京都市立学校・幼稚園
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「しだれ桜」が早くも開花しました!

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 西館前「京一商西京同窓会メモリアルガーデン」の「しだれ桜」が,早くも開花しました。
 この桜は,平成26年2月14日に,本校インターアクトクラブ(昭和38[1963]年9月に発足し,主として国際ボランティア活動を行っています)の創立50周年を記念し,その間,たいへんお世話になってきた西ロータリークラブ様からいただいたものです。
 円山公園の「しだれ桜」から生まれた,たいへん歴史と伝統のある若木です。これからこの場所で,素晴らしい「しだれ桜」としてたおやかに成長していく姿を,生徒の成長と合わせて見守っていきたいと思います。

今年度最後のフィールドワーク委員会を行いました!

 3月19日(木)午後からは,12期生海外フィールドワーク(以下,FWと略します)委員が集合して,まとめの会を行いました。
 まずはコース別に集まり,各コース担当の教員とともにアンケートの分析や実際行ってみての反省点を挙げ,次年度の後輩たちにつながるよう,委員たちは意見を交換し合いました。1年間やってきたことの振り返りを行うことで,委員たちは今年のFWを作り上げた達成感と,全員が無事に帰ってくることができた安心感を改めてかみしめていたようです。

 次に,全体会として,大講義室に7コースすべての委員が集まりました。学年主任の岡本先生からは,FW委員の活動を振り返ってその頑張りを称えるとともに,引き続き2年生の活動に活かしていって欲しいという内容のお話があり,それぞれのコース長からは,コースの総括と,コース別に出た意見や振り返りの交流を行いました。最後に実行委員長の岩佐先生から,全体の総括と今後の予定が話され,まとめの会は終了しました。

 委員として活動した1年間,様々な思いを持ってがんばった生徒たちは,それぞれの話を頷きながら真剣に聞き,自分たちの活動を振り返っていました。
 海外FWは終わりましたが,それに関連する取り組みは2年生でも続いていきますし,委員の皆さんは,そこでも中心になっていってくれることでしょう。これでFW委員としては一区切りですが,引き続き彼らの活躍に期待したいと思います!

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1年生「京セラ講座」を行いました!

 3月19日(木)9時から,7階大講義室にて,京セラ株式会社フィロソフィ教育推進部編集出版部編集出版課の井上友和様を講師にお迎えして,1年生全員を対象に,EEP特別講演会<京セラ講座>を行いました。これは,エンタープライジング科第1期生以来,京セラ株式会社様の御協力により,毎年行わせていただいている伝統の講演会です。
 演題は,「京セラの事業展開と経営哲学について」。約1時間にわたって,「多彩な製品群と最先端技術」,「グローバル展開」,「ミッションとビジョン」,「経営哲学(フィロソフィ)」,「人生方程式」という構成でお話し下さいました。
 まず,最初の項目では,会社概要,セラミックスの名称の由来(粘土を焼き固めたものを意味するギリシャ語のKeramos[ケラモス]から),ファインセラミックスが小惑星探査機「はやぶさ」やスーパーコンピュータ「京」の部品として採用される等,最先端科学技術に貢献していることを中心に説明して下さいました。
 次の「グローバル展開」では,国内外のグループ拠点や事業展開について説明され,現在の海外売上比率は約55%以上・海外に在籍している社員比率は約60%以上であるとのことです。そして,1959年の創業以来55年間赤字決算なしであり,10%前後の利益率を維持する売上高1兆5000億円のグローバル企業となっていることを説明して下さいました。そして,そういった目に見える事業展開や数値を支えている「目に見えない企業文化・経営哲学」を,次の項目でお話し下さいました。
 「ミッションとビジョン」では,ミッション(経営理念)やビジョン(高い目標を掲げること)の意義や重要性について説明され,「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に,人類,社会の進歩発展に貢献すること」という京セラの経営理念や「世界一の”The Company”を目指す」というビジョンを紹介していただきました。
 そして,”The Company”を目指すにふさわしい考え方・働き方・哲学が「京セラフィロソフィ」というものです。「完全主義を貫く」「能力を未来進行形でとらえる」等,項目ごとにさまざまなものがありますが,西京高校の教育方針に当てはめると,ということで,
 「進取」・・・渦の中心になれ
 「敢為」・・・もうダメだというときが仕事の始まり
 「独創」・・・楽観的に構想し,悲観的に計画し,楽観的に実行する
と説明して下さいました。
 そして,いよいよ掉尾を飾る「人生方程式」です。
 これは,京セラが大切にされているもので,「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」で表されます。「善きこと−悪しきこと」「利他−利己」「理性−本能」など対比しながら,「物事の結果は,心に何を描くかによって決まる。」「現在の自分の周囲に起こっているすべての現象は,自分の心の反映でしかない」と,「考え方」の重要性をお話し下さいました。最後に,「中庸」の言葉「人,一たびにして之を能くすれば,己れ之を百たびす。人,十たびにして之を能くすれば,己れ之を千たびす。」を示され,「誰にも負けない努力を」とエールを送られて講演を終えられました。

