― 平成22年度 土曜参観にて ―
保護者の皆様には,本日の土曜参観にご参加いただき,ありがとうございます。
本日は京都教育大学連合教職大学院の学生さんたちもお迎えしております。また,京都市教育委員会からも大勢の皆様にお越しいただいております。また鳥取県からも3名の方がお見えになって下さっています。そして,本日は,洛東中学校の生徒の代表として7名の生徒会のメンバーと教職員の皆様が来ていただきました。皆様にはご参観いただき,本当にありがとうございます。
さて,4月からスタートし,早2ヶ月が過ぎました。この間,3年生は「修学旅行」,2年生は「校外学習」,1年生は“花背山の家”での「ふれあい合宿」と,あっと言う間に終わってしまいました。今日はゆっくり生徒たちの学習の様子や,学校の様子などご覧になっていただけたでしょうか。今年は,統合に向けての最後の1年になります。
この間,何をすることが生徒たちにとって大切なのか,どのような力を付けなければいけないのか,弥栄中学校の過去,現在,未来を見据えてゴールに向かって慎重にかつ大胆に進んでおります。
弥栄中学校の学校目標は,「人権を尊重し,確かな学力を身につけた,創造的で個性豊かな人間を育成する」であります。この目標に向けて「教職員の英知と情熱と使命感を傾注し,一丸となって日々の教育実践を推進しよう」と頑張っております。
具体的には,生活目標として「大きな集団の中で豊かに生きる力の育成」と打ち出しました。3年生は,進路先で,豊かに生きていく力。1,2年生は開睛館で豊かに生きる力。 <835人(小 602人,中233人)の集団の中で!>
今いる場所で最大の努力をし,勝ち抜くこと。周りの環境ではなく,大切なのは自分であり,自分の心が変われば,周りの環境も変わる。ということを生徒達には指導しています。
よく「頭の良くなる薬」や「やる気がでる薬」は無いと言われていますが,処方箋は必ずあります。一人ひとり違った処方箋です。それをうまく調合して,実際その薬を飲むかどうかです。今,飲む環境は整ってきたように思います。
いくら保護者のみなさんや,先生等,周りから「やる気」を出せ!と言われても,「やる気」という「気」は、自分の心の栄養分で大きくふくらむものだと思いますので,この1年大いに生徒一人ひとりが自分の心と向き合う機会を作っていきたいと考えています。今日のこの場も,その一つと思っています。
「安心して」「しっかり学べる」環境づくりについて,少し具体的な取り組みについてお話をさせていただきます。
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1.「安心して・楽しい学校」づくり
(1) 「安心で・楽しい学校」は,生徒同士のよい人間関係の上に築かれます。誰かをいじめたり,仲間はずれにしたりする生徒集団であっては,一人ひとりが安心して学校へ来ることはできません。私たちは普段の学校生活はもとより,いろいろな学校行事をとおして,「仲間づくり」を進めようとしています。授業の中で,特に修学旅行では,わずか2泊3日の沖縄の旅でしたが,生涯忘れられない思い出を作ったと思います。その中で,友達のことをこれまで以上に理解し合い,お互いの良さを認め合う中で,より深まったものがあったのではないかと思います。大切なことは,相手を思う気持ちです。きっと「楽しい学校」とは,一人ひとりのこころの豊かさが作り出すものであると思います。みんなで励まし合い,心を開けられる仲間がたくさんいる学校にしていきたいと願っています。
教職員一人ひとりがそれぞれの個性を通して,生徒との心の会話を実践しています。しかしながら,行き届かないことや見落としもあるかと思います。また,指導に時間がかかることも少なくありません。皆様には気にかかることがおありになれば,学級担任や学年の教員などにご相談ください。
(2)「楽しい学校づくり」に関してもうひとつ「人権学習」をあげたいと思います。
弥栄中学校は人権学習を大切にしています。先ほどの全校人権学習もその一環です。私たちは人権学習を通して生徒一人ひとりが,本当の意味で自分を大切にし,他人(ひと)を大切にする人になってほしいと願っています。一人ひとりの大切さはその生徒がどこで生まれたとか,どんな家庭環境で暮らしているか,障害があるかないかなどとは全く関係がありません。お互いの違いや個性を認め合って,人間一人ひとりの大切さをしっかりと捉え,自分の言葉や行動に生かす,そんな中学生になってほしいと願っています。人間は,他の人との関わりを持たずに生きることはできません。大人もそうですし,中学生もそうです。人権学習は,他の人との関わりの中で自分のあり方,生き方を考える時間であると考えています。特に,本日の全校人権学習では,自分が変われば人の心も変えていけるんだ!とのメッセージを生徒一人ひとりに届けられたかなと思います。
