京都市立学校・幼稚園
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『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top〜

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「空気は人がつくる」
 実に厳粛で、まるで入学式か卒業式のようでした。昨日の「認証式」です。
 この雰囲気を作るきっかけになったのは、前生徒会長の退任の挨拶だったと思っています。厳選された美しい言葉を聴きやすい口調で伝えてくれた挨拶には、体育館に居た生徒と教職員の全員が聴き入りました。時折発せられる若者感覚と、今この人にしか語ることのできない率直な内容だったからです。
 「この二条中学校をマンガよりも面白く、コンビニよりも身近な存在にしたい。」「皆さん人は今、夢中になれるものはありますか。私の中学校時代の思い出といえば、生徒会活動ばかりですが、…(略)…何か一つ自分の好きなものを見つけてください。そして、それを中学校生活の中で十分に楽しみ、全力を尽くしてください。」
 総勢9人が退任の挨拶をしましたが、決して長くは感じませんでした。そのどれもがその人らしく、生徒会活動への熱い思いが溢れる内容でした。そして、すべての挨拶に共通していたことが、周りの人に対する感謝の気持ちが込められていたことです。「先生や本部の仲間、委員会の人たちに支えてもらってやってこれました。心から感謝しています。」異口同音にそんなことを言っていました。素直な感謝の言葉は、強い力をもっているということを確認もできました。
 会が進行していきます。選出された新役員の呼名、認証書の授与、代表者の挨拶などと続きますが、雰囲気は変化しません。会場は水を打ったように静かで緊張感に満ちていました。全員がまっすぐに舞台を見上げ、頭を動かす人は一人も居ません。フロアで見守る人たちもこの雰囲気を作るのに貢献しているのです。教師をやってきて30年以上が経ちますが、ここまでの雰囲気の「認証式」は初めてです。壇上の人のつくる緊張感がフロアに伝わってそれを更に強くし、出来上がった特別の空気感でした。生徒たちだけでなく教職員も、そうそうできないよい経験が出来ました。
 今正直に打ち明けますが、式の最後に話をすることになっていた私はこの雰囲気に呑まれそうになっていました。普段通りでは済まされないような気がしたからです。
 雰囲気は、その場にいる人間全員が作ります。ミュージャンや役者、そして芸人、いくらそのパフォーマンスがよくても、観客が“しんどい”(のりが悪い)場合は良い舞台になりません。同じことが授業でも言えます。よい学びは、一生懸命に伝えようとする授業者と、一生懸命に学ぼうとする学習者との間にのみ生まれるのです。どちらか一方でもいい加減な気持ちで居てはダメなのです。
 新たに生徒会の役員になった皆さん、新生徒会長の挨拶の中にあったように、素晴らしい先輩から受け継いだよき伝統を大切にしながら、思い切った行動を起こして、二条中学校に是非新しい“熱い風”を吹かせてください。

『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top〜

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『根を張り広げろ』
 台風21号による暴風雨の影響で校門横の森の大木が1本倒れました。『案外、根が広がってないんやなあ』倒れた木の元を観て率直にそう思い、処理をしに来てくれた植木屋さんにそのことを尋ねました。
「土がすこぶる良いのだと思います。だから、木が根を広げなくても十分な栄養と水分を吸収できるんです。」納得しましたが、なんだかとても複雑な気持ちになりました。
 教育や子育てと同じです。良すぎる環境で育つと“ここぞというときに弱い子”が育ってしまいます。そういえば、富士山麓にある青木ケ原という森の木々は、溶岩と火山灰の上に積もった10センチもない土に生えている。でも、縦横にしっかりと根を張っていて少々の風雨でもビクともしないと聞いたことがあります。
 一昨日、生徒会本部役員の立会演説会と投開票が行われ、新しい生徒会役員が決定しました。立会演説会でのスピーチは、内容・態度とも誰ものがとても立派で、生徒たちは誰に入れるか迷ったに違いありません。特に、1年生の2つのポストには、どちらも3人が立ちました。これまでもあらゆる場面で活躍してきた人たちです。スピーチも十分聴かせました。「長い時間でお疲れになっているでしょうが、もうしばらく聞いて下さい。」そんな言葉から始める1年生がいました。アドリブでしょうか。1時間を越えて演説を聴いている全校生徒の様子を見て、とっさに判断しそう発言したのだとしたらこの機転には驚きます。
 1年副会長のポストに立った3人も合わせると、4人が落選することになりました。理解したうえで立候補しているとはいえとても残念です。2年生の中にも落選した人がいて、その人たちも実にもったいない思いです。今後は是非学級や学年のリーダーとしてその力を発揮してほしいと願っています。
 昨日今日と、それとなくその子たちの様子を見ています。授業中も登校の様子も普段と変わりなく過ごしているように見えます。でも、きっと胸中は穏やかでないに違いありません。『よくぞ頑張っているな』とじっと見守っています。おそらく、ほかの先生も周りの生徒たちも同様にしているはずです。
 人生は、上手くいくことばかりではありません。上手くいかないときを成長にとってのプラスの時期だと捉えてみてはどうでしょう。「根性」という言葉があります。生まれつきの性格のことですが、しんどい時に“グっ”と踏ん張り、それを乗り越える強い気持ちを表すように使われています。ここに「根」という文字が使われているのも興味深いですね。何か重大なことが起こった時、簡単に倒れてしまわないように、普段から太く強い「根」を張り広げていってください。
 校門横の倒れた大木の切り株からは、きっとすぐに次の芽が出てくると思います。

