京都市立学校・幼稚園
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『“てっぺん”獲りにいこうや!〜Catch the top !〜

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『伝統がつくられる』
 「来年は修学旅行で沖縄へ行くのやし、文化祭の合同劇は沖縄戦を描いた“平和劇”をしたらどうや?!」昨年度の文化祭が終わった後、当時2年の学年主任にそう持ちかけました。「そうですね。私もそれができたらなって思っていたのですが…、」おそらくそれれまで在籍した学校で既に経験したことがあったのでしょう。その眼差しから“ヤル気”を感じました。新しいことに踏み出す思い切りが足りなかったのだと思います。校長の言葉が背中を押した格好になりました。
 昨年度の2本の合同劇を鑑賞し終わっての率直な感想です。『もったいない!』そう思いました。演目は、2年が『ライオンキング』、3年が『パイレーツ・オブ・カリビアン』でした。それら娯楽作品が悪いとは思っていません。でも、これだけ一生懸命に取り組むことのできる子たちなら、劇づくりを通じて、感性豊かな中学生の時期に取り組めば抜群の効果がある特別な学びをさせたいと考えたのです。学年主任は決心したようでした。2年の後半から「修学旅行の事前学習」→「現地での体験学習」→「文化祭での劇づくりによる学び直し」という長期プランができ上がりました。
 一昨日の劇を観終えて思います。『教室での学習で、ここまでの学びがさせられるだろうか』と。アクティヴ・ラーニングが言われて久しいですが、その手法の一つとしてロール・プレイがあります。教室で行うロール・プレイを子どもたちは照れくさがって嫌がる傾向にあります。でも、劇で堂々と演じるとなると話は別です。登場人物に感情移入できるのは当前で、そこから学び考えることは途方もなく可能性が広がります。また、劇には大切な考え方や歴史などを台詞として覚え込むという特徴があります。私たちは普段、会話や思考をするとき、過去に覚えた言葉や体験したことを駆使して行います。将来、子どもたちが何かの場面に行き当たったとき、それがたとえ劇の台詞であったとしても、きっと思考や判断、会話の手助けになると信じています。
 今年の3年生は、二条中学校の文化祭の歴史に革命を起こしました。きっと一昨日の平和劇を見た下級生たちは、これまでと違う何かを感じたことでしょう。それは熱い魂かもしれませんし挑戦したいと思うモデルかもしれません。こうした思いが新たな歴史を作っていくのです。そして、そうして積み重ねられた歴史がいつしか“伝統”になっていきます。いきなり「平和劇」が出来ることはありません。これまでの先輩が積み重ねてきてくれた素晴らしい合同劇の歴史があったればこそなのです。
 2日目は音楽発表会です。去年の3年生が凄すぎて、これを越えることは難しいと思ってきました。しかし、どうでしょう。3年生の姿はとても立派でした。先輩を越えたいという意気込みが彼らを成長させ、学校の取組を成長させていきました。今、二条中学校は最高のサイクルで回っています。来年度が今からすでに楽しみです。

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「自覚」
 文化祭に向けての取組が続いています。どの学級学年も、合唱や合奏に劇、展示作品づくりなどに本当に一生懸命取り組んでします。
 この時期、特に午後は学校全体がせわしなく動いています。若い頃、この時期の取組が楽しい反面、毎日の活動にとても疲れ、クタクタになって帰ったことを思い出します。特に、学級や学年に生徒指導上厳しい生徒が居る場合には、この時期になると問題行動が増えたりもしました。何とか、その子たちを巻き込んで取組を成功させようと四苦八苦したものです。疲れに疲れたときには、『こんな行事なんてなくて、普段通り授業をしていた方が楽でいいのに…』と思ったこともありました。今思うと、何とも恥ずかしく情けない思い出です。
