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最新更新日:2013/03/25 |
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蜜を求めて![]() 実は,どんな生き物でもそうですが,見る機会の数と細かな違いを掴んでいるとパッと見て名前が言えるようになります。つまりは,知識と慣れですから,その気があれば誰でも言えるようになるわけです。みなさんも,すごい!と思わなくてよいのですよ。写真のクロアゲハは,尾端や翅の模様からメスであることが分かってきます。 ところでクロアゲハの蜜を吸う口(口吻:こうふん)ですが,みなさんストロー状ということはお分かりになっているようですが,なんとこれは顎(あご)ですと言えば,えっ!?と言っていただけるでしょうか。でも本当です。顎が変化して口吻となったのです。もっとも,虫たちの世界では顎といっても人間のように上下に開くのでなく,左右に開きます。ですから,このストロー状の口は左右1対が合わさってできています。ぐるぐると捲いていますが,左右1対が共に捲かれているのです。でもどうやって捲いたり伸ばしたりしているのでしょうね。これは筋肉を使っているんですよ。こんな細いところに筋肉が走っているのです。すごいですね。しかも,口吻の途中(屈折点)から先が,自在に動くようになっていますから1本の筋肉ではないのでしょうね。 ![]() 府レッドデータブック 要注目種![]() 出勤時,上靴に履き替えているとポタリと落ちてきたのです。思わず,おっ,カンタンか!と捕まえました。残念ながら,右足がないことと触角がちぎれて短くなっています。触角は5cmほどあるそうです。体長は12mm〜18mmですから体長の3倍ほどの長さとなりますね。 形態としてはアオマツムシに似ているけれど全く色が違う…,産卵管がないからオスだろうけど…,翅が鳴く虫のオスというよりメスの翅に似ている…,と大いに悩まされました。あきらめかけたとき,偶然,ホームページに「マツムシモドキ」という名前がヒットしたのです。早速,マツムシモドキの画像検索し,確認することができました。 この虫は,京都府をはじめいくつかの県のレッドデータブックに要注目種として取り上げられています。言い換えれば,目にすることが余りないということです。たくさん生息しているのか希少種なのか不明だということです。その理由は何でしょう。この虫の生活場所にあります。低山地の樹林上で生活をしていますので,地上には滅多に下りてこないのです。これでは,多いか少ないか分かりませんし,目にすることもないから,図鑑類にも載りにくいということになります。 一部欠落していますが,私は偶然にも,貴重な虫と出くわしたということになります。そう思うと単純にうれしくなるとともに,ここで見つかるぐらいだから日本中にたくさんいるに違いないと思わせられます。兎に角,どんな生活をしているのかの情報がほとんどなく,不明な点が多いようです。はっきりしていることは,翅の構造から,オスは翅を使って鳴かないということです。コオロギ科マツムシ亜科に属しているのに…。 名残を惜しみながら,落ちてきた付近の樹に戻してやりました。右後脚がないから長生きはできないだろうけれど,レッドデータブックから消えることを願って。 ![]() ヒメカマキリの記事の修正
9月22日付「このカマキリよく飛び跳ねますよ」で紹介しました「ヒメカマキリ」の名誉回復の修正記事です。前の記事で「…跳び上がっては下りるという感じですが…」と表記しましたが,大間違いでした。よく飛ぶことが分かりましたので,ヒメカマキリたちの名誉のためにここにお詫びいたします。
9月25日の夜,職員室を端から端まで8mほど,翅をしっかりバタつかせながら,ふわふわと飛んでいく虫を発見しました。その姿から,風の谷のナウシカに出てくる傷ついたウシアブが腐海に帰っていく様を思いだしてしまいました。もっとも体形が全然違いますけれどね。 何だ,この奇妙な飛び方をしている虫は?追いかけて,止まった姿を見て,びっくり。あのヒメカマキリだったというわけです。 かなりの時間,かなりの距離を飛ぶことを知ったのです。飛び跳ね程度ではない。明らかに滞空飛行をしていることがわかりました。空を飛ぶカマキリだったことに感動です。 リコリス・アルビフローラ![]() そもそも,この白花は,ヒガンバナとショウキズイセンの交雑種といわれています。普通に考えると「えっ?!」と思うところです。