京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2013/03/25
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平成24年度末をもって休校となりました。今まで閲覧いただき有り難うございました。

早春の芽吹き

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 久しぶりの自然コーナーです。雪が降ったのでちょっと絵になると思い今日にしました。以上,前振りでした。
 立春を迎えて数日ですが,もうフキノトウが出ています。今年はちょっと早い芽吹きのように感じます。ところで,フキノトウはフキの花であることをご存じの方は多いと思います。でも,雌雄別株であることをご存じの方は少ないのではないでしょうか。今回は,インターネットででもお調べ下さい。
 さて,フキノトウに限らず,早春の草花は,背の低いものばかりです。まだ寒く虫もあまり飛ばない中,なぜ,そんなに早く花を咲かせ急ぐのでしょうね。これも意味がちゃんとあります。背が低いからこそ,早く花をつけて子孫を残さなければならないのです。春も本格化してくると,次々と背の高い草が生えてきます。そうすると,いくら虫が盛んと飛んでいようとも,いくら目立つ花の色をしていようとも,周りの高い草花に隠されて,見えないのです。これでは,絶滅です。そこで周りの背の高くなる植物が伸びない前に,受粉させてしまおうというわけです。こうして見ていくと,秋に背の高い草が多いこともなるほどと思っていただけるかもしれませんね。でも寒いから,虫が飛ばないのでは?いえいえ,寒いといえども,暖かくなる日もあります。そんなときは,成虫越冬している虫たちも飛び回ります。虫の数は少ないけれど,競合相手が少ないから受粉の可能性は高くなるということです。
 話をフキノトウに戻します。フキの花は地面から直接に出てくる?フキの葉も地面から出てくる。えっ?!花も葉も茎から伸びるのでは…。その通り茎からです。では茎は何処に?掘っていただければすぐにお分かりいただけます。茎が地面の中に這うようにして広がっています。根ではなく茎だという証拠に,這っているものの所々から根が出ていることが分かります。つまり,這っているものは,根ではない。そのものから花や葉が出ている。ということで残りは茎しかないということに辿り着きます。専門家は,根茎と呼んでいます。
 話題を変えて,フキノトウは,早春の山菜として重宝されます。蕾を摘み,天ぷらにして抹茶塩で食するとなかなかの美味です。子どもには苦くて敬遠されますが…。でも,本校には,このほろ苦さを分かる児童が一人いるのです。なかなかの通な子です。しかし,それはすなわち,私の競合相手ということになります。毎年のことですが,彼がやや食べ飽きたかなというころになって私の摘む番がやってきます。

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厳しい寒さだからこその芸術

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 上下とも19日(土)の寒さがもたらした自然の氷の作品です。今日は,朝9時の気温が−5度と厳しい冷え込みとなりました。地域の屋外の水道栓は当然全て凍って水が出てきません。
 では,上の写真から見ていきましょう。左側の写真を見て下さい。水たまりの窪みにすりガラス様の氷が張っています。右側は,割ってみた直後の様子です。中が空洞になっています。どのようにしてこんな氷ができたのでしょう。
 これは簡単ですね。氷は空気に触れている水の表面からできていきます。寒ければ寒いほど,氷は厚くなります。凍り始める温度はご存じの通り0度(理論上)です。ということは,右側の割れた氷の最下面がちょうど0度だったということです。その下は水だったのです。でも,水だと,時間とともに地面の中に吸い込まれていきます。従って,私が見たときには,表面近くが凍ったままで,凍らなかった水が吸い込まれた後の空洞の状態だったのです。水が染み込んでいくときに,表面は,氷の蓋ができていますので,わずかながら空間の圧力が下がります。そこに水が気化して水蒸気となりますが,氷の表面に触れると一気に凍って小さな氷粒が下側表面に張りついていきます。これが,すりガラス様になった要因と思われます。また,中が水から空気に入れ替わると,冷えやすくなり,中の土の表面までも凍って乾いたようになります。
 次に下の写真です。同じ物を違う角度から見ています。普通,氷柱(つらら)は上から垂れ下がるものですが,これは,下から伸び上がっています。どうしてできたのでしょう。
 まず,どうしてできたかは,鍾乳洞の石筍から想像が付くでしょう。そうです,上からの滴が冷え固まって徐々に徐々に背を伸ばしていったのです。ということは,周りの気温が氷点下でないと起こりませんね。前日17日の気温が寒気と雪の影響で余り上がらないところに,晴れて放射冷却が働き,18時には−3度に戻るほどの冷え込みでした。この氷筍,実は,車の隅から滴り落ちていた水なのです。おそらく昼ごろに氷点以上に達し,車が積んでいた雪がじわじわと融けだしたのでしょう。午後の早い内に地表付近が氷点下に戻ったと思われ,車からポタリポタリと滴り落ちた水が,少しずつ少しずつ氷となって伸び上がったのでしょう。私自身も正直初めて見ました。

