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最新更新日:2013/03/25 |
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リコリス・アルビフローラ![]() そもそも,この白花は,ヒガンバナとショウキズイセンの交雑種といわれています。普通に考えると「えっ?!」と思うところです。ヒガンバナは種ができないとされているからです。確かにそうですが,中には,二倍体変種があってこちらのヒガンバナの方は種ができるそうです。この赤と黄の2種の交雑から白っぽいもの,薄いピンクの混ざる白花,薄い黄色の混ざる白花ができるそうですが,赤と黄が混ざって白というのも不思議に感じませんか。これも,こうだろうという理由があるようですよ。 さて,ヒガンバナの話に変わりまして,田の畦やお墓周りなどでよく見かけますが,先ほども言いましたように,種で増えず球根を分球して増やします。ということは,田やお墓に多いのは,人の手で植えたということになります。ヒガンバナは有毒物質リコリンなどを含んでいますので,普通なら遠ざけるはずです。なのに,集落の近くで増やすということはどういうことでしょう。実は,飢饉などのときの非常用食物と考えていたようです。そこでまた,「えっ?!」と思われるでしょう。その通りで,嘔吐を誘発する作用があり,多量摂取で死に至ります。そんなものを食するの?本当なのです。このリコリンは,水に溶けやすい性質を持っています。ですから,数日間流水に浸けておくと,有毒成分が,薄まるのです。有毒成分の量が減りますから,多量に食べても嘔吐や致死量にまで至らないということになります。ただし,江戸期以降に食した記録がないことやそれ以前では,毒抜きが不十分で死に至った例もあるとか。 ![]() このカマキリよく飛び跳ねますよ![]() ヒメカマキリ,「ヒメ」が付いていますので「小さい愛らしい」ということになるでしょうね。その通りで,下の写真をご覧下さい。ゲージを入れています。このヒメカマキリで体長22mmです。尾端が見えていませんので,見た目,25mmになりますが,実際は,翅先の方が尾端より長いのです。性別はオスです。上の写真右では分かりづらいですが,尾端の形より判定できます。 ところで,22mmという小ささですが,幼虫ではありません。その証拠は立派な翅が生えていることで分かります。町中でこんな大きさのカマキリの成虫を見たことはないでしょう。山間部の樹上を主な生活場所としているようです。 そのような場所で暮らしているカマキリが,何らかの理由で本校3階に入ってしまったのでしょうが,教頭先生に見つかってしまいました。普通のカマキリと違ってよく飛ぶ(跳ぶ)と喜んでいました。跳び上がっては下りるという感じですが,翅をはばたかせていますから飛んでいるが正解ですね。でも,最初から逃げようと飛び跳ねていたのではありません。初めはおもしろいことに,犬が伏せをするような状態で,脚を折り畳んで,姿勢をぐっと低くします。あたかも枝や細い枯れ落ち葉のように見えます。人によってはこの行為を死んだ振りをしていると言っています。まこと捕まるとなったときに,盛んと飛び跳ねて逃げようとします。いや,ひょっとして驚かせて相手を怯ませているのかもしれませんね。何となく愛らしく見えます。やはり姫カマキリという呼び名どおりですね。 ![]() ランプシェードのようなこの形は![]() ところで,このゴーヤ,裂けると中から赤い種が見えてきます。正しくは,赤い種ではなく仮種皮が赤く熟しているのです。ライチ(レイシ)も仮種皮が膨らんでいるのでライチの果肉がやせ細った状態を思い浮かべてもらうとよいかと思います。因みに,ツルレイシの名前は,ライチ(レイシ)に似ているからといわれています。 上の写真右下を見てください。アリが群がっています。なぜに?予想が付きますよね。甘いからです。実際に食べてみると,結構甘くておいしいです。では,実(果皮)はどうだろうと食べてみましたが,パサパサ感だけで苦くも美味しくもありません。ゴーヤは未成熟だから食べられるのだなと実感しました。