 生徒の感想の一部です。
 ・「企業理念」というと難しそうに思いましたが,説明がとても分かり
  やすく,スライド資料もとても見易かったので,よく理解できました。
 ・「目に見える企業展開は目に見えないものに支えられている」という
  言葉が印象に残りました。
 ・「心に描いた通りになる」という言葉は,とてもすてきだと思いまし
  た。私も夢のビジョンをしっかり心に描きたいと思います。
 ・「人生方程式」は,すごく納得できました。自分も「善く生きる」
  ことを目指して頑張っていきたいです。
 ・講演の後で産業空洞化の質問が出た時に,その地域のことを考えて
  展開しているという回答を聞き,とてもいいなと思いました。

 海外フィールドワーク後はじめてお聴きした講演ということで,いろいろと響くところがあったと思います。御講演内容をよく振り返り,12期生の皆さんの今後の取組に活かしていただきたいと思います。井上様にはお忙しい中ご講演賜り,誠に有り難うございました。


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後期終業式を行いました!

 3月20日(金)9時から,7階メモリアルホールにて,平成26年度後期終業式を行いました。村上校長から,まず正面左に校歌プレート(この春卒業したエンタープライジング科10期生の卒業記念品です。)が新たに設置されたことが紹介され,「年度初めにも言ったが,挨拶をしっかりとする」「選挙権が18歳から付与されることが濃厚になってきた。この機会をいかに生かすか,挨拶もそうだが,グローバルリーダーとして責任ある行動をとれるようにすること・一人一人が人間として果たすべき義務をきちんと果たすこと」が大切である,とお話しいただきました。その後,伝達表彰式と諸注意を行い,終業式は滞りなく終わりました。この春休み,新年度への準備のため,有意義に過ごして下さい。
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入学予定者登校日(第2回)オリエンテーション及び学習合宿委員会第1回全体会を行いました!

 第2回入学予定者登校日である3月18日(水)午後,7階メモリアルホールにて,生徒・保護者対象入学前オリエンテーションを行いました。
 村上校長の,「外進生はもちろん,内進生の皆さんも,西京高校を選んで来てくれて,有り難う。入学式までに,高校生としての覚悟・決心をして来て下さい。」という挨拶に始まり,学年主任や各担当者からは「この時期は<高校セロ学期>。しっかりと良いスタートを切れるように準備を」「今日のオリエンテーションのキーワードは自立。“自己責任”と“場と状況の理解”を」と,これから高校生となるに当たっての心構えを中心にお話がありました。また,保護者の皆様へも,中学生から高校生へと精神的にも肉体的にも大きく変化していく時期ですので,発達段階の違いによる“意識の切り替え”をお願いしました。
 入学予定者の皆さんには,4月の入学までの期間にしっかりと準備をして,気持ちよく高校生活を始められるようにして下さい。

 また,この日の午後は,7階大講義室に学習合宿委員(校内では「リーダーズ」と呼んでいます。)164人が勢ぞろいして初の委員会を行いました。「広報部」「事業部」「生活部」それぞれの所属が決まり,準備が始動しています。「内外融合企画」として内進生たちが考えてきた案をみんなの前で発表し,各委員から疑問点等の質疑応答をしながら夕方遅くまで熱心に話し合っていました。内外ミックスで学年全体として行う学習合宿の成功に向け,ガンバレ 13期生!

