最新更新日:2014/10/08 | |
本日:3
昨日:0 総数:57146 |
10月 月輪だより
10月 月輪だより
作家の田辺聖子さんが、子育てについて話しておられました。 『「えーとね。うーんとね。」と子どもが話し始めたときに、「忙しいから。」とおしゃべりにストップをかけてしまうと、言葉や思考をどちらに向けていいのかわからへん、という子になってしまいます。「え〜何?落ち着いてしゃべってね。」「○○君があ〜」「うんそれで?」とつきあってあげて、話の内容が分かったときに「あんたの話のおかげでよう分かった。」と言ってあげれば、こんな話でわかるねんな、と伝わる。少しでもいいところがあったら、「そこんとこ面白い〜。あんたの話聞いてたら、目の前に見えるようやった。」と褒めてあげるんです。 そんな風に引っ張ってやると、子どもの顔がパッと明るくなる。自信もつきます。少し褒めるところがあったら、すごく大きく褒めてあげることです。そのときに、仕事の手を休めるのがしんどいと思ったら、「ちょっと待っててね。その話聞きたいから、10分位あとにまたしてね。」と、子どもとの縁、おしゃべりの縁を繋ぐことを大切にしたいですね。 おしゃべりなんか面倒くさいと言う人もいるけれど、その場の雰囲気を逃がすと、生涯取り返せないこともあります。子どもの成長はあっという間ですから、「もう一度」というのがかなわないこともある。できる限りおとなが「うん、それで。」と聞いてあげると、子どもは自分の話すことが期待されていると受け取ります。子どもの言わんとすることを、おとなが先回りしてしまうと、その子の言語能力は引き上がっていきません。例えば、「けんかになって〜」と子どもが言い出したら、それを新聞の見出しだと思うことがコツ。「けんかしたん。それでどうしたん?」とゆっくり丁寧に聞き進めていくのがいいですね。初めから整理して言える子はなかなかいませんから。「あたし泣いてしまったん」「悔しかったん?」「うん」 (悔しくて泣く)と(悲しくて泣く)は全く違いますが、子どもにはまだわかりません。大人が引っ張ってあげて、語彙を増やしてあげるわけです。子どもの口からなかなか言葉が出なくても、それにめげずに付き合ってあげます。そうすると、子どもの中で混乱していた気持ちが自分で整理できるようになっていきます。 結婚したとき、おっちゃんには子どもが4人いて、一番下が小学3年でした。毎日のおしゃべりが、もうおもしろくておもしろくて。ちゃんと喋れなかった子が、だんだんと語彙を覚えていくのが可愛くて。 そうやって、何てことない些細なおしゃべりでも、1つ屋根の下でゆっくりゆっくり付き合っていくと、一緒に暮らした年月も厚みのあるものになってくると思います。』 子どもの心の成長、学力づくりに言葉は不可欠です。毎日の子育ての中で大人も楽しみながら、子どもの言葉を育てていける。そんなコツがわかるお話です。 |
|