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シャコバサボテン(クリスマスカクタス)

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 12月に入り,花芽がどんどん膨らんで,今,見頃になりました。シャコバサボテンは,ブラジル原産のサボテン科スクルンベルゲラ属を元に,主にデンマークを中心にして園芸用に品種改良されたものだそうで,別名,デンマークカクタス,クリスマスカクタスなどと呼ばれています。名前の由来は,葉のように見える茎節の形が甲殻類の「シャコ」に似ているからです。下の写真右をご覧下さい。しかし,花の綺麗さなどから,別名の「○○カクタス〜○○〜」として園芸品種は出回っているようです。写真のクリスマスカクタスも園芸品種名は,不明です。
 去年までは,蕾ができても昼夜の寒暖差がきつくすぐにぽろぽろと落ちていました。今年は,条件を変えたつもりはないのですが,たくさん咲きました。あえて違うところを探せば,30cm高くなったことと,だいぶ乾いたかなと思ったときに,全体にシャワーをかけてやることと液体肥料をかけることぐらいでしょうか。シャワーの水は,ややぬるめですけれど。ここの環境に慣れたのだろうと考えると,このシャコバサボテンも中川の一員になれたと言えるのですけれどね。
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ドングリの大作戦

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 上の写真は校区で見ることのできるドングリの内の2つです。共に殻斗(お椀あるいは帽子と呼ばれている)は鱗片状ですが,クヌギは鱗片一つ一つが細長い棒状に延びています。ドングリは,クヌギが球のように丸っこく,コナラが細長い楕円体のようになっています。
 さて,今日は10月29日付「以外と知らない栗のイガ」で先送りしましたドングリの大作戦のお話です。
 まず,下の写真について,左赤円内は渋皮を示しています。右黄円内は切断時に切れてしまったのですが,胚です。クリやシイと違って総苞が殻斗と呼ばれるようにドングリ(堅果)全体を覆い隠しません。このままでは,若いうちから食べられそうでが大丈夫です。防衛策は立てています。若い内は毒(渋い,腹痛を起こす)をたくさん持っていますので簡単には食べさせません。では,熟せばクリのお話のように食べてもらおうとするのでしょうか。その通りですが,子孫を残してくれるパートナーを選んで食べてもらおうとしています。
 その相手とは,すぐに食べずに運んでストックしてくれる生き物たち,つまり,リスやネズミです。リスやネズミは,一度に大量に食べず,冬の食料としてあちらこちらの土や巣穴の中にストックしておく習性があります。多くは食べられてしまいますが,一部が忘れ去られて生き残るわけです。しかし,リスやネズミだけが食べるのでしょうか。いえいえ,クマなどの大型動物も冬眠用の食料としてたくさん食べようとします。そんなにたくさん食べられたら無くなってしまうのではとの心配が起こります。そこで,ドングリは大量に食べられないように毒分を使う作戦を考え出したのです。
 でも,毒分を持っているなら,小動物は食べられないのでは,と次の心配が起こるでしょうね。大丈夫なのです。大量に食べる大型動物にのみ効くようになっているのです。意味が分かりますか?実は,一つ一つのドングリの毒は弱くしてあるのです。つまり,大量に食べないと毒が効かないように工夫してあるのです。クマは,たくさん食べますが,食あたりを起こす前にやめてしまうということになるわけです。
 さらにもう一工夫しています。胚の生長に必要な栄養です。当然ドングリの中にあるわけですが,なんと,胚が残っていれば,多くを食べられても発芽することができるのです。つまり,ドングリの先端部分を含む一部が残っていれば発芽できるのだそうです。驚きでしょう。ドングリは大量生産することで,生き残る必要数を確保する作戦を立てたのです。
 さらにさらにもう一工夫。ドングリの生産量を年毎に多くしたり少なくしたりと変化をさせています。何故か。一定量を毎年生産すると,捕食者も食料が豊かと判断して数を増やします。それでは,食べ尽くされてしまう危険があります。そこで,時には減らすことで,捕食者を飢えさせて減少させるということもしています。木本植物ですから長生きします。毎年,発芽させて子孫を増やす必要がないからできることなのです。