ヒガンバナは種ができないとされているからです。確かにそうですが,中には,二倍体変種があってこちらのヒガンバナの方は種ができるそうです。この赤と黄の2種の交雑から白っぽいもの,薄いピンクの混ざる白花,薄い黄色の混ざる白花ができるそうですが,赤と黄が混ざって白というのも不思議に感じませんか。これも,こうだろうという理由があるようですよ。 さて,ヒガンバナの話に変わりまして,田の畦やお墓周りなどでよく見かけますが,先ほども言いましたように,種で増えず球根を分球して増やします。ということは,田やお墓に多いのは,人の手で植えたということになります。ヒガンバナは有毒物質リコリンなどを含んでいますので,普通なら遠ざけるはずです。なのに,集落の近くで増やすということはどういうことでしょう。実は,飢饉などのときの非常用食物と考えていたようです。そこでまた,「えっ?!」と思われるでしょう。その通りで,嘔吐を誘発する作用があり,多量摂取で死に至ります。そんなものを食するの?本当なのです。このリコリンは,水に溶けやすい性質を持っています。ですから,数日間流水に浸けておくと,有毒成分が,薄まるのです。有毒成分の量が減りますから,多量に食べても嘔吐や致死量にまで至らないということになります。ただし,江戸期以降に食した記録がないことやそれ以前では,毒抜きが不十分で死に至った例もあるとか。 ![]() このカマキリよく飛び跳ねますよ![]() ヒメカマキリ,「ヒメ」が付いていますので「小さい愛らしい」ということになるでしょうね。その通りで,下の写真をご覧下さい。ゲージを入れています。このヒメカマキリで体長22mmです。尾端が見えていませんので,見た目,25mmになりますが,実際は,翅先の方が尾端より長いのです。性別はオスです。上の写真右では分かりづらいですが,尾端の形より判定できます。 ところで,22mmという小ささですが,幼虫ではありません。その証拠は立派な翅が生えていることで分かります。町中でこんな大きさのカマキリの成虫を見たことはないでしょう。山間部の樹上を主な生活場所としているようです。 そのような場所で暮らしているカマキリが,何らかの理由で本校3階に入ってしまったのでしょうが,教頭先生に見つかってしまいました。普通のカマキリと違ってよく飛ぶ(跳ぶ)と喜んでいました。跳び上がっては下りるという感じですが,翅をはばたかせていますから飛んでいるが正解ですね。でも,最初から逃げようと飛び跳ねていたのではありません。初めはおもしろいことに,犬が伏せをするような状態で,脚を折り畳んで,姿勢をぐっと低くします。あたかも枝や細い枯れ落ち葉のように見えます。人によってはこの行為を死んだ振りをしていると言っています。まこと捕まるとなったときに,盛んと飛び跳ねて逃げようとします。いや,ひょっとして驚かせて相手を怯ませているのかもしれませんね。何となく愛らしく見えます。やはり姫カマキリという呼び名どおりですね。 ![]() ランプシェードのようなこの形は![]() ところで,このゴーヤ,裂けると中から赤い種が見えてきます。正しくは,赤い種ではなく仮種皮が赤く熟しているのです。ライチ(レイシ)も仮種皮が膨らんでいるのでライチの果肉がやせ細った状態を思い浮かべてもらうとよいかと思います。因みに,ツルレイシの名前は,ライチ(レイシ)に似ているからといわれています。 上の写真右下を見てください。アリが群がっています。なぜに?予想が付きますよね。甘いからです。実際に食べてみると,結構甘くておいしいです。では,実(果皮)はどうだろうと食べてみましたが,パサパサ感だけで苦くも美味しくもありません。ゴーヤは未成熟だから食べられるのだなと実感しました。話を前に戻しまして,ツルレイシという名前がライチから来ている理由は,仮種皮を食べることと果皮のごつごつ感が似ているからだそうですが…,本当?ライチに似たつる性の植物の実ということなのですが…,熟すまで待っていたのでしょうかね。ゴーヤもいろいろ栽培種があるのですが,これはいわゆる太レイシと呼ばれている種類です。 下の写真と上の写真を見比べて下さい。上の写真は太レイシで短種です。下は長レイシで長種です。他にも中長種があります。食用に品種改良が進んでいますので,今年栽培した種から来年育てても同じものができるとは限りません。市販のゴーヤ苗や種は大抵掛け合わせてあるF1世代ですので。 ![]() 雨上がりの霧![]() もう少し詳しく説明しますと,おそらくそれまで晴れていて山斜面が暖められていたところに暖かい雨が降ったと思われます。