京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/23
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Art(豊かな感性・表現力・創造力のある生徒)  Science(論理的に真理を追究し、知性あふれる生徒) Toughness(夢に向かって、支え合い、果敢に挑戦できる自立した生徒)  

平成25年度 卒業証書授与式 式辞

式 辞
 
今年は例年にもまして春の訪れを遅く感じます。3日前に、私達は3年前のこの春に起きた出来事を思い返し、
心を込めて、東北の地で亡くなられた方々のご冥福をあらためてお祈りしました。
 さらに、皆さんはこの中学校生活の中で、尊い仲間の命をなくすという悲しみにも出会いました。
季節はめぐり、歳月は確実に流れているのに、復興の遅れや悲しみの傷跡は心の春の訪れを妨げているようにも時に感じます。
しかし、あれから3年、そんな静止したような状況とは相反するように、世界は変動社会と呼ばれるように、めまぐるしい変化と変動を見せてきました。そして、私にとっては、時間の流れと共に最も著しく、その姿を変えたのは、ここにいる193名の卒業生の皆さんです。成長という見事な変容を見せてくれました。皆さんを通じて、人の存在や、生き抜くことの意味と価値をあらためて強くここに思います。
本当によく、成長しましたね。
卒業生の皆さん、卒業、おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。
そして、保護者、ご家族の皆様方、本日は誠におめでとうございます。重ねてお祝い申し上げます。
あわせて、今日、ここに、ご来賓の皆様方のご臨席を賜り、第7回卒業証書授与式を、挙行出来ますことを、深く心より感謝しますとともに、教職員を代表し、厚く御礼申し上げます。

一昨日、この同じ場所で3年生を送る会が行われました。全校生徒と教職員が一堂に会する最後のひとときを過ごしました。1・2年生の合唱や群読、パフォーマンスの素晴らしさには、これからの下京中学校が、さらに発展していくことを予感させるものがありました。そして、卒業生の皆さんの立派な態度と合唱は、コンサートホールで聞いたあの大地讃頌と同じく圧巻でありました。最後まで、本当に良いものを後輩に託していってくれました。
心より感謝します。



校長として、卒業生の皆さんに、はなむけの言葉を贈ります。
青山北に横たわり
鴨の白水下京めぐる
この地に育った
青雲の有志
手を揮(ふる)ってここより去れば
小さき鳥たちも寂しく鳴く
されど時は流れ
さらに時が流れ
再び遠方より友集い来れば
その姿に喜び合おう

生きていくことの意味を問い続けよう
めぐり会える奇跡に感謝しよう
夢見る心を大切にしよう
誇りを胸に生き抜こう

どんな時代に生きようとも,
“志 きらめく”自分であり続けよう。
 
目を閉じ、心を開き、静かに、思い浮かべてください。この学舎の下には、何千年の人の営みを飲み込んだ深く重い歴史の地層が広がっています。その土は眠るように寡黙にこの校舎を支え、皆さんの営みを支えてきました。そして、途切れることなくその地は広がり、大地となり、この国を支えています。そしてさらに異国まで広がりながら、世界を支え、そして、この小さな地球という惑星を形づくっています。今、下京の地では穏やかで温かい春の風が、長い冬の眠りを呼び覚ますようにここちよく吹いています。そして、その風は国を越え、時には熱風となり、さらに国を越え、時には凍えるような冷気へと姿を変えていきます。
私達は、同じ大地の続きに生き、同じ風の流れの元に呼吸し、世界は繋がっています。
国家や民族間の対立や諍(いさか)いをまるで何事もないかのように、この星は一つの命としてこの宇宙と時間という流れの中に、ただ静かに存在しています。
時間とは、たどり着く出口も岸もない大きな川の流れのようです。そして決してその流れを遡っていくこともできません。
私達はそのような中で、この星の片隅でめぐり会えた奇跡に感謝しましょう。
そして、これからの人生に、苦悩と絶望の日がもし訪れたら、大切な人と寄り添いあい、繋がりあいましょう。
生まれてきたことに感謝し、今日まで育てられてきたことの喜びを感じましょう。
いつか訪れるこの星との別れの時まで、大切な命を精一杯に、生き抜きましょう。