[写真]
上段左 オリエンテーションの様子(校長挨拶)
上段右 オリエンテーションの様子(学年主任説明)
中段左 オリエンテーション会場の様子
中段右 学習合宿委員会会場の様子
下段左 学習合宿委員会の様子(プレゼンテーション)
下段右 学習合宿委員会の様子(質疑応答)

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京都市立学校文芸術賞を受賞しました

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 本校2年生の2名が,「第8回全日本高校模擬国連大会(グローバルクラスルーム主催)」において「ベストポジション&ポリシーペーパー賞」を獲得したことを評価され,平成26年度「京都市立学校文化芸術賞」をいただきました。3月19日(木)午後5時から京都市役所にて表彰式が行われ,京都市教育委員会生田義久教育長より表彰状が授与されました。模擬国連の詳細に関しては,このHPの関連記事を御覧ください。

[記事URL]
  https://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/index.php?...

「京都2Rプロジェクト」実施説明会を行いました!

 本日(3月18日[水])午後1時から,3階研修室にて,1年生(新2年生)のうち希望者12名が出席して,「京都2Rプロジェクト・高校生共同研究者」への実施説明会を行いました。

 このプロジェクトは,京都市において,全国に先駆けて「2R条例(「京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」の一部を改正)」が制定される見込みであり,「2R」(リデュース・リユース)が強化されるのに伴い,その効果を出す(つまり,ごみを減らす)ためには,生活の中での検証と提案が必要です。そこで,「一般社団法人びっくりエコ発電所」と「びっくり!エコ新聞社」主催により,本校マネジメント会議委員でもいらっしゃる浅利美鈴先生(京都大学環境科学センター助教)が研究代表者となり,実態把握→仮説立案→検証・議論→まとめ・発表までを高校生共同研究者とともにこの夏までに行おうとするものです。
 
 浅利先生はベトナムのハノイにおられたのですが,空港移動までの合間の時間を利用して,Skypeを通じて本校生に説明を行って下さいました。
 生徒たちの中には海外フィールドワークで先週ベトナムに行っていた者もいて,現地の気温や熱気を思い出しながらミッションの説明を熱心に聴いていました。説明終了後は,生徒たちで早速今後のスケジュールを確認したり,配付されたテキストや資料に目を通したりしていました。生徒たちは今後,勉強や諸活動の合間をうまく使って研究に取り組むことになります。
 
 終えたばかりの海外フィールドワークで見つけたタネがうまくリンクして大きな花を咲かせることができるかもしれません。忙しい中ではありますが,是非とも好奇心満載で楽しみながら取り組んでほしいと思います。高校生共同研究者の皆さんの活躍に期待します!

[写真]説明会の様子
    (スクリーンのSkype画面の中に,浅利先生がおられます。)

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各学年とも,来年度に向けて頑張っています!

 1年生の海外フィールドワークも無事終わり,終業式(20日)までのこの時期は,各学年とも来る平成27年度・新学年への助走と一人一人の地盤固めをするときです。各学年とも,授業や模試等に取り組んでいます。
 学校での活動はもちろんのこと,個人的にも将来の自分について考え・そのために必要なことについて調べたり,じっくりと読書や芸術鑑賞に取り組んだり,と積極的に活動していただければと思います。
 ガンバレ! 西京生


[新3年生]
 学年末考査が10日(火)に終了してから,スタディーサポートや「春季学習講座」に全員必修で連日取り組んでいます。春季学習講座は本日(3月17日[火])までの3日間の日程で,1コマ80分の講座を毎日4コマずつ,8時40分から15時まで受講します。
 明日と明後日は模擬試験を全員で受験し,1年間の学習状況の確認に役立てます。