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新しい接着素材は私のおかげ

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 上下の写真はニホンヤモリです。本校の3年生が,見つけて持ってきてくれました。早速写真に収めて,3年生に返してやりました。おそらく,彼女のことですから,そっと逃がしてやったことでしょう。
 ニホンヤモリといえば,夜,外灯に照らされた窓に何やら怪しくうごめく生き物の影…,というのにふさわしい生き物です。夜行性で,外灯などに集まる虫や家の中の虫を餌としているため,有益動物なのですが,その色形や夜に姿をよく現すことから気味悪がられることが多く,不快生物として名を連ねています。元々は有益動物として,家守や守宮という漢字を当てはめていますのに,残念なことです。私も子どものころ,ヘビ,クモ,イモリなどとともにヤモリも家を外敵から守ってくれるので退治するなと言われていたことを思い出します。でも,皆さんも一緒に住んでいるかと思えば気味悪いですよね。有益動物には失礼ながら,そっと外へ追い出しています。
 さて,このヤモリですが,なぜ,ガラスなどのつるつるした垂直な面や天井などの下面に張りついて動き回ることができるのでしょう。そんなの決まっているじゃない!足が吸盤になっているからじゃないですか,と言われそうです。確かに一昔前までは,そう思われていました。でも,じつは,吸い付いているのではなかったのです。足裏の写真を取り忘れたので有りませんが,縞模様がくっきりと見え,吸盤構造とはだいぶ違います。1本の足裏には,人の髪の毛の10分の1以下の細い毛が50万本生えているらしいのです。4足で200万本もの毛が生えており,さらにその1本1本の先端が,100〜1000本のさらに細い毛に分かれている,つまり,1匹に10億本程の毛が生えているそうです。先端の微細な毛は数百ナノメートル(1ナノメートルは,1mmの100万分の1)という細さになるそうです。ここまで細くなると,物質の分子レベルの力(ファンデルワールス力:簡単に言うと分子同士の引力のことであり,一つ一つの力そのものは非常に小さい)が働くそうで,本によっては10億本で800gぐらいの重さを支えられると書いてあります。つまりヤモリの体重を十分支えることができるということになります。
 この事実が発見されたのは2000年頃と比較的新しく,その後の科学技術の進歩で,ファンデルワールス力を使った接着テープ「ヤモリテープ」も開発されているとか。早ければ,2015年に高値になるでしょうが市販されるかもしれません。また,吸盤と違って,大気圧と何ら関係がない分子同士の引き合う力ですから,空気のない宇宙での利用も大いに期待されるとか。