話を前に戻しまして,ツルレイシという名前がライチから来ている理由は,仮種皮を食べることと果皮のごつごつ感が似ているからだそうですが…,本当?ライチに似たつる性の植物の実ということなのですが…,熟すまで待っていたのでしょうかね。ゴーヤもいろいろ栽培種があるのですが,これはいわゆる太レイシと呼ばれている種類です。 下の写真と上の写真を見比べて下さい。上の写真は太レイシで短種です。下は長レイシで長種です。他にも中長種があります。食用に品種改良が進んでいますので,今年栽培した種から来年育てても同じものができるとは限りません。市販のゴーヤ苗や種は大抵掛け合わせてあるF1世代ですので。 ![]() 雨上がりの霧![]() もう少し詳しく説明しますと,おそらくそれまで晴れていて山斜面が暖められていたところに暖かい雨が降ったと思われます。周りや雨が暖かいので蒸発しやすく上昇しようとしますが,実は,蒸発するときに周りから気化熱を奪います。つまり,周りを冷やしてしまうのです。水蒸気がどんどん発生し,湿度がほぼ100%に達したころ,先に蒸発して上昇を開始した水蒸気(湿度が高いので飽和状態に近い)は次の水蒸気の発生の影響で熱を取られて冷やされます。そのため,水蒸気でいられなくなって細かい水の粒として姿を現します。これが雨上がりの山の斜面などで発生する霧です。もちろん,谷から斜面を上っていく局所的な気流(風)も上昇や蒸発を手伝っていますよ。 ここでよく見ていくと,発生しているところと発生していないところがあることに気付かれると思います。同じ山の斜面といえども,局所的な場所場所によって条件が一緒ではないのです。 日本に来たがために… こんな名に…![]() 冠毛についてもいくつかの説があるのです。下の写真をご覧ください。一つの説ですが,風によってきれいに一斉に飛び散るのではなく,一部が残っていたり,綿毛同士が引っかかったり垂れ下がったりしている様からぼろぼろの状態に見えるためと言われています。真偽や如何に。 ところで,ボロと名が入るキク科植物は,私が知っているだけで「ベニバナボロギク(アフリカ原産)」以外に「ボロギク(別名:サワギク)」「ノボロギク(北アメリカ原産)」「ダンドボロギク(ヨーロッパ原産)」があります。でも,これらは属が違いますので同じ仲間ではありません。ボロと呼ばれるような共通した様子があるから名がついているということです。ボロとはいったい何なのでしょうね。 上の写真右側をご覧ください。頭花はすべて筒状花ですので,タンポポのように,外回りに花びらのようなもの(一つ一つが舌状花)がつきません。タンポポの花びらを取り去った状態とお考えください。また,下の左右を比べてお分かりになるように,外回りから中心側へと咲いていきます。 ![]() テイカカズラPart2![]() 下の写真最上段左は,輪切りにした直後で,白い汁液がたくさん出てきています。その右は,白い汁液を拭き去ったときの鞘の中の様子です。ところで,前回も毒草といいましたが,この白い汁液に毒があります。テイカカズラはキョウチクトウ科植物ですので,その毒性は大変強いのでお気をつけください。皮膚に付けばかぶれますし,誤ってお腹の中に入れようものなら,呼吸困難や心臓麻痺を誘発します。 さて,拭き取った後の断面を見ると,なにやら,種のようなものが見えているのがお分かりでしょう。二段目の写真は鞘を縦に切ったところです。種らしいものと白い羽毛状のものが入っていることが分かります。最下段の写真にその中身を取り出しました。右半分が種で,左半分がいわゆる綿毛になります。ということから,テイカカズラは風で種を散布する仲間だということになります。どのようにして種を捲くのでしょうね。機会があれば,また,紹介します。 ![]() 綺麗だけれど触るべからず![]() 8月下旬ごろから9月ごろまで咲くこの花の名前を「センニンソウ(仙人草)」といいます。名前の由来は,咲き終わった後の実(そう果)に白い羽毛のようなものがあり,これを仙人のひげに見立てているところからきています。花びらはなく,花びらに見えているのはガクなのです。下の写真上を見てください。蕾と花開こうとしている2つの花がありますが,この蕾の時に外側を覆っているのがガクです。