 学校からこういった行事を取り除いたら、学校教育はどれだけ味気ないものになることでしょうか。行事や部活動を通してこそ培われるものがあります。それらを通して生徒は心を豊かにし、体力をつけ、仲間や先生方との付き合い方(人間関係づくり)を学びます。今、そしてこれからの若者に望まれる力は将にこうした行事や部活動の中でこそ身に着けられると考えます。また、本番での大成功が子どもに達成感・成就感と集団への帰属感を与えます。そして、その中で自分は活かされているという「自己有用感」を生むのです。中学生にとってはこの気持ちが特に大事です。
 先週の金曜日、3年生が学年合唱の練習をしている場面を観に行きました。
 整然と整列した堂々たる態度、凛とした表情、学年集団全体が発する“ヤル気”、1・2年の練習では見られなかった空気が講堂に満ちていることを感じました。練習はまだ始まったばかりです。合唱そのものには伸びしろを感じましたが、『いいものを作るんだ!』という意思の“みなぎり”がひしひしと感じられ心を熱くさせられました。
「みんなの歌う姿を観て『3年生になったなあ』と感じました。去年の3年生をカッコいいと思ってきました。君たちの中にも同じように思っている人は少なくないと思います。でも、今のみんなの姿もカッコいいです。皆さんの中に、全力を発揮したい、自分たちの力で文化祭を成功させたいという“自覚”を感じます。その“自覚”が皆さんを大きく立派に見せています。そして、君たちが、今そんな状態にいることがとても嬉しいんです。」
 そんな話をしました。なぜか途中から声がつまり、不覚にも涙を零してしまいした。
“自覚”が人を、そして集団を成長させます。3年生に限ったことではありません。学級活動や部活動の場面もしかりです。1・2年生も、自分の置かれている立場をしっかりと “自覚”し、その立場ですべきことに全力を尽くしましょう。そうすることが個人や集団の大いなる成長に繋がるはずです。大いに期待しています。

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「壁になる」
 8月30日には3年で、そして昨日は1年で「学年道徳」をさせてもらいました。この年齢、この立場になっても授業の前には緊張します。前の晩は、色々と考えて毎回あまり眠れません。しかし、授業後は『やって良かった』と思うことができます。やはり、私は教師なのですね。授業という場面と時間を子どもたちと共有することがとても楽しいし、子どもの発言に感心させられエネルギーをもらうこともしばしばあります。また、授業の感想を読むと、そこに書かれた内容に励まされ、大きな喜びも感じます。
 1学期には休日参観で3年、2学期には1年、そして3学期には2年で、年に3回「学年道徳」をさせてもらっています。毎日授業をする先生方と比べると準備に時間をかけられることもあって、その1回に賭ける思いは当然強くもなります。
 授業実践を続けている校長は、京都市内でも多くはないと思います。決して自慢するつもりはありません。また、教職員に対しておもねるつもりもないのですが、こうしてさせて頂いていることに心から感謝しています。
 私が授業実践を続ける理由ですが、もちろん授業(づくり)が好き、子どもと共有する時間が大好きという部分はあります。しかし、別の意味もあるのです。『偉そうに』と思われると心外なのですが敢えて書くことにします。
 2つあります。1つは参考にしてほしいと思うことです。私の後に続く後輩教師たちに、私の実践を見せることで学び、自らの実践を振り返り、新しいことに気づき挑戦してもらいたいと思っています。もう1つは、この授業を学級づくりや学年づくりに上手く使ってほしいのです。
 先日、ハイチ出身のアメリカ人の父と日本人の母をもつ大阪なおみ選手が、全米オープンテニスで優勝しました。大阪選手の国籍は日本。日本人としての全米オープンチャンピオンは歴史上初めての快挙で、メディアにも多く取り上げられました。優勝賞金が4億2000万円というのも驚きです。彼女の優勝スピーチも多く紹介されましたが、松岡修造氏とのやりとりが一番印象に残ったのでここで紹介します。
松岡:「我慢強くなったね。我慢しているとき、どんなことを思っていたの?」
大阪:「"You can do it !"とずっと、心の中で自分に言い聞かせていました。」
 突然耳にした"You can do it !"に心が躍りました。