[新2年生]
 先週は海外フィールドワーク(以下,FWと略します)で連日忙しい日程をこなしていました。
 本日は1限目に学年アセンブリを行い,この春休みで一人一人がしっかりとFWを振り返り,2年生ではそこでの気づきや疑問点を更に深め,チームとしてレポートをまとめて6月には発表会を持ち,次の学年に成果と課題を引き継ぐことができるようにとのスケジュールを再確認しました。その後コースごとに分かれてまとめとアンケート記入等を行いました。
 また,本日から明後日にかけて,スタディーサポートに取り組みます。


[内進新1年生]
 昨日から3日間の日程(3月16〜18日)で,「内進生春季学習講座」が始まりました。これは,中学生から高校生への「切り替え」を円滑に行い,高校における学習のスタイルに速やかに移行できるような契機とするために,全体へのアセンブリや教科ごとのガイダンスを行うものです。どの生徒も真剣にメモやノートをとりながら,高校の教員の授業を受けていました。
 明日の午後は,内外進の新1年生(13期生)が一堂に会してオリエンテーションや教科書購入等です。学年としての取組が始動します!


[写真]
 上段:新3年生の様子(化学の実験と教室での講義)
 中段:新2年生の様子(学年アセンブリとスタディサポート)
 下段:内進新1年生の様子(全体オリエンテーションと国語の講座)


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2年生「献血セミナー」を受講しました〜「京都市シェイクアウト訓練」も同時実施

 3月11日(水)9時から,7階大講義室において,2年生全員を対象に「献血セミナー」を行いました。この日は「東日本大震災」が起こった日でもあり,また「京都市シェイクアウト訓練」がセミナー開催中に行われることから,この訓練も同時に取り組み,発災時に命を守る行動をとることの大切さやその注意点についてもお話しいただくこととしました。
 講師は,京都府赤十字血液センター献血課の,献血係長澤村 大様と,献血課主事の野口友理子様のお二人です。
 まず,「日本赤十字社」について。「赤十字」(国によっては「赤新月」や「赤水晶」を使います)マークの意味や,「苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し,いかなる状況下<究極の状況は,戦争や大災害[地震・噴火]等>でも,人間のいのちと健康,尊厳を守る」という日本赤十字社の使命をはじめ,代表的な事業(病院・看護婦等養成・災害救護・献血・社会福祉),血液センターの業務(献血の受入,検査・製剤,血液の供給)等についてわかりやすくお話し下さいました。
 次に,「献血の必要性」について,DVDのビデオ映像を約10分間視聴した後で説明をして下さいました。基本的に血液は人工的には作り出せず,長期保存することもできません。(有効な期間は,血小板成分献血は採血後4日間,全血献血は21日間,血漿成分献血は−20度で冷凍して1年間だそうです。)医療現場では毎日血液製剤が使用されており,毎日適当な量の献血が必要となります。(京都府では1日あたり310人分)輸血が最も多く行われるのは病気の治療で,実に80%以上が用いられていて,そのうち約40%が白血病を含むガンの治療に使われています。
 そして,「献血の流れ」についてスライド資料を使って紹介した後,「献血の今」(献血を取り巻く状況)についてお話し下さいました。若年層の献血者が減少傾向にあり,一方で輸血を受ける患者は50歳以上が多い現状から,ピーク時には全国で100万人分の血液が不足するおそれがあるそうです。

 ここで,一旦「東日本大震災」当時の状況やどのような活動をされていたかについて,実際の写真を示しながらお話し下さいました。そして,9時30分となり,シェイクアウト訓練開始です。会場の大講義室はシートピッチが狭いので,低い姿勢を即座には取りづらかったようですが,それでも上着やひざ掛けを頭にかぶせてしゃがむなど,工夫して訓練に取り組んでいました。
 澤村様からは「少し時間が掛かっていたが,まず命を守る行動をする,ということが大切。大したことはないだろう,と思って何もしないというのはだめ。また,出入口が変形して開かなくなることがあるので,出口の確保も重要である,など,的確なアドバイスをいただきました。