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『集団の成長過程』
 昨朝は、校門で今年度初めて自分の息が白くなるのを見ました。一気に冷え込み、早朝は寒いくらいです。一方、生徒の中には半袖のカッターシャツで登校する者も居り、『元気やなあ〜!』と声をかけつつ『風邪ひくなよ』と心の中で念じているところです。
 さて、昨朝から生徒会本部役員に立候補した人たちが校門に立って自己PRを始めています。まだ少々照れくさそうではありますが、「○○です。宜しくお願いします!」と声を張っています。折しも、世の中では衆議院の解散による総選挙の真っ只中です。生徒は今回の選挙をどう見ているのでしょうか。家庭や授業の中でそんなことにも触れてみてほしいと思います。選挙権が18歳まで下がって、もう3年もすれば選挙権(参政権)が得られるのですから国の政治にもそろそろ興味を持ってほしいものです。
 本校の候補者たちは、様々な場面で活躍する先輩の姿を見て『自分もあんな風にやってみたい!』と感じて立候補したのでしょう。1年生のポストが2つありますが、そのどちらにも3人の候補者が立ち激戦になっています。選挙にも3年生の強い影響力を感じます。3年生を中心とした現執行部の人たちは実にしっかりしています。行事のたびに司会や挨拶、発表をする態度や姿、その内容に驚いたことも一度や二度ではありません。また、先日の文化祭でのオープニングに観られるとおり、健全な楽しみ方と楽しませ方も知っています。彼らの楽しそうに活動する姿と、しっかりと生徒を引っ張っていく牽引力と行動力を見てきたからこそ次の人材が育ってきたのです。
 昨日、体育館では幼稚園児との交流が行われました。家庭科の授業の1つで、全市の各中学校で実施されるようになってもう7〜8年になると思います。
 普段は「可愛いな」と感じる中学生たちが随分と逞しく見えます。中には一緒に来ておられる幼稚園の先生と変わらない印象を受ける生徒も居るほどです。中学生にしてみれば、“遊んであげる”という気持ちで交流を始めるのでしょうが、いつの間にか幸福な気分になっている自分に気づくはずです。これは『自分が人の役に立っている』という満足感で、“自己有用感”と言います。年齢の上の者が下の者の“あこがれの存在”となり、そのことで“自己有用感”を感じてどんどんよい集団へと育っていくのです。反対の現象も起こりもします。こちらの方が想像しやすいかもしれません。先輩がいい加減な態度でいると後輩は『あんなふうにはなりたくない』としか思いません。または、先輩の悪い部分を見習って、よくない伝統が生まれてしまいます。
 「素晴らしい生徒さんたちですね」保育所の先生からそう言ってもらいました。たまらなく嬉しいです。先輩と後輩、先生と生徒、互いに刺激し合って、“てっぺん”目指して更によい学校を創っていきたいものです。