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テイカカズラの知恵

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 冬になり,テイカカズラの種が見られるようになってきました。種をよく見るとタンポポのように綿をしっかりと広げたような冠毛をつけています。まさに,風の力を借りて種を遠くへ飛ばそうとしています。ただ,タンポポと違って種が大きく重たいので,遠くへ飛ばすためには強い風を利用する必要があります。もう一つ,テイカカズラの種が着実に地面に辿り着くためには,背丈の高い草花が覆い茂っている時期をはずす必要があります。両方の条件を満たす時期は?というと冬が最適となります。おそらく,テイカカズラは繁殖の作戦として,冬の風を利用することを選んだのではないでしょうか。
 また,上の写真左の実(鞘)をよく見てみると,縦に裂けていますが,裂けた方を外に湾曲していたり,ゆるやかにねじれていたりしていることがお分かりいただけると思います。以前,秋(9月11日付)に若い実をホームページ上にアップしましたが,今回の上の写真右を見ていただくと同じように実の中にしっかりと仕舞われています。種が熟して茶色くなり,乾いた冠毛が窮屈そうに真っ直ぐ延びています。この状態ですと,冠毛も真っ直ぐの状態で仕舞われていますので,下の写真のように開いてくれません。
 そこで,冠毛を広げさせる一工夫が必要になります。つまり,窮屈そうに仕舞われている冠毛が外に開きやすいようにしてやればよいのです。それが,外湾やねじれという方法なのです。こうすることで,狭く押し込められていた冠毛が,実の外に顔を出し,自らの力で,さっと冠毛を広げることができるようになるのです。もちろん実の変形は天気の良い晴れたときにということになります。冠毛が開いても風がなければ飛んでいけません。そのまま落ちてしまうのでは…。それが不思議なことに,余り落ちないようです。何処かしら実に引っかかっているのです。上の写真左に冠毛を広げて引っかかっている種を見て下さい。こうして引っかかりながら風を待っているのです。ついでに,この冠毛もすごい工夫があって,1本1本,中が空になっています。パイプ状にすることで軽く丈夫なものとなっています。素晴らしいアイデアだと思いませんか。
 私達人間からすると,そのような仕組みになっているのかと,あたかも機械同様に物として扱ってしまいがちですが,是非とも知恵のある考える生き物として捉えてみて下さい。テイカカズラもすごく賢く生きているんだという実感を持っていただければ幸いです。

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目立つのには意味がある

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 上の写真は,本校体育館東に実を付けているマユミ(シロミノマユミ)です。校区に真弓地区があるので,植樹されています。マユミは,材質が強くよくしなることから,弓の材料として用いられてきました。漢字で真弓と書くのもこのことによります。
 では,本校区の真弓の地名の由来は何でしょう。その昔,坂上田村麻呂が雲ヶ畑から持越峠を通ってこの地に入って弓を作ったことによると言い伝えられているそうです。では,真弓地区は古来よりマユミの木が有名だったのでしょうかね。そこはよく分かりません。ただ,天皇の行幸として雲ヶ畑−真弓−小野郷−京北というコースはあったようですし,後の悲運の皇子,惟喬親王もこの辺りで隠居生活を送ったほどですから,古来より知られていた地であることは間違いないようです。
 話を木に戻しまして,通常,マユミの実といえば,10月半ば辺りから外を覆っている薄紅色の朔果が四裂して下の写真のように種子が顔を出します。花期は初夏ですが,小さな目立たない花ですので,見過ごしやすいかと思います。種子は赤い外皮に覆われていますが,なかなか落下せず,葉の方が先に落ちてしまいます。これは,マユミの戦略かもしれません。
 多くの実を付ける植物は秋に目立つように赤や青や黒といった実を付けます。食べて下さい,ここに美味しい実がありますよとアピールしているのです。秋は,競争率が高いのです。初冬,マユミの葉が落ち,赤い実が目立つようになります。冬,餌が少なくなった小鳥たちにとっては,うれしいごちそうとなり,啄みに来ます。そうです,マユミは競争率が低くなるのを待っていたのです。食べてもらうことで,確実に,種を遠くに捲いてもらうためにです。なかなか見事だと思いませんか。
 でも,鳥に食べられたら,種も溶けて鳥の栄養にされるのではと思われる方もおられるでしょう。鳥は噛まずに飲み込みます。外皮は溶けてもその中身は固い殻に覆われているので素通りしてしまいます。鳥に実を食べさせる植物は,みんな鳥に種を運ばせる作戦を立てていたのです。こうしてみると,植物もなかなか知恵があることに感心しませんか。
 最後に,薄紅色の朔果をマユミとするなら,写真のような黄白色の朔果をシロミノマユミ,濃紅色の朔果をアカミノマユミとして区別しているようです。ほかに,オオバノマユミやフイリノマユミなど姿形から呼び名が分かれてもいます。