 東日本大震災当時,京都でも献血者が急増したそうです。被災地に実際に行ってボランティア活動をすることだけが支援ではない,ということがよくわかりました。一方で,血液は長期保存ができません。供給の偏りが出ないよう,当時,「少し時期をずらしてお越しください」と呼びかけることもあったそうです。血液センターのホームページには,血液型別に「現在の在庫状況」が示されています。各自でしっかりと状況を判断した上で,ベストの時期に協力するように心掛けていければと思います。
 そして,「知ることも,伝えることも,献血への協力」です。今日お話しいただいたことを,少しでも広めていければと思います。
 
 折しも,この記事を掲載する当日(14日)から,「第3回国連防災世界会議 仙台」が開催されています。命や健康を守る取組,発災時の対処の仕方等についてふだんから考え,準備を進めていくようにしていきましょう。


[写真]

 上段 左 会場の様子
    右 赤十字マークのいろいろ
 中段 左 説明の様子
    右 東日本大震災当時の様子
 下段 左 シェイクアウト訓練で「身を守る行動」をしているところ
    右 代表生徒からの謝辞


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ノーベル物理学賞受賞者・天野浩先生の講演会を聴講しました!

 3月5日(木)午後3時から,京都工芸繊維大学センターホールにておこなわれました,天野浩先生講演会(昨年のノーベル物理学賞受賞者・名古屋大学教授)に,本校生4名も参加しました。(この日,1年生は海外フィールドワーク直前,2年生は学年末考査中という参加しづらい日ではありましたが,学術研究に特に深い興味関心を持つ生徒が応募してくれたものです。)
 天野先生は,「京都工芸繊維大学ベンチャーラボラトリー成果発表会」のゲストとして,本校生徒をはじめとする高校生や大学生約600人を前に,1時間にわたってお話し下さいました。