 私は信じています。後輩はいずれ先輩を乗り越えていくものです。そして、生徒はいつか教師を乗り越えていかなければなりません。もちろん、簡単に乗り越えられないような「高い壁」になる覚悟は、私にも二条中学校の教職員にもあります。目の前の高い壁を乗り越えようとする営みこそが人間を育てます。
 "You can do it !" 君たちなら、いずれきっとそれができるはずです。

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「愛校心を感じるとき」
 「今までに経験したことのないような…」「25年に一度あるかないかの…」非常に強い台風21号が接近してきた際、アナウンサーがこんな言葉を発しました。
 教育委員会から早々と翌日を臨時休校にする旨の連絡が入りました。当日の午後は、外へ出ることは到底考えられないほどの暴風雨になりました。校舎の玄関の窓越しに何度も外を窺いましたが、アナウンサーのコメントを思い出し『確かに!』と感じたところです。
 嵐が去った後、校門の外を見てビックリしました。ハナミズキが2本根っこから倒れています。桜の太い枝が折れています。二条城内の樹木が真二つに折れたり根からえぐれたりもしていました。後にTVで知ったのですが、高潮で関西空港の滑走路が完全に海水に浸かっています。流された船舶がぶつかり連絡橋を壊しています。トラックや自動車が横転するシーンや風で吹き飛ばされるシーンも映し出されました。
 暴風雨に耐え、踏ん張るカナリーヤシの姿をHPにアップしました。
「カナリーヤシが心配です。大丈夫なことを祈ってます。」最初はPTAの役員さんから連絡が入りました。これに対しては「彼は頑張りました」と返しました。
翌日になって出勤してきた先生が私に向かって「カナリーが無事でよかったですね。」と声を掛けてくれました。また、登校してきた女子生徒が校門に入るなり「カナリーヤシ、大丈夫やった。よかったーっ!」とつぶやきました。更に、退職された校長先生からも電話を頂きました。「玄関のカナリーヤシ、倒れんかったか?」。
 カナリーヤシは、本校のシンボル・ツリーです。しかし、これ程まで深く生徒や教職員、保護者の方の心に入り込んでいるとは気づいていませんでした。
 嵐の後、通学路をふさぐ倒木を何とかしようと何人かの教職員で枝を切りに出ました。しかし、一向に作業が捗りません。結局「明日、みんなでやろう!」と諦めました。そして今朝です。いつもより早めに出勤した私は、目に飛び込んできた光景に驚きました。たくさんの生徒と教職員とが、倒れた木々の処理をしてくれていたのです。朝練習に来た生徒とその顧問が、練習を取り止めて作業にあたってくれたのでした。教職員はどんどん増えていきます。“楽しむ”と言っては不謹慎ですが、生徒たちも決して嫌々やってはいません。TVでよく、被災地で働くボランティアの姿が映し出されますが、まさにそんな光景でした。
 カナリーヤシを心配する人たちの存在、自分たちの学校を自分たちの力で復興させようと作業する生徒と教職員の姿、将に公立学校のあるべき姿だと感心し、写真に収めながら感動したりもしました。
 台風被害で失ったものはありますが、それ以上の得るものがありました。自分たちの学校を大切に思う心は、非常時にこそ強く感じることができるのかもしれません。

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「遅咲きの花」
 2学期が始まって1週間が経ちました。立秋がすんで暦の上では秋となるわけですがまだ8月で猛暑日が続きます。
 夏の甲子園が終わって、今は専らインドネシアで行われているアジア大会に話題が集中しています。水泳にはじまり、日本選手の活躍が毎日報道されています。そんな中、最も強く私の印象に残っているのが女子マラソンでの野上恵子選手の銀メダル獲得です。
 野上選手は、中学時代、文化系の部に入るつもりでいたところ、姉の影響で仕方なく陸上部に入ったそうです。中学時代の成績は振るわず、高校は駅伝で有名な兵庫県の須磨学園に進学します。しかし、ここでも怪我が続いて3年間補欠。実業団に入ってからも鳴かず飛ばずの状態だったとか。転機は29歳になって取り組んだマラソン。初めての名古屋ウィメンズマラソンには一般選手として参加しました。30歳を過ぎてからマラソンで上位に入賞できるようになり、今年度の名古屋ウィメンズで日本人3位になってアジア大会代表に選ばれました。選考結果を聞いた時、「私でいいのでしょうか」と語ったとか。そんな経歴を持つ野上選手です。