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「新しい風に期待」
 校内のキンモクセイが一斉に咲き始め、芳香を愉しませてくれています。半月ほど前に今年初めてこの香りを感じましたが、やはりこの時期が似つかわしいように思います。昨朝は思わず一枝切り、校長室の花瓶に挿しました。
 さて一昨日、今年度2回目の「進路説明会」を開催しました。3年生の保護者の方を中心に多くの皆様にお越しいただきました。大変暑い日でしたが、その場に居た3年生たちもしっかりとした態度でお迎えした高校の先生方の話を聴けたと思います。
「文化祭が終了し、3年生が本格的に進路へ向き合う時期になりました」
 冒頭のあいさつで、そのように言いました。「秋テスト」も終わり、受験ムードが一層強まってきています。今月末には「三者懇談会」が予定されており、その場面では具体的な高校名をあげて進路の話し合いが行われるはずです。
 折しも昨日、生徒会本部役員改選が始まりました。生徒会活動に興味を持つ1・2年生が立候補の受け付けにやってきています。みんな、やる気にあふれています。経験的にはまだ3年生には及びませんが、この子たちもまたしっかりと成長していくのだろうと楽しみにしています。文化祭の終了と共に3年生は生徒会の表舞台から退き、2年生がそれに替わります。また、既に部活動では2年生が中心となって活動し、新人戦も闘われているところです。野球部は現在「ベスト8」に勝ち残っています。
 是非、2年生には、二条中学校に新しい風を吹かせてほしいと願っています。2年生の皆さんには既にその力が備わっていると思いますし、立場と経験がその力を更に伸ばしてもいくものです。安心して力を尽くしてください。
 また、これも昨日、3年の「学年弁論大会」が開催されました。代表者が自分自身を振り返り、日ごろから考えていることやこれまでグッと心の内に秘めてきたことを「弁論」として学年の仲間や教職員の前で発表しました。学年集団を信頼していなければ打ち明けられないような内容も少なくありませんでした。発表者の心の内や背景まで見えるもので、大きく心を揺さぶられました。本当に素晴らしい学年に成長したものです。
 2・1年生は、この学年を引き継ぐには大きなプレッシャーがかかりますね。でも、大丈夫です。不思議なもので、3年生のソウルは既に2年生の中に宿っているものなのです。これが学校の力、伝統の力です。この伝統の力、あえて言うなら「二条魂(ソウル オブ 二条)」です。これを信じて、我が校に新風を吹き込んでください。
 大切にすべきものはかたくなに守り、工夫できる部分を探って大胆に改革してください。そうして新しい二条中学校を創造してほしいと願っています。二条中学校の教職員は、そんな皆さんを全力で応援していきます。

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「未来を拓く」
 日に日に秋が深まっていきます。じきに木々も彩りを変化させていくことでしょう。ここは緑の多い地域なのでそうなるのを今から心待ちにしています。
 さて、「文化祭」が終わって今週は学習に集中するときです。今日からは「秋テスト」で、各学級担任からもそれに向けて気合が入れられてきたところだと思います。とはいえ、まだ気持ちの中には先週の「文化祭」の余韻が残っていても不思議ではありません。今週になって、生徒の感想が書かれた学級通信が次々と発行されています。3年生の感想を一つ拾ってみました。
 今年は1・2年のときとちがう気持ちがたくさんあった。最後の劇、絶対に成功させたかったし不安でいっぱいだったけれど、今までで一番いい劇にできてうれしかった。これで終わりか…と思うと、まだまだこの学年で一緒に居たいとすごく思いました。2日目のクラス合唱、いつもより大きな声で歌えた。アルトも、はじめは心配だったけれどちゃんとハモっていてよかったです。学年合唱では、自分たちでもびっくりするぐらいよくできた。今年の文化祭は今までで一番楽しかった。これで行事が終わるのは悲しいけれど、あとの残りの学校生活を楽しみたいと思いました。
 最後の「文化祭」を思い出深いものにしようと取り組んだ心意気とやりきった後の充実感がよく表現されています。また、もうこのメンバーで行事に取り組むことが出来ないことに対する寂しさも伝わってきます。学年に対する深い愛情が感じられもします。大丈夫。今の3年生ならどんな取組もみんなで協力して楽しく有意義なものにしていくことが出来ると思います。修学旅行・体育大会・文化祭、それに各部活動の取組を観てきてそう確信しています。
 これから3年生は受験に向けて突き進むことになりますが、実は受験もみんなの気持ちを一つにすることが大事な取組です。もちろん受験校は異なりますが、『あの子も頑張ってる』という気持ちが一人ひとりを奮い立たせるのです。
 10月1日(日)ゴルフの日本女子オープンがありました。国内最高のゴルフの大会です。この試合で優勝したのは18歳の畑岡奈紗プロ。11歳でゴルフを始め16歳で世界ジュニアゴルフ選手権に優勝。アマチュアとして臨んだ昨年度のこの大会で初優勝しました。今年度は連覇をしたということです。また、3位に入賞したのもアマチュアの高校2年生でした。この日は約3時間、息を詰めるようにしてTVに見入りました。なにしろ、畑岡プロが目標を前代未聞の20アンダーに設定し、それに向けて次々とバーディーを奪っていたからです。優勝インタビューは印象的でした。
 「これからは、私たちの世代がゴルフ界を引っ張っていかなければなりません。」
 「文化祭」での本校生徒の活躍と、畑岡プロのそれとがどこかで重なって、気持ちが引き締まりました。若い諸君よ、頑張れ。未来は皆さんが作っていくのです。