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晩秋の中川校

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 10月下旬から最低気温が一桁になる日が続き,カエデの紅葉のスイッチが入る8度を下回る日々もありました。11月には最低気温が5度を切る日も出てきて紅葉が本格化してきました。上の写真は,11月初頭と中旬の頭の写真です。イチョウは,すっかり葉を落とし,山々の紅葉が進んでいることがお分かりいただけます。
 モミジの名所高雄も人出が多く,ここ中川から市街へ休日に行くのは結構大変です。特に,今年のモミジの紅葉の美しさは,ここ近年ではもっともよいのではないでしょうか。日照量,昼夜の寒暖差,適度な湿り気(雨)がうまく重なったと思われます。栂尾から毘沙門橋までの清滝川沿いの紅葉もきれいに色づいています。朝早くから道幅が狭い国道の割りに,写真に収めようと,愛好家が車道であることを忘れてシャッターを切っておられることもしばしば。(実は朝日の射すころの方がきれいなのです。)皆さん事故を起こさないよう,事故に遭わないようお気をつけ下さい。

益虫なのに大の嫌われ者

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 保健室天井にカサカサと動く足音。養護教諭が見上げれば…「キャーッ!」その場に居合わせた6年児童が,「手で捕まえたら脚がバラバラになるから,封筒に入れるように捕まえたらいいよ。」何と,経験豊かなアドバイスではありませんか。さすが,中川の子です。でも,養護教諭は職員室に行ってHelp Me!と教頭先生のところへ駆け込みました。教頭先生は喜んで保健室へ飛んでいきました。可哀想に御用となってしまったことでしょう。
 さて,天井に居たのは,ゲジ目ゲジ科のオオゲジという虫です。ムカデ目に属する多くのムカデの遠い親戚で,多足類ムカデ綱の仲間となっています。その所為かどうか,ムカデと間違われたり,脚の多さと素早い動きに気味悪がられたりするかわいそうな虫です。ひどい紹介の仕方では,害虫として扱っていますが,本当は益虫なのです。特にオオゲジは,家の中の衛生害虫であるゴキブリをはじめいろいろな虫を捕まえては食べてくれます。わたしたちの生活に役立っているのです。
 ところで,ゲジという名前より一般的に呼ばれているゲジゲジと言った方がお分かりになるでしょうね。下の写真を見て下さい。頭部や尾端部を見にくいですがアップにしました。日ごろじっくりと見たことがないのではと思い載せてみました。背板については,七枚有ります。背板(はいばん)とは,虫類は骨(内骨格)をもたないので外回りに堅い骨の代わりとなるものを覆います。これを外骨格と言います。話を戻しまして,背板に赤のような茶色のような部分がありますが,これは気門だそうです。気門とは,空気を体内に取り入れるための取り入れ口です。人間は肺で血液を介してガス交換し,血液が体内へ,あるいは,体外へ運ぶ仕組みになっていますが,虫類は,気門から気管が体内を巡っていますので,空気が直接体内に入り込んでガス交換が行われるのです。骨のつくり以外にも,人間は血液が,虫たちは空気が体内を巡っているという違いもあります。
 先に進みます。脚の数を調べていくと15対もあります。でも,初めから15対ではなく,脱皮を繰り返すごとに歩脚数が増えて最終15対になるそうです。すごいですね。文頭で,6年児童が,体験から脚がバラバラにと言っていましたが,その通りで,外敵に襲われたときに,脚がすぐに切れるようにできています。トカゲの尻尾切りと同じです。しかも,脚がしばらく動きますので,うまくいけば外敵がそちらに気を取られている間に逃げることができるというわけです。スピードも結構速いのですが,15対の脚をどのようにしてリズミカルに動かしているのでしょうね。残念,外へ逃がしたゲジゲジを写真に収めるために再度捕まえるのに必死で,見落としていました。手に乗せたら,今度は観念したのか,じっとして動かなくなってしまいました。お陰で写真には収めやすかったですが。
 ところで,ゲジゲジについて。毒は持っていませんが,余りにもいたずらをすると逃げるために噛むことがあるそうです。ご注意を。