 25キロ付近でバーレーンのチェリモ選手が飛び出し、それには着いていけず、彼女を含めた3人の選手が銀・銅メダル争いをする展開になりました。ここからが観ていて手に汗を握ったところです。30キロの給水時、前日の男子マラソンで優勝した井上選手から「あとは気持ちです!」という言葉と共に給水ボトルを受け取ります。
「コツコツやっていればいつかは成長できる。粘り強さは負けない。諦めが悪いのが私の特徴」と本人が言うように、しんどいでしょうに給水のたびにスパートをかけます。1回目のスパートに韓国の選手がついていけず、これでメダルが確定しました。そして、解説の高橋尚子さんが「私なら次の上り坂で…」と言っていた通り、帽子とサングラスをとってそこで2度目のスパート。凛々しい表情がTV画面に眩しく映し出されました。この時は、画面を見ながら『がんばれ!』を連発しました。北朝鮮の選手を見る見る引き離し、最後は余裕の銀メダル獲得でした。
 女性の体力のピークは一般的に男子より早く、23〜25歳頃と言われています。これも解説の高橋さんの話ですが、彼女の場合は中学高校時代、怪我の影響であまり身体を酷使してこなかったことが遅咲きできた理由ではないかということでした。
 3年生は、最後の試合を終えて引退した人が多いと思います。色々な思いをもっていることでしょう。しかし、競技人生はまだまだ始まったばかりです。
野上さんのように、コツコツとやっていればいつかは成長できるはずです。かく言う私も、最も活躍できたのは大学生以降でした。
 これまでの経験は決して無駄ではありません。しっかりと今後の人生に活かしてほしいと願っています。

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「夏休みを振り返って」
 非常に強い台風20号が近畿地方に接近しています。今夜から明日の明け方にかけては暴風と共に大雨の予報が出されており、『何も夏休みが終わるこの時期に来なくても…』と思うことしきりです。また、是非とも予定通り始業式を迎えたいと願っているところです。
 さて、明日から2学期が始まります。生徒の皆さんは、既に心の準備を整えられているでしょうか。また、宿題はきちんとできていますか。教職員の方も、今週は研修会や学年会、学活や授業の準備と、授業再開に向けて物心両面の準備を整えてきました。私はというと、既に長い休みに少々退屈気味で、『早く始まってほしい』としばしば思っている状態です。
 ところで、甲子園で一大センセーションを起こした秋田県の金足農業高校にサヨナラ2ランスクイズで負けた近江高校の2年生投手は、以前に居た中学校の卒業生です。卒業式で、「甲子園に出場したら、きっと観に行くからな!」と言って卒業証書を手渡しました。こんなに早くそれが実現したにも拘らず、応援に行けなかったので初勝利した日の晩に電話を掛けました。「校長先生に電話をもらえるとは思っていませんでした。次も頑張ります。」彼の言葉に大人になった逞しさを感じました。負けてグランドで呆然としている様子をTVで観たときには、我がことのように悔しく悲しかったです。でも彼はきっと立ち直り、来年は今年以上の大活躍をしてくれると信じています。
 では、今年の夏休みで特に思い出に残っているシーンを振り返ります。
 女子バスケットボール部の2人の3年生は、フル出場でフラフラになりながらも最後まで戦い抜きました。吹奏楽部が素晴らしい演奏をしましたが、またも願う色の賞には届かず、皆で悔しい思いをしました。4本取りで負けた瞬間、野球部の何人かの3年生が号泣しました。あの涙の意味を今も考えています。バレー部の3年生は、後輩をよく引っ張って素晴らしい試合をしました。水泳部の3年生は、静かな闘志で最後までよく闘いました。陸上部男子4×100mの決勝で5位入賞した瞬間は歓喜に沸きました。テニス部は最後の最後に、後衛と前衛が上手く連携したプレーができるようになりました。サッカー部は、2人の3年生がよく後輩を引っ張り、最後まで立派に戦い抜きました。男子バスケットボール部が宿敵に勝って決勝進出を決めた瞬間には、保護者の皆さんと一緒にガッツポーズをしながら跳びあがって喜び合いました。