『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top〜

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「さわやかな感動」
 いつの間にかキンモクセイの芳香が漂っています。季節は確実に秋へと移り変わっています。
 さて、「文化祭」が終了しました。昨日、子ども文化会館で講評をしましたが、言いたいことがありすぎて大雑把な感想になってしまったので改めて「文化祭」の2日間を振り返ってみたいと思います。
 1日目。1年の二条城の展示作品には感心しました。コツコツとした努力が実を結ぶこと、一人ではとても無理な大きなことも、協力すれば出来ることを学べたと思います。
 2年の合同劇「ライオンキング」は正に学年を上げて取り組んできた結果が見える内容でした。大小道具、音響に照明、衣装も凝っていました。キャストの演技もよかったです。
 3年の「パイレーツ オブ カリビアン」は流石3年生と思わせるほど役者の演技に迫力がありました。キャストもスタッフも自分の仕事に自覚と責任をもって取り組んでおり、クラスを超えた合同劇の醍醐味が感じられました。
 また、5組の手話劇はとてもよくできていました。『全校生徒に自分たちのことを知ってもらいたい』その思いがひしひしと伝わってくるメッセージ性の高い演劇でした。
 そして2日め。コンクール形式でない合唱で、これほど質の高い発表ができるものなんだと二条中生の底力を見せられた気がします。昨晩から今朝にかけて多くの学級通信を読みましたが、それらのすべてに担任の熱いメッセージが綴られています。先生の願いを受け止め、学級や学年の団結と芸術性の追求という目的を理解して取り組むことで、あれだけの合唱を作れるんですね。
 どの学年どの学級の合唱も、そして5組の太鼓演奏もよかったです。中でもやはり3年の学年合唱は圧巻でした。これほどの学年合唱ができる3年生が全市に一体どれほどあるでしょう。3年生の示してくれた姿は下級生によいモデル(具体的な目標)となりました。来年度以降、「あの学年を目指せ!」「あの学年を超えろ!」といって取り組ませることが出来ます。
 吹奏楽部の発表もとてもよかったです。3年生にとっては引退のステージです。それを知っている3年の仲間からの応援も相まって会場が大いに盛り上がりました。そして「全校手話コーラス」です。吹奏楽部の演奏と3年男子を中心に歌う合唱、そして全校生徒による手話。会場が一つになり、24時間TVのエンディングさながらの、いえその何倍もの感動的なシーンが実現しました。
 二条中での初めての文化祭をとても爽やかな気持ちで終えることが出来て幸せです。そして、このような素晴らしい生徒とそれを支える教職員や保護者の方の校長で居られることを誇りに思います。また、同時にその責任の重さも感じているところです。
 みなさん、さわやかな感動をありがとう。そして、本当にお疲れ様でした。 

「学校運営協議会」の委員を公募します!