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パンジーに毛虫が!

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 職員室の教頭先生に,「来て下さい。」と子どもが呼びに来ました。何かと付いていくと,プランターに植えているパンジーの横を指さして,「これは何ですか?」と質問が来ました。上の写真がそうです。
 3年生の子だったので育ててみるかと言いつつ,「ツマグロヒョウモンの幼虫だね。まだいたんだ。この大きさだから今からなら蛹で冬越しだな。」と答えました。残念ながら,育てる気はないようでしたが,チョウに育つように,そこに住まわせようと言ってくれました。
 ツマグロヒョウモンというチョウの成虫については,写真がないので調べて下さい。幼虫はスミレ科の植物を食草として育ちます。ですから,パンジーにも当然つきますし,パンジーのおかげで,都市部でも見ることができるチョウです。年に4〜5世代の交代をしますが,他のタテハチョウ科ヒョウモンチョウの仲間が,年1世代交代しかしないことに比べるとかなりの回数といえます。広く長く食草が分布しているからということになりますね。元々南方系のチョウですが,温暖化に伴い関東にまで進出しているそうです。割と寒さに強いので越冬できるのですが,越冬態がないので,暖かくなると幼虫なら動き出したり,蛹なら羽化したりしてしまいます。
 下の写真をご覧下さい。このチョウの体から刺のような突起が多数出ているのがお分かりいただけると思います。まさに,イラガの幼虫を連想させます。刺されれば痛いだろうなぁと思うのですが…。教頭先生は,ヒョイッと掴んで掌に乗せてかわいいかわいいとなでています。「刺されないの。」と聞きましたが,「刺さないよ。毒もないしね。」と答えられました。このチョウはイラガや毒虫を連想させる作戦なのです。食べようものなら毒があるぞと鳥たちに見せつけています。黒にオレンジの目立つ色を用い,刺を見せつけて食べたら大変なことになりますよとアピールしています。おもしろいですよね。毒もないのに毒のある虫のように見せている。以前紹介したベイツ型擬態の一つです。また,成虫のメスの前翅には,黒地に白帯模様が入っています。これも,有毒のチョウ,カバマダラに似せていると言われています。でも,日本にはカバマダラの仲間のスジグロカバマダラが沖縄にいるだけですので,中川で擬態しても余り意味がないようなのですが…。南方から来た渡り鳥には,効果があるかもしれませんね。
 最後に名前の由来ですが,漢字で書くと『褄黒豹紋』です。豹紋とは,翅がヒョウのような柄模様になっていることからです。○○ヒョウモンと名の付くヒョウモンチョウの仲間はすべて豹柄です。では,褄黒とは。褄が着物の裾の両端であり,黒ですから,褄が黒くなっているという意味になります。後ろ翅の外縁が黒い帯状になっていることから褄黒と呼ばれているのです。
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