周りや雨が暖かいので蒸発しやすく上昇しようとしますが,実は,蒸発するときに周りから気化熱を奪います。つまり,周りを冷やしてしまうのです。水蒸気がどんどん発生し,湿度がほぼ100%に達したころ,先に蒸発して上昇を開始した水蒸気(湿度が高いので飽和状態に近い)は次の水蒸気の発生の影響で熱を取られて冷やされます。そのため,水蒸気でいられなくなって細かい水の粒として姿を現します。これが雨上がりの山の斜面などで発生する霧です。もちろん,谷から斜面を上っていく局所的な気流(風)も上昇や蒸発を手伝っていますよ。 ここでよく見ていくと,発生しているところと発生していないところがあることに気付かれると思います。同じ山の斜面といえども,局所的な場所場所によって条件が一緒ではないのです。 日本に来たがために… こんな名に…![]() 冠毛についてもいくつかの説があるのです。下の写真をご覧ください。一つの説ですが,風によってきれいに一斉に飛び散るのではなく,一部が残っていたり,綿毛同士が引っかかったり垂れ下がったりしている様からぼろぼろの状態に見えるためと言われています。真偽や如何に。 ところで,ボロと名が入るキク科植物は,私が知っているだけで「ベニバナボロギク(アフリカ原産)」以外に「ボロギク(別名:サワギク)」「ノボロギク(北アメリカ原産)」「ダンドボロギク(ヨーロッパ原産)」があります。でも,これらは属が違いますので同じ仲間ではありません。ボロと呼ばれるような共通した様子があるから名がついているということです。ボロとはいったい何なのでしょうね。 上の写真右側をご覧ください。頭花はすべて筒状花ですので,タンポポのように,外回りに花びらのようなもの(一つ一つが舌状花)がつきません。タンポポの花びらを取り去った状態とお考えください。また,下の左右を比べてお分かりになるように,外回りから中心側へと咲いていきます。 ![]() テイカカズラPart2![]() 下の写真最上段左は,輪切りにした直後で,白い汁液がたくさん出てきています。その右は,白い汁液を拭き去ったときの鞘の中の様子です。ところで,前回も毒草といいましたが,この白い汁液に毒があります。テイカカズラはキョウチクトウ科植物ですので,その毒性は大変強いのでお気をつけください。皮膚に付けばかぶれますし,誤ってお腹の中に入れようものなら,呼吸困難や心臓麻痺を誘発します。 さて,拭き取った後の断面を見ると,なにやら,種のようなものが見えているのがお分かりでしょう。二段目の写真は鞘を縦に切ったところです。種らしいものと白い羽毛状のものが入っていることが分かります。最下段の写真にその中身を取り出しました。右半分が種で,左半分がいわゆる綿毛になります。ということから,テイカカズラは風で種を散布する仲間だということになります。どのようにして種を捲くのでしょうね。機会があれば,また,紹介します。 ![]() 綺麗だけれど触るべからず![]() 8月下旬ごろから9月ごろまで咲くこの花の名前を「センニンソウ(仙人草)」といいます。名前の由来は,咲き終わった後の実(そう果)に白い羽毛のようなものがあり,これを仙人のひげに見立てているところからきています。花びらはなく,花びらに見えているのはガクなのです。下の写真上を見てください。蕾と花開こうとしている2つの花がありますが,この蕾の時に外側を覆っているのがガクです。これが右端のようにそのまま開いて伸び,左端のように開花しているのです。花びらのように見えているものが,ガクだということがお分かりいただけたでしょうか。 つる性の植物ですが,アサガオのように茎が巻くのではなく,また,ヘチマのように巻きひげが絡まるのでもありません。センニンソウは葉の軸(葉柄)が絡みつきます。ということで下の写真下の円内を見ていただきたいのですが,実は,この7枚に見える葉はそれぞれ別々ではなく,1枚の葉なのです。植物用語では,奇数羽状複葉と呼んでいます。センニンソウの場合,3・5・7枚の小葉からなる複葉となります。写真の中央を左から右に小葉をつないでいるのが葉柄です。この部分が絡まるのです。 最後に,この花はキンポウゲ科の仲間です。キンポウゲ科の仲間は有毒植物が多いのですが,このセンニンソウも有毒植物です。汁がついたら素早く,石鹸等で洗い落とすことをお勧めします。汁の中の油性成分が火傷ようの症状を引き起こしますので。 ![]() |
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