2.次に,「しっかり学習」の面からお話し申し上げます。
先日,1年生を対象に市内一斉にジョイントプログラムテスト(小学校総まとめテスト)を実施しました。結果分かったことですが,
○「小学校6年生の時,学校の授業以外にふだん1日どれくらい勉強しますか」という問いに対して,2時間以上勉強している生徒は全市の約半分でした。また,全く勉強していないは1.5倍でした。
○「中学1年生として,学校の授業以外にふだん1日どれくらい勉強しますか」という問いでは,2時間以上勉強している生徒,全く勉強していないが,ほぼ全市平均になってきています。
○「将来なりたい職業がありますか」という問いで,絶対になりたい職業があると答えたのは全市の約半分でした。
これらの結果,全体的な傾向として,家庭での学習が少なく,将来のビジョン(目的)がはっきりしない。ということでした。「何のために」学ぶのかと言う目的,そのために目標を立てて頑張る。この目的について,家庭の方でも一度話し合う時間を持っていただけたらと思います。
こういったことからも,本校では家庭学習の指導に力を入れています。又,進路展望・将来の夢についても,もっと積極的に考えていけるよう情報を示していきたいと思っています。学力の充実・向上のためには教師・学校がモチベーションを高め,努力するとともに,生徒たちの主体的な努力が欠かせません。生徒自身が「自ら学ぶ意欲」を持ち,自分で勉強するということが学習の基本です。家庭学習の要点は「自分の家で一人で勉強する」習慣を身につけるということです。この習慣が,学力充実・向上の鍵であり,行ける学校ではなく,行きたい学校へ進学する方法であり,高校進学後に不調を来させない道です。高校進学後の不調,それが進むと高校中退になりますが,理由は大きく2つ有ります。一つは高校で友人関係が築けない,もう一つは自学自習の習慣が身についていないために,学習について行けなくなるということです。今からしっかりとその習慣をつけていきたいと思いますので,ご家庭の方でもご協力をお願いいたします。
3.学校で行っている具体的な取り組みは,
保護者の皆様にも既にお配りしてあると思いますが,家庭学習について各教科で宿題を出しています。出すだけではなく,しっかり点検をし,評価しています。
(1)<家庭学習>
1,2年生は 月曜:国語,水曜:数学,金曜:英語
3年生は 月曜:国語,火曜:社会,水曜:数学,木曜:理科,金曜:英語
朝学活でクラス担任に提出,教科担任が点検し,次の課題を出しています。お家の方でも「宿題出来たか」と言う声かけをしてやっていただきたいと思います。
(2)<学校で自主学習室の開設>
基本的な学力の定着と,家庭学習で取り組んでいて,質問や,問題解決の場として,発展的な学習の場としていくために,学校で自主学習室を行っています。
開催時間は,部活動終了後……夏時間 PM5:40〜PM6:30(50分)
冬時間 PM5:10〜PM6:00(50分)
毎週火曜日と金曜日の2日間。5月18日からずっと開催しています。たくさんの生徒達が申込みをし,頑張っています。
また,定期テストの前には土曜学習を行っています。これは定期テスト前だけです。
第1回目は,6月19日 午前9:30〜12:00に開催します。
いずれも,先ほどの,家庭学習で取り組んでいてわかりにくいところや,自分で学習するためのやり方等を教えてもらい,力をつけるためです。生徒一人ひとりが家で自分一人で学習する習慣をしっかり身につける,そのためのきっかけ作りになればと願っています。ご家庭でもその意味をご理解いただき,家で一人で勉強するように見守り,励ましていただきますよう,お願いいたします。
4.平成23年4月,開睛小中学校開校
最後に学校統合について一言申し上げます。来年(平成23年)4月,弥栄中学校は他の小学校・中学校,合計7校とともに施設一体型の新しい小中一貫校「東山開睛館」となります。元の洛東中学校の敷地では昨年6月から新校舎建設工事が始まっています。 先日見学会がありました。ホームページに最新の写真を載せさせていただいております。
現在の1年生,2年生は,来年,東山開睛館で,2年生,3年生になります。そして,他の児童生徒と共に新しい学校を創っていきます。弥栄中としては残りの日々を出来るだけ統合がスムーズに進むように,「心の教育・教科指導」にしっかり取り組んで,統合の日を迎えたいと思っています。いま弥栄でできることをしっかりやっていくことが,東山開睛館への統合準備であると考えています。バス通学の件や閉校式,開校式,PTAの体制等,新しい課題や取り組みがたくさん出てくると思いますが,保護者の皆様のご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
以上です。ありがとうございました。
平成22年6月5日
弥栄中学校 校長 野里 基次