 演題は「次に受賞する人へのメッセージ」。
 講演の前半では,“ただのおっさん”がノーベル賞をとるとどうなるのかをつかみに,天野氏独特のユーモアに富んだ語り口で受賞式前後の話をされました。ノーベル賞受賞と同時に文化勲章も授章されることは,今後のために知っておいてくださいとのこと。日本の代表として授賞式に出席すべく用意した天野先生の衣装よりも,奥様の着物の方が2桁額が高く,大学に借金をして用意されたそうです。式典の期間はNobel Weekと呼ばれ,随所に細やかな工夫なされていたそうです。実際の授賞式以外にもイベントが企画され,例えば,ストックホルム科学イノベーション高校では,プログラム言語であるC言語の授業があるとか。天野先生ご本人もこれには驚いておられました。また授賞式本番では,極度の緊張から段取りを全て忘れてしまい,さらに晩餐会では,隣席のスウェーデンのシルビア王妃から語り掛けられた英語も全く頭に入らなかったとのこと。高校生,大学生の聴衆に向けて,「英語はちゃんと勉強しておくべきですよ」と,経験を踏まえておっしゃいました。
 後半では,青色発光ダイオード(青色LED)の材料として用いられる半導体,窒化ガリウム(GaN,gallium nitride)について苦労談を織り込みながら,作成できるまでの研究の過程とその専門的な内容を,非常に噛み砕いて分かりやすく話されました。
 人類の灯りの発明を歴史的に順に辿ってみれば,1878年に開発された黒体輻射の原理で発光する白熱電球は1ワット当たり20ルーメン(20lm/W)以下,1925年に開発された原子の光を実現した蛍光灯はストークスシフトの損失分により1ワット当たり80ルーメン(80lm/W)以下,そして,1999年に製品化された白色LEDはジュール熱による損失のみで非常に効率が良く,1ワット当たり160ルーメン(160lm/W)以上とのこと。ちなみに照明で用いられる白色LEDは光の三原色の原理から発光させているわけではなく,黄色の発光体と青色LEDによって白色光を作っており,壇上で実演もされました。全ての原子炉を停止させている現在の日本で,白色LED照明は省エネルギー対策の一つとして注目されており,日本の照明LED化率は2013年で50%,2020年までに70%を超えるだろうと推測されていました。
 実は,青色LEDは,1971年にソ連(当時)の物理学者ジャック=パンコフ氏が世界で初めて発表しました。当時はN型GaNを作ることはできましたが,P型GaNは実現できず,非常に高価で効率が悪いため,実用化はされなかったのです。GaNを直接作ろうとすると,45000atm,セ氏2530度の環境での生成が要求され,これはダイヤモンドを生成する環境(52000atm,セ氏1200度)と比較してもかなり困難なことです。よって,化学反応で作ることになるのですが,サファイアを基盤に生成しようとするも格子不整合の関係によりうまくいかず,試行錯誤と工夫をする毎日だったそうです。そもそもGaN作成装置は市販で買うと1億円は下らないのですが,当時の大学の研究室予算は300万円で,購入するのはとうてい不可能です。そのため,赤崎研究室では装置を手作りすることから始まりました。装置作成後は一日5〜6回の実験をしておられましたが,なかなか綺麗な結晶ができずに苦心しておられたそうです。創意工夫と新たな技術を周辺の分野や先輩からいただきながら,ようやく低温バッファ層技術の発見により,これまでよりも断然綺麗なGaNを生成することに成功されました。当時の大学での研究の様子,学会での発表の裏話や,技術を確立するに至った毎日の積み重ねなどを伝えられ,その場にいた大学生や教員,教授は大いに共感とともに,高校生は憧れや研究に対するおぼろげなイメージを描きながら聴講していました。
 このような基礎物理学の研究成果が,工業,商業ベースに乗り,今や国内問わず全世界規模で恩恵を与えています。例えば,今の学生はゲームボーイや携帯画面がモノクロだったことなど知らないでしょうが,それから10年足らずで画面がフルカラーになりました。また,モンゴル大使に喜ばれたことがあるというエピソードも紹介して下さいました。それは,白色LEDができたことで,全国民の80%が放牧生活を営むモンゴルの子供たちが,夜,勉強したり本を読んだりすることができるようになったとのことです。・・・これらは数あるエピソードの中でほんのわずかの例ですが,基礎科学研究を志す子供たちに勇気と希望を与えたことでしょう。
 最後に,聴講する我々に向けて,次のメッセージで御講演をしめくくられました。
   『一生懸命に考えること。研究テーマを見つけたら,
    それに向けてあきらめずに邁進してほしい。』

 力と熱意のこもった講演であっという間に時間が過ぎ,質疑応答の時間も十分に取れないほどでしたが,本校の二社谷一樹君(2年生)が自己紹介を簡潔に述べた後,次のようなの疑問を天野先生にぶつけました。
 「窒化ガリウムの基盤となるサファイアは宝石なのだから,地球上での存在量が少ないのではないですか。」
 講演の中で「研究費のやりくりに四苦八苦」というくだりを聞いていたので,宝石という希少で高価な物質を,何年にもわたってかなりの回数の実験に使用されていたのが疑問だったようです。天野氏からすれば,高校生が自分の基礎研究の内容を理解した上で的確な疑問を発してくれたことに驚き,また感心もしておられる様子でした。
 「先ほどの言い方では誤解が生まれたようで申し訳ない。」という前置きののち,彼の質問に丁寧にお答え下さいました。サファイアはAl2O3でアルミニウムの酸化物であり,地球上で枯渇の心配はないとのこと。それよりも手に入りにくいのは金属ガリウムなのですが,最近はリサイクルをすることで効率よく再生する仕組みが築かれていて問題はない,とのことでした。

 先生ご自身の穏やかでユーモアあふれるお人柄がにじみ出ていて,研究内容も噛んで含めて語っていただけた,将来の研究者に向けた期待と夢に溢れた講演でした。基礎科学分野の研究は本当に地味で,粘り強さと不屈の意志が不可欠ですが,それを乗り越えたところで社会に役立つ成果に辿り着くことができるのだと,改めて思いました。
 
 天野浩先生,分かりやすく,心震えるご講演をありがとうございました。
未来の研究者よ,夢と希望を抱き,ただひたすらに進み続ける強い意志を持て!

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