 どれも皆、ほんの瞬間の一コマです。この一コマの背景に、生徒諸君が、そして教職員や保護者の方が、どれほどの努力とかけてきた時間があったのか、それを思うと胸が熱くなります。目標が達成できた人の方が圧倒的に少ないと思います。たとえ結果に結びつかなかったとしても、これまでの活動は決して無駄でなかったと確信します。君たちが重ねてきた練習は、今後の人生を生きていく上での糧になるのです。
 明日から始まる2学期も、楽しく努力を重ねて共に大きく成長していきましょう。

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「家族との時間」
 久しぶりに校長室の机に座ってPCに向き合っています。実は、閉鎖期間も何人かで庭木の水やり当番を決めています。特に、本校名物のカナリーヤシには大量の水が必要です。もう50歳以上になっていますので、大きな茶色の葉が目立ち始めてきました。この樹を枯らしては大変です。この思いは教職員に共通で、特に暑い夏の間は当番制で水やりに来ることに決めているのです。
 今朝は激しい雨が降ったのでその必要はなかったのですが、予定していたので来ることにしました。学校はひっそりとしています。でも職員室で仕事をしている先生が一人居てビックリしました(笑)。
 今週に入って学校は閉鎖期間になっています。この間くらい、教職員には家庭でユックリとしてもらいたいです。私も色々と楽しませてもらっています。好きなゴルフに行きもしましたが、大抵は家の仕事です。お精霊(おしょらい)さんを迎えに行き、墓を掃除し仏壇の掃除とお盆の飾りつけをします。毎年のことですが、両親がやっていたことをいつの間にか私と妻がするようになりました。
 今朝は、雨が止んだ後で下の息子と二人で大文字山に登ってきました。大雨が降ったせいで、例年よりは登山者が圧倒的に少なかったです。それでも本校の生徒や保護者の方にも出会いました。大男が二人、猛烈なスピードで登るのを見て驚かれたのではないかと思います(笑)。
 既に就職活動を終えている二男は4月から家を出ることになります。そんなことが心のどこかにあるからか、ゴルフや買い物に一緒に行ったりと、この数日はこの息子と過ごすことが多かったです。妻は私以上に意識しています。昨日は、久しぶりに上の息子と愛犬“檸檬”も一緒に家族4人と一匹で小旅行を楽しみました。「二十歳を超えた息子が両親と一緒にこうした時間を過ごすのって珍しいんやで!」ボソッと長男が言ったその一言が強く印象に残っています。確かにそうかもしれません。自分がその年齢の頃、休日には殆ど家に居なかったことも思い出しました。
 「近い将来、お前ら(息子たち)の嫁さんや子どもたちと一緒にこんな時間を持てることが楽しみやわ!」わざと少しずれた言葉を返しました。
 学校閉鎖期間はもうしばらく続きます。教職員だけでなく、生徒の皆さんにも家族と過ごす時間を大切にしてほしいと願っています。生きていく上で大事にしなければならない基本的な価値観を身につける場面は、やはり家庭だと思うからです。
 「お父さんとお母さんに大事にしてもらったし、きっと僕らも家族を大事にすると思うわ!」二男がボソッと口にした言葉を嬉しく重く受け止めました。
 ただ、妻も私もその言葉にはコメントをせず、受け流した形になってしまいました。正直に言うと、二人ともどう言えばよいのか分からなかったのかもしれません。

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『力を知り、それを引き出す』
 夏休みが半分以上過ぎました。『夏休みになったらあれもやろう。これもしたい!』と思っていたことがあるのに、まだ何一つできていません。
 7月中は部活動の試合の応援に明け暮れ、8月に入ってからは研修会や研究集会へ参加するなど、ここまではあっという間に過ぎていきました。
