最新更新日:2024/09/12 | |
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あなたのこと大切にしてるよ…
『あなたのこと、大切にしてるよ…』
先日、昔の教え子から突然の連絡が来ました。 その子、担任をしている頃は手におえないほどのやんちゃで、友だち同士のトラブルは毎日、担任に対しても反抗するし、指導もなかなか届かずに、お母さんも困り果てている状態でした。毎日のように家庭訪問をしては、どうしたらいいのか話をしていた子です。家で勉強も見ましたが、すぐにノートを破って逃げ出してしまう始末でした。その当時は、教師としてその子のことでストレスがいっぱい、朝目覚めても今日はどうしようか、その子の顔がにくたらしく?浮かんでくる毎日でした。中学校でもうまくいかず、あまりいい噂をきいたことがないようなまま卒業し、そのままになっていました。 「今どうしてるの?」とたずねると、「先生、ぼく結婚して子どもも二人いてる。子どもが学校行くようになって、ちょっと思い出したんや…」と、ポッとうれしくなる話でした。懐かしい姿を思い出しながら「いつも、叱ってばかりですまんかったな…」と言うと、「怒られてばっかりいたけど、なんか思い出したし…。」と言葉少なに、語ってくれました。いろんな思い出をひとしきり話した後、最後に「ありがとう ございました…」と言って電話が切れました。当時には想像もできなかった言葉、心の中で炎がともったような、熱くなる瞬間でした。その子のその後の苦労や、力強く生きてきたにちがいない姿に思いをはせながら、教師になってよかったと心から感じました。 そのお母さんがいつも笑いながら言っていた言葉を思い出します。 「親に逆らったり、きたない言葉を浴びせたり、子どもはどっちみち憎たらしくなっていく。だから、小学生までのまだまだかわいい時期に、いっぱいかわいがって、その子のいい笑顔をいっぱい頭に焼き付けとくんや。そうせんと大人になるまでめんどうみてられへん!」…今考えると、ものすごく力強いお母さんの言葉でした。 一人一人の子にはどの子にも発達の階段があって、人や社会の関係にもまれながらも、ほとばしるエネルギーで懸命にそれをのぼっていきます。自我が目覚め、大人の世界を否定したり、反発したりする時期も必ずあります。その時の発達パワーはすさまじく、大人の理論や理屈ではおさえられずに、それが反抗したり道を外れたりすることも多くあります。でも、どの子も、自分が大切にされた経験やそれに伴うイメージやがあることで、目に見えない求心力でどこかへ離れて飛んでいくことなく、ブーメランのようにもどってくるのです。 何をしてもなかなか成果が見えなくて、困ったり、ストレスをいっぱい感じたりする家庭での子育てや学校での教育活動ですが、今、目の前にいる子に対して、長い目で、心の底から「あなたのこと大切にしてるよ!」という姿をいっぱい示し、伝えていける大人・教師になりたいと、改めて思いました。 |
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