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 本校では,今年度,学校運営協議会を立ち上げます。
 学校運営協議会とは、保護者や地域の方々に学校運営に参画いただき,学校・家庭・地域が一体となって子どもたちを育んでいく組織です。今後は,学校運営協議会を核としながら,学校・家庭・地域が成果や課題に加え思いや行動も共有し,子どもたちを地域や社会の宝として大切に育む地域ぐるみの教育及び地域コミュニティーの活性化を推進してまいります。
 
 未来を切り拓く地域の子どもたちのために,ぜひご一緒に取り組みませんか。

 公募の詳細につきましては,二条中学校教頭(井木)までお問い合わせください。
電話 075−821−1196
FAX 075−821−1197

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「本来の目的に向けて」
 朝晩が涼しく、学校生活にとって最高の季節がやってきました
 さて、9月に入って、特に昼からは校長室にじっとして居られなくなりました。太鼓の音や合唱の歌声が校内各所から聞こえてくるからです。教師になって以来、私はこの時期のこの雰囲気が大好きです。生徒と一緒に劇や合唱、楽器演奏や展示作品を作り上げる営みによって、クラスや学年がグッと高まるからです。生徒は毎日忙しくて大変でしょうが、実は教師の側もけっこう疲れます。これまで経験してきた学校では、この時期に体育大会も行ってきたので更に忙しかったです。
 多くの学校では、クラスや学年の中に、取組に全く参加しようとしない生徒が居たりもします。そんな生徒と教師がぶつかることは勿論ありますし、クラスで生徒同士が揉めることも少なくありません。そんなときや明日のことが気になりだすと、眠れない日が続いたりもします。
 これまで約1か月間、本校生徒の取組を観てきました。サボる人、いい加減な態度で臨んでいる人を一人も観ていません。これは、教師になって以来初めてのことで、私にとっては嬉しいどころか感激的な驚きです。
 特に、コンクール形式でない合唱は、純粋にクラスや学年、全校の結束力を高め、芸術性を追求するという本来の目的のみに向かって取り組まれており、生徒もそれを理解して一生懸命に練習する姿に、純粋に心を動かされてきました。また、和太鼓によるパフォーマンスで音楽発表会に参加する難聴学級の生徒たちの“本気さ”にも心を打たれました。当初は『コンクール形式にすればよいのに!』と思ったりもしましたが、そうしなくても生徒が本来の目的を理解し、それに向かって取り組めることを知った今ではもうそうは思わなくなりました。
 劇づくりや合唱づくりに直接関わってきた頃の、“不安と期待で前夜は寝られない”という経験はもう出来ませんが、それでも校長として「文化祭」の成功を願って、やはり“ワクワク”と“ドキドキ”とは感じています。
 これまで数えきれないくらい練習してきた成果を、本番のたった一回に精一杯発揮してほしいと思います。生徒のその真摯な姿が、私たち観る者の心をまた大きく揺さぶることでしょう。
 「文化祭」が終わると、3年生の生活は、本格的に受験中心になっていきます。だからこそ、全力を注ぎ込み、心地よい疲れを伴った充実感を味わってほしいです。そして、そうして蓄えたエネルギーをもって受験に向かってほしいと願っています。
 劇や合唱、楽器演奏や展示は、それ自体を成功させることも大切ですが、その先に、クラスや学年、学校という集団の力を高めると共に、生徒一人ひとりの力を伸ばすという大切な目的があります。既にそのことを理解して実践している本校生徒を誇りに思いながら本番までの取組を見守りたいと思います。

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「ムード」
 一昨日、5組を最後に3年生への特別道徳の授業を終えました。「ブロックの予選大会で、チームの1つが決勝まで進出して、普通なら絶対に勝てない相手だったのに選手と応援が一体になって勝てて優勝して、私も自分のことのように嬉しくて、そんな仲間に出会えたことが嬉しくて…」
 道徳の授業の中で、ある女子が声を詰まらせながら発表したメッセージの一部です。5組には、聞こえにハンデがありながらも一生懸命に学校の部活動や校外でのクラブで頑張っている人たちが居ます。
「自分は聞こえないから、1年生の頃は自分だけが取り残されているように感じた」これは別の女子が語った言葉です。同じようなことを別の生徒も感じていたことも知れました。でも、取り組むうちに仲間の励ましや支えに気づくことができ、最後は頑張ってきてよかった。そうみんなが結んでいます。
 人は自分の気持ちを正直に語るとき、感情が乱れて涙を流すことがあるようです。“ぐっ”とこらえて隠してきたことや心の中にしまい込んできたことを吐き出すことによって、心に決着をつけるというか整理をするというか、どうもそんな感じです。問題行動の指導の際、最終的に正直に心の中を打ち明けた生徒が涙を見せる場面がありますが、これとも共通点があるように思います。
 「校長先生と同じスライドショーを使い、同じ資料、同じ授業展開で僕が道徳の授業をしたら、生徒はああやって泣くもんでしょうか。」
 若い先生に尋ねられました。即答は避けましたが、実はなかなかそう簡単にはいかないものだと考えています。授業づくりで大事なものは幾つもあります。話し方一つにしても、間のとりかたや抑揚の付け方、無駄な言葉を差し挟まないことや生徒の発言の上手い拾い方など、挙げだしたらきりがありません。板書の書き方、資料提示の仕方、ワークシートの作り方、グループワークのさせ方、発言のさせ方など、話し方以外にも身につければ授業改善が図れる技術(テクニック)はたくさんあります。先ほどの先生が「校長先生がされたのと同じように…」といったのは、こうしたテクニックのことで、これは真似が出来ますしドシドシ盗んでほしいものです。
 もう一つ大事なもの、そしてなかなか若い教師には難しいのがムード作りです。「空気感」とでもいえばもっとよく分かるのでしょうか。その先生から発せられる独特の空気で、それはじわじわと生徒に達し、生徒を包み、教師と生徒を繋ぐと同時に教室を満たします。上手くすると生徒は安心感を覚え、心の鎧を脱ぎ「素」の自分を出し始めます。ムード作りを身に着けるには相当な時間がかりますし、多くの様々な経験も必要です。本校には独特の空気感を作り出す教師が何人も居ます。
 ベテラン教師の授業にある独特のムード(“あじ”と言えるのかもしれません)。一度注意して観て、感じて、それについてじっくり考えてみてはどうでしょうか。

