京都市立学校・幼稚園
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令和4年度 卒業式

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< 式 辞 >

 春の息吹を感じる今日の佳き日に、学校運営協議会委員、PTA役員をはじめ、ご来賓の皆さま、保護者の皆さまをお迎えして、京都市立京都工学院高等学校 第5回卒業式を挙行できますことは、在校生や私たち教職員とって大きな喜びであります。

 本日、ご臨席を賜りました皆さま方には、日頃から本校の教育に深いご理解と温かなご支援をいただき、さらには巣立ちゆく卒業生を祝福していただきますことに心より御礼申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与いたしました232名の卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。皆さんは、本校所定の教育課程を修了され、日々の学習はもとより、ホームルーム活動や生徒会活動、部活動などを通して、人間力を磨き、かけがえのない青春の日々を過ごされ、本日、晴れて 卒業の日 を迎えられました。皆さんが本校で培ってこられた、弛まぬ努力と精進に対し、心から賛辞を贈ります。

 皆さんは、高校生活の多くを新型コロナウイルス感染症のパンデミックという厄災の中で、厳しい制約を受けながら過ごされました。教育活動も様々な制約を受け、学校行事も変更を余儀なくされてきました。入学してすぐの2カ月間に及ぶ一斉休校をはじめ、マスクの着用や黙食の励行、研修旅行の度重なる延期・中止など、誰もが経験したことのない3年間でした。

 こうした中でも皆さんは、コロナ下における様々な変化や新しい生活様式を受け入れ、制限下における「文化祭」や「体育祭」をはじめとする学校行事を盛り上げてくれました。研修旅行の代替行事となった三重県での宿泊研修では、久しぶりの学年での校外学習ということもあり、大いに楽しんでくれていました。多くの制約がある中、皆さん一人一人が、挑戦しようとする気持ちを持ち、前向きに取り組んだ成果です。皆さんの頑張りに敬意を表します。

 さて、卒業生の皆さんには3学期の始業式で少し話した内容ですが、あらためて紹介しておこうと思います。

 年末に外部の方から本校の前身の一つである洛陽工業高校、さらにその前身の第一工業学校時代に当時学校で製作していたグライダーの資料が残っていないか問い合わせがありました。移転もあり現物の資料は残っていませんでしたが、百周年記念誌にグライダー製作の記述を見つけました。

 昭和8年、日本グライダー連盟から依頼を受け、教員と生徒10名でグライダー製作に取り組んだようです。完成した機体は航空局の検査にも合格し連盟へ引き渡された後、高度記録滑空に挑み滑空時間6分56秒と当時の日本記録を樹立したとの記載がありました。これがきっかけとなって学校にグライダー部が創られ、全国でもトップクラスの実力を有し、当時、グライダーの製作・操縦で全国の中等学校をリードする存在となったようです。昭和15年の国民体育大会出場や昭和17年製作の九号機が文部省指定機となるなど、多くの輝かしい記録がありました。当時の生徒の頑張りに頭が下がるばかりです。
 90年前にグライダーを製作した先輩は、資料として現代の方が探されるほどの大きな成果を上げました。しかし当時の生徒たちは記録に残そうというより、目の前の課題に精一杯取り組もうとしていたのだと思います。その経験はきっと卒業後にも活かされていることと思います。

 本校設置のフロンティア理数科とプロジェクト工学科は、理数・工学の専門学科です。皆さんは「アイディアをカタチに」を合言葉にプロジェクトゼミ等の専門科目で今までにない新たな価値の創造にチャレンジしてきました。ここでの経験は本校卒業生の大きな強みであると思います。高校時代に様々なことに取り組んできた経験が人としての幅を広げ、明日の自分をつくってくれることとでしょう。

 先ほどのグライダーの問い合わせをいただいた方(滑空史保存協会の河辺 新一 様 とおっしゃいますが)河辺 様 から、ぜひ生徒に紹介して欲しいといただいたお言葉があります。
 『当時一つの合言葉が生まれていました。滑空機ばかりではありませんが、中でも滑空教師においては、必ず皆が口に出して叫んだエールがあります。滑空機は一人を空に飛ばすのに20名ほどの協力者が必要です。バンジーゴムをひく人、左右に6名ずつ12名。滑空機の翼端を支える人。滑空機の後方を保持する人。発進の合図の旗振り役。風向きや風力監視役。記録係。以上が最低の必要人数です。「一人を学習させるのには、みんなの努力(協力)」を求められます。そこに生まれたのが「みんなは一人のために、一人はみんなのために」今でも通じる言葉と思います。河辺。』

 皆さんもどこかで聞いた言葉ではないでしょうか。ラグビー界でも非常になじみのある言葉です。「ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン」、「みんなは一人のために、一人はみんなのために」。本校との縁を感じずにはいられない言葉です。

 本校の教育活動の中で大切にしてきたキーワードに「貢献・結集・連携・継続」があります。プロジェクトゼロやプロジェクトゼミなどの専門科目を舞台に、自ら課題を設定し、その解決に向けみんなの力を結集し、他と連携し継続して取り組み、最終的には社会に役立つもの(貢献するもの)を創りあげてきました。

 人は一人では生きて行けません。「みんなは一人のために、一人はみんなのために」他者を尊重し、ともに協力し合い、みんなの力を結集してこそより良い未来に向かえるのだと思います。皆さんの新たなステージにおいて、チームで学んだ、これらの成果が活かされることを祈っています。

 最後になりましたが、保護者の皆さま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。高校の三年間、様々な場面においてお子様は悩み、考え、決断してこられました。人は取組や経験を通して成長します。様々な困難を乗り越え、立派に成長されたお子様の姿に感慨もひとしおのことと存じます。教職員一同、心よりお慶びを申し上げます。これまでの三年間、本校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。
 民法の改正により18歳の誕生日を迎えると高校3年生で成年となる最初の学年となりました。年度末には全卒業生が、成年となられます。皆さまも保護者ではなくなりますが、親子であることは変わりません。今後ともお子様が、自らの未来を切り拓いていけるよう、見守っていただきますようお願いいたします。

 結びに、卒業生の皆さんが本校で培われた様々な経験を生かし、将来、社会で活躍されることを願うとともに、皆さんの前途に幸多かれと祈念して、式辞といたします。

 令和5年3月1日
                      校長 大窪 英行

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