 私が会長を務める研究会があります。京都市中学校教育研究会人権教育部会(通称:「中人研」)です。昨日、その研究集会がありました。午前の全体会では「方向づけ」(基調提案)と記念講演、午後からは3つの分科会に分かれて京都市内の6中学校が自校の人権教育に関する取組を報告します。準備は6月中旬から始めます。6校の提案校を決定し、その内容を訊いてそれらを3つの分科会に振り分けます。司会者や助言者など、スタッフを整える作業にも労力が要りますし気も遣います。大変なのは「方向づけ」の作成です。作成実行員会を立ち上げ、先ずは内容を決めます。骨子を作成し報告者を決定して、ここからは報告者が中心となって骨子に肉付けをしていきます。文章になったものを実行委員会で推敲していくのです。形に仕上がったのは8月に入っての第4回実行委員会でした。報告者はそこから仕上げにかかり、併せて実行委員会のメンバーがプレゼンテーションを作ります。ようやく完成したのは本番の3日ほど前です。この間、記念講演をお願いした方とその内容を詰めたり、レジュメやプレゼンデータのやり取りを行うなど、結構忙しかったです。でも、何事もそうですが、取組が大変なことほど終了(成功)した時の充実感は大きいものです。昨晩から今日にかけては満足感に浸っています。
 今年度の全体会では沖縄への修学旅行にスポットを当て、沖縄の歴史や文化と差別の問題、そして戦争と平和教育について考えてもらう時間にしました。
 記念講演者の奥田修一郎先生とは長い付き合いになります。初めて出会った時から“凄い人。凄い取組をされる人やなあ”と感じていました。昨日の報告を聞いた人は『いち中学校の先生がここまでやるのか!』と10数年まえに私が感じたのと同じ気持ちになったのではないかと、彼を紹介した者として満足しているところです。
 ところで、私が奥田先生を紹介した際に述べた言葉に共感した人が何人かおられたので、以下にその言葉を書き留めておきます。
「授業の上手い先生は、何をしても上手です。奥田先生もそんな方で、授業、学級経営、合唱コンクールや劇づくりなどの行事への取組、人権学習、それに部活動指導、全てにおいて卓越した能力を持っておられます。これは、当たり前なのかもしれません。素晴らしい先生は、生徒のことをよく知っています。どんなことに興味をもっているのか、今何をしたいと感じ、どの程度のことができるのか、などです。そして、生徒に安心感を与え、やる気にさせ、生徒の力を引き出すのが上手だから、何事も成功させていくのです。」
 どうでしょう、目指す教師像として参考になったでしょうか。

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「満足と充実の笑顔」
 前の学校が終わり、舞台が暗転します。本校の部員がそれぞれの楽器をもって入場してきました。緊張しつつも“やる気”を感じさせる表情と動きです。顧問の先生が中央で指示を出しながら見守ります。『ええぞ!表情が柔らかい。』顧問の先生(指揮者)の緊張感が部員(演奏者)に伝わってしまうことが多いので演奏前のリラックスは大事です。
 楽器を並べ終え舞台に照明が入りました。指揮台の横で先生が客席に頭を下げます。拍手が起こります。指揮台に上がると拍手が鳴りやみ、静寂の中でホールが一瞬にして独特の緊張感に包まれます。先生がアイコンタクトで子どもたちに語りかけます。『いつも通りにね。頑張ろうね。リラックスだよ。さあ、行くよ!』子どもたちも無言で答えます。『先生、分かってるって。いつでもどうぞ。』先生と子どもたちとの頷き合いからそんな会話が聞こえてくるようでした。先生(指揮者)と生徒(演奏者)との信頼関係が十分に見られ、この場面だけで満足な気分になりました。
 課題曲が奏でられます。これまで何度も聴いてきた曲です。盛り上がる場面も,次にどの楽器が見せ場をつくるかも知っています。何とも言えない緊張が続きます。どうやら大きな失敗なく終了しました。
 続いて自由曲です。クラリネットのソロから始まります。クラリネットに鉄琴が寄り添います。この場面でソロを担当した人たちはもの凄いプレッシャーと闘ったことでしょう。見事に聴かせてくれました。次々と楽器が重なり合って入ってきます。美しい大きなハーモニーが広がっていきました。この曲にもそれぞれの楽器の見せ場がありました。各パートが確実に責任を果たしていきます。それに伴って演奏者たちが乗ってきたように感じました。身体や頭を揺らしてリズムをとります。そんな生徒が増えていきます。見ているこちらまで身体でリズムをとりました。気づけば、多くの観客が惹きつけられました。上出来です。細かなことを言えば何なりあったでしょうが、全体としてよく響いた美しく素晴らしい演奏でした。