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「授業を楽しむ」
 今週は心に張りをもって過ごしています。というのも、久しぶりに教室での授業をさせてもらっているからです。或る人に「二条中学校が使っている読み物資料集の中で、先生(私)が授業をするならどれが一番魅力的ですか」と尋ねられました。元々道徳の授業が好きな私は真剣に考えました。そして選んだのが現在3年生に対して行っている授業で使用する教材です。
 何度も読み返していうちに、次々と構想が浮かんできて実際にやってみたくなりました。3−1担任の岡田先生に相談したところ、「是非うちのクラスでやってください。」と言ってもらい5日(火)に実現しました。その後他のクラスでも実践中です。3年のこの時期にしかできない内容で、きっと多くの3年生の心に響く良い教材です。この夏、撮り貯めた写真も大いに役に立ちました。スライドショーを作りながら、『きっと子どもたちの心にも届くだろうな』と勝手に想像して興奮したりもしました。
 時間をかけて準備をしたので、本番は思いのほか順調に進行したと言ってよいと思います。毎日教科の授業や部活動指導、クラス経営で忙しい先生方には難しいのかもしれませんが、授業準備を大いに楽しむこともできました。
 昨日2つめのクラスも終わりました。授業では、色々なことを思い出したのでしょう、ずっと泣いている生徒が居ます。込み上げてくるものがあったのか、発言の途中に泣き出す生徒も居ます。(しかし、これはカッコいいです!)人の話を聴きながらもらい泣きする生徒も居ます。こんな授業が出来ているのは久しぶりです。教科の授業ではおそらくないことですし、これが道徳や人権学習の時間の大きな魅力です。
 手元に子どもたちが書いてくれた感想があります。手前味噌で恐縮ですが、幾つか紹介します。「今日の校長先生の道徳は夏季大会のことをすごく思い出せたしとてもよかったです。後輩に伝えたいこともあったからいい機会になったとも思います。また授業してください。ありがとうございました。」「胸につかえていたものが取れたような気がするので良かったと思います。これから、しんどくても自分の全力を尽くし前向きに過ごしたいです。」「クラスメイトが感動や思いが込み上がってきて泣くというような授業は初めてだったしすごく楽しかった。初めて知る友達の隠されていた思いや気持ちを知ることが出来て嬉しかったしすごく感動しました。また、自分を振り返り、本当の自分に気づくことが出来たし、本当の思いを言えることなんて滅多にないことなので、すごく充実した時間を過ごすことが出来ました。また、このような機会があったらやりたいです。校長先生、ありがとうございました。」
 教師をしていて、“しんどい”と思うことはあります。でも、子ども達からのこうした反応があると『やっててよかった!』と思えます。教師の最高の喜びは、何と言っても子どもと一緒に授業を楽しめることです。みんな、ホントにありがとうね。

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学校行事
11/7 生き方探究チャレンジ体験
11/8 生き方探究チャレンジ体験
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