。そして、美術を通した教育活動は、ソウゾウ(想像・創造)力、柔軟な思考力、他者とのコミュニケーション能力などを養います。これにより、生徒たちは多様な価値観やアイデアを受け入れ、これからの社会で必要とされる多様性と包摂性を理解し、尊重する心を育みます。美術や芸術を通じた学びは、生徒たちにとって、自己のアイデンティティを探求し、広い世界における自己の位置を見出し、さまざまな視点から物事を考察する力を身につける貴重な機会となります。

今後も本校は教職員一同、生徒の個性と感性を大切にし、一人ひとりが持つ無限の可能性を引出し、目まぐるしく変化する社会の中で、未来を切り拓く青年を育成することに努めて参ります。

最後に、保護者の皆様、同窓生の皆様、そして地域社会の皆様へ、これまでと変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 令和6年4月1日
                        校長 名和野新吾
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行事予定
4/24 (45分短縮)、1年人権学習(5〜7限)
4/25 検尿、前期生徒会役員立会演説会(45分短縮)、1年人権学習【同和研修】(午後)
4/26 検尿、LHR進路ガイダンス事前学習(1,2年生合同)
4/29 昭和の日
京都市立美術工芸高等学校
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TEL:075-585-4666
FAX:075-341-7006
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