子(し)日(のたま)わく、性(せい)は相(あい)近(ちか)し、習えば相(あい)遠(とお)ざかる。
「性」とは人の天性のこと。「習」とは習慣の事。
人の資質は生まれた時にはそれほど変わりはありません。その違いが生じるのは、そのあとの「習い」の違いです。繰り返して習うことであり、学び続けることであります。その継続した学びが人の資質を成長させます。
皆さん。生涯に渡って、学び続け、友と語らい、人を愛し、人のために力を尽くす。そんな人になってほしいと思います。知識基盤社会とも言われる変動と混迷のこのグローバルな現代社会においては、現在と近い未来に多くの深刻な課題を抱えています。その課題の解決方法を、私達人類は、ほとんど持ち合わせていません。これからの未来が豊かで幸福に満ちたものであるのか、またその逆であるのか、さらにそのいずれでもないのか、答えが一つでない困難な課題に立ち向かって行かなくてはなりません。幅広い知識や教養を大切にし、思いをめぐらし、考え抜き、自分の考えを自分らしい方法で表現していく力を身につけていってください。
そして、時にはゆったりと楽観的に考える心の余裕も大切です。

193名の卒業生の皆さん。今日は立志式であります。仲間と共に、大義に依りて、志を立て、仲間と、互いの健闘を祈りましょう。そして、変わらぬ友情を確かめ合いましょう。

いよいよ旅立ちの時です。良い向かい風が吹いています。勇気と誇りを持って未来へと羽ばたいてください。
 
私は皆さんとの出会いに感謝します。これからの世界を築いていく、皆さんの可能性に心の底からわくわくしています。 どうぞ、すばらしい人生を送ってください。

 最後に、この下京中学校という場を通じて、保護者、地域の方々、またご来賓の皆様方もあわせて、人生のよき出会いを与えていただきましたことに教職員を代表して心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
 
それでは卒業生の皆さん。
志きらめいて、これからの大きな世界で、一層の活躍をされることをお祈りします。
 今後のご健闘と前途を祝して式辞といたします。
                 
−いのちの歌より−

平成26年3月14日
            京都市立下京中学校
            校長  村上 幸一

木を植えて箪笥をつくる

−PTAだよりに寄せて−
       
        木を植えて箪笥(たんす)をつくる
                            
 田舎では娘が嫁ぐ時に持たせる箪笥の材にするために、親はまだ自分自身が若い頃に桐の木を植えたと聞きます。男が生まれるのか、女が生まれるのかもわからず、そうなる時のことを思い描いて大切に木を育てる。そんなゆったりとした感覚が当たり前のように生き方の中に包み込まれている。早い結果や成果を求める時代が続く中、私達の人生観や価値観も知らず知らずのうちに変容していっているのかもしれません。
 学校の営みには目の前の困りに対応する即応力が求められることもあれば、少し長い目で見ることのできる包容力も必要とします。そして何よりも、遠いと思える未来に夢を馳せる想像(創造)力とそれを実現に向かわせる、地道な学びと忍耐力がとても大切です。人がそもそも持っている生命力と成長の可能性を、私達大人が、家庭や学校、地域社会というさまざまな形でその力をひきだし、支援していくことが教育の本来的な意味だと考えます。
 現代社会を「困難な時代」と呼ぶ人がいます。確かにそうなのかもしれません。しかし、だからこそ夢や希望が大切にされる時代であるとも言えます。そして下京中学校では「志」という言葉を大切にしています。豊かで平和な社会を創り上げていく人材の育成を願っています。そのために、今年度もまた「志 きらめく」を校是とし、あわせて「挑戦」という言葉を学校経営の中心に据えて教職員一同、心を一つにして頑張っていきます。どうぞ、ご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

                     2013.5.31
                     校長 村上 幸一

爽春の風

作品第1023番 −宮沢賢治−

南から
また東から
ぬるんだ風が吹いてきて
くるほしく春を妊(はら)んだ黒雲が
いくつもの野ばらの藪(やぶ)を渉(わた)って行く

ひばりと川と
台地の上には
いっぱい種苗を積んだ汽車の音

仕事着はやぶけ
いろいろな構図は消えたけれども
今年は おれは
ちょうど去年の二倍はたしかにはたらける



昨日は「志の式」、今日は「第7回入学式」、今年もまた「志 風の学期」が動きだした。
爽春の風は気まぐれだ。疾風と春風駘蕩をくり返し、木々から花を強引にさらっていく。花を惜しむ心は皆一様である。しかし、いずれ山々の色がうすら白く新芽を生み出すころ、やはり皆一様に新しい希望を見いだすことになる。
「どんな風になりたいのか心に描き出そう」、「どんな場所でどんな風に吹かれたいのか、近い未来の絵を描こう」。そう話した自分はどんな風になれるのかと、雲の上から違う自分が問うている。