これが右端のようにそのまま開いて伸び,左端のように開花しているのです。花びらのように見えているものが,ガクだということがお分かりいただけたでしょうか。 つる性の植物ですが,アサガオのように茎が巻くのではなく,また,ヘチマのように巻きひげが絡まるのでもありません。センニンソウは葉の軸(葉柄)が絡みつきます。ということで下の写真下の円内を見ていただきたいのですが,実は,この7枚に見える葉はそれぞれ別々ではなく,1枚の葉なのです。植物用語では,奇数羽状複葉と呼んでいます。センニンソウの場合,3・5・7枚の小葉からなる複葉となります。写真の中央を左から右に小葉をつないでいるのが葉柄です。この部分が絡まるのです。 最後に,この花はキンポウゲ科の仲間です。キンポウゲ科の仲間は有毒植物が多いのですが,このセンニンソウも有毒植物です。汁がついたら素早く,石鹸等で洗い落とすことをお勧めします。汁の中の油性成分が火傷ようの症状を引き起こしますので。 ![]() 気付かぬ間に繁殖![]() タカサゴユリは,中川では8月から9月にかけて咲きますし,上の写真のように花の外側に淡い紫色の筋が走っていること,下の写真右下のように葉が細長いことが特徴です。テッポウユリは,6月から7月にかけて咲きますし,花は白一色,葉はもっとはばの広い葉となります。 タカサゴユリは台湾原産,テッポウユリは南西諸島産で,ともに,栽培用として入ってきていますが,タカサゴユリは生命力が旺盛で,種が発芽すれば,2年目には花が咲きます。もっとも1年目はあることに気付かないくらい見た目は成長しません。球根(鱗茎)を成長させることに専念するようです。他のユリは種からとなるともっと長い年月が必要なので,栽培するのに,大抵球根(鱗茎)で増やすことを考えれば,このユリの繁殖力の強さがよく分かるかと思います。中川でも放置すれば,10年も経たないうちにタカサゴユリが繁茂するでしょう。ただ,ユリは,繁茂する=ウィールスに侵されて死滅するという両面を備えていますので,大群落になることはないようです。いわゆる連作障害のようなことを起こすのでしょうね。ただ,何らかの理由で花粉交配がなされているようで,新テッポウユリなるものが出現してきているそうです。 ![]() 驚いて跳びだしたがために…![]() さて,セスジツユムシは前に出てきた「ヤマクダマキモドキ」と同様,キリギリス科ツユムシ亜科の仲間です。ツユムシを漢字で書くと露虫となるのですが,なぜこのような名前になったのかはっきりとした由来がありませ。一応,外見のその弱さから名が付いたと言われていますが,露と弱々しさをどのように結びつけたのでしょうね。露と落ち露と消えにし…でしょうか?セスジは背条と書きます。文字通り,頭から翅の先まで真っ直ぐな筋が走ります。メスは黄色の,オスは褐色のラインとなります。 下の写真をご覧ください。メスの産卵管です。「ヤマクダマキモドキ」で鴟尾(しび)を寝かしたような…と伝えたことを思い出していただけるでしょうか。この産卵管を草の茎に差し込んで産卵をします。 ![]() またまた弱っているトンボ発見![]() 上の写真からメスと判断できますが,お忘れの方は,8/21付「給食室で弱っていたトンボ」を再度ご覧ください。今回の上下の写真はタカネトンボと比較できるように配置させていいただいています。ヤブヤンマのヤブは藪を意味しています。日中は,林間の池沼の周りをオスはパトロールし,メスは産卵行動をしているそうです。朝夕には,谷間の上空を飛翔している様子を見ることができるそうですが,学校で簡単に捕まえることができたのは,またまた,弱っていたからだったのだなと納得させられました。写真愛好家たちは,林間の藪の中に分け入って止まっているヤブヤンマを撮るそうです。すごい人たちですね。 下の写真右下の翅の三角室が前翅後翅とも同じ向き(翅の外に向かっている)に向いていることがお分かりいただけると思います。タカネトンボは前翅が後ろ向きに,後翅が翅の外に向かっています。胸の模様の違いと合わせて見ていただくと,同定資料の一つだなということが実感いただけると思います。 ![]() |
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