 子どもたちがホールから出てきました。みな晴れ晴れとした表情です。これまでのこの場面では泣いている生徒が少なくなかったです。極度の緊張感からの解放と『やりきった』安堵感・満足感からの涙です。緊張感を大いに楽しみ、それを充実感へと変えられたとき、もう涙は出ないのだということを知りました。素晴らしい笑顔が弾けていました。“いいもの”を見させてもらったと思います。
 遅れて先生も出てきました。満足そうです。子どもたちの笑顔の中に溶け合っています。この瞬間のために何時間の練習を重ねてきたことか。「お疲れさま。いい演奏やった。結果発表が楽しみや!」そう言って握手を交わしました。その微妙に力の抜けた手に、この瞬間を迎えることができた安堵感と充実感とを感じました。

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「引退後に残る感情」
 3年生が続々と運動部を引退していきます。夏の大会が、全国へと続く中学生最大の大会であるのと同様に、「負けたら即引退!」となるだけにこの大会は重いです。
 今もバレー部の3年生が校長室にやってきました。「応援ありがとうございました!」
『やるだけのことはやった』という気持ちが感じられる爽やかな表情でした。「お疲れさん!これからは後輩を応援してやって。」そう伝えました。運動着を着ています。おそらく今日もこの後、新チームの練習に入るのでしょう。
 野球部の準々決勝の最大の山場のシーンが何度も思い出されます。5回の裏1アウト2・3塁。バッターはキャプテン。1−3と負けていただけに、何としても1点は欲しいところです。『スクイズ? 犠牲フライでもOKなのでそれはないか…』『高めの速い球が多いピッチャーなので、犠牲フライ狙いの方がいいかも…』スタンドでもあれこれと考えました。後の監督談です。「メッチャ、悩みました。たたき(高いバウンドの内野ゴロを打つ)も考えました。でも、結局はキャプテンに任せることにしました。細かな指示をしてやったほうがよかったのかもしれません。私の作戦ミスです。本当にかわいそうなことをしました。」おそらく私が考える何倍も考え、振り返っていたことでしょう。凡退したキャプテンは、その責任の重さに負けた瞬間に泣き出していました。次のバッターでセカンドゴロをヒットにしようと1塁ベースにヘッドスライディングした選手も号泣しました。この場面の重要性を理解していたからこそです。
 一方、準決勝で宿敵に勝利した男子バスケットボール部。昨年度の秋と今春の2回、準決勝で闘って敗れています。春の大会では、終盤に10点ほどのリードを追いつかれ、延長戦を戦っての敗戦です。『何としても今度こそは勝つ!』試合開始早々からその意気込みで闘いました。序盤は思いが強すぎて動きがぎこちなく、空回りの状態だったようです。私が会場に到着したのはちょうど第4ピリオドが始まったところで、2ゴール程のリードでした。この程度の点差はリードのうちに入りません。これまでの彼らならプレッシャーに負けてか、シュートを外したりパスを上手くつなげなかったりしていたところです。ところが、今回は違いました。強い気持ちがシュートを打つ指先までに感じられました。ゴール下に切れ込む勢いとスピードに“強気”を感じました。点差を広げ、勝利を確信するシュートが決まったときにはアリーナと応援席が一体になって拳を突き上げました。試合後、何人かの保護者の方と握手を交わしました。『やっと勝ってくれました』涙ぐんでそう言われた方も居られました。
 男子バスケットボール部の暑い夏はまだ続きます。一方、ほとんどの3年生は引退を余儀なくされました。それらの3年生にひとつ尋ねます。「君たちにとって部活動には意味がありましたか。」爽やかに頷く彼らの顔が想像できます。

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学校行事
10/4 秋テスト 〜5(金)
京都市立二条中学校
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