古い蔵書の中から、宮沢賢治という先人が、読んでごらんとページを開けてくれた。「今年は去年の二倍は働ける」と言えば笑われるだろうか。

  2013.4.9
                     校長 村上 幸一


青雲の志 −挑戦−

画像1
 新年度が始まりました。新しい仲間を迎えて、下京中学校は今年度も「志 きらめく」学校として保護者・地域の皆様はじめ、様々な方々からのご支援、お知恵をいただきながら頑張る所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ※以下は新年度、冒頭の職員会議で教職員に伝えた私の所信です。


経営のはじめに(本校教職員への言葉)

               − 志 きらめく −
                
                 唯一無二
                 心を一つに
                 未来を創る

 開校7年目を迎えようとしている本校は,2つの大きな周期を終えて新たな一歩を踏み出しました。「5校統合」という言葉も過去のものになりつつあります。下京中学校としてのアイディンティティが形を見せ始めています。その中心にあるものは「挑戦」という言葉です。それは教育の可能性への挑戦であり時代への挑戦でもあります。さらに言い換えれば私達自身への「可能性の開花」に対する挑戦でもあります。私達はそのアイディンティティの遺伝子が広がりつつあることも実感しています。この学舎で果敢に挑戦してきた仲間が一つの役割と目的を果たし,他の地で新たな知恵と力に出会い奮闘しています。意識と無意識の両世界の中で使命を担い,私達は繋がっていきます。その繋がりは丁寧に大胆に育てていかなくてはなりません。

 本校では,今年度も小さなチームがいくつも生まれつつあり,新しいリーダーもその存在を見せ始めています。しかし最も大切なことは一人一人が自分自身をマネジメントする力です。自分にとって最大のリーダーは自分であります。そのことを抜きにしてチーム力は語れません。
私達には新たな目標があります。具体として,全教科・領域を上げて取り組む,生き方を探究し続ける「キャリア教育」の構築であり,それに繋がる学力の向上です。しかし人は,積み重ねた知識と技術は無礼と不義により一瞬にして瓦解するのも良く理解しています。生徒の今と将来に渡り,身につけさせたい力とは,礼節はもとより,他を認め,よく理解しようとする“思いを遣る”力を併せ持った,他との関係性におけるより良い生き方を探究する「真の生きる力」であります。

 私達は,“学ばない”と“学べない”の違いに敏感である教師であり続けなければなりません。「3月11日は被災した者とそうでない者との格差を強く感じる日です」と言った東北の若者の言葉は私達に大切な示唆を与えてくれています。それは,学校においては,子ども達にとって「“勉強が出来ない”ことが,どんなにつらいことか」と。「“勉強が出来ること”がどんなに幸せで楽しいことか」と。私達はそのことをいつも忘れてはなりません。私達は,未だ教育改革のまっただ中にあり,教育の構造と質において,その改革のために全力で取り組まなければなりません。そして,足下では学力(求められる力)の向上とあわせて,生徒指導や総合育成支援(特別支援)教育のあり方,小中一貫教育,家庭との連携の構築など,本校の課題は多様です。それらに果敢に取り組んでいく熱意とチームワークが大切です。

 我々の仕事には俯瞰的視点を持つことも求められています。この世界を一つの流れの中に取り込んでしまおうとするグローバリゼーションの波の中,東アジアをはじめとした極度の緊張や,中東,アフリカ等,この地球上で,さまざまな地域・国家紛争が繰り広げられています。BRICSの発展はじめ,後発国といわれてきた国々が,かつての日本がそうであったように,目を見張る経済成長を遂げる中,極端な格差をはじめとした人権問題や一国の域を超えた環境問題など,発展の「光と陰」が同時に展開され増殖されているのも事実です。「この国の未来」は「この地球の未来」と同意語です。平和と持続する豊かさを伴う未来を創るために必要な力の育成が私達の使命です.

 新しい仲間とともに,それぞれが教育の意味を深く考え,チームの一員として“何をすべきなのか”,“何ができるのか”を,自身に問い続け,それぞれが研鑽を深め,学び合い,助け合い,励まし合いながら日々歩んでいくことが大切です。良き未来の創造のために,さらに一層“志きらめく”学校にしていきましょう。
                      
 
                            平成25年4月3日 
                            校長  村上 幸一

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